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2012年09月28日

スペクトラムアナライザ

ソニーのモニタリング用ヘッドホンMDR-CD900STが音を耳でチェックする要なら、スペクトラムアナライザは音を目で見てチェックする要です。スペクトラムアナライザは、今の瞬間に鳴っている音を、低音から高音まで折れ線グラフに表します。ラジカセやカーコンポの前面パネルでぴょこぴょこ踊っているLEDメータ、あれをチョー精密にしたものと思えばいいです。
自分の音楽作品をスペクトラムアナライザで見るといろいろ分かります。

突出したピークはNG

とにかく、ある特定の周波数の音が槍のようにつんと突出するのはNG★ です。その大きすぎる音が他の音をマスキングします。低音ならボワボワ曇って全体が聞きとれなくなります。高音ならキンキンと耳が痛くなります。

また特定の周波数に突出したピークのある音楽作品は、スピーカやヘッドホンが変わると極端に音が変わって聞こえたりします。自分の作業環境のスピーカやヘッドホンではきちんとバランスを整えたはずなのに、安物のイヤホンを使ったらキンキンして聞いてられない、という事故が発生します。つまり聞くお客さんによって不要に評価がばらついてしまいます。

音のバランスをとる目安に

聞いて心地よい音楽作品に仕上げるために、楽器毎の音のバランスをとることが重要です。一つの楽器だけ鳴らしながらスペクトラムアナライザを見ると、その楽器がどの範囲の周波数を占有するか分かります。「ピアノを隠さないように、ストリングスは1オクターブ高くしてみるか」「ピアノとギターが重なっている。お互い邪魔しないよう左右に振り分けてみるか」みたいな判断ができるでしょう。最終局面で「どうにもピアノの低音が耳に障る。イコライザでざっくり抑えるか」みたいな判断をすることもあります。

また音楽作品全体をスペクトラムアナライザで見て、特定の範囲が明らかに凹んでいる場合――特定の範囲の音が足りない場合は「その範囲を埋める音をシンセサイザーで鳴らしてみるか」みたいな判断ができるでしょう。実際、ポップスやロックなどたくさんの音を使うプロの音楽作品は、スペクトラムアナライザで見ると見事に低音から高音まで真っ平らになります。(一つの楽器でソロ演奏などの場合は不可抗力的に凸凹になりますよ、それは一つの楽器に因るので仕方ない。)

フリーウェアでもけっこうよい品が

スペクトラムアナライザはフリーウェアでもたくさん出回っています。
これは!というものをぜひ使ってみてください。私はVoxengoのSPANを使っています。これがベストというわけでもなくて、試しに使ってみたら悪くなかったという代物。念のためウェブサイトを確認したら…あ、バージョンアップしてる!ダウンロードしなくちゃ。
» スペクトラムアナライザのいろいろ

★ 特定の音が突出するのはNG
ということは例えばオカリナがメインの楽器だからといって、いくら音を大きくしてもよい、というわけではないのです。実際、あまりにオカリナの音を大きくすると、伴奏の音が聞こえにくくなり背後に下がったような印象になります。

しかし一般的な話として、録音した笛の音って聞こえにくいのですよ、倍音が少ないから。特にオカリナの音は純度が高いので聞こえにくいです。音量バランスを考慮すれば伴奏に埋もれてよく聞こえないし、きちんと聞こえるように調整すると今度は耳が痛くて我慢できない。痛し痒しの状況です。

笛を得意とする私としては、これはもう、音楽作品を製作しはじめた当初からの課題です。いまだにこれという解決法を見つけていません。

  • ある程度のピークが出来るのはやむなしとする
  • オカリナの基音を不自然にならない程度にイコライザで抑える
  • シンバルやタンバリンや鈴など瞬間的な音をオカリナと同程度の音量で鳴らす

などいくつかの方法を試して、それなりの効果はありましたが……
いろいろ分かったら記事にします。

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2012年09月24日

ウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナ

デュエットオカリナは二つの音が出るオカリナです。
一人で合奏ができます。「笛の音は一つ」という常識を覆す和音の響きは大インパクトでして、宴会やパーティの隠し芸に良し、コンサートステージでの掴みに重宝します。

世界楽器てみる屋では既に、ノース・カントリー・ワークショップ工房(NCW)のオカリナと、チャーリー・ハインド工房(CH)のオカリナを販売しています。で、新たな3番目のこれは、ニュージーランドのウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナです。

楽器らしい外観

「実は中世の古楽器です」と紹介されたら信じてしまいそうな格調高い外観です。特に演奏動画など楽器の全身がクローズアップされる状況では、観る人にアピールするでしょう。

左手側が高音で右手側が低音と、ふつうの笛の音の並びを踏襲しています。これはCHオカリナと同じ方式です。

左右の管は4度の音程――ドの音と下のソの音の音程にチューニングされています。これはNCWオカリナと同じ仕様です。ハモる、という目的には理想的な音程です。

大きなはきはきした音色です。例えばCHオカリナはそっと吹かないとすぐに音が割れてしまいます。初心者はもちろん、プロのオカリナ奏者でもうまく吹けなかったりすることがあります。それに対してこちらは少々荒っぽく吹いてもきちんと受けとめて鳴ってくれます。扱いやすいです。

左右とも片手だけで1オクターブ+1音の音域を演奏できます。左右を合わせた全体的な音域も、他の二つのオカリナよりも1音だけ広いです。これでこそ吹ける曲もあるので、それだけで重宝します。

お尻に刺さっている丸いパーツは、チューニング用の栓です。これを押しこむとピッチが高くなり、引きだすとピッチが低くなります。わずかでもチューニングできるというのは安心感があります。(そもそもチューニングできるオカリナが珍しいですね。)

コンサートピッチとは言い難い

他の二つのオカリナも含めた一般的な話として、4穴オカリナや6穴オカリナなど指穴の少ないオカリナでは、コンサートピッチは近似値でしかありません。このオカリナは特に、たった4つの指穴でドレミファソラシドレの9つの音を表現しますから、かなり無理があります。私の耳だとミの音が低いです。それと左右で同じ音(ユニゾン)を鳴らしたときに、ビリビリと音が割れるケースがあります。

だから曲を吹いていて左右で同じ音を鳴らすときは、片方だけ鳴らすなど工夫が必要です。また左右の管ができるだけきれいにハモるように、チューニング栓を調整する必要があります。場合によっては「この曲はこの和音を使わないから、この和音は捨てて他の和音が特にきれいに響くように」といった、きめ細かな対応が望まれます。

今、改めて吹いてみましたが。いい感じでハモってくれます。コンサートピッチの近似値も、冷静に判断してみたらNCWオカリナと同程度でしょう。となれば、格調高い外観、はっきりした音、わずか1音ながら広い音域、チューニング機構つき、と最高品質のデュエットオカリナですよこれ。私はだんぜん気に入りました。

興味のある方は今からでも予約を名乗り上げておくのが吉です。デュエットオカリナはひとたび人気が出るとあっというまに入手困難になります。そして、これは間違いなく人気が出ますよ。つか私が思いっきり宣伝しますから。私が演奏動画をネットに公開するまでが勝負です。

売ってもいいかなと

デュエットオカリナはどれも一癖二癖あるもので、このオカリナも一筋縄ではいかない感じですが。総合評価として、販売してもいいかなと私は考えています。左右のピッチを臨機応変にチューニングすれば、なんとかなるでしょう。なにより「1音だけでも音域が広い」というのはほんとうにありがたいですし。

今から工房と交渉します。上手くいけば、他のデュエットオカリナと同様の価格になるでしょう。この工房は他にもちょっと変わった笛をいろいろ製作しています。冬頃に世界楽器てみる屋の商品ラインナップがぽこぽこっと増えるかもです。
ウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナを販売開始しました。
» デュエットオカリナのウェブカタログはこちら

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2012年09月21日

重厚感を表現したい

すだれ様
ゆうすけと申します。初めての投稿ですが、長文になってしまいました。
わりとDTMの壁なので読んでみてください。

band-in-a-box18(megapack)をWINxp環境で使っています。
ある曲からコードが取れた(AWCでも耳コピからでも)ことを前提に質問させてください。
原曲をカバーするにあたって、原曲に似せたい場合と、全体の音の秩序は保ちながら、
オリジナリティーあふれる曲にしたいという2つの選択肢があると思います。

BIABはコード進行+スタイルでmidiファイルを出してくれますよね。
私は、BIABからファイルを出すとき、初めは原曲に近い雰囲気で出したいと
考えているのですが、なかなか多大なスタイルから一項ずつ試していっても
「なにかたりない。」「原曲より痩せて聞こえる」とか
自分の目的から聞くと、不一致が多く出ますね。

テレビドラマ「華麗なる一族・テーマソング」を例にすると、
http://www.youtube.com/watch?v=rQZxbtBw4Bg
なにより重厚な雰囲気で、使用されている楽器も多い、
随所にシンバルが入る、コーラス合唱が管楽器の演奏とシンクロして進行する

といった感じです。
コード進行が骨なら、音色で肉付けをして曲を作るイメージを持っていますが、
なかなか自分が思い描く原曲との肉付きには届きません。
この曲もかなり重厚感にあふれています。
http://www.youtube.com/watch?v=YtMfm2AejYE&feature=relmfu
(プレイしてたころは好きな曲で、
カバーしたものをついさっきyoutubeにアップしました。)

この場合、BIABのスタイル選択に問題があるのでしょうか?
あまりにもmidiのチャンネル数を増やすと、後で音が割れたりするので、
ミックスダウン用のDAWで各トラックの音量調整は必須項目です。

スタイルから取れたバッキングを後で楽器変更し、なんとなく似せようと
画策しているのであれば、
原曲に使われている楽器が何であるかわからないと無理でしょうか?

まず何より、上記で例に取った曲は「全体的に音が太い」感じを受けます。
BIAB上で、重厚さ・荘厳さを表現し、midiに反映することはできますか?
ミックスダウン用のDAWでの操作でしかできませんか?

お時間のあるときで構いません。回答でも、ご助言やヒントでも結構ですので、
お答えいただけると幸いです。

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何はなくともソニーのMDR-CD900ST

「オーディオ業界の標準」と称されるヘッドホンがあります。

MDR-CD900STというソニーの製品でして、自社のエンジニアのために開発した、という曰くつきのモニタリング用ヘッドホンです。

「実は低音域が若干足りない」など、アマゾンにコメントされてたりしますが、今さらそんな議論は無意味。オーディオ業界で働く人の大多数が「このヘッドホンで聞く音が標準だと認めた」という事実こそ重要です。

私も数作品ほど前からこのヘッドホン――MDR-CD900STを使って演奏動画を製作していて、確かな効果を実感しています。

業界標準の音に仕上がる

MDR-CD900STを使って製作した音楽作品は、いわば業界標準の音に仕上がります。
重大なメリットとして、どんなスピーカやイヤホンでもそれなりに聞ける音になります。

私の例を話しますと、
私の以前の音楽作品は、(ほんとうに何度も聞きなおして音のバランスをしっかり調整したのですが)安物のスピーカやイヤホンで再生すると、聞いていられないほど音が劣化しました。あるスピーカだと低音がモワモワになって、別のイヤホンだと高音がキンキンしました。プロの作品――CDの音ももちろん、安物のスピーカやイヤホンで聞けばみすぼらしい音になります。それでも耳からイヤホンを引きはがすほどひどくは歪まない。この違いはいったいなんなのか?なにが悪いのか?

これは私の数年来のミステリーでしたが、MDR-CD900STを使用するようになってから、すっぱりと症状が軽減しました。もちろん腕が悪ければ、どんなよい道具を使ったところで高はしれています。それでもMDR-CD900STを使うかぎり、どこまでも私の努力に見合った品質の作品を作れそうな手応えです。

リスニング環境も併用

”モニタリング用”とはつまり”監視用”という意味です。
MDR-CD900STはモニタリング用ヘッドホンです。MDR-CD900STは「音が良いか悪いか」「正しいか間違っているか」を聞きわけるのに適しています。

反面、「音が気持ちいいか不快か」を、今ひとつ感じとることができません。
私たちの最終目標は、お客さんが聞いて気持ちよく感じる音楽作品を製作することです。つまり音楽作品を製作するためには、モニタリング用のMDR-CD900STだけでは足りなくて、他にリスニング環境(鑑賞環境)が必要です。

理想は専用のリスニングルームを用意して、自分で「これ!」と認めたアンプスピーカを設置することですが。

私にはそんな場所も金もありません。リスニング用に別のヘッドホンを用意して使っています。私のリスニング用のヘッドホンはオーディオテクニカのATH-M50です。

もともとこれもモニタリング用途の製品でして、非常にフラットな周波数特性です。奥行き表現★ がなんとも気持ちいいので、「むしろリスニング用にお勧め」というアマゾンコメントを見かけます。

この”奥行き”というのが、MDR-CD900STではよく感じとれません。
そもそも音には、”奥行き”なんて物理的な情報は存在しません。音を聞いた人が(ギターは近くで鳴っている)(ドラムは遠くで鳴ってる)と感じる、大げさに言えば錯覚・幻想です。だから奥行きは、いくら耳をそばだててモニタリングしても聞こえない。リスニングしないと感じとれないのです。

感じて、聞いて、最後に感じる

現在の私は、作業の最初はATH-M50を使って、近い楽器の音(ギターやピアノ)と遠い楽器の音(ドラム)の位置を決めます。その後の作業はMDR-CD900STを使って、良い音・正しい音に仕上げることを心がけます。最後にまたATH-M50を使って、気持ちよい音に出来上がったかどうかを確認します。

★ 音の奥行き
ある音がどこで鳴っているか、というのを「定位置」と呼ぶらしいです。音の定位置は3つの要素――左右・距離(奥行き)・フォーカスで決まります。距離とは、例えば目の前に落ちたコインの音は近くに聞こえますし、雷の音は遠くに聞こえます。これは目隠しをしていても分かります。

私の場合、楽器の音の定位置をどのように決めるかは、音楽作品を製作する上できわめて重要です。音の定位置については、別の記事で詳しく説明します。

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2012年09月19日

ブログを開設しました

こんにちは、以前cresc.の名前で質問等をさせていただいた者です。
今後は千代紙このかと名乗らさせていただきます。

楽器が好きで好きで仕方がなく、このたびいつかやってみたいと考えていた民族楽器の情報をまとめるブログを

作成いたしました。
主に2chの民族楽器関係や同人音楽関係をまとめております。
民族楽器をやってみたい!でもマイナーだから情報が少ない...
そんな方たちのお役に立てればと思います。

もしよろしければ、相互リンクをお願いしてもよろしいでしょうか。

生まれて間もないまだまだ未熟なサイトですが、相互していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

サイト名 屋根裏部屋の音楽祭

URL: http://yaneurafolksong.blog.fc2.com/
RSS:http://yaneurafolksong.blog.fc2.com/?xml


また、この投稿をご覧になったみなさんもぜひ遊びにいらしてください。
こんな楽器を知ったんだけど右も左もわからない!などの声を寄せていただければ
喜んで編集させていただきます。



...正直、マイナーなのですぐにネタ切れしてしまうのですが、頑張ります。

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BIABのオーディオコードウィザードのヒント 7

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

小節の区切りはチョー重要

ACWは小節毎にコードを解析します。ですから小節の区切りがいい加減だと、隣りあった小節のコードが混ざりあってしまって正しく解析できません。小節を正確に区切ることは、ACWを利用する上での最重要事項だと言えます。

一応ACWも努力します。「第一小節の先頭」と「曲のテンポ」を基に小節を自動的に区切ります。が、まったく使い物になりません。これはすべてACWが悪いというわけでもない。人間の演奏はメトロノームのように正確ではありませんし、曲の演出として一部をわざとゆっくり演奏したりしますから、全体のテンポを単純に割り算するような荒っぽいやり方では、曲の小節を区切ることはできないのです。

始めの方から順に少しずつ

曲の小節を正確に区切るのは人間にしかできない作業です。区切り線をマウスで前後に動かして正しくなるように修正します。一つ一つ手作業で修正します。最悪、全部の区切り線を修正する羽目になることを覚悟してください。ってけっこう大きな曲で300小節くらいあるんですけど?はい、300カ所の区切り線を修正してください。

区切りのずれは後になるほどひどくなっていきますから、曲の始めから一つずつ順々に修正していきます。「最悪、全部の区切り線を修正することになる」と言いましたが、実際にそこまでひどいことも滅多にないです。区切り線がずれた?ように見えても、次の区切り線が再び正しい位置を指すなら見逃します。どこまで行っても区切り線がずれっぱなし、それどころかだんだんひどくなってる!と分かったら修正します。そこから前に遡って、まだあまり区切り線のずれていないあたりから修正します。そこを修正すると、後ろはぴたっと合うことが多いです。またずっと曲を見ていって、区切り線がずれっぱなしで正しい位置を指す気配がなくなったら、また前に遡って修正します。

これは大変な作業です。ACWを使う上でいちばん面倒くさい作業です。
自分の耳でコードをコピーする方が早いか、それとも全部の区切り線を手作業で修正する方が早いか……ここがACWを利用する/しないの分岐点になるでしょう。こんなでも、私の場合はACWを利用する方がまだ効率よいのですよ……

イレギュラーな箇所は慎重に対処

曲の演出として一部をわざとゆっくり演奏することがあります。(リタルダンドでしたっけ?)そこは踏みはずさないように、思いきって小節の長さを大きく取ります。

サビの前の一小節だけ一拍多く数える、といったトリッキーな曲もあります。この場合はその小節を二つに分解したり拍数を変えたりします。これはさすがにACWのマニュアルにやり方が詳しく説明されていますから、そちらを今一度ご確認ください。

忘れてならないことは「小節のテンポが違う、小節の拍数が違う、といった情報はBIABには伝わらない」ということです。BIABはどんな小節も同じく扱います。ですからそのようなイレギュラーな箇所は、絶対に忘れないように紙にメモして残しておく必要があります。そして後でBIABで、手作業で指定していきます。「この小節はテンポをチェンジ」「この小節は1拍マイナス」みたいに。

私の場合は最終的に、BIABに出力させたMIDIファイルをSONARに持ってきてアレンジ・ミックスダウンします。ですからいっそSONARでMIDIデータを切り貼りし、テンポ変更することもよくします。要は作品として完成すればいいので。

とにかくACWを使うときは紙と鉛筆を用意しておいてください。必ず使いますよ。

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”演奏に心はこもらない”の補足

私が書いた記事に関して、カナメさんがわざわざ彼女のブログにコメントを書いてくれました。

「楽器の演奏には心がこもると思う」という内容だと理解しました。
はい、そういうアンチな感想があって当然の記事だったと思ってます。私自身、むしろカナメさんの書いた内容の方が一般的な感覚からいって当たり前の常識だと分かってます。

そこを敢えてあのようなことを書いたのは、一つの理由は、みんながみんな異口同音にそっちサイドの話ばかりする。他の方向から見て話す人が誰もいないから、それではと私が他の人のしない話をしてみせた、というところです。

それともう一つの理由は、そっちサイドの話は、いくら聞いても役に立たないのですよ。気持ちのよい音色で笛を演奏するのに、なんの役にも立たないです。この”役に立たない”というのは、私にとって重要な判断基準です。

”演奏に心がこもる”という絶望

渡米して数年間、ネイティブアメリカンの集落で私は彼らと生活を共にした。電気もない泥だらけの日々。彼らと苦楽を共にする中で、私は彼らの考え方や生き方、とりわけネイティブアメリカンの世界観を深く学ぶことができたと思う。そして私の魂の旅の締めくくりとして、私は聖地セドナを巡礼した。穏やかなスピリッツに満ちた岩砂漠の地平に昇る鮮やかな朝日を見たとき、私の中の何かが変わったことを確かに感じた。私がほんとうの意味でインディアンフルートを吹けるようになったのは、この瞬間だったと思う。まさにこの瞬間、私は生まれ変わったのだった。

……いかにもインディアンフルートの演奏家や講師が語りそうな自分史です。ウェブサイトのプロフィールに掲げていたり、ワークショップすると冒頭でたいてい、このような経験談を聞かされます。どうでしょうか。ワークショップの冒頭でそんな話を聞かされたら、

私なら絶望します。

現地でネイティブアメリカンの世界観を学び、聖地セドナで心洗われる体験をしなければ彼のような素晴らしい演奏ができないなら、製鐵の町に生まれ、日々を乱雑に散らかった仕事部屋の机にしがみついて過ごし、日本語しか話せず、生まれて一度も日本の外へ出たことがない私では、彼のような素晴らしい演奏はきっと一生かかってもできないだろう……と、私なら絶望します。

それよりも「音は空気の振動にすぎない。プロの音もあなたの音も単なる空気の振動だ。もしプロの素晴らしい演奏とまったく同じように空気を振動させることができたなら――プロとまったく同じ息使いと指使いで演奏することができたなら、あなたもプロとまったく同じように聞く人を感動させることができるだろう。」と言われた方が、よっぽど希望が持てると思いませんか。

事実なので何度でも主張します。
確かに私は真剣に笛を演奏しますが、心をこめて演奏しているわけではありません★1 。一心不乱に正確に息を使い指を動かしているだけです。ここに私の心は無関係です、まったく完璧に技術の問題です。ロボットがプログラムに従って自動車を組みたてるのと同じこと。正しく息を使い、正しく指を動かしさえすれば、誰でも同じ演奏を再現できます。
と言われたら、「ロボットにでもできるなら、私にもできる……の?」という気になりませんか。

少しでも早く新人を独りだちさせる現場主義

工学は効率を第一に考えます。
私のいちばんの気がかりは、経験のない初心者をできるだけ短期間でいっぱしの演奏家★2 に仕立てあげることです。そのためならなんだってする。常識を否定するなんて最初から織りこみずみです。自分の心を否定することで少しでも早く初心者が上達するなら、ためらいもなく自分の心を否定します。

この一切の容赦ない姿勢が、他の分野の人――とりわけ純粋な音楽家や演奏家にとっては脅威に感じられるかもですが。どうしても理解する気になれないなら「赤い眼鏡をかけていると何でも赤く見えるのですね」くらいに思ってください。(そしてそれは世界の真理です。)

★1 心をこめて演奏しているわけではない
ぶっちゃけ私程度の腕では、フルートが発する音を完璧に制御するために――息使いと指使いを完璧に制御するために、頭はフル回転のぱんぱんです。とても心をこめてる余裕なんてありません。

本当はカナメさんが言うとおり、演奏に心がこもることは、あります。
でもそれは達人の話です。達人はフルートが自分の身体の一部になっていますから(雨上がりの空のように澄みきった真っ青な…)と思った瞬間にそれが音に反映されます。

でも初心者がそれを真似て(雨上がりの空のように澄みきった真っ青な…)といくら念じたところで、後で「途中でぼんやりしてたけどメロディーを忘れたの?」と訝しがられるのがオチです。初心者レベルではせめて、聞く人が(まるで雨上がりの空のように澄みきった真っ青な音だ…)感じてくれるようにと、そのように聞こえてくれるようにと、せっせと息を使い指を使って演奏してみせるのが関の山です。
私はそういうことを言ってます。
だから私が言ってることって基本的にど素人の演奏家向けですよ。

★2 いっぱしの演奏家
日曜音楽家、という言い方を私はします。一流のプロになることは望めないが、せめて自分で吹いていて「今のいい感じじゃない?」と自惚れる程度。家族や友だちから「いいね!もっと他の曲は吹けないの?」と催促してもらえる程度。

その程度に上手になるだけでも、いつもの生活がずいぶん楽しくなると思ってます。ちょぴり誇らしい人生を送れると思ってます

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Re: 世界楽器てみる屋:ポケットサックスの注文ありがとう

ポケットサックスを注文したばかりの愛知県在住、西江と申します。


皆さんはニックネームでの投稿ですが、私は、名前を隠すMixiよりも
実名利用のfacebook派ですから、あえて本名で投稿させていただきます。


facebookでは、一流プロを初めとする200名以上の音楽仲間がおりますが、
てるみ屋さんとは、ポケットサックスのおかげで今回初めてご縁をいただきました。


皆様、どうぞよろしくお願い致します。


さて、てるみ屋さんから、たいへんうれしいお話をいただきました。


「人前で演奏して拍手をもらう方法」
「伴奏を作る方法」
「演奏動画を作る方法」


などをご教授いただけるとのこと。


★ぜひ早々にブログにその項目ができることを楽しみにしております。
  益々、てみる屋ファンが増えることでしょう 。


今回初めてポケットサックスを知り、たいへん興味をいだきました。


まだ届いておりませんが、いただきしだいさっそく練習してみようと思います。


現在はウクレレを楽しんでおりますが、これもど素人。
ウクレレを初めて手にしてから、7ヶ月程度の強烈な低レベルです。


なのに、恥も外聞もなく...生まれて初めてウクレレを持ってから、
無謀にも20日後にはユーチューブに2曲アップしてしまいました。


こうして恥をかくことで自らを練習漬けに追い込むという魂胆です。
自分で自分を崖っぷちに追い込んだわけです。


おかげで、現在は毎日20曲~40曲程度演奏してから就寝する習慣ですが、
唱歌や童謡を中心にクラシックもちょっぴりかじる程度ですから、総演奏時間は長くはありません。

この演奏画像見ると恥ずかしくて...
ポケットサックスを生まれて初めて手にして20日後に投稿できるかどうか?


「人前で演奏して拍手をもらう方法」をマスターしてからにしましょうか。

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リトルミンストレルの楽譜集について

はじめまして。
リトルミンストレル・ハープの購入を検討しています。
付属の楽譜集(14曲)の中に「アメイジンググレイス」は入っていますか?
その他どんな曲が入っているのか知りたくてメールさせていただきました。
よろしくお願い致します。

ポノポノより

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2012年09月17日

インディアンフルート『モヒカン族の最後』

北米インディアンの笛で映画『The last of the Mohicans』(モヒカン族の最後)のメインテーマを演奏しました。

私は音楽家でなくてエンジニアです

私は自分のことをエンジニア(技師)だと思っています。
私は音楽家ではないし楽器の演奏家でもありません。私の仕事の内容は新商品の発掘と調査、販売企画と実施、使い方をブログで説明したりと、これは音楽家や演奏家の仕事ではないでしょう。私の体感としては、今やってることはコンピュータ会社に勤めていた頃の業務と大差ないです。これはエンジニアの仕事です。

インディアンフルートはそれを取りまく文化の影響で、スピリチュアルな感性と相性がよいです。実際、そういうお客さんが多いです。しかしながら私はその手の話ができないので、いつも申し訳ない応対をしています。あるいはインディアンフルートの縁起として伝えられるロマンチックな逸話があって、なんと絵本になってますけど。ぜんぜん興味ありません、なので読まないし話の詳細も知りません。「演奏が上手になるわけでもないのに、なんでそんなことを知りたいの?」というのが私の率直な感想です。

私の世界は物理的です。
私は楽しんで楽器を演奏しますが、楽器は音にしか興味がないし演奏にしか興味がありません。私にとって楽器はポータブルゲームマシンと同様のモノです。なるほど初音ミクのProject DIVAなど音ゲーは、パーカッションを叩くのとよく似た楽しさを味わえます。またレーシングゲームの楽しさは笛を吹く楽しさに通じるものがあります。

私は楽器を真剣に演奏しますが、心を込めて演奏はしません★ 。
そのような心のこもっていない演奏でも、こうして動画にしてみると、我ながらそこそこ聞けるではありませんか。そのことはむしろ救いだと思うのですよ。「演奏の善し悪しはすべて技術で説明できる」という立場だからこそ、どんな人でも習得しさえすれば楽器を演奏できるようになると、救いの手をさしのべることができると思うのです。

★ 心を込めて演奏しない
そもそも認知学やコミュニケーション論の立場からすると、楽器の演奏――楽器の奏でる音に心をこめることは不可能です。音に心はこもりません。だから音楽教室の講師が生徒に対して「もっと心をこめて演奏して」といった類いのアドバイスするのは、月謝をもらって食ってる身分にしては、あまりに不勉強で横着な態度だと、私は思います。

厳密には「心を込めて演奏する」ではなくて「心のこもった演奏に聞こえるように演奏する」が正しいです。確かにこちらなら、具体的なやり方さえ学べば実践可能でしょう?単なる言い回しの違いにしか聞こえない?、違いがよくわからない?、という人もいると思いますが……これらの二つは天と地ほども違います。

「心のこもった演奏に聞こえるように演奏する」は、楽器演奏の奥義の一つです。これから楽器演奏を始める初心者にぜひ理解させたい事柄です。

ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』

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» インディアンフルートの販売は世界楽器てみる屋 ―日本に通じる音色―

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