-- DTM・Band-in-a-Box(1) --

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2013年10月29日

Band-in-a-Boxを始めるにあたって

Band-in-a-Boxはちょっと変わった音楽ソフトです。
音符を一つずつ手で入力するのでなく、C,Am,Dm,G7,…のようにコード進行を入力して、『ビートルズのイェスタディ風』『モーツァルト風』などと演奏スタイルを指定すると、ドラムやベース、ピアノ、ギターなどでそれらしく自動演奏してくれます。楽器の演奏ができなくても音符の打ちこみが苦手でも、Band-in-a-Boxがあればそこそこの音楽作品を素早く製作することができます。よい時代になりました。

下は私がBand-in-a-Boxを使って製作した作品の例。
この中で2本のギターとバイオリンの音は、Band-in-a-Boxが出力したWAVファイルの音です。

最近のBand-in-a-Boxはサンプリング音源を持っています。
実際に演奏したギターやバイオリンの音を録音してサンプリング音源として使っています。Band-in-a-Boxは従来のように自動演奏した結果をMIDIファイルとして出力することもできますが、このようにWAVファイルとしても出力できるようになりました。

バイオリンなんてまるで、ほんとうに人が演奏しているみたいですね。
いや実際に演奏した音を使っているからそうなんですが。

「自分もBand-in-a-Boxを使ってみたい」というお客さんからコツなどを尋ねられたので、この場で回答します。

いちばん高価なBand-in-a-Box

なんにしろBand-in-a-Boxが必要です。
Band-in-a-Boxは演奏スタイルのライブラリが命です。いちばん高価な版で4000スタイルくらい抱えていたでしょうか。それでも自分が使いたいと思う演奏スタイルは意外に数えるほどしかないものです。Band-in-a-Boxは、無理してでもいちばん高価な版を購入するべきです。

DAW(統合音楽ソフト)

DAWも必要です。
DAWというのはPro ToolsやSONARといった、いわゆる音楽作品を製作するための、なんでもかんでも一とおり揃っているソフトウェアのことです。最新のBand-in-a-BoxにはDAWがバンドルしていますから、それを使うなら、別立てで入手しなくても音楽作品を製作することができるでしょう。ただし使い勝手は不明です。(なんだか思ったとおりのことができない…)と感じたら、将来的には他のきちんとした製品のDAWを購入する算段も、頭の片隅にとどめておいてください。

ソフトウェアシンセサイザとエフェクタ

エフェクタをまったく使わないという人でもリバーブやディレイは使うでしょう。
また煌びやかなシンセサイザの音はそれだけで作品の魅力を倍増しにしてくれます。ソフトウェアのシンセサイザとエフェクタは、フリーウェアが山ほど出回っていますから、それらをかき集めるだけで立派な作品を製作することができます。最初はそこから始めたらよいでしょう。

でも、何ギガバイトもサンプリングデータを抱えた製品版のシンセサイザは、やっぱりそれだけの音がするのだと覚えておいてください。

自分がよく使う楽器だけでも、高品質の製品版を使うと作品の仕上がりがぐんとアップするでしょう。因みに私がいちばん最初に購入したシンセサイザはベースギターでした。やっぱり安物音源とはリアリティが違います。

チュートリアルをやる

最初にチュートリアルをやってみましょう。
マニュアルのどこかに載っているはずです。プラモデルを組みたてるように、書いてある通りの手順で操作すると、小さな作品が出来上がります。Band-in-a-Boxでできることをざっと理解するのにとても有効です。面倒くさがらずにぜひチュートリアルをやってみましょう。

ただし実際には――YouTubeなどに投函して人が聴いてイイネ!を押してくれるような作品を製作するには、Band-in-a-Boxだけでは勤まりません。MIDIファイルやWAVファイルに書きだして、DAWに読みこんでアレンジ、ミックスダウンする必要があります。シンセサイザやエフェクタを駆使することになるでしょう。このへんはもう、DTM(パソコン音楽)として一般的な話になります。その手の専門書や雑誌を読んで勉強し、実践しましょう。

マニュアルを読もう

Band-in-a-Boxを使いこなすために、マニュアルを読む必要があります。
マニュアルを鞄に入れて持ち歩いて、暇なとき――ふつうの人が携帯を弄って時間を潰すような時に読みます。

ぜんぶを覚える必要はありません。
Band-in-a-Boxでどんなことができるのか、そのやり方はマニュアルのどの辺に書いてあるか。それだけ頭に入れて、あとは実際に作業していて分からなければマニュアルを見ればいいです。

小さな作品を完成させよう

音楽作品に限らず漫画や小説、イラストなどクリエイティブな職業を目指す新人に対するアドバイスとして、必ず言われることです。小さな作品でいいから完璧に完成させましょう。完璧に、というのは「今の私の技量ではこれ以上無理」という限界の完成度に仕上げるってことです。真剣勝負ってことです。

最初の作品を完璧に完成させるのはとても大変ですから、無理はしないようにします。楽器はピアノだけとかギターだけとか、少ない数でいきます。作品の長さも1,2分くらい。歌だったら前奏と1コーラスで終わりみたいな、最小単位にします。ただしその範囲の中は真剣勝負で製作します。友だちに聴かせて「えーもったいない。最後まで作ってよ」と言われるレベルを目指します。

前回よりちょっとだけ良い作品

後はもう、たくさん作りつづけるだけです。
大切なのは、前回の作品よりもちょっとだけ良い?作品を作るように心がけることです。

前回よりも楽器の音を一つだけ増やす。1分だけ長いアレンジにする。Band-in-a-Boxの使ったことのない機能を試してみる。新しいシンセサイザやエフェクタを使ってみる。そんな僅かな改良が何年も積み重なって、いつか、明らかに素人とは一線を画する作品を作れるようになります。
私もいつか市販のCDみたいな音を作りたいと精進しています。

下は私がほんとうに初期の頃に製作した『スカボロー・フェア』と、そして最近に製作した同じ作品です。最近の作品を製作するに当たっては、昔のBand-in-a-Boxのデータをほぼそのまま流用しました。まあだから未来のことも考えて、作品を製作するときに使ったデータはずっと保存しておくといいです。

どうでしょうかね。
昔の演奏もけっこうカッコイイというか。あんまり進歩してないのかなあ。

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2013年04月13日

BIABのベースはサンバがかっこいい

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)★ のベースの演奏スタイルは、
サンバが意外にかっこいいですよ。

サンバというと、リオのカーニバルでグラマラスなお姉さまたちがぴっちぴちの肌を晒して扇情的に踊りパレードするという、あのサンバです。日本では昭和の戦後復興期にラテンミュージックが大流行した経緯があって、今ではいささか古くさい印象の音楽スタイルです。

なのですがBIABに登録されている演奏スタイルとしては、ベースはサンバが意外にかっこいいです。全体の演奏スタイルとしてポップス系やロック系を使用するとき、ベースだけサンバの演奏スタイルに取り替えると、なかなかトバした演奏になります。下の試聴サンプルは、全体の演奏スタイルとしてポップス系のCELINEを使用し、ベースだけサンバのMARIMBAという演奏スタイルに取り替えたものです。
» スタイルCELINEの演奏例(ベースもCELINE)
» スタイルCELINEの演奏例(ベースのみMARIMBAに取り替えた)

どうでしょう。
今回の場合は、CELINEのベースも結構かっこよくてどちらも捨てがたい。だから私は両方とも採用しました。基本はMARIMBAでダンシングに演奏して、要所要所をCELINEでしっかりリズムキープするようにしました。BIABにはこのような用途のために、ハイブリッドスタイルという機能があります。が、面倒くさいです。使えそうな演奏を片っ端からMIDIファイルにに出力して、後でDAWの上で切り貼りするのが早いです。

★ Band-in-a-Box
アマチュア音楽家御用達の音楽ソフト。C,Am,Dm,G7などとコードを入力して『90年代英国ロック風』などと演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノでそれらしく自動演奏してくれます。CDの音楽ファイルやMIDIファイルからコード進行を逆算したり、メロディやハーモニーを創作したりなど、素人には難しい作業を肩代わりしてくれます。楽器が演奏できなくてもMIDIの打込が苦手でも、それらしい音楽作品を作れます。素晴らしい時代になりました。

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2013年01月20日

BIABの演奏スタイルを探しだす 5

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。
C,Am,Dm,G7などとコードを入力して、「ビートルズのイエスタディ風」のように演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノなどを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

お気に入りに追加した演奏スタイルであっても、ドンピシャというものはまず見つかりません。ですから現実的には「ベースはこの演奏スタイルから」「ピアノはこの演奏スタイルから」と、楽器毎に切りだして使うことになります。

この作業は紙と鉛筆が必要です。
まずはベースだけ、ピアノだけと、一つの楽器の音だけ鳴らしながら、それぞれの演奏スタイルを聞き比べていきます。そして「ベースはこの演奏スタイル」「ピアノはこの演奏スタイル」と、忘れないように紙にメモします。

話は複雑で、
「全体的にはこの演奏スタイルのAパートが似合うのだが、サビパートだけは別の演奏スタイルのBパートが似合う」みたいなこともよくあります。「サビパート直前のドラムのリフだけはこの演奏スタイルのBパートがかっこいい」みたいなピンポイントなこともあります。こんなこともとにかく忘れないようにメモっておきます。

極力お気に入りの演奏スタイルの中から見繕います。(あまり作業の手戻りをしたくはありませんからね。)それでも「ここでキラキラしたシンセのアルペジオがほしいな」などと思いつくことがあります。そんな場合は面倒ですが、またライブラリ全体から使えそうな音を探します。あるいは「やっぱりベースがだめ、いいのがない!」ということもあります。そんな場合も仕方ない。気は進みませんが、もう一度ライブラリ全体から使えそうな音を探します。

どんどんMIDIファイルに書き出してしまうのが早い

最終的に、紙に残したメモをたよりに、楽器毎にMIDIファイルを書きだしていきます★ 。
不要な楽器の音をぜんぶミュートした状態でMIDIファイルを書きだせばいいです。

ちなみにBIABには、このような状況に対応するため『ハイブリッドスタイル』という機能が用意されています。これは「ベースはこの演奏スタイル」「ピアノはこの演奏スタイル」と、いろんな演奏スタイルから楽器を集めて、新しい演奏スタイルを作りだす機能です。でもこの機能程度では、私はぜんぜん足りません。結局、使えそうなフレーズをすべてMIDIファイルとして書きだしてしまって、後でDAWにて切り貼りするのが早いです。

BIABは初心者のための優れた音楽教材

と、こんなところでしょうか。
何度も書いたように、楽器を演奏できなくてもMIDIの打ちこみが苦手でも、BIABがあればそれなりの音楽作品を製作することができます。

逆に言えば、能力があればBIABなんて要らないってことです。
「思いどおりの音楽作品を作れないのはBIABが役不足だからだ」と断じる前に、BIABを使いながら私も音楽の勉強をしよう、BIABの足りないところは自分でなんとかするさ、くらいの気概で取りくんでください。
「Band-in-a-Boxは音楽教材だ」と2チャンネルで誰かがコメントしてました。そのとおりです。

今後になにか新しいことが分かったら、補足という形で記事を追加しますので。
ではではまた。

★ 楽器毎の演奏をMIDIファイルに書きだす
MIDIファイルの名前には、楽器+演奏スタイルの名前を付けることを強く勧めます。
例えば「ピアノSPRING」「ハープORKHRP34」など。

書きだしたMIDIファイルたちを集めて編集していると「演奏スタイルに不満はないが、ピアノのフレーズがなんとなく気に入らない。もう少し違った風に演奏してほしい」ということがあります。こんなときは慌てず騒がず、もう一度BIABを動かしてピアノを演奏させ直せばいいのですが……はてピアノの演奏スタイルはどれだったか。ファイル名にでも書き残しておかないと忘れてしまっています。

それと、後々に別の音楽作品を製作するときものすごく重宝しますよ。
「ベースはあの作品に使ったフレーズがかっこよかった。今回もあれを使いたい。」ということがよくあります。MIDIファイルに演奏スタイルの名前を書き残しておけば、また一から探す手間を省くことができます。

っても面倒くさいので、なかなか実行できないんですけどね。
私は新しい音楽作品を製作しているところで、今まさに絶賛困り中。ベースの演奏スタイルがどれだったか思い出せません……。みなさんはぜひ、BIABの自動演奏をMIDIファイルに書きだすときは、ファイル名に演奏スタイルの名前を書き残すようにしてください。

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2013年01月19日

BIABの演奏スタイルを探しだす 4

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。
C,Am,Dm,G7などとコードを入力して、「ビートルズのイエスタディ風」のように演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノなどを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

お気に入りに登録した演奏スタイルは、何かしら、心に引っかかったものばかりです。数も数十個程度までに絞りこまれています。何度も聞きくらべて自分の理想にぴったりなスタイルを選びます。

そういえばAパート、Bパートで大きく雰囲気が変わる演奏スタイルもありますよ。このへんも聞きくらべてみてください。

あるいはピアノだけ、ベースだけと、一つの楽器だけ鳴らして聞いてみるのも有効です。

どうでしょう、使えそうな演奏スタイルが決まりましたか。そうですね、まずドンピシャなスタイルは見つからないです。私は今までBIABを使って60曲くらい作りましたが……ドンピシャなスタイルを見つけた覚えがありません。

なので実際には「ベースはこのスタイルから」「ピアノはこのスタイルから」というように楽器毎に選んで使うことになります。

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2013年01月15日

BIABの演奏スタイルを探しだす 3

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。
C,Am,Dm,G7などとコードを入力して、「ビートルズのイエスタディ風」のように演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノなどを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

候補の演奏スタイルをフィルタリングで絞りこんでも、場合によってはまだ数百の演奏スタイルが残っているでしょう。これはもう、マジで一つずつ試聴していきます。試聴は二段構えで行います。最初はざっと聞いて、「これは」と思う演奏スタイルをお気に入りに登録していきます。次に、お気に入りに登録した演奏スタイルを念入りに試聴します。

「これは」という候補をどんどん登録

試聴の一段目の目的はざっと絞りこむことです。演奏スタイルを次から次に試聴して、ちょっとでも「ん、これは?」と思ったら即お気に入りに登録します。その演奏スタイルの行を選んだ状態で「Fに指定」ボタンを押すと、行に "F" が付きます。

全体的な雰囲気がダメでも、部分的にでも使えそうだったら、ためらわずお気に入りに登録します。「ぜんぜんピンとこないけどシンセのアルペジオだけはきれいだな」とか「ベースのリフだけは捨てがたい」とか。そういうのは最終的に、その楽器パートだけ切りだして、部品として使えます。

試聴しながら曲の構想を固める

ここで大切なのは、使えそうな演奏スタイルを選びながら、同時に自分が作る曲の構想も固めていく、ということです。

「自分はこんな曲を作るんだ!」という、確固とした構想が最初からあるならよいのですが。たいていの場合は「ロックなんだけど、ええっと……」みたいに、隅をつつけば実はぼんやりしてはっきり決まっていない、ということが多いです。ですから、演奏スタイルを試聴しながら曲の構想も固めていきます。「この曲はきっとピアノが大事な気がする」とか「これはロックじゃないな……カントリーかな」とか。

不幸にも、
「自分はこんな曲を作るんだ」という明確な構想を持っているのに、BIABにちょうどよい演奏スタイルがありませんでした、というケースもあります。BIABの演奏スタイルはジャズ、カントリー、ロック、ラテンが充実していて、クラシックや民族音楽はからっきしです。3拍子の曲も少ないです。

泣く子とBIABには勝てません。BIABに用意された演奏スタイルの中で、なんとしても間に合わせる必要があります。「ほんとうはクラシック調なんだけど……強いて言えばロックアレンジでもなんとかなりそうかなあ」みたいな。案外これでトンデモアレンジが生まれたりします。「だからBIABじゃ役不足なんだ」なんて悪態をつかず、まずは使えるところを使ってみてください。

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2013年01月12日

BIABの演奏スタイルを探しだす 2

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。
C,Am,Dm,G7などとコードを入力して、「ビートルズのイエスタディ風」のように演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノなどを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

BIABの数千の演奏スタイルの中から自分の求める演奏スタイルを探しだすのは、基本的には数千の演奏スタイルの総当たりです、一つずつぜんぶ試聴します。

といっても、関係ない演奏スタイルまで試聴する必要はありません。例えば3拍子の曲を作るつもりなのに、4拍子の演奏スタイルを試聴しても仕方ないです。このように、あからさまに「それ違うよね?」という演奏スタイルは、条件を付けてフィルタリングして、最初から除外しておく★1 といいです。

3拍子か4拍子か

今から作る曲が4拍子なら、3拍子の演奏スタイルを試聴する必要はありません。
逆に3拍子の曲を作るなら、4拍子の演奏スタイルは無視していいです。拍子によるフィルタリングはいちばん最初にやっておくべきことです。

ストレートかスィングか

ストレートというのは曲のノリがタン、タン、タン、タン、……となっています。
スィングのノリはタンカ、タンカ、タンカ、タンカ、……です。自分の作る曲のノリがストレートとスイングのどちらであるかによってフィルタリングすると、試聴べき候補が更に半数に減ります。

テンポ

どの演奏スタイルにも、いい感じに聞こえるちょうどよいテンポがあります。
細かくリズムを刻むギターは、あまりに速いテンポで演奏すると古い映画のようにチャカチャカした滑稽な感じになります。ゆったりしたピアノフレーズは、あまりに遅いテンポで演奏すると間延びして環境音楽か何かみたいになります。テンポで演奏スタイルをフィルタリングするとかなり候補を絞ることができます。

ただし案外、テンポ外れでも実は使えるということがあります。気をつけておいてください。

使用する楽器

例えば「この曲はピアノが重要なんだ」「ベースはコントラバスだ」のように、使う楽器がはっきり決まっている場合があります。このような場合は、使う楽器でフィルタリングすれば、試聴すべき候補を大きく絞ることができます。

ただし、実際にはグランドピアノの音を使うつもりだが、エレピを試聴してみたらいい感じのフレーズが見つかった、ってこともよくあります。楽器によるフィルタリングは理想の伴奏スタイルを外してしまう確率も高いです。気をつけてください。

★1 最初から除外しておく
試聴する演奏スタイルの候補を絞れば絞るほど、作業は楽になりますが、理想の伴奏スタイルを外してしまう確率も高くなります。ぜんぶ試聴したがどうもピンと来るものがない、というような場合は、フィルタを外して総当たりで試聴することも覚悟しておいてください。むしろ総当たりするのが当たり前で「試みにフィルタリングしてみたらすぐに欲しい演奏スタイルが見つかった、ラッキー」というくらいの心づもりでいるのが吉です。

ただ、いくつも音楽作品を製作していると、そのうちなんとなく覚えてくるものですよ。
精密さには欠けますが「こんなギターフレーズはカントリー系を探せばいい」「これはラテン系じゃないな」みたいに、大まかに当てを絞りこめるようになります。何事もそうですが、最初がいちばん大変です。ずっと続けていると勘が働くようになり、手抜きの加減も分かって、最初の何倍ものスピードで作業ができるようになります。

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2013年01月05日

気に入った演奏スタイルを探しだす 1

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。C,Am,Dm,G7などとコードを入力し、「ビートルズのイエスタディ風」などと演奏スタイルを指定すると、ギターやピアノを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

BIABは数千の演奏スタイルを抱えています。
これなら自分のイメージにぴったりな演奏スタイルがなくても、似た雰囲気の演奏スタイルなら、一つくらいありそうです。とはいえ、いったいどうやって数千の演奏スタイルの中から「これは!」というたった一つの演奏スタイルを見つければいいのでしょうか。

ぜんぶ聞いて探すのが基本

BIABの巨大なライブラリの中から自分の求める演奏スタイルを探しだす方法は、基本的には総当たりです。数千の演奏スタイルを一つずつぜんぶ聞いて探します。

面倒くさい?いやしかしですね。
今からBIABを使おうとしているということは、きっとあなたは楽器を演奏できないし、MIDIの打ちこみも苦手なのでしょう。あるいは音楽的な知識も不十分で、楽譜を見たとおりに音符を打ちこむならともかく、アレンジなんてとんでもないのではありませんか。そこを無理して自力でMIDIを打ちこんだりしたら、それこそ一週間かかったりしてしまいます。いや一週間で終わるなら御の字でしょう。

一方で、BIABの数千の演奏スタイルを一つずつ試聴するのは確かに大変ですが、難しいことは何一つありません。ただひたすら面倒くさいだけです。面倒くさいのを数時間ほど我慢しさえすれば、一週間かかってもやり遂げることのできない仕事を完成させることができる。これは夢のような話ですよ。

何事もコツはあるもの

自分の求める演奏スタイルを探しだすのは、基本的には数千の演奏スタイルの総当たりです。といっても、そこは少しでも効率よくやりたいところです。私はいつも以下のような手順で自分の演奏スタイルを探しだしています。

  1. 条件で絞りこむ
  2. お気に入りに登録する
  3. お気に入りの中から決める

それぞれの手順について、後の記事で詳しく説明します。

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2012年11月01日

BIABの1小節に4つのコードを入れる

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。C,Am,Dm,G7などとコードを入力し、「ビートルズのイエスタディ風」などと伴奏スタイルを指定すると、ギターやピアノを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

小節にコードを入力するのはBIABで最も重要な操作です。
もちろんそのへんは直感的に使えるように設計されています。小節のセル(四角)を選んでAm,G7などとキー入力するだけ。1小節に2つのコードをほいほい入力することができます。もっともBIABとしては、1小節に最大4つまでコードを入力することができる仕様になっています。

1小節に4つのコードを入力する手順は以下のとおりりです。

  1. 小節のセルを選択する
  2. マウスの右ボタンを押す→右ボタンメニューが表示される
  3. 右ボタンメニューの「現行コードの設定」を選択する→ダイアログが表示される
  4. ダイアログいちばん左上「拍位置」のラジオボタンを選択して、1拍目,2拍目,3拍目,4拍目のコードを入力する

ふつうは1小節に4つもコードを詰めこむことはないでしょう、私はやったことがありません。フレーズの最後でベースを半音刻みにダンダンダンダンと歩かせるときとかに使うのかな。

Windowsで迷ったら右ボタン

BIABに限らずWindowsのすべてのアプリは、その場でできる操作は右ボタンメニューに用意されています。小節に対して何かしようと思ったら小節のセルを選んで右ボタン、音符をどうにかしようと思ったら音符を指して右ボタン。

「Windowsで迷ったらとにかく右ボタン」です。
BIABの1小節に何個コードが入るか、とかいうよりずっとずっと重要な知識です。

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2012年10月02日

BIABはクラシックには不向き

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。C,Am,Dm,G7などとコードを入力し、「ビートルズのイエスタディ風」などと伴奏スタイルを指定すると、ギターやピアノを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

クラシックはやめておけ

お客さんから、クラシック音楽をBIABで演奏するにはどうすればよいか、という質問をいただいてまして。一言で言うとクラシック音楽はBIABには不向きです。それは、数千種類と用意されたBIAB自慢の伴奏スタイルを眺めれば一目瞭然です。BAIBが得意とする演奏は、まずはジャズとカントリーで、次にロックやラテンです。反対にクラシック音楽や民族音楽の伴奏スタイルは数えるほどしかありません。

クラシック音楽をBIABで演奏させるには?と問われれば、まずは諦めなさいと勧めます。BIABが得意とする音楽ジャンルの中にも、あなたが手がけてみたいと思う曲はあるでしょう。そちらを選択するのが無難です。どうしてもクラシック音楽をやりたいというなら、そうですねえ……

使えそうな演奏をかき集める

正攻法でいくなら、BIABにはクラシック系の伴奏スタイルが足りませんから、他の伴奏スタイルでもいいから、とにかく使えそうな演奏パートをかき集めます。バイオリンやチェロのフレーズには、エレキベースの演奏が意外にそれっぽかったりしますよ。そうやって、使えそうな演奏パートを片っ端からMIDIファイルに書きだして、DAWで切り貼りしアレンジ・ミックスダウン★1 します。主要なメロディーや印象的なフレーズは……どうしても自分の手で打ち込むことになるでしょう。

他人のMIDIファイルを流用する

クラシック音楽は著作権フリーなので、ネットを探せば誰かがMIDIファイルを公開していたりします。いっそそれを流用してみては?コード進行を逆算するにしても、音声ファイルよりはMIDIファイルを解析させる方がずっと高精度ですし。主要なメロディーや印象的なフレーズはそのまま使えるでしょう。

別のスタイルにアレンジする

可能なら無理せずBIABが得意とする分野に持ちこむのがいいです。
エレキベースとドラムを追加し、チェロとバイオリンをシンセサイザに取りかえてクラシック・ロック風にアレンジします。あるいはタブラや三味線などを加えて民族音楽風にアレンジします。バグパイプやクルムホルンを使って中世古楽風のアレンジ……をと見せかけて実は中世ロック、という味つけも今風でしょう。

映画音楽やアニメやゲームのBGMだと、クラシック音楽を装っていても、よく聞くと意外にロッキンしていたりします。こういうのは素直にアレンジできることが多いです。

★1 DAWでアレンジ・ミックスダウン
暗黙の話として、私は最終的にDAWでアレンジ・ミックスダウンすることを前提に説明しています。私が使っているDAWはSONAR 8.5 Producerです。BIABの仕事はというと、自動演奏した結果をMIDIファイルに出力するところまでです。音楽作品を完成させるのはDAWでの仕事です。

BIABの最新バージョンでは独自のDAWも付属していますが、まったくお話になりません。餅屋は餅屋、BIABの神髄は自動演奏です。使えないオマケをつける暇があったら、弱点であるクラシック系や民族音楽系の伴奏スタイルをもっともっと充実さするべきです。仮にそういうスタイルを集めて別売したとしても、私なら喜んでお金を出しますよ。

この件は「他人の意見をあまり真に受けてはいけない」というよい例です。
ウェブで「BIABのDAWをもっと強化してほしい」みたいな意見を見かけますが。BIABを本当に使いこなせていない門外漢の的外れな意見です。そもそも現代のマーケティングの常識として、「何でもできる」「誰でも使える」式の没個性な製品は、もはや売れません。製品は一芸に秀でていること、尖っていること。他の製品と取りかえがきかないことが重要です。

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2012年09月19日

BIABのオーディオコードウィザードのヒント 7

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

小節の区切りはチョー重要

ACWは小節毎にコードを解析します。ですから小節の区切りがいい加減だと、隣りあった小節のコードが混ざりあってしまって正しく解析できません。小節を正確に区切ることは、ACWを利用する上での最重要事項だと言えます。

一応ACWも努力します。「第一小節の先頭」と「曲のテンポ」を基に小節を自動的に区切ります。が、まったく使い物になりません。これはすべてACWが悪いというわけでもない。人間の演奏はメトロノームのように正確ではありませんし、曲の演出として一部をわざとゆっくり演奏したりしますから、全体のテンポを単純に割り算するような荒っぽいやり方では、曲の小節を区切ることはできないのです。

始めの方から順に少しずつ

曲の小節を正確に区切るのは人間にしかできない作業です。区切り線をマウスで前後に動かして正しくなるように修正します。一つ一つ手作業で修正します。最悪、全部の区切り線を修正する羽目になることを覚悟してください。ってけっこう大きな曲で300小節くらいあるんですけど?はい、300カ所の区切り線を修正してください。

区切りのずれは後になるほどひどくなっていきますから、曲の始めから一つずつ順々に修正していきます。「最悪、全部の区切り線を修正することになる」と言いましたが、実際にそこまでひどいことも滅多にないです。区切り線がずれた?ように見えても、次の区切り線が再び正しい位置を指すなら見逃します。どこまで行っても区切り線がずれっぱなし、それどころかだんだんひどくなってる!と分かったら修正します。そこから前に遡って、まだあまり区切り線のずれていないあたりから修正します。そこを修正すると、後ろはぴたっと合うことが多いです。またずっと曲を見ていって、区切り線がずれっぱなしで正しい位置を指す気配がなくなったら、また前に遡って修正します。

これは大変な作業です。ACWを使う上でいちばん面倒くさい作業です。
自分の耳でコードをコピーする方が早いか、それとも全部の区切り線を手作業で修正する方が早いか……ここがACWを利用する/しないの分岐点になるでしょう。こんなでも、私の場合はACWを利用する方がまだ効率よいのですよ……

イレギュラーな箇所は慎重に対処

曲の演出として一部をわざとゆっくり演奏することがあります。(リタルダンドでしたっけ?)そこは踏みはずさないように、思いきって小節の長さを大きく取ります。

サビの前の一小節だけ一拍多く数える、といったトリッキーな曲もあります。この場合はその小節を二つに分解したり拍数を変えたりします。これはさすがにACWのマニュアルにやり方が詳しく説明されていますから、そちらを今一度ご確認ください。

忘れてならないことは「小節のテンポが違う、小節の拍数が違う、といった情報はBIABには伝わらない」ということです。BIABはどんな小節も同じく扱います。ですからそのようなイレギュラーな箇所は、絶対に忘れないように紙にメモして残しておく必要があります。そして後でBIABで、手作業で指定していきます。「この小節はテンポをチェンジ」「この小節は1拍マイナス」みたいに。

私の場合は最終的に、BIABに出力させたMIDIファイルをSONARに持ってきてアレンジ・ミックスダウンします。ですからいっそSONARでMIDIデータを切り貼りし、テンポ変更することもよくします。要は作品として完成すればいいので。

とにかくACWを使うときは紙と鉛筆を用意しておいてください。必ず使いますよ。

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