延々と聞いて、延々と修正する
今、ウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナのための宣伝動画を製作中です。
エンヤの『Only If...』の伴奏が出来上がったところでして、mp3プレイヤーで延々と聞いています。私は伴奏が出来上がったタイミングと、音楽作品として仕上がったタイミングで、1~2日そればかり延々と聞きつづけます。
修正できなくなったら完成
ブログの原稿を書きながら、ネットニュースを眺めながら、買い物をしながら、あるいはファミレスでオーダの到着を待ちながら、出来上がったばかりの自分の音楽作品を延々と聞きます★1 。延々と聞いていると、どうにも気になるところが出てきます。(メインの笛の音をもっと大きく)(ここでガツーンとSEが入るべき)などなど。そうした気になるところはきちんと修正★2 します。そしてまた延々と聞きます。そうしてついに、いくら聞いても修正するべき箇所が見つからなくなったら、そこでその音楽作品は完成したと判断します。
あるいは良くない箇所は分かっているいるのだが、どう対処すればいいのか分からない、今の自分の持つ設備やスキルでは修正のしようがない。そのような場合も、残念な結末ですがもう自分では修正できないのだから、それはそれで音楽作品は完成したと判断します。
(本当はこうしたかった……)という未練は、忘れず抱えつづけます。できれば次回の作品に活かします。そんなすぐにはだめでも、何年かたてば解決の糸口が見つかることもあるでしょう。
まあそんなですから、私が音楽作品を製作するのは、どうしても長い時間がかかる★3 のです。
★1 自分の作品を延々と聞きつづける
自分が生んだ愛おしい作品であっても、延々と聞きつづけているとさすがに飽き飽きしてきます。それこそ狙いどおりです。飽き飽きした脳が少しでも楽しみを見いだそうと、苦し紛れにより注意深く曲を吟味しはじめるのですよ。
★2 きちんと修正する
っても無制限に手戻りを許すと最悪「これは捨てて最初からやり直し」みたいな判断になってしまって、いつまでも完成ません。アマチュアには〆切がないので、無限の修正ループに落ちこまないよう、自分で意識的に踏みとどまる必要があります。
作業しているそのときそのときで、不可逆地点を決めるべきです。どんな深刻な不具合が見つかってもこれより前には手戻りしない、という限界を定めるべきです。「楽器の種類は変更しない」「楽器演奏の録音し直しは無し」「全体のイコライザの調整は不可変」みたいな。そしてそれにかかる修正は、どんなに気になることでもスルーするべきです。そうして自分の作品に不具合を残すことになったとしても、今回は仕方ありません。深く反省して次回の作品に活かせばいいです。
ソフトウェアのバグは徹底的に修正する必要がありますが……聞いて楽しむだけの音楽作品ならこれは許されます。(所詮お金の絡まないアマチュアの作品ですし。)
★3 音楽作品の製作には長い時間がかかる
これは音楽の才能やスキルがなくても、凡人でも、根気と時間さえあれば音楽作品を完成させることができるという、素晴らしいことなのです。
例えば今作ろうとしている音楽作品のメロディが思いうかばない、とします。音楽の才能やスキルがあれば、無から有を生みだせるのでしょうが。残念、あなたにはそれがない。DAWがない昔は、メロディーを思いつかなければ、もうそれで終わりでした。どうしょうもないことでした。音楽作品を完成させるというのは、音楽の才能やスキルのある人だけが成しえる特別な行為でした。
今では――特にBIABのような音楽ソフトがある状況では、時間をかけさえすれば、才能もスキルもなくても、そこそこの音楽作品を完成させることができます。自分でメロディーを思いつけなくても、例えば目の前に1000のメロディーが用意されていて、きっとその中に答えがある、という状況ならどうでしょうか。(これなら良さそう)というメロディーを見つけだせるのではありませんか。確かに、1000のメロディーを聞きくらべるのは大変な作業ですよ。でもそれは、ただ、大変なだけです。根気よく時間をかけさえすれば誰でも成し遂げることができる、単純なタスクです。
たとえゼロから生みだす力がなくても、善し悪しの選別眼さえあればとりあえず形にできる。今はそんな恵まれた時代なのです。
楽器があればもっと楽しい毎日
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