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心の赴くままに演奏すると、どうなるか?

インディアンフルートは北米インディアンの笛です。
吹けばすぐ鳴る構造で、適当に指を動かしてもなんとなく曲になって聞こえてくれます。いきなり手に取って初めて吹いてもそれなりに様になるという、音楽や楽器に疎い初心者にはうれしい楽器です。

――難しい理論や堅苦しい作法などひとまずおいて、
心の赴くままに吹いてみてください。
出てきた音があなただけの音です――

世界中のお店やワークショップで、インディアンフルートをこのように紹介します。
てみる屋でも、そのような看板を掲げてインディアンフルートを販売しています。これに関しては何一つ嘘はありません。が…なんとなくやましい気持ちもします。

日本の心は演歌です

日本に生まれてみそ汁を食べて育ち、四六時中ラジオやTVのJ-popに慣れ親しんできた私たち日本人が、心の赴くままにインディアンフルートを演奏するとどうなるでしょうか…演歌になります。そりゃそうでしょう、ここで「思わずラプランドのヨイクを吹いちゃった」★1 という人がいれば、真剣にリインカーネーションの実在を検証した方がいいです。

「練習なしに心の赴くまま吹いても楽しめますよ。」という勧誘には「そのかわり出てきた音がなんであれそれを良しとしてくださいね。」という但し書きが続きます。これがおそらく今まで誰も言わなかったことです。私も言いませんよ、インディアンフルートを売りこむのに都合が悪いから。言っちゃったけど。

日本人がほんもののインディアンのように吹くのは不自然なこと

とはいえ実際にお客さんの多くが、心から好きなようにインディアンフルートを吹いて楽しんでいます。それはまったくOKな話★2 ですし、ですから「いきなり手に取って初めて吹いてもそれなりに楽しめる」という言葉は、嘘ではありません。こういう人たちこそ、揶揄でなくほんとうに幸せな人たちなのだろうと思います。

しかし「私はほんもののインディアンのように吹きたい。赤い岩砂漠の乾いた風や、巨木の森のひんやりとした空気を感じさせるような音色を奏でたい。」と望んだとき、事情が変わってきます。日本人がほんもののインディアンのようにインディアンフルートを吹くということは、考えてみれば、実に不自然なことなのです。不自然なことをするのに自然体ではいられない、不自然な努力が必要になります。つまり…やっぱりそういう結論になりますけど、練習が必要です。

練習の本質は理想に近づく過程

練習は、理想と現実のギャップを埋めていく過程です。インディアンフルートでいえば「インディアンフルートの音ってこうだよね」という自分なりの理想があって、それに自分の実際の演奏を近づける努力をする、ということです。それにはなによりも第一に、自分なりの理想を決めることが必要です。決めなければ道に迷います、何処にもたどり着きません。いろんな演奏者のいろんな演奏を聴いて「この人のこの曲のように吹けたら本望だ」というのを、まず決める必要があります。

「自分なりの理想のインディアンフルート演奏を決める」というのは、自分にしかできないことです。お金を積めば、月謝を払えば、あとはエラい人が何とかしてくれる…といった類の話はありません。どんなに有名な演奏家や講師であっても、あなたにあなた自身の理想を教えることはできません。それは、あなたが自分の耳でたくさんの演奏を聴いて、あなたが自分で決めることです。(一体全体、あなたは自分の個性を他人から教えてもらうつもりですかね?)

このような立場において、インディアンフルート演奏の奥義は、

「インディアンフルートを持ってインディアンフルートの真似をして吹くこと」

この一文に尽きます。
私がどんなふうにインディアンフルートを吹くかについては 専門サイト にまとめました。っても上で述べているように、私のインディアンフルートの吹き方も、結局、私個人が理想とするインディアンフルートの吹き方でしかありません。「簾さんの吹き方も悪くない」というのであれば、そのまま丸ごと覚えてみるのも一案ですし。気に入らないなら話半分に聞きかじるのが上策です。

★1 思わずヨイクを吹いちゃった
もちろん過去に一度でもヨイクを聞いたことがあるなら、その限りではありません。
» ちなみにヨイクってこんなの。

★2 好きに吹いてまったくOK
伝説によれば、インディアンフルートの開祖はただの猟師です。彼の本業は森の鳥や獣を狩ることで、笛に関してはまったく素人でした(だって、それまでインディアンフルートはこの世に存在しなかった、という設定ですから)。素人の彼が、誰から教わることもなくああでもないこうでもないと笛を吹いて、ついに念願の娘と結ばれた…伝説はそのように締めくくります。

重要なのは、インディアンフルートはプロ演奏家やプロ講師のための楽器ではなく、音楽ド素人のための楽器であるということ。演奏方法は誰かに習うものでなく自分で見つけだすものであるということ。そしてそのように縁起として語り継がれているということです。

それに照らせば、好きに演歌を吹いて楽しんでいるお客さんの方が、私よりもよっぽど正しくインディアンフルートと向きあっているとさえ言える。

ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』

楽器があればもっと楽しい毎日
» インディアンフルートの販売は世界楽器てみる屋 ―日本に通じる音色―

2012年07月28日

バグパイプのバッグの寿命について

歌の本です。
バグパイプのバッグは何年に一度ぐらい取り替えれば
よいのでしょうか。本革か合成バッグかによって
違いはあるのでしょうか?
レッドパイプのような電子バグパイプでも革バッグに
ついては日本の修理業者様が修理してくれる可能性は
ありますか?やはりドイツ行きなんでしょうか?
小さな穴があいたぐらいなら自力で修理したいと
思うのですが。やり方がわからないですが、やり方が
わかって自分の手におえるようならやってみたい。
質問ばかりで申し訳ないですがよろしくお願いします。

楽器があればもっと楽しい毎日
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8月のディジュリドゥ吹こう会

暑中お見舞い申し上げます。
梅雨も明け、暑い夏がやってきました。
ロンドンオリンピックも開幕し、応援の日々となりそうです。

さて8月のディジュリドゥ吹こう会のお知らせです。
みんなで集まって演奏しましょう!

8月は第3週目の月曜日となっていますので、日にちを間違えないようご注意くださ
い。

●8月の福岡ディジュリドゥ吹こう会
日時 8/20(月)18:00〜21:00
場所 福岡市南市民センター音楽室(南区塩原2丁目8-2)
参加費 施設使用料1,700円を参加人数で割ります。

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2012年07月27日

倍音楽器、メロディーパイプ

あああれかの蛇腹パイプです。知ってるけれどいざ入手しようとするとなかなか難しかったりたまに百円ショップで売ってたり、身近なんだかそうでないんだかの蛇腹パイプです。
正式名称は「メロディーパイプ」(中村理科)。

専用のパイプでなくても蛇腹状のホースなら基本的になんでもOKのようです。蛇腹ホースを掴んで振り回すと中の空気が遠心力で振り飛ばされ、掴んでいる端から空気を吸い込みます。このとき空気の流れが蛇腹のぎざぎざに引っかかって渦を巻き音が出る…らしいのですが渦を巻くとなぜ音が出るのかよく分からないらしい。
»こんな音

振り回す速さによって空気の流速が変わり、音程が変わります。これも一種のオーバートーン・フルートですね、メロディーらしきものを奏でることもできます。

振り回しだすと意外にハマる蛇腹ホース、「蛇腹ホースを振り回す会」なるつっこみどころ満載な集団もあったりして、日本っていい国。
»メロディーパイプ
»蛇腹ホースを振り回す会

こういうアホな楽器も世界楽器てみる屋で販売すると楽しいかなと思いましたが、諸事情により断念しました。

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倍音楽器、ダンバウ

一つの音しか出ない楽器でも、音の中に含まれる倍音を強調してやればさまざまな音程を出すことができます。ダンバウは倍音を使ってメロディーを奏でる非常に珍しい弦楽器です。

»こんな音

昔は盲人の芸に用いられたという、ベトナムの弦楽器ダンバウの構造は非常に単純です。細長い筐体の端に立てた竿と、竿と筐体の間に長く張った一本の弦、これだけ。一見まともに曲を弾けるとは思えません、どうするのでしょうか。

ダンバウの演奏法は非常に独特で、ハーモニクスを使います。ハーモニクス?例えばギターの弦の、長さのちょうど真ん中を指で押さえて弾くとオクターブ高い音つまり倍音が響きます。同じ要領でダンバウの弦を小指で押さえながら竹のピックで弾くと、ピューンと長く伸びる高い音がします。きれいに鳴るのはハーモニクスポイントを正確に押さえたときのみで、少しでも外すとまったく鳴りません。シビアなコントロールを要求されます。

ハーモニクスポイントは2等分の他に3、4、5、6、8等分の位置に存在して、それぞれ高さの異なる「ド」「ミ」「ソ」の音が出ます。といってもドミソだけじゃ曲は弾けません、他の音はどうするのか。左手で竿を操り弦を張ったり緩めたりして出します。実際、竿の操作と弦の押さえによってダンバウはすべての音程を奏でることができます。

ギターならハーモニクスとチョーキングだけで一曲弾くようなもの、そう言えばこの楽器のユニークさが伝わりますか。
»ダンバウについて

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倍音楽器、ラッパ 7

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

バルブを取りつけてみた

オーケストラの花形トランペットも昔は一本の管をくるっと巻いただけの簡単な楽器でした。一つのトランペットではすべての音程を出せないため、バロック時代には全長の異なる四種類のトランペットを手元に置いて、曲に合わせて取っかえ引っかえ演奏していました

トランペットが現在の形になったのは19世紀初期です。西洋の高度な冶金技術を注いで成型された複雑な外観は、楽器というよりむしろ内燃機関のような印象を見る人に与えます。

発明の要は本体中心に据えられた三本のバルブです。バルブを指で押さえることによって管の長さを切りかえ、倍音の並びを切りかえます。図はその仕組みをわかりやすく説明したもの。バルブの搭載により、トランペットは素速いフレーズを自由自在に演奏することができるようになりました。

»こんな音
»トランペットについて(日本語)

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倍音楽器、ラッパ 6

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

ぱっと思いつくのは管が本当に伸びたり縮んだりすればよいというアイデアでしょう。たとえば掃除機のパイプのように太さの違う管をつないで引きだしたり押しこんだりすれば、全体の長さを変えることができます。

いろいろなトロンボーン

トロンボーンは管をスライドさせて長さを変え、倍音の並びを切り替えるラッパです。前回に一般的なトロンボーンを紹介しましたが、下の写真は形のバリエーション。

…なんだか動物の内臓みたい、うぇっ。

»トロンボーンのバリエーション(英文)
»トロンボーンのバリエーション2(英文)

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倍音楽器、ラッパ 5

倍音を強調して音程を出すラッパは、倍音に含まれない音程を出すことができません。ドレミファを不足なく演奏するために、なんとかして管の長さを変えて倍音の並びを変えてやる必要があります。

伸ばしたりちぢめたり

ぱっと思いつくのは管が本当に伸びたり縮んだりすればよいというアイデアでしょう。たとえば掃除機のパイプのように太さの違う管をつないで引きだしたり押しこんだりすれば、全体の長さを変えることができます。

図はスライド式を採用したラッパ、トロンボーンです。管をスライドさせて長さを変え、倍音の並びを切り替えます。連続的に長さを変えられるため音程をなめらかに変化させることができます。これは他のラッパにない特長です。
»こんな音

尚、管の長さがそのまま音程でないことに注意。たとえばドとソの音は同じ長さで出します。

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倍音楽器、マウスボウ 2

マウスボウは1万5千年前の昔から存在する原始的な弦楽器です。ピアノ、ギター、サックスなど最新の楽器が流通している先進国では忘れられた楽器ですが、中にはその魅力にとりつかれて日々改造を重ねる人もいたりします。私は4,5年前から彼に注目していましたが、最近、確認してみたらすごい変貌をとげていました。

湾曲のないまっすぐな竿に弦を張り、マウスボウの要、弦と唇の接点には細い振動板を取り付けています。この仕組みは当初から口琴を意識していたことが彼のサイトを見るとよく分かります。
»マウスボウ改良型(英文)

演奏は、棒で弦を叩く伝統的なスタイルの他、右手の指で弦を弾きながら左手の指で弦を押さえるスタイルも可能です。
»伝統的な演奏
»新しい演奏(RealPlayer 2.6MB) »サイト

もう立派な弦楽器ですね。ステージ映えもなかなかです。
右手をよく見るとギターとは逆で指の背で弦を弾いています、中国の琵琶みたい。

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倍音楽器、マウスボウ 1

マウスボウは世界中に分布する原始的な弦楽器です。起源は大変古く、フランスの洞窟に描かれた1万5千年前の壁画の時代までさかのぼります。外観は狩猟用の弓そっくり、というか最初は狩猟用の弓を鳴らしていたのではないかと考えられています。(逆に、太古の弓は楽器だったという説があります。楽器が先で、後になって狩猟に使うようになったとか。)

図はUSAのアパラチアン・マウスボウ。平たい板状の弓にギターの糸巻きを採用して少しは楽器っぽい体裁をしています。複数の弦を張ったタイプもあるようです。

マウスボウは弓あるいは弦の端に唇を寄せて、箸のような棒で弦を叩いて演奏します。

»こんな音

口琴と同じように口の中をいろいろ動かして音色を変えたり、弓を曲げて不安定ながら音程を変えることもできます。
»アパラチアン・マウスボウ(英文)

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