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テクノパイプの演奏方法4

テクノパイプはスエーデン・フェイガーシュトロム社の電気バグパイプです。
バグパイプの装飾音について、アメイジング・グレイスを例に研究してみましょう。


» テクノパイプの演奏(原音にディレイなどエフェクトをかけた)

バグパイプの装飾音は、やることは音を区切るのと同じだと説明しました。つまり、指を素速く動かして指穴を開閉します。「ならば具体的にどんなときにどんなふうに?」という話になると、くどくどした説明を聞くよりもいっそ、本物の演奏を聴きながら真似をするのがいちばん間違いありません。スコットランドのバグパイプで定番の曲 『アメイジング・グレイス』 を聞きながら、装飾音を研究してみましょう。

メロディーをドレミで書いてみる

実際にCDやYouTubeの演奏を聴きながら、メロディーを書き写します。アメイジング・グレイスは簡単な曲ですから、本格的な楽譜を書くまでもない。ドレミで書けばいいです。ドレミで書いたアメイジング・グレイスのメロディーはこんな感じです。
» 本場のバグパイプ演奏 『Amazing Grace』

試しに Universal Piper で装飾音など何も入れずにメロディーだけ演奏してみました。音と音が繋がってしまって、なんとも出来の悪い印象です。
» 私の演奏(音の区切りも装飾音も一切なし)

最低限、音を区切る

曲が曲として聞こえるように、最低限、音を区切る必要があります。「ドドー」のように、同じ音が続く箇所にぜんぶ区切りを入れていきます。これは機械的な作業です。

試しにバグパイプで音を区切ってメロディーを演奏してみました。なるほど、今度はきちんとしたメロディーに聞こえます。
» 私の演奏(音の区切りだけ入れてみた)

鳴りだしたら止まらないバグパイプは、指を素速く動かして音を区切る必要があります。音を区切ることさえ出来れば、最低限OKです。きちんとメロディーに聞こえます。とにかくバグパイプを演奏したい、というだけなら、このレベルで十分に楽しめます。

装飾音を入れる

音を区切ることさえできれば、最低限、バグパイプを演奏できたことになりますが。もっとバグパイプらしい個性でもって演奏したいなら、更に装飾音を入れる必要があります。ってもやることは音を区切るのと同じですけど。

注意深くCDやYouTubeの演奏を聴きながら、音を区切る箇所でもないのに素速く指を動かしている箇所に印を付けていきます。そこが装飾音です。どうでしょう、分かりますか。

特に印象的なのは、「ドーラーソー」「レードー」のようにフレーズが下がって終わる箇所で、1音~数音下の音から始めて大げさにずりあげる動きです。これはスコットランドのバグパイプの癖なのでしょうか。それともアメイジング・グレイスを演奏するときの慣例でしょうか。それとも単なる演奏者の癖でしょうか。判断つきかねますが、ひとまずはそっくりに真似をして覚えます。試しに装飾音を入れて演奏してみました。スコットランドっぽく聞こえますか?
» 私の演奏(音の区切りも装飾音もぜんぶ入れてみた)

民族音楽の修得は聞くのが基本

それにしても、バグパイプの装飾音を入れる箇所は、いったいどのようなルールで決めているのでしょうか?アメイジング・グレイスを分析しただけではよく分かりませんが、スコットランドのいろんなバグパイプの曲をたくさん分析するうち、こんなメロディーならこのへんに装飾音を入れるよね、みたいなルールが何となく分かってきます。っても数学の公式ではありませんから、どこまでがんばっても「何となく」というレベルでしょうけれど。でもむこう人も同じです。親や先輩の演奏を見よう見まねして「何となく」を理解するのです。

バグパイプの装飾音は、国や文化によって違います。スコットランドとお隣のアイルランドで既に微妙にルールが違いますし、スペインのバグパイプも独自のルールを持っています。他の国も同様です。ですから「私はスコットランドのバグパイプが演奏できる=私は世界中のバグパイプが演奏できる」なんて奢らないこと。その国毎の先人の演奏をよく聴いて、それぞれの「何となく」のルールを研究するべきです。

私に関しては、バグパイプの装飾音はめちゃくちゃですよ。だから私は、どこの国のバグパイプを習得しました、なんて絶対に胸を張れない。私がテクノパイプやレッドパイプのメタルなど、どこの国のでもない怪しげなバグパイプばかり好んで演奏する理由でもあります。

テクノパイプの演奏方法についての説明は以上です。
テクノパイプはイヤホンを差せばすぐに演奏できます。特に分かりにくいというところがありません。本物のバグパイプだと、組み立て方・分解の仕方、ピッチの合わせ方、メンテナンス方法、などまだまだたくさん説明しないといけませんけど。それはまたいつか別の機会に。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

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コメント

特にアイルランドあたりでは、楽しければ何でもありな感じがにじみ出てて楽しいです。

アイリッシュ音楽で使用される楽器はどれも外来の楽器であって、土着の民族楽器はほとんど見当たりません。ボーランという大きなタンバリンのような太鼓が唯一ではないでしょうか。

たくさんの季節労働者たちが出稼ぎのために英国をはじめとするヨーロッパ各地に散って、また戻ってくる。このときに現地で入手した面白げな楽器を自国に持ちこんだに違いありません。そしてみんなでああでもないこうでもないと昔ながらの民謡をセッションするうち、今のアイリッシュ音楽の形ができあがった。私はそんなふうに憶測しています。

最近ではオーストラリアのディジュリドゥも使うとか。アイリッシュ音楽はドローンが有効ですから、ディジュリドゥも根付くでしょうね。50年後には、ディジュリドゥはアイリッシュ音楽のベース担当楽器として不動の地位を獲得しているかもですよ。

黒海西側のバルカン半島もよく似た状況です。あそこはヨーロッパとアジアの両方の楽器が集まるので、半端なくすごいことになってます。音楽のジャンルでいえば、ロマとかクレズマとか。

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