-- トップページ(70) --

前の10件 65  66  67  68  69  70  71  72  73  74  75

2012年08月07日

『人に読ませる技術-コラム・エッセイの王道』

世界楽器てみる屋のすだれです。
脱サラを予定しているお客さんからインタビューされました。このような話を個別に回答するのは無駄なので、記事として掲載しておきます。(私も世界楽器てみる屋みたいなお店を始めてみようか)と画策している人は参考にしてください。

『人に読ませる技術-コラム・エッセイの王道』

タイトルのとおり、読者に読んでもらえる文章を書くためのノウハウを説明した本です。

この本を読んだところでとても小説家にはなれそうにはありませんが、ちょっとした気の利いた文章を書くのには非常に参考になります。

読者に読んでもらうためにどんな文章を書けばよいのか。「読者の興味を引きそうな話題を楽しく提供する」ということはとうぜん重要ですが。それ以前に、読者に嫌われない文章を書く★1 ということが大前提だったりします。もちろんわざと嫌われるように書く人がいるはずもなく……ついついやらかしてしまうわけですが。これがけっこう多い。つか文章を書く勉強をきちんとしていない人は、まずやらかします。そしてそのことをはっきり指摘したノウハウ書もあまり見かけません。「人から嫌われる文章ってどんなのよ?」というところだけでも、この本は読んで損はないです。

それ以外にも「主題は一つに絞りこむこと」など、基本中の基本からいろいろ説明しています。
人に読ませるために文章を書かなければならない人は、ぜひこの本を読んでみてください。

ネットショップは文章が命

ネットショップは、最後の最後は文章が命なのですよ。
ネットショップはインターネットにウェブサイトを掲げて客を集めます。スタイリッシュなレイアウト★2 、大きくて見栄えのする美しい写真。そして楽器の販売なら説得力のある試聴サンプルなどを用意して、やってきたお客さんを魅了しショップに引きとめます。が、商品のどこが買いどころなのかきちんと説明するのは、最後の最後は文章です。「ギターなんてどこでも売ってる。もっと安売りしている店だってある。なのになんでわざわざあなたの店でギターを買わないといけないの?」「そもそも私はギターなんか興味ないんですけど。なのになんでわざわざあなたの店でギターを買わないといけないの?」★3 というところをきちんと説明できないと、商品は売れません。

楽器など趣味の商品を紹介するならやっぱり、わかりやすく楽しげな文章が似合っているでしょう。というと、いきなりおちゃらけた口調の文章を書いたりする人がいますが。そういうわけでもなくて。「えっそれってどういうこと?」と興味を引いたり、はっと気づかせるなどの仕掛けを使ったりします。このへんネットショップの文章は娯楽の読み物――コラム、エッセイ、小説、ライトノベルなどに極めて近いです。

★1 嫌われない文章
小手先の技術では専門用語を使わないとか。ここでネタをばらすともったいない、ぜひこの本を読んでみてください。「なるほどたしかに嫌らしい」という反例文がたくさん載っていて楽しめます。

★2 スタイリッシュなレイアウト
うちのウェブサイトのレイアウトはスタイリッシュではありません。私はそこは重要視していません。本質ではない、進化の可能性が閉ざされてしまう、フレーム表現やフラッシュ技術はgoogleが嫌う、独りよがりで鬱陶しい、など弊害が多いです。とはいえ客から見て、読みやすい使いやすいことは重要です。過去に一度、その手の仕事をしている友人のアドバイスを受けて、トップページのレイアウトを変更しました。

★3 なぜあなたの店で買わないといけないの?
これはネットショップに限らず販売店を営む上で最重要な課題です。他には「うちに楽器を買いに来る客は、本当は楽器を演奏したいわけじゃない」とか。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2012年07月31日

練習用バグパイプの吹き方教室、鳴らし始めと鳴らし終わり


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第七回。鳴らし始めと鳴らし終わりについて。

ぴたりと鳴らし始めるを良しとする

バグパイプに息を吹きこむとバッグが膨らみ、それにつれてドローン管とチャンター管がにょろにょろ~と鳴り始めます。バッグが膨らむほど音もだんだん大きくなり、そしてバッグをぎゅっと脇で締めつけたタイミングでやっと音が安定します。ここからバグパイプの演奏を始めるわけですが……その、最初ににょろにょろ~と音が鳴るのはNGなのですよ。少なくとスコットランドでは、この切れ味の悪い音の立ちあがり方は「みっともない」「かっこわるい」とされます。まるでオルガンの鍵盤を押さえたかのように、ぴたりと鳴らし始めるのを良しとします。
バグパイプの鳴らし始めは次のようにします。

  1. バッグに息を吹きこむが、勝手に鳴らないように、半分くらいにしておく。
  2. 脇をぐいと締めて演奏を開始する。ぴたりと音が鳴り始める。
  3. すぐにバッグが萎むのでいそいで息を吹きこんでバッグをぱんぱんに膨らませる。

演奏に支障ないほどバッグの扱いが上手になっていれば、案外簡単にできます。

ぴたりと鳴らし終えるを良しとする

終わりも同様です。なにも考えずにバグパイプの演奏を終えると、バッグに残った空気がなくなるまでドローン管とチャンター管がにょろにょろ~と鳴りつづけます。やはりオルガンの鍵盤を放したかのように、ぴたりと鳴らし終えなければなりません。
バグパイプをぴたりと鳴らし終えるには、次のようにします。

  1. 曲が終わる少し前からバッグに息を吹きこむことを止める。バッグが次第に萎んでいく。
  2. 曲の終わりのタイミングでぱっと脇を開ける。ぴたりと音が鳴り終わる。

バッグがぱんぱんに膨らんでいると、脇を放しても自力でしばらく鳴りつづけます。空気を抜いてバッグを萎ませておくのが肝心です。

練習用バグパイプの吹き方教室はこれで終わり

以上、練習用バグパイプを吹いて楽しむには十分な事を説明したと思ってます。
最初に断ったように、私自身がバグパイプにそれほど詳しいわけでもないし、「なんちゃってで演奏できたらそれでいいや」という程度にしか考えていません。バグパイプの一般的な話として間違ってはいないと思っていますが、特に演奏スタイルは国や文化によって細かく異なります。「私は将来グレート・ハイランド・パイプを演奏するんだ」「私はスペインのガイタ・ガレガを極めるんだ」と志している人は、その筋の演奏家や先生に正しいところをきちんと習ってください。

ではまた、どこかで会えることを期待して。
さようなら。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

練習用バグパイプの吹き方教室、グレースノート


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第七回。グレースノートについて。

指穴をすばやく開閉して音を区切る

バグパイプはバッグの中の空気を絞りだして鳴らしますから、鳴りだしたら止まりません。とすると一つ、問題が出てきます。たとえば「ぼくのだいじなクラーリネット、パパからもらったクラーリネット」のように同じ音が続くとき、どうやって音を区切ればいいのでしょうか。ふつうの笛だと舌先でツツツとやって音を区切るのですが、バグパイプではそれが使えない。なので指穴を素早く開閉することによって音を区切ります。この技術をグレースノートと言います。

グレースノートはバグパイプの音を区切るために必須の技術ですし、また装飾音としてバグパイプの演奏にバグパイプらしさを添えるためにも重要です。

で、そのグレースノートの説明なのですが。
わかりやすく説明するのがけっこう大変で、何度もやりたい仕事ではありません。グレースノートによる音の区切り方や装飾音の入れ方は、既にテクノパイプ(スェーデン製の電子バグパイプ)で説明しています。お手数ですがそちらをご覧ください↓
» 音の区切り方
» 装飾音の入れ方(1)
» 装飾音の入れ方(2)

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

練習用バグパイプの吹き方教室、音階と運指


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第六回。音階と運指について。

音域は1オクターブ、半音もなし

練習用バグパイプの音階と運指は以下の図のとおりです。
※ スコットランドのバグパイプはミクソリディアン音階なので、シの音がシbになります。

音域はたったの1オクターブ+1音。半音もありません。
ってもこれは練習用だからではなく、本物のグレート・ハイランド・パイプやスモールパイプがこのとおりになっています。なんとあの仰々しいグレート・ハイランド・パイプは、たったの1オクターブしか出ない★1 のです!これでいったい何を演奏するんだというと……まあなんだ、スコットランド民謡じゃないですか?そのために作られた楽器ですから、それ以外のことを求められてもね。

ちなみに私はミとファの音のいちばん下の指穴を開けたまま★2 にして演奏します。いちばん下の指穴を開けっぱなしにすると練習用バグパイプの運指はかなり簡単になりますから。(私の耳では開けても塞いでも違いを聞きとれませんでした。)「ゆくゆくは本物のスコットランドのバグパイプを演奏したい」と志している人は、ズルせずきちんと運指を守ってください。

そうそう、練習用バグパイプのキーはBb★3 です。
ピアノのシbの黒鍵から始めてドレミファソラシドになっています。これはグレート・ハイランド・パイプと一緒のキーです。だから、練習用バグパイプはグレート・ハイランド・パイプの練習用、ということです。(1オクターブ音が低いですけど、小さいのに。)

★1 1オクターブしか出ない
これは特にスコットランドのバグパイプの性能が悪いというわけでもなく、他の多くの国のバグパイプも同様です。もっと言うと、原理上の問題なのか、リードを使った笛は音域を広げるのが難しいらしい。私の知っているところで中国のフルス、アルメニアのドゥドゥクもほぼ1オクターブです。他の民族楽器の笛はどうなんでしょう。むしろコンサート楽器のオーボエやクラリネットがどれだけ高性能なのかっ、という事だと理解してます。

★2 ミとファの音のいちばん下の指穴を開けたまま
ドイツのレッドパイプ社の電子バグパイプがまさにこの運指です。半音を表現できるようにという配慮で、本物のグレート・ハイランド・パイプと運指を少し変えています。それもあって、私はいちばん下の指穴を開けたままにして演奏します。運指を統一しないと頭が混乱します。

★3 キーはBb
グレート・ハイランド・パイプのキーはBbなわけですが、現地の人はAキーのつもりのようです。もともとほんとうにAキーの楽器でしたが、音をちょっとだけ高めに設定するとより派手な音に聞こえる。それでより派手な音に聞こえるようにと数世紀にわたって競争した結果、ついに1音高いBbまで行ってしまったとか。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

練習用バグパイプの吹き方教室、チューニング


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第五回。チューニング★1 について。

3つの音をぴったり揃えること

チャンター管と2本のドローン管の音をぴったり揃える必要があります。
練習用バグパイプを鳴らしながら、試しにチャンター管でドの音を出してみてください。いちばん下の指穴だけ開けた音がドの音です。こうするとなんだか1つの音しか聞こえない――チャンター管の音がドローン管の音にまぎれてよく聞こえない、というようであれば、3つの音はぴったり揃っています。

3つの音はすぐに外れます。昨日せっかく揃えても今日は間違いなく外れています。どうかすると一曲吹きおわったらもう外れてる、ということさえあります。だからバグパイプを演奏する前には、必ず3つの音を揃えるようにします。

  1. 練習用バグパイプを鳴らしながら、チャンター管の上から4つの指穴(裏の指穴を含む)を左手で押さえます。これがファの音です。
  2. バスドローン管の先端を右手でちょいちょいと塞ぎます。何度かするとショックでバスドローン管が止まります。鳴っているのはチャンター管とテナードローン管だけになります。
  3. チャンター管はファの音で、テナードローン管はドの音です。ドとファできれいにハモるように、右手でテナードローン管の長さを調整します。
  4. 一旦、練習用バグパイプの音を止めて再び鳴らします。またバスドローン管が鳴りだします。
  5. テナードローン管はドの音で、バスドローン管は低いドの音です。ドとドできれいにハモるように、右手でバスドローン管の長さを調整します。

3本のパイプの音を揃えるのは真剣勝負、自分の耳だけが頼りです。複数の音が同時に鳴っていますから電子チューナーは役に立ちませんよ。3つの音がぴったり揃うと、なんだか1つの音しか鳴っていないように聞こえます。人によっては(薄っぺらい音?)と感じるかもしれません。「少しくらい音が外れてる方が重厚できれいに聞こえるね」と思うかもしれませんが。ここは3つの音をぴったり揃えてください。

3つの音がぴったり揃っていないと、お互いの音がヘンに干渉しあってバグパイプが音痴になります。YouTube動画やライブステージのバグパイプ演奏を聴いていて、なんだかすごい調子っぱずれに聞こえるときは、たいてい3つの音が揃っていません。「不精者」「耳が悪い」と評価されたくなければ、演奏する前にきちんと3つの音を揃えるように心がけましょう。

3つの音をぴったり揃えることができるかどうかは、ひとえに演奏者の耳のよさにかかっています。そういえばドローン管の音は、電子オルガンのようにまっすぐ一本調子に鳴らさないといけないのでした。そんなですからバグパイプを練習すると、そうとう耳が鍛えられますよ★2 。
らっきー。

★1 チューニング
ここで言うチューニングとは、チャンター管と2本のドローン管の音をぴったり揃えることを指します。所謂ふつうの楽器のように ”コンサートピッチにチューニングする” という意味ではありません。

そういう意味では、バグパイプはコンサートピッチにチューニングすることができません。気温が上がるとピッチが上がり、気温が下がるとピッチが下がります。ギターなどと合奏するときは、バグパイプのピッチに合わせてあげる必要があります。ピアノなどと合奏するときは……バグパイプがコンサートピッチになるまで演奏会場の気温を調節するしかありません。そのへんオカリナなど、他の民族楽器の笛も同じ苦労をしています。

★2 耳が鍛えられる
クラシック音楽界では絶対音感がもてはやされますが、バグパイプを練習していると相対音感が鍛えられます。「この音がドだとするとファの音はこんな感じかな……」みたいな。

大枠の話、民族音楽では絶対音感よりも相対音感が重要です。コンサートピッチ=440Hzなんてそれどこの法律?とガン無視、そもそも音階が西洋のドレミ音階になっていなかったりします。トルコでは1音を7分割して歌うそうですよ。半音ならぬ3/7音とか。これではなまじ絶対音感があると音痴にしか聞こえない、かえって弊害があります。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2012年07月30日

練習用バグパイプの吹き方教室、鳴らし方


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第四回。鳴らし方。

バッグの中の空気を絞りだして鳴らします

練習用バグパイプに息を吹きこむと、バッグが膨らむにつれチャンター管とドローン管が鳴りはじめます。そのまま(ドレミはどうやるんだろう?)と運指の練習を始める人もいるかと思いますが、ちょっと待ってください。

バグパイプはふつうの笛のように吹いて鳴らす楽器ではありません。
抱えたバッグを締めつけ中の空気を絞りだして鳴らす楽器です。この操作は笛というよりもアコーディオンに近いです。息を吹きこむのは萎んできたバッグを膨らませるためだと理解してください。この練習用バグパイプは軽い力で鳴りますから、ふつうの笛のように吹いて鳴らすこともできます。しかしながら多くのバグパイプは、もっと強い力でバッグを締めつけ大きな音で鳴らします。けっこう腕の筋肉が鍛えられます、ダイエットできるかも。そんなですから、その圧力に逆らって息を吹いて鳴らしていては、あっという間に唇の筋肉が疲労してブロウ管をくわえていられなくなります。

基本的に息は吹きません。演奏者によってはブロウ管から口を離したりします。バッグが萎んできたら息を吹きこんでもう一度ぱんぱんに膨らませます。ぱんぱんに膨らんだらすぐに息を吹くのをやめます。唇の筋肉を休ませます。

ずっと一本調子に鳴らしつづける練習

バグパイプは鳴りだしたら最後まで鳴りっぱなしの楽器です。ノンストップです。曲の途中で音が途切れるなんて初心者の失態です。切れ目なく音を鳴らしつづける練習をします。

  1. 指穴は好きに押さえてください。ドとかファの音がいいです。
  2. 抱えたバッグを膨らませてバッグを締めけます。ブーッと鳴りだします。
  3. まるで電子オルガンのようにまっすぐ一本調子に鳴るように、一定の力でバッグを絞めつづけます。
  4. みるみるうちにバッグが萎んでくるので、ブロウ管を吹いてバッグを膨らませます。
  5. バッグがパンパンに膨らんだら吹くのをやめます。
  6. 以上を繰りかえします。

息を吹きこむのに合わせて脇を開けてあげてください。脇を締めたままだとバッグが膨らみません。かといって脇を開けすぎると圧力がかからなくなって音が止まってしまいます。まるで電子オルガンのようにブーーーーとまっすぐ一本調子に鳴るように神経を集中してください。音が止まるなんて論外ですが、音がうねうねとよろけるのも失格です。

バグパイプの鳴らし方にコツなどありません。自転車に乗るのと同じ、身体に覚えさせるしかありません。言っときますけど、本番はこれをやりながら曲を演奏しますよ。
どうです?なかなか楽しめそうでしょう。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

練習用バグパイプの吹き方教室、持ち方・構え方


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第三回。持ち方と構え方。

見ればわかると思うけど

練習用バグパイプを持つときに、まさかチャンター管の先っちょを掴んでぶらぶらさせるような人はいないでしょう。左手でチャンター管の根元のあたりを持ちます。ぐったりしたガチョウの首を掴んでる感じです。右手はドローン管の根元に添えます。

息を吹きこみバッグを膨らませながら左脇に抱えます。バッグが膨んでくると形がしっかりしてきて抱えられるようになります。左手でチャンター管の指穴を押さえます。裏側の指穴を含めて上から4つの指穴を左手で押さえます。このとき、特に何もしなくても自然に指が指穴に当たるように、バッグの位置を調整しておくと演奏しやすいです。右手で指穴を押さえます。下の残り4つの指穴を右手で押さえます

ドローン管は右腕の上あたりに飛びだした状態にします。多くのバグパイプはドローン管を左肩に担ぎますが、練習用バグパイプは横に飛びだしたままにします。下のYouTube動画を見れば要領がわかるでしょう。

指の関節と関節の間で押さえるとよい

できるなら下の写真のように指をまっすぐ伸ばして、指の関節と関節の間で指穴を押さえます。バグパイプはだいたいこのような指穴の押さえ方をします。実際、このような指穴の押さえ方をしないと、いちばん下の指穴を押さえることが困難です。私はこれができないので、速いフレーズを演奏できません……

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

練習用バグパイプの吹き方教室、各部の名称

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第二回。各部の名称について。


バッグ
バグパイプの名称の元になった皮袋(バッグ)です。練習用バグパイプのバッグはビニール製です。ここに息を吹きこんで膨らませ、脇で締めつけ空気を絞りだして笛を鳴らします。
ブロウ管
バッグに息を吹きこむためのパイプです。これを口でくわえてバッグに息を吹きこみます。笛を吹くのでなくバッグを膨らませるのが目的なので、笛の演奏と関係なく息を吹きこみます。
チャンター管
メロディーを演奏するための笛です。指穴があります。バッグから引きぬくとほんとうにただのリード笛です。運指の練習だけするときは、チャンター管を引きぬいて、口でくわえてふつうの笛のように吹いて練習したりします。
バスドローン管
メロディーを演奏する間ずっと同じ音を鳴らしつづける伴奏管です。2本あるうちの低音の方。チャンター管とピッチを合わせることができるようにスライド式で長さを変えられます。2つのジョイントで連結していて、分解すると3つになります。
テナードローン管
メロディーを演奏する間ずっと同じ音を鳴らしつづける伴奏管です。2本あるうちの高音の方。チャンター管とピッチを合わせることができるようにスライド式で長さを変えられます。2つのジョイントで連結していて、分解すると2つになります。
ストック
ブロウ管、チャンター管、2本のドローン管を差して固定する口をストックと言います。ブロウ管のストック、チャンター管のストック、ドローン管のストックと言います。
チャンターリード
チャンター管のリードです。これがビービー鳴ってメロディーを奏でます。伝統的な葦のリードだと定期的な交換が必要ですが、練習用バグパイプのチャンターリードはオール合成素材です。これを加工したり取り替えたりということは、ほとんどないでしょう。
ドローンリード
ドローン管のリードです。これがビービー鳴って伴奏音を奏でます。伝統的な葦のリードだと定期的な交換が必要ですが、練習用バグパイプのドローンリードはオール合成素材です。これを加工したり取り替えたりということは、ほとんどないでしょう。

分解と組み立て

練習用バグパイプを分解する理由は2つあります。1つ目は演奏後に楽器を乾燥させるため、2つ目は収納バッグに押しこむため。

バグパイプを演奏すると息に含まれる水分が結露してパイプやバッグの内部が湿気ます。木と皮で出来た本物のバグパイプはこのまま放置すると割れる、腐る、とダイレクトにダメージが入りますから、必ず分解して乾燥させます。練習用バグパイプはオール合成素材ですから、放置したところで壊れません。むしろ、バッグからパイプを引きぬくときによくリードを壊しますから、むしろなにもしない方が安全かもです。

なのですが。私としては(バッグの中に残った水がアレしてアレな臭いがしてくるのでは……)と想像してしまってどうも落ち着けません。ほら小学校の縦笛とかハーモニカとか。私は練習用バグパイプを演奏した後は、ドローン管をストックから引きぬいて、バッグをばふばふして中の湿気を追い出すようにしています。ほんとうはブロウ管とチャンター管も引きぬいた方が完璧なのでしょうが、これらは何度も抜き差ししているとストックを痛めてすっぽすっぽになる気がして心配です。(ドローン管だけはゴムで出来ているのでストックに優しいのです。)

一方で収納バッグに押しこむときは、そんなにばらばらにする必要はありません。バス・ドローン管が長すぎるので途中から引きぬいて2つにすれば、それだけで収納バッグの中に入ります。買ったときもそうなっていたでしょう。

壊さないように、怪我をしないように

パイプを抜き差しするときはどうしても力が入ります。間違ってドローン管を握りつぶさないように。またリードを壊さないように。それとドローン管で目を突かないように気をつけてください。

リードを壊したときは自分で交換してください。バッグやドローン管などを手に負えないほど壊したときは、修理ではなく買い換えることになるでしょう。修理代と日本から英国への往復送料と考えると、新品を買う方が安上がりです。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

ネットショップのコツについて 2

世界楽器てみる屋のすだれです。
脱サラを予定しているお客さんからインタビューされました。このような話を個別に回答するのは無駄なので、記事として掲載しておきます。(私も世界楽器てみる屋みたいなお店を始めてみようか)と画策している人は参考にしてください。

ビジネス書をたくさん読むべし

知識があって困ることはありません、暇さえあれば本を読むべきです。今から独りでビジネスを始めようというのですから、開業・開店の知識は絶対に必要です。たくさんのビジネス書を読むべきです。

自分のビジネススタイルを決めよう

たこ焼き屋台を開くにしろウェブページデザイナーになるにしろ、自分のビジネススタイルをはっきり決める必要があります。ビジネススタイル――私はこんな風に仕事をする、私のお店はここが大切、という方針です。たこ焼き屋なら例えば「豊富なバラエティーで圧倒するのだ」とか「ぐうの根も出ないおいしさを追求するぞ」とか「絶対に客を待たせず且つ出来たてのほやほやを提供します」とか。ちょっと変化球気味に「たこ焼きを食べながら今まで知らない者どうしだったお客さんたちが楽しく歓談できる。そんな憩いの場があればいい」とか。ここで「もちろん私は全部だ!」と言う人は失敗します。という事もいろんなビジネス書に書いてますから、読んで考えを改めてください。

ビジネススタイルはたくさんあります。まったく正反対のビジネススタイルもあります。曰く「お客さまは神さま、徹底的に媚びへつらって可愛がってもらいましょう」「客は無知な初心者だ。商品をとおして啓蒙・教育しなければならない」。どのビジネススタイルが優れている、というのはなくて、極めればどんなスタイルでも力を発揮するものです。自分に合ったビジネススタイル――自然体で実践できて、毎日どれだけがんばってもイヤにならないスタイルがいちばんです。本屋の棚に並ぶビジネス書に手当たり次第に目を通しましょう。たくさんありすぎるので、面白そうなタイトルで選んでもいいと思います。序章と第一章を読んでピンとくる本だけしっかり読むといいと思います。

『金持ち父さん貧乏父さん』は必読

『金持ち父さん貧乏父さん』は必読です。
日本の学校はサラリーマンを育てるために教育しているので、卒業した私たちにはいくつかの大切な知識が決定的に欠けています。

例えば、ふつうの人が思いつく仕事というのは、自分の手を動かす仕事ばかりです。この手の仕事の本質は「自分の人生の切り売り」であってどうしても儲かりません。(どれだけ高く売ったところで在庫に限りがありますからね。)この手の仕事のスターは個人経営の開業医ですが……それでもビル・ゲイツのような大富豪には絶対になれません。

私たちはサラリーマンになるように育てられましたから、他人に雇われ使用される以外の選択肢を思いつくことができません。強引に独立開業したところで失敗し……結局サラリーマンに戻ってしまう。そうなるように育てられています。

私たちには独立開業するための知識が決定的に欠けています。『金持ち父さん貧乏父さん』は必読です。

意外な本が役に立つ

他にどんな本を読めばよいか……それは業種によりますが、意外な本が役に立ちます。つかたいていの出版物は何らかの役に立つものです。風俗業の経営者にとっては、アダルト誌だって貴重な情報源ではありませんか。某ゲームメーカーの休憩室にはいつも最新刊の少年誌・少女誌が準備されていましたっけ。

私自身、ライトノベルを乱読していて、これらは「業務に関係あり」としてすべて経費にしています。いやマジな話、くだけた文章・読みやすい楽しい文章を書くために必要です。文章は読まないと下手になります。また精神年齢を下げておくという意味もあります。

だから私としては漫画もほんとうは経費にするべきだと考えていますが……いざ税務署から問われたときに強く押せない性格なので、諦めてます。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2012年07月29日

練習用バグパイプの吹き方教室、概説


» 練習用バグパイプを鳴らしてみました

学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第一回。そもそもバグパイプという楽器について。

笛のようなアコーディオンのような楽器

バグパイプはその名のとおり、オーボエのようなリード笛に皮袋(バッグ)を取りつけた楽器です。

ふつうの笛のように吹いて鳴らすのでなく、抱えたバッグに息を吹きこみ膨らませて、バッグの中の空気を絞りだして笛を鳴らします。バッグが萎んできたらまた息を吹きこみパンパンに膨らませます。

私が演奏した印象として、バグパイプは吹奏楽器ではありません。息を吹きこむのはあくまでもバッグを膨らませるためで、笛を鳴らすのは脇でバッグを締めつける操作です。これは笛というよりもまるで……アコーディオンみたい。実際、音楽大学のエラい人が言うには「バグパイプはアコーディオンの先祖」なのだそうですよ。なるほど納得できます。とにかくヘンな楽器です。指の動きは明らかに笛なのですが、それに関係なくバッグを締めつけたり息を吹きこんだり。なかなか忙しい楽器です。

皮袋にはメロディーを演奏する笛(チャンター管)の他に、ずっと同じ音を鳴らしつづける伴奏管(ドローン管)が数本ついています。バグパイプは皮袋の中の空気を使って鳴らすため、鳴りだしたら止まりません。ブオォォォンと鳴りつづけるドローン管と、チャンター管が奏でるニョロニョロした切れ目のないメロディー。これがバグパイプの特徴です。「バグパイプ、って何?」という人でも見れば聞けば「ああこれね!」と思いあたる、民族楽器の横綱です。

バグパイプは日本ではスコットランドのグレート・ハイランド・パイプが有名です。
一度はTVか写真で見たことがあるでしょう。

スコットランドではグレート・ハイランド・パイプの他に、街のパブではスモールパイプという、もっと小型で静かな楽器が演奏されます。ここで説明してる練習バグパイプは、このスモールパイプを元に作られた、学生向けの廉価なバグパイプです。

このコーナーでは練習バグパイプの吹き方について簡単に説明します。
私自身がそんなにバグパイプに詳しいわけではありませんから、大枠こんなだ、という説明になります。きちんとスコットランドのバグパイプを演奏できるようになりたい、と志している人は、専門の演奏家や先生に正確なところを習ってください。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

前の10件 65  66  67  68  69  70  71  72  73  74  75

みんなの掲示板

ご質問・お知らせなどがございましたら遠慮なくご投稿ください。

ユーティリティ