スペクトラムアナライザ
ソニーのモニタリング用ヘッドホンMDR-CD900STが音を耳でチェックする要なら、スペクトラムアナライザは音を目で見てチェックする要です。スペクトラムアナライザは、今の瞬間に鳴っている音を、低音から高音まで折れ線グラフに表します。ラジカセやカーコンポの前面パネルでぴょこぴょこ踊っているLEDメータ、あれをチョー精密にしたものと思えばいいです。
自分の音楽作品をスペクトラムアナライザで見るといろいろ分かります。
突出したピークはNG
とにかく、ある特定の周波数の音が槍のようにつんと突出するのはNG★ です。その大きすぎる音が他の音をマスキングします。低音ならボワボワ曇って全体が聞きとれなくなります。高音ならキンキンと耳が痛くなります。
また特定の周波数に突出したピークのある音楽作品は、スピーカやヘッドホンが変わると極端に音が変わって聞こえたりします。自分の作業環境のスピーカやヘッドホンではきちんとバランスを整えたはずなのに、安物のイヤホンを使ったらキンキンして聞いてられない、という事故が発生します。つまり聞くお客さんによって不要に評価がばらついてしまいます。
音のバランスをとる目安に
聞いて心地よい音楽作品に仕上げるために、楽器毎の音のバランスをとることが重要です。一つの楽器だけ鳴らしながらスペクトラムアナライザを見ると、その楽器がどの範囲の周波数を占有するか分かります。「ピアノを隠さないように、ストリングスは1オクターブ高くしてみるか」「ピアノとギターが重なっている。お互い邪魔しないよう左右に振り分けてみるか」みたいな判断ができるでしょう。最終局面で「どうにもピアノの低音が耳に障る。イコライザでざっくり抑えるか」みたいな判断をすることもあります。
また音楽作品全体をスペクトラムアナライザで見て、特定の範囲が明らかに凹んでいる場合――特定の範囲の音が足りない場合は「その範囲を埋める音をシンセサイザーで鳴らしてみるか」みたいな判断ができるでしょう。実際、ポップスやロックなどたくさんの音を使うプロの音楽作品は、スペクトラムアナライザで見ると見事に低音から高音まで真っ平らになります。(一つの楽器でソロ演奏などの場合は不可抗力的に凸凹になりますよ、それは一つの楽器に因るので仕方ない。)
フリーウェアでもけっこうよい品が
スペクトラムアナライザはフリーウェアでもたくさん出回っています。
これは!というものをぜひ使ってみてください。私はVoxengoのSPANを使っています。これがベストというわけでもなくて、試しに使ってみたら悪くなかったという代物。念のためウェブサイトを確認したら…あ、バージョンアップしてる!ダウンロードしなくちゃ。
» スペクトラムアナライザのいろいろ
★ 特定の音が突出するのはNG
ということは例えばオカリナがメインの楽器だからといって、いくら音を大きくしてもよい、というわけではないのです。実際、あまりにオカリナの音を大きくすると、伴奏の音が聞こえにくくなり背後に下がったような印象になります。
しかし一般的な話として、録音した笛の音って聞こえにくいのですよ、倍音が少ないから。特にオカリナの音は純度が高いので聞こえにくいです。音量バランスを考慮すれば伴奏に埋もれてよく聞こえないし、きちんと聞こえるように調整すると今度は耳が痛くて我慢できない。痛し痒しの状況です。
笛を得意とする私としては、これはもう、音楽作品を製作しはじめた当初からの課題です。いまだにこれという解決法を見つけていません。
- ある程度のピークが出来るのはやむなしとする
- オカリナの基音を不自然にならない程度にイコライザで抑える
- シンバルやタンバリンや鈴など瞬間的な音をオカリナと同程度の音量で鳴らす
などいくつかの方法を試して、それなりの効果はありましたが……
いろいろ分かったら記事にします。
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