-- ひとりでに鳴るモノ(1) --

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2009年06月07日

ひとりでに鳴るモノ その9

曲がった金属が元に戻ろうとする力を利用する~ゼンマイ~を使った自動演奏楽器といえば、オルゴールです。

オルゴール

表面にたくさんのトゲ=ピンを植えつけたシリンダーをゼンマイ仕掛けでゆっくり回転させると、それにつれてピンがシリンダーに隣接する金属製の櫛歯を引っかけ、はじき、メロディーを奏でます。自動ピアノや蓄音機の普及により衰退しましたが、哀愁をおびたロマンチックな音色に癒される人も多く、今でも根強い人気を持っています。

大型のオルゴールはチャイムを叩いたり笛を鳴らしたり、ちょっとしたオーケストラです。このような骨董品は日本各地の博物館や美術館で見ることができます。
»こんな音

»那須オルゴール美術館
»天童オルゴール博物館

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2009年03月07日

ひとりでに鳴るモノ その8

自然の力を利用してひとりでに鳴るいろいろな楽器があります。風力を使った風鈴・風鐸、水力を使った水琴窟・鹿おどし。火も身近な力の一つですがその扱いの難しさゆえか、火力で鳴らす楽器はあまり見かけません。

エンジェルチャイム

写真はエンジェルチャイムと呼ばれているキャンドルスタンドです。ローソクの炎が起こす空気の対流で風車を回しベルを叩きます。かすかな音だそうです。

でもこれは音色を楽しむというよりやっぱり外観重視でしょう。ローソクの炎にきらめく真鍮のスタンド、天使のシルエットもかわいらしいです。ロマンチックなイブの夜のために。
»エンジェルチャイム

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2008年12月07日

ひとりでに鳴るモノ その7

電子風鈴

バンプレスト社から発売された電子風鈴です。
内蔵の風圧センサーで風を感じ取り、サンプリング音をならすしかけです。音の種類は風鈴、水琴窟、自然の音など計5種類。
»こんな音(風鈴)
»こんな音(水琴窟)

飾りのない真っ白な筐体といい、優れたコンセプトデザインだと思います。でも製品化された実物はいろいろな課題を抱えていました。

  • 電池ボックスのフタはネジ止め。ドライバを持っていない人は買ってくる必要がある。
  • 電池は単三が3本。2本かいっそ4本なら使いやすいのに、余った1本をどうしよう。
  • サンプリング音の音質が悪い。静かな部屋で聴くとノイズがはっきり聞こえる。
  • 音が完全に消えるのを待たずにブツッと再生を止めてしまうので余韻がない。
  • サンプリング音は、1種類の音につき1パターンしか録音されていない。そよ風だろうが強風だろうが毎回同じように鳴る。
  • 電池が少なくなるとセンサーが誤動作するのか、鳴りっぱなしになる。夜中にこれが起こると眠い目をこすりながらドライバを取りに行くはめになる。(電池を交換するにはドライバが必要です。)

定価2,800円というのが、コンセプトデザインに合っていないのだと思います。定価を20,000円くらいにして、そのかわり筐体はミルクガラス製、風の強弱に合わせた質の高いサンプリング音を何十パターンも用意して一日聴いても繰り返しが分からないようにすれば、それでも買う人は買うと思います。

コンセプトデザインが優れているだけに、残念です。

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2008年10月25日

ひとりでに鳴るモノ その6

トランキリティ・リラクゼーション・チャイム

トランキリティ・リラクゼーション・チャイムといいます。日本庭園の粋、水琴窟に倣って作られた自奏琴です。卓上水琴窟とでもいいましょうか、五月雨のようにとぎれとぎれに鳴っては止んで、思い出したようにまたキリンキリンと鳴る鐘の音がなかなか風流です。

音の正体は、本体の中心に三重の塔のように据えられた大中小の真鍮の鐘です。本体を逆さに持ってじゃらじゃらと揺すり、元どおりに戻して置くと、天井から小さな鉄球が不規則に落ちてきてぱらぱらと鐘を叩きます。
»こんな音

一見不思議なのは、箱の中は三枚の鐘でいっぱいいっぱいで、鉄球を天井に保持する仕掛けを組み込む隙間がなさそうなこと…唖然とするローテクで実現しています。

※ 品のよい外観に反して内部の作りは粗雑です、かなり手入れが必要です。
鐘の鳴りが悪いのでアジア雑貨屋で手に入れた楽器用の鐘と取り替えました。

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2008年06月08日

ひとりでに鳴るモノ その5

風鈴

夏の風物詩、風鈴です。
風鈴は鉄やガラスでできた小さな鐘です。中に鐘を叩く「舌(ぜつ)」があって、それに紙の短冊が糸で結わえ付けられています。風鈴は家の軒下などに吊りさげて使います。風が吹くと短冊が揺れて舌が鐘に当たり、チリリーンと涼しい音が鳴る仕組みです。縁側で入道雲を見ながらスイカを食べているとセミの声に風鈴の音…日本の夏ですねえ。

地方によっていろいろな風鈴があって、その町だけの夏の音を奏でています。

江戸風鈴
ガラスでできたミズクラゲのような格好の風鈴です。透きとおった鐘に金魚など描かれていて、見るからに涼しげです。カチカチした音色はグラスに注いだ氷入りの麦茶をかき混ぜる音を連想させます。
»こんな音
»江戸風鈴
南部風鈴
岩手の南部鉄でできた風鈴です。独特の高音の美しさは日本の音百選にも選ばれています。
»こんな音
»南部風鈴
備長炭風鈴
細長い備長炭を束ねて吊した洋風の風鈴です。鋼に匹敵する硬度ならではの澄んだ自然な音が心地よい。
»こんな音
»備長炭風鈴
小田原風鈴
小田原の鋳物の歴史は鎌倉時代までさかのぼります。小田原風鈴も鋳物製で、少し深みのある音が特徴です。黒澤明監督の映画「赤ひげ」に登場して有名になりました。
»こんな音
»小田原風鈴
明珍火箸風鈴
明珍火箸は江戸時代から続く姫路市の伝統工芸で、明珍火箸風鈴はこの火箸を洋風のウインドチャイムに仕立てたものです。素朴な外観と神々しい峻烈な音色が人気を集めています。
»こんな音
»明珍火箸風鈴

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2008年04月08日

ひとりでに鳴るモノ その4

水琴窟

水琴窟(すいきんくつ)は江戸中期に発達した、日本庭園ならではの音響装置です。底に穴の開いた大きな瓶を地中に逆さに埋めて、中に水を張っておきます。茶に招かれた客が縁先の手水鉢で手を洗うと、水が瓶の中にしずくになって落ちて、瓶に反響してきれいな音がするという仕掛けです。
»こんな音

(よく聴くと倍音が強調されて音階になっているのが分かります。)

水琴窟の音は全国いろいろなところで聴くことができます。個人的には京都のお寺で水琴窟、というシチュエーションにあこがれます。京都に行く機会があれば水琴窟を目当てにお寺巡りしたい。

元々の水琴窟は造園の施工を必要とする大がかりな装置ですが、最近は瓶そのものをオブジェとして室内に置いて楽しむタイプもでてきました。はっきり聞こえるようにマイクとスピーカーを内蔵していて、料亭などの玄関に置いて風流を演出します。

»水琴窟とその仕掛け
»京で水琴窟を聞く
»全国水琴窟データベース
»水琴窟の総合プロデュース T's corporation

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2008年03月08日

ひとりでに鳴るモノ その3

風が吹いて偶然に音がすることがあります。鳥や獣が開けた木のうろ、羽化して穴の開いた蛾のマユ、割れて隙間の開いた竹や葦。これらは風を巻き込んで笛のような音を奏でます。ならばもっとよく鳴るようにと世界中の人がいろんな物に穴を開けました、これが風笛です。

写真は「嘆く竹」と呼ばれる風笛です。竹にスリットを開けたスタイルの風笛は東南アジアに広く分布しています。マレーシア、ジャワ、ボルネオ、ソロモン、パプアニューギニア。バリ島・インドネシアでは「スナリ」もしくは「スンダリ」と呼ぶそうです。
»こんな音
»参照元のページ

ポルトガルの粉挽き風車に取り付けられた風笛です、竿やロープにいっぱいくくりつけられているのがそれ。小さく写っていますが実物は60cmくらいあります。

風笛の拡大写真。耐久性を重視した陶器製です。

ちなみに道楽で付けているわけではありません、湿っ気た悪い風が吹くと風笛の和音が変わるのだとのこと。音が変わると急いで小麦粉を倉庫に取りこんだりするのだな。
»参照元のページ

ドイツ、ハイデルベルグ北東のSchriesheimer Kopf山頂にある展望塔です。登ればオーデンワルトの美しい谷や山が一望できる絶景地だそうです。

この展望塔は手すりのパイプにあちこち穴が開けられていて、これが山風を受けてピーピー鳴ります…風笛ですね。こういった些細な工夫で観光客を楽しませるアイデアは賞賛ものです。
»こんな音
»参照元のページ

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2008年02月08日

ひとりでに鳴るモノ その2

ひとりでに鳴る楽器の定番はやっぱり風鈴、日本の伝統的な風鈴は手の平に収まる小さなものですが、最近は写真のような大型も見かけるようになりました。

ウインドチャイム、あるいはチューブラーチャイムと呼ばれる西洋の風鈴で、一度聞けば忘れられない音がします。純度の高い澄んだ音色、精密にチューニングされたスケールは幾何学的な美しささえ感じます。
»こんな音

日本の風鈴が自然の音にとけこみ風流を醸すのに対して、ウインドチャイムはただそれだけで完璧に鳴り響く…自然は対立するもの、克服すべきものという西洋の姿勢がよい方向に反映されている楽器だと思うのですが、どうでしょうか。

調べてみると、ウインドチャイムにはいろいろなメーカーがあって、スケール(音の並び順)もいろいろ用意されています。スケールによってずいぶん雰囲気が変わるので、その日の気分によって使い分けると楽しそうですが、高価なのが難点。写真はMusic of the Spheres社の製品です、でも私はお目にかかったことがありません。サンプルの音を聞くと余韻がすごく伸びているのですが、録音のせい?本当にこんな音色?
»スケールサンプルのページ

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2008年01月08日

ひとりでに鳴るモノ

楽器は自分で鳴らしてこそ。
でもたまにはひとりでに鳴る楽器に耳を澄まし、風流を満喫するのもいいなって憧れます。

ひとりでに鳴る楽器…身近なところでは風鈴ですか。風力、水力、バネの弾性力、電力など古今東西いろんな力が使われましたが、中でも風は一番に思いつく自然の力でしょう。風鈴、風鐸、そして写真にあるのはエオリアン・ハープです。ギリシャ神話の風神アイオロスに由来する名を持つこのハープは、風を受けてひとりでに鳴りはじめます。
»こんな音

聴いてみるとハープというより一昔前に流行った電子音楽のような摩訶不思議な音。こういうのも楽器屋で売りたいなんて思っています。
»エオリアン・ハープ

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