-- 倍音楽器(1) --

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2012年07月27日

倍音楽器、メロディーパイプ

あああれかの蛇腹パイプです。知ってるけれどいざ入手しようとするとなかなか難しかったりたまに百円ショップで売ってたり、身近なんだかそうでないんだかの蛇腹パイプです。
正式名称は「メロディーパイプ」(中村理科)。

専用のパイプでなくても蛇腹状のホースなら基本的になんでもOKのようです。蛇腹ホースを掴んで振り回すと中の空気が遠心力で振り飛ばされ、掴んでいる端から空気を吸い込みます。このとき空気の流れが蛇腹のぎざぎざに引っかかって渦を巻き音が出る…らしいのですが渦を巻くとなぜ音が出るのかよく分からないらしい。
»こんな音

振り回す速さによって空気の流速が変わり、音程が変わります。これも一種のオーバートーン・フルートですね、メロディーらしきものを奏でることもできます。

振り回しだすと意外にハマる蛇腹ホース、「蛇腹ホースを振り回す会」なるつっこみどころ満載な集団もあったりして、日本っていい国。
»メロディーパイプ
»蛇腹ホースを振り回す会

こういうアホな楽器も世界楽器てみる屋で販売すると楽しいかなと思いましたが、諸事情により断念しました。

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倍音楽器、ダンバウ

一つの音しか出ない楽器でも、音の中に含まれる倍音を強調してやればさまざまな音程を出すことができます。ダンバウは倍音を使ってメロディーを奏でる非常に珍しい弦楽器です。

»こんな音

昔は盲人の芸に用いられたという、ベトナムの弦楽器ダンバウの構造は非常に単純です。細長い筐体の端に立てた竿と、竿と筐体の間に長く張った一本の弦、これだけ。一見まともに曲を弾けるとは思えません、どうするのでしょうか。

ダンバウの演奏法は非常に独特で、ハーモニクスを使います。ハーモニクス?例えばギターの弦の、長さのちょうど真ん中を指で押さえて弾くとオクターブ高い音つまり倍音が響きます。同じ要領でダンバウの弦を小指で押さえながら竹のピックで弾くと、ピューンと長く伸びる高い音がします。きれいに鳴るのはハーモニクスポイントを正確に押さえたときのみで、少しでも外すとまったく鳴りません。シビアなコントロールを要求されます。

ハーモニクスポイントは2等分の他に3、4、5、6、8等分の位置に存在して、それぞれ高さの異なる「ド」「ミ」「ソ」の音が出ます。といってもドミソだけじゃ曲は弾けません、他の音はどうするのか。左手で竿を操り弦を張ったり緩めたりして出します。実際、竿の操作と弦の押さえによってダンバウはすべての音程を奏でることができます。

ギターならハーモニクスとチョーキングだけで一曲弾くようなもの、そう言えばこの楽器のユニークさが伝わりますか。
»ダンバウについて

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倍音楽器、ラッパ 7

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

バルブを取りつけてみた

オーケストラの花形トランペットも昔は一本の管をくるっと巻いただけの簡単な楽器でした。一つのトランペットではすべての音程を出せないため、バロック時代には全長の異なる四種類のトランペットを手元に置いて、曲に合わせて取っかえ引っかえ演奏していました

トランペットが現在の形になったのは19世紀初期です。西洋の高度な冶金技術を注いで成型された複雑な外観は、楽器というよりむしろ内燃機関のような印象を見る人に与えます。

発明の要は本体中心に据えられた三本のバルブです。バルブを指で押さえることによって管の長さを切りかえ、倍音の並びを切りかえます。図はその仕組みをわかりやすく説明したもの。バルブの搭載により、トランペットは素速いフレーズを自由自在に演奏することができるようになりました。

»こんな音
»トランペットについて(日本語)

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倍音楽器、ラッパ 6

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

ぱっと思いつくのは管が本当に伸びたり縮んだりすればよいというアイデアでしょう。たとえば掃除機のパイプのように太さの違う管をつないで引きだしたり押しこんだりすれば、全体の長さを変えることができます。

いろいろなトロンボーン

トロンボーンは管をスライドさせて長さを変え、倍音の並びを切り替えるラッパです。前回に一般的なトロンボーンを紹介しましたが、下の写真は形のバリエーション。

…なんだか動物の内臓みたい、うぇっ。

»トロンボーンのバリエーション(英文)
»トロンボーンのバリエーション2(英文)

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倍音楽器、ラッパ 5

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

伸ばしたりちぢめたり

ぱっと思いつくのは管が本当に伸びたり縮んだりすればよいというアイデアでしょう。たとえば掃除機のパイプのように太さの違う管をつないで引きだしたり押しこんだりすれば、全体の長さを変えることができます。

図はスライド式を採用したラッパ、トロンボーンです。管をスライドさせて長さを変え、倍音の並びを切り替えます。連続的に長さを変えられるため音程をなめらかに変化させることができます。これは他のラッパにない特長です。
»こんな音

尚、管の長さがそのまま音程でないことに注意。たとえばドとソの音は同じ長さで出します。

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倍音楽器、マウスボウ 2

マウスボウは1万5千年前の昔から存在する原始的な弦楽器です。ピアノ、ギター、サックスなど最新の楽器が流通している先進国では忘れられた楽器ですが、中にはその魅力にとりつかれて日々改造を重ねる人もいたりします。私は4,5年前から彼に注目していましたが、最近、確認してみたらすごい変貌をとげていました。

湾曲のないまっすぐな竿に弦を張り、マウスボウの要、弦と唇の接点には細い振動板を取り付けています。この仕組みは当初から口琴を意識していたことが彼のサイトを見るとよく分かります。
»マウスボウ改良型(英文)

演奏は、棒で弦を叩く伝統的なスタイルの他、右手の指で弦を弾きながら左手の指で弦を押さえるスタイルも可能です。
»伝統的な演奏
»新しい演奏(RealPlayer 2.6MB) »サイト

もう立派な弦楽器ですね。ステージ映えもなかなかです。
右手をよく見るとギターとは逆で指の背で弦を弾いています、中国の琵琶みたい。

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倍音楽器、マウスボウ 1

マウスボウは世界中に分布する原始的な弦楽器です。起源は大変古く、フランスの洞窟に描かれた1万5千年前の壁画の時代までさかのぼります。外観は狩猟用の弓そっくり、というか最初は狩猟用の弓を鳴らしていたのではないかと考えられています。(逆に、太古の弓は楽器だったという説があります。楽器が先で、後になって狩猟に使うようになったとか。)

図はUSAのアパラチアン・マウスボウ。平たい板状の弓にギターの糸巻きを採用して少しは楽器っぽい体裁をしています。複数の弦を張ったタイプもあるようです。

マウスボウは弓あるいは弦の端に唇を寄せて、箸のような棒で弦を叩いて演奏します。

»こんな音

口琴と同じように口の中をいろいろ動かして音色を変えたり、弓を曲げて不安定ながら音程を変えることもできます。
»アパラチアン・マウスボウ(英文)

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2011年10月26日

北海道のムックリ

ムックリという、竹の板で出来たボールペンほどの長さの小さな楽器です。
れっきとした和楽器なのですが、北海道限定なので、知らない人は多いかもです。一方で「そういえば北海道を旅行したとき見た!」という人も多いかも。北海道のたいていの観光名所で土産物として売っています。

それにしてもこの形、言われなければ楽器とは思わないでしょう。
楽器と言われても、いったいどうやって鳴らすものか。そしてどんな音が出るのか、皆目見当もつきません。北海道で売られているお土産用のムックリには、簡単な説明書が付いてきますが…それを読んだだけで鳴らせた人なんて、どれだけいることか。紐を勢いよく引いてビンビン鳴らし、唇に当てて口の中に響かせて鳴らすのですが。持ち方や紐の弾き方に細かいコツがあるので、大きな音で鳴らせるようになるには練習が必要です。
» 北海道のムックリを弾いてみました

ムックリの音は、およそ他の和楽器のどれとも似ていない奇妙な音です。
太鼓や鐘のようなリズム楽器でもないし、笛やお琴のようなメロディー楽器でもない。強いて言いうなら”音色楽器”とでも言いましょうか。ベンベンとひたすら無頓着にムックリを弾きながら、音色だけが様々に移り変わっていきます。

唇に当てたムックリを鳴らしながら口の中をモグモグしたりいろいろすると、音色が激しく変化します。上の試聴サンプルの前半は、ムックリに息を吹きつけたり鼻や耳に響かせています。中盤のガガガガ…というのは、息を止めて喉の奥に響かせた音です。最後のフヨヨヨヨ…という音は、舌先あたりに響かせています。

それはそうと、この記事を書いていてふとネットを調べてみたら、全国で手広くムックリを通販しているお店って、コイズミ楽器くらいなのですね。さすがコイズミ楽器!と感服するとともに、これほど日本の伝統楽器が顧みられていないことにも驚きました。ベトナムの鼻笛よりも人気ないです。ふつうの日本人にとって、ムックリは珍しい楽器なのですね。
ならば、うちで売ろうかなと思いました。

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2010年01月30日

倍音楽器、クラッカモア

子供はケモノに近いので退屈するといろいろかじります。とりわけ文房具がかじられるのは、それだけ学校の授業が退屈だからでしょうか。鉛筆、教科書、下敷き、定規。小さくあけた唇に小さな定規を当てて指で叩くとカツカツと音がします。口の中をいろいろ動かすと音程が変わることにすぐ気づきます。上手になると曲が弾けそうです、あんまり夢中になってやっていると教壇からチョークが飛んできます。

クラッカモアは口琴の遠縁に当たる原始的な打楽器です。振動板を唇に添え、指でハンマーを叩いてリズムを刻みます。
»こんな音

楓から削りだして丁寧に仕上げた立派な楽器ですが…音は定規とあんまし変わんなかったり。
»クラッカモア(表示するといきなり音がするので注意!!)

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2009年12月10日

倍音楽器、クニィ

口琴はヒトの口を共鳴胴に使うユニークな楽器ですが、同様の楽器が他にもいくつかあります。

ネコの鳴き声のような弦楽器

写真はベトナム中部に伝わる一弦琴クニィです。
立てた竿に弦を一本張っただけの簡単な楽器です。二胡や馬頭琴のように弓で弾きますが、ユニークなのは弦の端から糸が伸びていて、その先によく振動する小さな板=マウスピースが付いていること。マウスピースを口の中に含んで糸電話のように糸をぴんと張って、弓を弾くと弦の振動がマウスピースに伝わり口の中で共鳴します。

つまりクニィは口琴と同様、ヒトの口を共鳴胴に使う楽器なのです。
»こんな音

なお口琴のように倍音で音程を作りだすことまではできません。指で弦を押さえて音程を変えます。このへんはふつうの弦楽器と同じ。

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