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2012年11月03日

延々と聞いて、延々と修正する

今、ウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナのための宣伝動画を製作中です。
エンヤの『Only If...』の伴奏が出来上がったところでして、mp3プレイヤーで延々と聞いています。私は伴奏が出来上がったタイミングと、音楽作品として仕上がったタイミングで、1~2日そればかり延々と聞きつづけます。

修正できなくなったら完成

ブログの原稿を書きながら、ネットニュースを眺めながら、買い物をしながら、あるいはファミレスでオーダの到着を待ちながら、出来上がったばかりの自分の音楽作品を延々と聞きます★1 。延々と聞いていると、どうにも気になるところが出てきます。(メインの笛の音をもっと大きく)(ここでガツーンとSEが入るべき)などなど。そうした気になるところはきちんと修正★2 します。そしてまた延々と聞きます。そうしてついに、いくら聞いても修正するべき箇所が見つからなくなったら、そこでその音楽作品は完成したと判断します。

あるいは良くない箇所は分かっているいるのだが、どう対処すればいいのか分からない、今の自分の持つ設備やスキルでは修正のしようがない。そのような場合も、残念な結末ですがもう自分では修正できないのだから、それはそれで音楽作品は完成したと判断します。

(本当はこうしたかった……)という未練は、忘れず抱えつづけます。できれば次回の作品に活かします。そんなすぐにはだめでも、何年かたてば解決の糸口が見つかることもあるでしょう。

まあそんなですから、私が音楽作品を製作するのは、どうしても長い時間がかかる★3 のです。

★1 自分の作品を延々と聞きつづける
自分が生んだ愛おしい作品であっても、延々と聞きつづけているとさすがに飽き飽きしてきます。それこそ狙いどおりです。飽き飽きした脳が少しでも楽しみを見いだそうと、苦し紛れにより注意深く曲を吟味しはじめるのですよ。

★2 きちんと修正する
っても無制限に手戻りを許すと最悪「これは捨てて最初からやり直し」みたいな判断になってしまって、いつまでも完成ません。アマチュアには〆切がないので、無限の修正ループに落ちこまないよう、自分で意識的に踏みとどまる必要があります。

作業しているそのときそのときで、不可逆地点を決めるべきです。どんな深刻な不具合が見つかってもこれより前には手戻りしない、という限界を定めるべきです。「楽器の種類は変更しない」「楽器演奏の録音し直しは無し」「全体のイコライザの調整は不可変」みたいな。そしてそれにかかる修正は、どんなに気になることでもスルーするべきです。そうして自分の作品に不具合を残すことになったとしても、今回は仕方ありません。深く反省して次回の作品に活かせばいいです。

ソフトウェアのバグは徹底的に修正する必要がありますが……聞いて楽しむだけの音楽作品ならこれは許されます。(所詮お金の絡まないアマチュアの作品ですし。)

★3 音楽作品の製作には長い時間がかかる
これは音楽の才能やスキルがなくても、凡人でも、根気と時間さえあれば音楽作品を完成させることができるという、素晴らしいことなのです。

例えば今作ろうとしている音楽作品のメロディが思いうかばない、とします。音楽の才能やスキルがあれば、無から有を生みだせるのでしょうが。残念、あなたにはそれがない。DAWがない昔は、メロディーを思いつかなければ、もうそれで終わりでした。どうしょうもないことでした。音楽作品を完成させるというのは、音楽の才能やスキルのある人だけが成しえる特別な行為でした。

今では――特にBIABのような音楽ソフトがある状況では、時間をかけさえすれば、才能もスキルもなくても、そこそこの音楽作品を完成させることができます。自分でメロディーを思いつけなくても、例えば目の前に1000のメロディーが用意されていて、きっとその中に答えがある、という状況ならどうでしょうか。(これなら良さそう)というメロディーを見つけだせるのではありませんか。確かに、1000のメロディーを聞きくらべるのは大変な作業ですよ。でもそれは、ただ、大変なだけです。根気よく時間をかけさえすれば誰でも成し遂げることができる、単純なタスクです。

たとえゼロから生みだす力がなくても、善し悪しの選別眼さえあればとりあえず形にできる。今はそんな恵まれた時代なのです。

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2012年11月02日

オカリナに眼鏡の曇り止め

オカリナを吹いていると、吹口のところに水が詰まって鳴らなくなってきます。特に冬場はひどいです。あれは唾ではありませんよ★1 、息に含まれる水分が結露しているのです。オカリナに限らずリコーダなど、同様の仕組み★2 の笛はみんな同じ悩みを抱えています。

眼鏡の曇り止めでアラ不思議!

オカリナ演奏者の間で知られているトリビアとして、オカリナの吹口に眼鏡の曇り止めをスプレーするとよいそうです。手順は以下のような感じです。

  1. 準備するもの:眼鏡の曇り止め、エアダスター★3 、ティッシュペーパー
  2. オカリナの吹口に曇り止めをスプレーする
  3. 曇り止めの滴が中で乾いて固まらないように、余分をエアダスターで吹きとばす
  4. べたべたになったオカリナをティッシュペーパーできれいに拭く
  5. 風通しのよい場所で陰干しする、乾かす(30分くらい?)

試してみると、確かに数時間吹きつづけても詰まりません。いつまでも快適に演奏できます。これはいい!と、私は片っ端から手持ちの笛に曇り止めをスプレーしたのでした。

プラスチックのオカリナにこそ

プラスチック製のオカリナは安価なことから、巷の楽器店は入門用として初心者によく勧めます。私がこれにまったく反対なのは、プラスチック製はすぐに水が詰まってまともに練習できないからです。何も知らない初心者を無用に挫折させるからです。

しかしながら眼鏡の曇り止めを使えば、プラスチック製の最悪の短所を打ち消すことができます。昨今のプラスチックのオカリナは、品質自体はきちんと製造された品もあります。眼鏡の曇り止めを使えば、高品質のオカリナを安価に手に入れることができます。なるほど、これからはオカリナ初心者には、プラスチックのオカリナに眼鏡の曇り止めでキマリです。

体にいいかどうかは知らん

しかし眼鏡の曇り止めって、口に入れてもいいのでしょうか。「身体にいいか悪いか」の二択で問うなら、よいものではないでしょうね。ってもオカリナはべろべろ舐めるものでもないし、ちゅうちゅう吸うものでもありません。私自身の吹き方を鑑みるに(そんなに口に入るものではない。あからさまな毒物でもなかろうし、まあ心配ないんじゃね?)という判断です。

オカリナやリコーダなど口でくわえる笛は気になるかもしれませんが。だったら鼻笛なら問題ないでしょう。鼻笛にも眼鏡の曇り止めは効果的です。

★1 吹口に詰まるのは唾ではない
実際問題として、吹口に唾を吹きこむとオカリナが痛みます。唾が糊のように乾いて吹口の狭い通路に張りつき、結露を促進します。最後には、一曲吹いていられないほど結露するようになります。オカリナが陶器という半永久的な素材で出来ているのに、寿命の短い消耗品であるのは、これが理由です。

とはいえ、眼鏡の曇り止めを使えば結露を防ぐことができるのでした。
結露がひどくなって使えなくなり押し入れの奥に眠らせた愛用のオカリナも、眼鏡の曇り止めで復活する可能性があります。これを使わない手はないでしょう。

★2 同様の仕組み
”フィップル構造”と言います。オカリナやリコーダなどフィップル構造を持つ笛は、吹けば誰でも鳴らせます。反面、音量の調整が困難、ピッチが不安定といった難点を共通して抱えていて、これらの難点を克服するために、演奏者は継続した鍛錬を要求されます。

春になると巷の楽器店がこぞって「誰でもすぐに鳴らせるオカリナを始めてみませんか」とキャンペーンを展開しますが。私はあれはほとんど詐欺だと思ってます。「音を鳴らせる」ということと「気持ちのよい演奏ができる」ということの間には大きな隔たりがあります。オカリナは音を鳴らすのは簡単ですが、気持ちよく演奏できるようになるには相当の練習が必要です。

そもそもオカリナがそんなに易しい楽器なら、日本の津々浦々でオカリナ教室が繁盛している道理がありません。

★3 エアダスター
パソコンのキーボードの隙間を掃除したりする、単に空気を吹きだすだけのスプレーです。電気屋やアマゾンでいくらでも売ってます。

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2012年11月01日

BIABの1小節に4つのコードを入れる

Band-in-a-Box(以降BIABと記述)はちょっと変わった音楽ソフトです。C,Am,Dm,G7などとコードを入力し、「ビートルズのイエスタディ風」などと伴奏スタイルを指定すると、ギターやピアノを使ってそれらしく自動演奏します。BIABがあれば、楽器を演奏できなくても音符の打ちこみが苦手でも、自分の音楽作品を完成させることができます。

小節にコードを入力するのはBIABで最も重要な操作です。
もちろんそのへんは直感的に使えるように設計されています。小節のセル(四角)を選んでAm,G7などとキー入力するだけ。1小節に2つのコードをほいほい入力することができます。もっともBIABとしては、1小節に最大4つまでコードを入力することができる仕様になっています。

1小節に4つのコードを入力する手順は以下のとおりりです。

  1. 小節のセルを選択する
  2. マウスの右ボタンを押す→右ボタンメニューが表示される
  3. 右ボタンメニューの「現行コードの設定」を選択する→ダイアログが表示される
  4. ダイアログいちばん左上「拍位置」のラジオボタンを選択して、1拍目,2拍目,3拍目,4拍目のコードを入力する

ふつうは1小節に4つもコードを詰めこむことはないでしょう、私はやったことがありません。フレーズの最後でベースを半音刻みにダンダンダンダンと歩かせるときとかに使うのかな。

Windowsで迷ったら右ボタン

BIABに限らずWindowsのすべてのアプリは、その場でできる操作は右ボタンメニューに用意されています。小節に対して何かしようと思ったら小節のセルを選んで右ボタン、音符をどうにかしようと思ったら音符を指して右ボタン。

「Windowsで迷ったらとにかく右ボタン」です。
BIABの1小節に何個コードが入るか、とかいうよりずっとずっと重要な知識です。

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2012年10月28日

マスタバスにコンプとEQを差しっぱなし 2

私はDAWで音楽作品を製作するとき、早い段階からマスタバスにコプレッサ★1 とイコライザを差して作業します。以前は「ミックスダウンしてmp3ファイルにすれば完成」という段になってから差していましたが、それだとせっかく調整した楽器の音量バランスが狂ってしまって、また一からやり直しになってしまうのでした。

コンプレッサも早い段階で差す

マスタバスにコンプレッサを差す理由はもちろん、出来上がった音楽作品の音をできるだけ大きく★2 聞かせるためです。そういう目的のために使う専用のエフェクタ(リミッタ)も使っていますが……私の使い方が間違っているのか、これは3dBも抑えこむとビリビリ音が割れるのですよ。まあそんなですから、私はまずはコンプレッサで音量の凸凹をある程度ならして、その後でリミッタで限界まで音を大きくするようにしています。

コプレッサは音の大きさを変化させるエフェクタです。
音が大きかろうと小さかろうと曲の中身に違いはないでしょうから、コンプレッサを差したからといって曲が別物になって聞こえるようなことはないはずなのですが……なぜかマスタバスにコンプレッサを差すと、楽器の音量バランスが変わって聞こえます。それもかなり許しがたいほど。

ミックスダウン直前になってマスタバスにコンプレッサを差して、そのせいで楽器の音量バランスが変わってしまい、もう一度調整する羽目になる。この手戻りがいやになって、私は音楽作品を製作する早い段階で、マスタバスにコンプレッサを差すようにしています。ベース、ドラム、ギターなど主要な楽器の音が揃った時点で、マスタバスにコンプレッサを差します。

ベストなセッティングは今も工夫中

私がマスタバスに差しているコンプレッサはSonitus:compressorという、SONARのオマケです。

プリセットのセッティングそのままで、圧縮量が6.0~7.0dBになるように、その都度スレッショルドだけ調整します。こんなに押し潰して大丈夫なの?という不安はありますが、今のところ私の耳では不自然に聞こえないのでOKにしています。まあ圧縮量が大きいほど最終的な作品の音――厳密には音圧が大きくなりますから、圧縮するに超したことはないです。

圧縮量が6.0~7.0dBというセッティングは、もともとは事故です。ほんとうはもっと控えめに圧縮していたのですが、何をどう間違えたのか、気がついたらこんな極端なセッティングになっていました。慌てて正そうと思いましたが……少なくともそれまで気がつかなかったくらいには自然に聞こえていたわけです。おもしろ半分にそのまま使ってみたら、これがなかなかいい感じなのでした。失敗は発明の母、という言葉を実感しました。

これだけ圧縮していると、メインの楽器が休止するとその隙間を埋めるように、すっと伴奏の楽器が大きくなって聞こえます。これは私にとって、願ったり叶ったりな効果です。(あーひょっとしてこれが原因ですか?コンプレッサを差すと楽器の音量バランスが変わって聞こえるのは。)

★1 コンプレッサ
コンプレッサは昔のラジオ・スタジオで生まれたエフェクタです。コンプレッサは音が急に大きくなるのを防ぎます。例えばラジオ番組でパーソナリティとゲストが談話していて、不意に大声で笑ったとします。そのままだと音量オーバーで音がバリバリと割れて、聞き苦しい番組になってしまいます。コンプレッサは入力された音を監視していて、不意に音が大きくなると自動的にボリュームを絞り、音量オーバーになるのを防ぎます。音が小さくなるとボリュームを元に戻して再びよく聞こえるようにします。

どのくらい音が大きくなったら、どのくらいボリュームを絞るか。などというのは4つほど付いているツマミを回して調節するわけですが。誰が思いついたのか、極端なセッティングにするといろいろ予想外の効果が生まれるのでした。ピアノやギターの音がまるでオルガンのように聞こえたり、ドオォオオオオンと間延びしたドラムの音がドッ、ドッと鋭くタイトになったり。コンプレッサはセッティング次第でまるで正反対の効果さえ起こすような、応用範囲の広いカメレオンみたいなエフェクタです。

★2 音をできるだけ大きくする
音楽作品の音はできるだけ大きい方がいいです。単純にそっちの方がはっきり聞こえますし、大きい音ほど迫力がありますし。ならばと、上限ぎりぎりまで音を大きくしてmp3ファイルを作ったとしますよ。しかしながら、そうして作った自分の作品よりも、CDで聞くプロの作品は何倍も大きな音に聞こえるでしょう。念を押しますが、どちらも音量は最大です。これ以上、音を大きくすることはできません。無理に大きくするとバリバリと割れてしまいます。

プロの作品は音量が大きい、というより厳密には音圧が大きいのです。
分かりやすいイメージとして、静かなピアノ曲で、最後にガーンと一発だけものすごく大きな音が鳴るとします。これを録音して、最大まで音を大きくして音楽作品に仕上げたとしたらどうでしょうか。いちばん音の大きなところは?もちろん最後のガーンというところです。しかし最大音量の部分はたったのそこだけで、他の大部分は静かな小さな音の演奏です。どうにもよく聞こえない。かといって、これでもう最大まで音を大きくしているわけですから、これ以上音を大きくすることはできません。無理に大きくすると最後のガーンがバリバリと割れてしまいます。

これは言わば、最後に鳴る大きな音が邪魔になって全体の音を大きくできない、という状況です。コンプレッサはこの、邪魔になっている大きな音だけを選択的に小さくします。ほかの音はそのままにして邪魔になる大きな音だけを小さくする。そうやって全体的に小粒に揃えた(圧縮した)ところで、改めて最大まで音を大きくしたらどうでしょうか。なるほど、本来よりもずっと大きな音に聞こえるでしょう。その代わり相対的に、最後のガーンという音にインパクトがなくなってしまいますが……

音圧を上げるというのは、曲のメリハリやインパクトを犠牲にして音を大きく聞かせる技です。小さすぎて聞こえにくいのは論外ですが、まったくメリハリのない一本調子も困りもの。どのくらいメリハリを残してどこまで音圧を上げるか。このへんの話はそれだけで一冊の本になります。音圧を上げる技は知ってて損はない……いやDAWで音楽作品を製作するなら必須の知識です。ぜひぜひマスターしてください。
» 永野光浩『音を大きくする本』

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2012年10月25日

マスタバスにコンプとEQを差しっぱなし 1

私はDAW★1 で音楽作品を製作するとき、早い段階からマスタバス★2 にコプレッサとイコライザを差して作業します。以前は「ミックスダウンしてmp3ファイルにすれば完成」という段になってから差していましたが、それだとせっかく調整した楽器の音量バランスが狂ってしまって、また一からやり直しになってしまうのでした。

イコライザは最初に差す

イコライザ★3 はイの一番に差します。DAWを起動したら何はさておきマスタバスにイコライザを差します。マスタバスに差したイコライザは、曲全体の質感・肌触り・色温度といった印象を強力に決定づけます。例えば黄色いセロファンを通してみた世界はなんだかノスタルジックに見えますし、青いセロファンを通してみれば、それが何であれ寒々とした印象を受けるでしょう。そんな感じです。

音楽作品をまったくイコライザで調整しないと、独特の素人臭さが残ります。マスタバスに差したイコライザで、低音と高音をほんの少しだけ持ちあげると、プロっぽい鮮やかでシャープな印象りになります。やり過ぎるとギスギスするので、ほんの少しです。

わざと素人臭い作品、ローファイな雰囲気の音楽作品を作るにしても、まずはマスタバスのイコライザでシャープに調整します。その上で高音を削ったりしてローファイな音を作ります。こうすると「プロの音楽製作環境を使ってわざと素人臭い雰囲気に仕上げた作品」みたいなニュアンスに仕上がります。「分かっててやってるんですよ、わざとですよ。」というメタ情報の演出は重要です。

私が使っているイコライザはLP-64 EQという、SONARのオマケです。

最初はプリセットに用意されていたセッティングをそのまま使いました。そして音楽作品を製作するたびに「ちょっと高音が強すぎるか」「低音が足りないな」などと微調整を積みかさねてきました。こうして鍛えた?セッティングは今や私の財産です。まあこれくらい、差しあげてもいいのですが……それこそ私と同じLP-64 EQを持っていないと使えませんし。

それより重要なのは、その手順ですよ。
まずはプリセットのセッティングをそのまま使う。ちょっとだけ微調整してみる。そのセッティングを次の作品でも使い回して★4 更に微調整する。そうしてそうして最終的に自分だけの完璧?なセッティングを作りあげます。

コンプレッサの話は次回にしますね。

★1 DAW
DTM(パソコン音楽)をするための中心的な音楽ソフトのこと。それこそ生楽器の録音からMIDI音符の打ちこみ、アレンジ・ミックスダウンからMP3ファイルの作成まで、すべてをこなす総合音楽ソフトのことです。

★2 マスタバス
DAWではピアノやギターなど、いろんな楽器の音の流れを混ぜあわせて一つの音楽作品にまとめ上げます。小さな小川が集まって大きな川になり、それらが一つの河口に流れこむようなイメージです。マスタバスはその河口、音の最終出口にあたります。ピアノの流れだけに差したエフェクタはピアノの音だけに影響を与えますが、マスタバスに差したエフェクタはそれこそすべての楽器の音に影響を与えます。つまり音楽作品全体に影響を与えます。

★3 イコライザ
楽器の音の特定の周波数――低音域や高音域を選択的に大きくしたり小さくしたりするエフェクタです。ものすごく大ざっぱな話として、高音域を大きくすると鮮やかに聞こえ、小さくすると曇って聞こえます。低音域を大きくすると迫力のある音に聞こえ、小さくすると軽い音に聞こえます。

イコライザの使い道は広範囲で、それだけで何冊も本が出るほどです。また使い道に応じて特化したいろんな種類があります。最近では入力された音を解析して自動的にセッティングを変えていくような製品もあります。シンバルがパシーンと鳴った瞬間に低音域をぐいと持ち上げてバランスを取る、というような。

イコライザは料理でいえば塩味のようなもので、華々しい効果はありませんが使い方の上手下手は音楽作品のクオリティに直結します。私もイコライザを極めるべく日々工夫を続けています。

★4 設定を使い回まわす
一般的な話として、VSTやVSTi(ソフトウエアのエフェクタやシンセサイザー)は、設定したツマミの位置やボタンの位置をファイルとして書きだすことができます。そしてそれを後で読みこんで同じ設定を使い回すことができます。

苦労して音楽作品を完成させたら、面倒でもマスタバスに差したエフェクタの設定などはファイルに書きだして、次の作品でも使い回すといいです。

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2012年10月19日

津軽びいどろのオイルランプ

最近、オイルランプにはまっています。
先日はムラエのチビっちゃいオイルランプを紹介しました。これは『秋風』と名付けられた津軽びいどろのオイルランプです。

私にとって秋という季節は紅葉の印象なのか、赤色のイメージがあります。だからこのオイルランプがなぜ秋風なのか、最初はなんだかピンと来ませんでしたが……記念撮影をしているうちになんとなく分かってきました。小高い丘にて見上げれば抜けるような青い空に羊雲の群れと、見下ろせば西日に染まりつつある下町の雑多な風景。それを360度魚眼レンズで撮ったような、丸ごとガラス球に閉じこめたような、そんなふうに見えてきます。なるほどこれは確かに『秋』だと思います。手のひらの中の秋です。
» 津軽びいどろのランプ

これも仕事と言えなくもない

このブログは音楽や楽器に関連した話題を集めたブログです。
ですからこのような関係のない記事は増えすぎないように自粛します。というのが前提ではありますが、これはこれで写真撮影の練習になるので、仕事の一部だと言えなくもない。(私にとって金属やガラスはあまり馴染みのない素材です。)だから楽器以外の物を撮影するのも、まったく暇つぶしの無駄遊びというわけではないでしょう。

あるいは雑貨屋になっていたかも

私はまずは変わった物・珍しい物が好きです。
きらきら光ったり音が鳴ったり自分で動いたりしたら完璧です。退職して次はネットショップをしようと思いついたとき、厳密に言えば何の店でもよかったのです。しかしながらインテリアショップや小物・雑貨店は、既に大手のライバル店がいくつも先行していて、その中でとても生き残れそうになかった。だからもう少し競争率の低そうな商品――変わった楽器・珍しい楽器を売って生活することを選びました。今でも小さな玩具とかこのようなオイルランプなどには心を動かされます。あるいは私は玩具屋とか雑貨屋になっていたかもしれません。

結局、楽器屋で正解だったと思ってます。
雑貨屋だと楽器の演奏スキルや音楽作品の製作スキルがまったく活かされませんからね。

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2012年10月18日

インディアンフルートを飾ってみた

カイオワラブフルートはエリックさんが製作している竹製のインディアンフルートです。
それを買ってくれたお客さん――Chamaさんがこんな写真を送ってくれました。

おお美しい!黒いボディに原色の麻紐が映えます。これは思いつきの勝利ですね、造作自体は誰でも真似できそうですよ。ぜひぜひみなさんも自分のカイオワラブフルートをいろいろ飾りたててみてください。

Chamaさんは甲府を拠点に活動しているマルチタレントです。フォトグラファー、ライター、ミュージシャン、イベントプランナー……他に何があったかな、とにかく一人でなんでもこなします。彼が運営しているBARはミュージシャンやアーティストの社交場として賑わっています。いろいろ情報交換したい方、そこまでなくても興味ある方はぜひぜひ覗いてみてください↓
» ピザ・コーヒーのおいしいお店 カフェフリーバード
» Chama-Facebook

ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』

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» インディアンフルートの販売は世界楽器てみる屋 ―日本に通じる音色―

初めまして。鼻笛が当たったhiderunです。

ここに投稿する皆様は、相当本格的に演奏に入れこんでいる方々が多いようですね。

私は普通に、いろんなジャンルの音楽を聴いて楽しんできた者です。
子どもの頃、ピアノが6年、フルート独学3年(吹奏楽部2年在籍)、その他、ボンゴを
はじめ、小物のパーカッション類などを10代からぼちぼち集めて、現在の仕事である
障がい児の教育・療育の現場で楽しく生かしています。
職場外に、音楽療法やリトミックの勉強をしている音楽専科の友人達がおり、それぞれ
に異なる珍しい楽器を手に入れては情報交換をしています。
マレーシアに長期滞在した人を通してアンクロン一式買って船便で送ってもらってデン!
と部屋に置いている人たちもいたりして。

世界楽器てみる屋さんにいきあたったのは今年のこと。
楽器と音の情報が十分に得られるので、短い期間に4つ購入させていただきました。
それまでに持っていたフルスやプサルタ、それにこちらで知った情報から、HAPIドラム
やイボドラムも複数手に入れて、まぁ何とか聴ける音が出せるものは、子ども達や同僚
に楽しんでもらっています。
子どもによって、受容できる音色、好きな音色、触りたい楽器が少しずつ異なるのが
面白いところです。

さて、鼻笛ですが、すだれさんが吹いておられる「ヒストリア」のテーマを吹いてみようと
聴きながらやってみたところ、しばらくは高音域が全くでなくて、どうやったらいいのか
コツが分かりませんでしたが、時間をおいてトライしたら、今日上の方の音も出せる様
になり、一通りメロディーが追っかけられるようになりました(^-^)v。

ということで投稿させていただきました。
動画を出せるほどの演奏者でないですが、また、楽しいエピソードに出会えたら書き
込みをさせていただきますね。

うどん県 骨付鳥市 hiderun

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2012年10月15日

ムラエのオイルランプ

オイルランプを探していて見つけた、チビっちゃいランプです。一目で気に入ってカートボタンをポチりました。ついでの勢いで別のショップで陶器のホルダーまで購入しました。ただ純粋に火を灯してみたかった★ のですよ。揺れる炎をずっと見ていたい夜もあります。

透きとおったガラス容器と輝く真鍮の口金、ガラス繊維で出来た真っ白な芯。付属のすこし紫がかったランプオイルを満たすとほんとうに美しいです。買ってよかった、満足です。これも一旦火をつけたなら、芯は煤で真っ黒になり口金は焼けて鈍い錆色に染まり果てるでしょう。この輝きは買ったばかりの今だけの輝きです。せっかくですから記念撮影しました。

ティーキャンドル用のホルダーが使えます

このムラエのオイルランプは、一般的なティーキャンドルと同じ直径です。だからティーキャンドル用のホルダーが使えます。ただし高さが3倍近くあるので、背の低いホルダーだと、炎が上からはみ出たりホルダー自身を焼いたりするでしょう。背の高いデザインのホルダーがよいです。

芯の太さは3mmあって、ティーキャンドルの芯より何倍も太いです。点灯してみるとさすがにティーキャンドルよりもずっと明るいです。手紙だって読めるでしょう。ホルダーに収めると、穴から漏れる光が壁や天井にくっきり映りました。

» ムラエのオイルランプ・ルナックスミニ
» 陶器キャンドルホルダー・辰巳窯

★ 火を灯してみたかった
ここで、キャンドルやランプがまったくエコに叶わないのは百も承知です。ふつうに蛍光灯の豆球の方がずっと明るいですし、それなら電気代だって一ヶ月で数円未満でしょう。またキャンドルやランプを製作するために工場を動かした電気代や、商品の運送に燃やしたガソリンの量を想像するだに、明らかに割のあわない話です。

火を灯してみたいから火を灯す。現代の日本におけるキャンドルやランプの価値は、そんなところにあります。

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2012年10月13日

インディアンフルート『聖母マリアの七つの喜び』

1人で合奏ができるダブル・インディアンフルートです。
『聖母マリアの7つの喜び』を演奏しました。運指は動画を一旦停止しながらご確認ください。

曲について

『聖母マリアの七つの喜び』は古い歌なので、メロディーの異なるバージョンが存在します。私が初めて聞いたのはアイルランドのドネゴール郡に伝わるバージョンでした。静かで神聖な雰囲気の曲で、一発で気に入りました。しかしながら世間で知られているのはむしろ、スィング気味の脳天気な曲調のバージョンです。それを知っている人は(なんでこんな曲をインディアンフルートで吹くのだろう?)と敬遠するかもしれません……今回は非常に損な選曲をしてしまいました。

七つの喜び、ということはご明察のとおり、1番から7番まで歌があります。とはいえ笛で同じフレーズを7回もくりかえすとさすがに飽きるでしょうから、4番までしか演奏してません。

楽器について

アステカ族の末裔、ナッシュ・タベワが製作したダブル・インディアンフルートで演奏しています。

インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。ダブル・インディアンフルートはそれの改造版で、2本の笛を1本に束ねた笛です。同時に2つの音を出せるので1人で合奏ができます。石器・土器しかなかった昔のインディアンたちがこんなゴツい笛を吹いていたはずもない。ダブル・インディアンフルートは高い工業技術によってのみ製作可能な、20世紀末に生まれた新しい楽器です。

……なんて堅苦しいことを言わずに、吹いてみると意外にこれがインディアンな雰囲気なのですよ。インディアンフルートを嗜む人なら(一本は欲しいな)と憧れる楽器です。

演奏方法について

『聖母マリアの七つの喜び』の運指は演奏動画に載せています。一時停止しながらご確認ください。

左側の管は、6つの指穴ぜんぶを使います。レザーバンドは外してください。右手側の管は、下の2つの指穴しか使いません。3つあるうちのいちばん上の穴は、耳栓で塞ぎます。

動画を見てのとおり、右手で左右両側の管の指穴をいっしょに押さえる箇所があります。なので同じダブル・インディアンフルートでも、枝切りハサミのようにAの形になっているタイプでは演奏できません。

『聖母マリアの七つの喜び』の曲自体は、短くて覚えやすい易しい曲です。ふつうのインディアンフルートで吹いてもいい感じですよ。

作品について

製作途中に(なんだかヴァンゲリスみたい……)と意識した瞬間、変なスイッチが入ってしまって「ヴァンゲリスならこんな音を使うよね」「ここはこんな感じにするよね」とますますヴァンゲリスっぽくなってしまいました。

おかげで曲のインパクトを表現する新しい方法を学びました。
今までは楽器の音を大きくすることで表現していましたが、今回は楽器の数そのものを増やして表現しています。今まではドラムやピアノの音をばあんと強く鳴らしていましたが。今回は「じゃーん」「どどぉおん」と別の大きな音を追加することで表現しています。

ユニゾンも、実は今回やったのが初めてです。
思いかえしてみれば、過去に一度もユニゾンをやったことがなかったのでした。

このへんの知識は、たくさんの楽器を使ってシンフォニックな表現をするのに重要な気がします。次回作でも引きつづき研究してみます。

製作ノートは製作中に書くもの

この文章は伴奏が出来上がった段階で、ファミレスで食後のコーヒーを飲みながら書きとめたものです。今までは作品に関する説明などは、演奏動画をネットに投函した後になって考えていました。しかしそれだと気持ちはもう済んでしまった事になっているので、どうにも頭が回りませんでした。このように、製作工程の途中途中で気づいたことを書きとめておけばよかったのです。

ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』

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