-- 楽譜置き場・試聴室(3) --

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2015年04月12日

初音ミク 『ありがとう-いきものがかり』

初音ミクにいきものがかりの『 ありがとう』を歌わせました。

ボーカロイドのための専用のエフェクタを自作

初音ミクを始めとするボーカロイド全般はもともと感情表現が苦手です。
ほんとうに人間が歌っているように歌わせることもできるのですが、それには「パラメータをオートメーションする」という、気の遠くなるような手作業が必要になります。なので私は、当初からオートメーション作業を放棄していて、エフェクタでミクの声を加工することを考えてきました。今回の作品は、私が自作したエフェクタを使っています。

自作のエフェクタは、実はこれで2台目です。

ほんとうに初期のころは私は、エンベロープフォロワやコンプレッサなど、既存のエフェクタを組みあわせてミクの声を加工していまして、1台目の自作エフェクタは、そのやり方をそのまま内部に実装したものでした。要は既存のエフェクタを単純にひとまとめにしただけでした。

この1台目には、ばちばちとクリックノイズが入る、声を加工しても結果が今ひとつぱっとしない、などの欠点があって、音楽作品を作るたびにその後始末に苦労させられました。

なので今回、改めて最初から完全に作りなおしました。
コンプレッサなど既存パーツの使用をやめて、ぜんぶ自分でプログラムを書きました。結果としてクリックノイズが発生しなくなりました。また1台目を使っていて気づいた勝手の悪さを改善したので、操作性が劇的に向上ました。ミクに「こう歌って欲しい」と思ったら「だったらこのツマミを回せばいい」というふうに、イマジネーションをダイレクトに作業に反映できるようになりました。

そして説得力のある歌唱表現が可能になりました。
今までのミクが苦手だった、やさしい中にも腹筋を感じさせる生理的な歌い方が出来るようになりました。

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2015年03月21日

ラップハープ 『スカボロー・フェア』

ラップハープでイギリス民謡のスカボロー・フェアを演奏しました。

子ども向けの玩具楽器

ラップハープ、メロディーハープ、トイハープなどと呼ばれています。
子ども向けの玩具の楽器です。動画を見てのとおり、弦の下にソングカードを挟んでラインを追いながら音符の上の弦を弾くとメロディが演奏できるという代物です。

箱を開けてすぐに楽しめるので、北米ではクリスマスや誕生日の定番ギフトらしい…なんかもう見飽きた感じの。

こういう玩具楽器があるいうのは昔から知っていましたよ。
しかしながらこんなに残響する美しい音だとは想像していませんでした。なんでも自分で実際に触ってみないと本当のところは分かりませんね。

TKオブライエン社のラップハープ

動画で演奏しているのはTKオブライエン社のラップハープです。市場に出回っている品よりも僅かに大型で、弦の数が1本だけ多いです。

このたった1本だけなんですが、伴奏を付けて演奏するときには効果絶大なのですよ。いちばん低いドの音よりも更に下に追加された弦を伴奏専用に使うのです。ラップハープで音楽作品を製作するならこれがいい。って私くらいですか?子どもの玩具で音楽作品を製作するのって。
»ラップハープのウェブカタログはこちら

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2015年02月08日

アバンナ-ダウン州のスター、ロジー・マッキン

英国のボーカロイド(VOCALOID)アバンナがアイルランド民謡『ダウン州のスター、ロジー・マッキン(Star Of County Down)』を歌います。

旅先で出会った超絶美少女。ダウン州のスターを嫁に貰うまでがんばるんだと歌の中の主人公は誓います。若い男が仕事に励む動機としては至極に健全だと思います。

洋楽は外国産ボーカロイドで

日本のボーカロイド初音ミクも英語で歌えるのですが、ワードの繋がりの変な箇所が散見されます。技術的な話をすると、おそらく日本語の発音から英語の発音を合成しています。藤田咲さん★ に改めて英語の収録を依頼したという噂も聞きませんし。洋楽を歌わせるならやっぱり外国産ボーカロイドでしょう。

アバンナ(Avanna)は英国のボーカロイドです。お聞きのとおり優しい甘い声が特長です。発音がきれいなのも高得点。私には本当にヒトが歌っているように聞こえますよ。

アバンナの容姿はアイルランドの妖精のような出で立ちで表現されますが、彼女は生粋の英国ボーカロイドでして、歌えるのは英語のみ。ゲール語がダメなので、看板どおりにアイリッシュを歌わせようとすると困ることが多々あります。

ローパスフィルタでライブな雰囲気に

ボーカロイドの声はまるで耳元で歌ってるような音質です。
音質は良いに超したことないのですが、ライブステージのような雰囲気の音楽作品を製作するとき、伴奏と合わないことがあります。録音の良くない楽器の生演奏――劣化した音とうまく混ざらないのです。

このような場合はボーカロイドの声も劣化させればよいです。
いちばん分かりやすくてリアルなのは、ボーカロイドの歌をアンプスピーカで再生して、それを実際に録音することでしょう。しかしこれを自宅で実践すると音が悪くなりすぎます。

同じことをパソコンの中でやってしまう用に、インパルス・レスポンス(IR)というエフェクタがあります。実在のホールやスタジオの残響データを使って音を加工するので、ほんとうにその場でボーカロイドが歌っているような臨場感を得られます。

お手軽で意外に上手くいくのは、安物のローパスフィルタで高音域を削ることです。これですんなり伴奏と馴染みます。高音域はけっこう削りますよ。自分の耳を信じて大胆に削ります。今回の作品でもアバンナの声をぎょっとするほど削りました。きれいに聞こえるならそれが正しいです。

★ 藤田咲さん
初音ミクの声は声優の藤田咲さんがあてています。
古いラジオ番組で藤田咲さんが初音ミクの声真似をしてて笑った。

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2015年01月22日

MIDI打込-Song of the Chanter

MIDI打込オンリーの作品です。

『Song of the Chanter』という、アイルランドの古いポルカです。
アイリッシュハープなどで演奏される曲ですが、今回はウォードラムやシンセサイザを使って、派手なシネマチックな音にしました。

パソコン音楽の肩慣らしに

私が演奏動画を製作するのは仕事の一環です。
お店で販売している誰も知らない楽器を宣伝するのが第一の目的です。しかしながら何でもそうですが、作品はたくさん作るほど技術も知識も積みあがります。ですから本番前の肩慣らしみたいな感じで、数日でぱぱっと完成できるMIDI打込オンリーの作品をちょくちょく製作します。

新調したモニタスピーカを使いました

今回の作品を製作するにあたっての課題は、新調したモニタスピーカの使い勝手を確かめることでした。今まで使ってきた中古のモニタスピーカの音が最近ヘタってきたので、BOSEのComputer MusicMonitorを新調しました。


 » Computer MusicMonitorのカタログページ

モニタと名付けられただけあって、BOSEのスピーカにしては周波数特性がフラットです。小サイズなのであちこち誤魔化してるはずなんですけど。ソニーの業務用ヘッドフォンと聞き比べて違和感が少ないのがグッドです。

開封した直後はデタラメな音だったので、すわ初期不良かとがっかりしましたが。未練がましく聴いているといつのまにか正しい音で鳴るようになってました。手のひらに乗るサイズなのに輪郭のはっきり分かる迫力ある低音が驚愕的です。なので今回の作品は低音をがっつり攻めてみました。迫力が出ていますか?

BGM素材としてニコモンズに登録

こういう作品はBGM素材としてニコモンズに登録しています。
こうしておくと、これを他の人の動画の中で使ってもらえると、金が入る仕組みです。私が無名でも、有名なPさんの作品で素材として使ってもらえると、結構おこぼれがもらえます。年間で1万円ちょっとくらいになるでしょうか。毎月の会員料金を相殺する程度には儲かっています。強者はこれで食ってます。羨ましい。

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2015年01月11日

アバンナ-太陽のカーペット

アバンナがルネッサンスの『太陽のカーペット』を歌います。

英国のボーカロイド

アバンナ(Avanna)は英国のボーカロイドです。

ボーカロイドというのは歌を歌うシンセサイザでして……なんて説明も不要なほど日本では活躍しているボーカロイドですが。他の国では世界中全部合わせても数えるほど★ しか存在しません。

アバンナはそんな希少な外国産のボーカロイドの一人です。お聞きのとおり、甘いリリカルな歌声が持ち味です。今後も是非がんばってほしい、遠い日本から応援しています。

80年代のヒット曲

『太陽のカーペット』はルネッサンスというロックバンドの曲です。80年代に英国で大ヒットしました。曲の大部分をドミソの和音で乗りきってしまうという、なかなかに筋肉質な曲だったりします。

ボーカロイド専用のエフェクタを自作

ボーカロイドをまるで本当にヒトが歌っているように歌わせるには、パラメータを手描きでオートメーションするという、たいへんな重労働が必要です。私にはとても扱いきれないと当初から断念していて、エフェクタを組みあわせて同様の効果を表現することを試行錯誤してきました。前作のMEIKOの『麦の唄』から、自作したボーカロイド専用のエフェクタを導入しています。

手作業でボーカロイドを調整する代わりにエフェクタを使う利点は、ツマミ一つで全体の雰囲気を簡単に変えられることです。「もうちょっと強弱をつけて歌って」「もっとスタッカート気味にはきはきと歌って」など。

ボーカロイドの声にエコーをかけたりすると、それで雰囲気が変わって全体の調整が必要になることが多いので、個人的には手作業よりもエフェクタに軍配を上げます。

★ 他の国では世界中全部合わせても数えるほど
英国に嫁いでいった妹が向こうのニュースでボーカロイドを観たと言ってました。「気持ち悪かった」を眉をひそめてました。YouTubeでも同様にボーカロイドに難色を示す外人の反応が散見されます。国際的にはボーカロイドってそういう認識みたいですよ。日本国内でも蛇蝎のように嫌ってる人がいますし。ま、気にしないことです。

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2014年12月24日

ポケットサックス-クリスマス・イブ(山下達郎)

ポケットサックスで山下達郎のクリスマス・イブを演奏しました。

運指は動画を一旦停止して確認してください。
メロディの一部分しか掲載していませんが……繰りかえしの多い曲ですから、残りは耳コピーでなんとかしていただけると信じてます。

カラオケ音源を用意しました

ポケットサックス用のカラオケ音源を二コモンズに登録しました。
ダウンロードして使ってください↓
» クリスマス・イブのカラオケ音源

ポケットサックスの他にも、ソプラノリコーダやソプラノオカリナC管、アルトリコーダやアルトオカリナF管の伴奏として使えるでしょう。

尚、JASRACに著作権使用料を支払わなければならない関係から、このカラオケ音源をダウンロードするには、ニコニコ動画の有料会員になる必要があります。毎月400円くらいだったか。ニコニコ動画は日本のサブカルチャーを盛りたてるために本当にがんばっています。応援する意味でぜひ有料会員になってあげてください。

ハワイ生まれの玩具の笛

ポケットサックスは20世紀末にハワイで生まれた玩具の笛です。ともするとサックスみたいな音がするので”サックス”と名付けられましたが。実際はクラリネットに近いリード楽器です。

音は、本物のサックスと比べるとさすがにしょぼいですが。カラオケのエコーをかけるとかなりサックスっぽく?聞こえますよ。

それとできるだけ薄いリードを使うとよいです。私は今回はマーカ社の薄さ1.50の葦リードを使いました。これは同じ薄さの樹脂リードよりも更に派手な音がします。ただし雑に扱うとすぐに先割れしてダメになりますから、普段は樹脂リードで練習して本番の録音に葦リードを使う、みたいな運用をしています。

日本の景気回復に少しでも貢献できれば

この動画は当初は、てみる屋で販売しているスイスのウッドサックスを宣伝するために製作しました。

しかしながら今は不況の折。私だけが儲けるよりも日本全国のお店が儲かる方が日本の景気回復に貢献できるだろうと考えて、最終的にポケットサックスを宣伝することにしました。

Amazonや並行輸入業者など、ライバル店まで儲けさせてどうするんだ!?と呆れられそうですが。大丈夫、私も自分に呆れています。

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2014年12月04日

自動作曲-廃屋に記録されたモノ

幽霊はその場所や建物に焼きついた記録だ、という説があります。
Noatikl2による自動作曲。

今、個人レーベルが面白い

音楽CDの売り上げが低迷し有料配信も振るわず、かつての大手プロダクションが斜陽にある中、個人アーティストの経営する小さなレーベルが最高に面白いです。

成功しているレーベルの多くは、扱うジャンルを最小に絞ることによって★1 ほとんど誰にも興味を持ってもらえないけれど、必ず買ってくれるという熱烈なファンを一定数囲いこんでいます。

Cryo Chamberという個人レーベルがあります。
ダーク・アンビエントという、ホラー映画のBGMのような薄気味の悪い不健康な音楽ジャンルがありまして、Cryo Chamberはそれを専門に扱うレーベルです。私が超贔屓にしているレーベルです。

いやもうダーク・アンビエント大好き。ただ聴くだけでは我慢できなくて、自分でも血が凍るようなサウンドスケープを作ってみたいとたびたび挑戦しているのですが…なかなか。

勝手に延々と自動作曲する音楽ソフト

この手の音楽作品を製作するのに、Noatikl2が重宝します。

Noatikl2は一風変わった音楽ソフトです。ふつうの音楽ソフトのように一つずつ音符を打ちこんで曲を演奏させるのでなく、作曲のルールを打ちこむと、後は延々とNoatikl2が自動作曲します。

ソフトウェアのすることですから、そんなにいつも素晴らしい作曲をするわけではありません。むしろ首をかしげるような駄作がほとんどです。それでも下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。何十回と繰りかえすうち、いつか(これは私は思いつかない!)という宝石のような曲が表れます。

何十回も似たようなつまらない曲を聴きつづけるのは退屈でしんどいですね。でもそれは誰にでもできることです。Noatikl2は音楽を作曲するといういささか神がかった領域の仕業を、炊事洗濯のようなありふれた繰りかえし作業に置きかえてしまいます。Noatikl2は素晴らしい音楽ソフトです。
» Noatikl2のメーカーサイト

★1 扱うジャンルを最小に絞る
大勢を追わず、少数の人に鋭く訴求し確実に売り上げに繋ぐという考え方。昭和時代はマスマーケティング花盛りでしたが、今のビジネス書を読むとこのような、客のターゲットを狭く絞るマーケティングが主流です。

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2014年11月15日

MEIKO-麦の唄-中島みゆき

VOCALOID(ボーカロイド)は歌を歌うシンセサイザです。
VOCALOIDのMEIKOに中島みゆきの『麦の唄』を歌ってもらいました。

祝!歌手デビュー10周年

MEIKOはVOCALOIDの古株です。

昭和の趣き漂う熟れた女……って平成生まれのピッチピチギャル(古)なんですけどね。でも彼女がスタイリッシュなカフェでくつろいでいる姿をどうしても想像できません。残業明けのサラリーマンで混雑する居酒屋で生ビールの大ジョッキをどんと置いて野菜炒め定食をがっついてる印象です。

今年はMEIKOが歌手デビューして(発売されて)10周年とのこと……もう10年になるのですね。

今ではほとんど毎月のペースで、いろんなメーカーから新人ボーカロイドがデビューしている状況ですが。MEIKOには昭和ポップス・演歌の女王としてずっと君臨して欲しいと思います。
» MEIKOのメーカーサイト

VOCALOID専用エフェクタがグッド

VOCALOIDはメロディと歌詞を打ち込んだだけでは、のっぺりした独特の歌い方をします。本当に人が歌っているように歌わせるには「各種パラメータを手描きでオートメーションする」という大変な重労働が必要です。ふつうの人は根気が続かず挫折してしまうレベルの苦行です。

今回はVOCALOID専用のエフェクタを採用して作業を省きました。

tmryVoiceExpressionerはVOCALOIDの声にアーティキュレーションと抑揚を付加します。tmryVoiceSelectorはVOCALOIDの各種パラメータを擬似的に制御します。

……何を言ってるか分からないでしょうけど。同じ事を人の手でやると10日とか半月とかかかる作業だ、と言えばこれらのエフェクタのすごさを分かってもらえるでしょうか。

所詮、機械のすることですから、どうしても雑な感じになります。それでも5~6時間でここまで完成するなら立派な物でしょう。

どうしても気になる箇所は、そこだけ手で修正すればいいだけのことですし。

「品質はそこそこでいいから短時間で仕上げなければならない」という、仕事でVOCALOIDを使っている人が重宝しそうです。

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2014年10月19日

自動作曲-アンビエント-夜明け前に僕は街を発った

学生時代から慣れ親しんだ街を出て今日から僕は新しい都会で生きていく。
Noatikl2による自動作曲。

延々と音楽を生成し続けるソフトウェア

Noatikl2は一風変わった音楽ソフトです。
よくある音楽ソフトのように音符を一つずつ打ちこんで演奏させるのではなく、ユーザは作曲ルールを打ちこんで、Noatikl2はそのルールに従って延々と自動作曲します。

ふつうの音楽ソフトでは作曲するのはユーザです。
しかしながらNoatikl2では、Noatikl2が作曲します。作曲ルールを決めたのはユーザですから、Noatikl2は概ねユーザの意向に沿った作曲をしますが。けっこう頻繁に予想外の作曲をしてくれます。
» Noatikl2のメーカーサイト

100回ほどリテイクしました

所詮、心ないソフトウェアの仕事です。
毎度毎度そんな素晴らしい作曲をするわけではありません。むしろがっかりするような駄作であることが大半です。

今回は100回ほど作曲させたでしょうか……
その中でいちばん面白い曲を正式に採用しました。辛抱強くねばった甲斐がありました。私ではこんな面白いコード進行を思いつきません。

下手な鉄砲も数打ちゃ当たる式に、Noatikl2を使うことによって、自分の創造力の限界を超えた音楽作品を生みだすことが可能になります。100回も作曲させてそれらを一つずつ試聴するのは、そりゃもうしんどい作業でしたが。でもそれは、根気さえあれば誰でもできることです。

音楽的センスやスキルといった、いささか神がかった領域の仕業を、炊事洗濯のようなありふれた繰りかえし作業に置きかえてしまう。やっぱりNoatikl2は素晴らしい音楽ソフトです。

スクリプトでストラテジックな演出を

ルールに基づく自動作曲は、一本調子というか、どうしても変化に乏しいメリハリのない曲になりがちです。「中程は音数を減らして抑えぎみにして、後半は派手に盛りあげる」みたいな、全体を見渡して計画的な演出をつけることが苦手です。

Noatikl2では、Luaという言語でスクリプトを書くことができます。
今回は「15小節目でパッドが参加する」「25小節目でリードとサイドギターと低音のパッドが参加する」というスクリプトを書きました。聞いていると、曲が進むにつれてだんだん音数が増えていってるでしょう。

このようにスクリプトを書くことで、曲の途中で楽器編成を変えたり調やリズムを変えたりなど、ストラテジックな演出をすることができます。

tmryLocater超便利!

tmryLocaterは私が自作したVSTエフェクタです。
音の定位を決める専門のエフェクタでして、手前味噌でなんですが超便利です。「パッドはもう少し左右に広がって」「ベースはもう少し手前に来て、サイドギターはずっと後ろに下がって」「リードは少し音を小さめに」などと、すいすい音の定位を決めることができます。

音楽を聴いているとき、それぞれの音がどこで鳴っているように聞こえるか、というのを「音の定位」と言います。音の定位は、今回のような専門のエフェクタを使わなくても、複数のエフェクタを組みあわせて表現することができます。以前このブログで、音の定位について、数回に渡って連載し説明しました。詳細に説明したつもりですが……内容が膨らんで、むしろよく分からなくなってしまったかもしれません。

奥行きと広がりのあるシネマチックな音楽作品を製作するために、音の定位を理解し操作することは必須です。なので今一度、分かりやすく説明するために、専用のエフェクタを製作してみました。これなら数ページに渡って延々と説明した話が「このツマミを回すとこうなります」という、具体的な短い説明で済んでしまいます。

つまりtmryLocaterは教材として用意したエフェクタなんですが。
試しに自分で使ってみたらすっごい便利でした。
ぜひお勧めのエフェクタです。
» tmryLocaterのダウンロードはこちら

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2014年09月17日

木製のフルート-『少女リディア-FF4』

西欧の木製のフルートでファイナルファンタジー4の『少女リディア』を演奏しました。

西欧に古くから伝わる素朴な笛

フルートの先祖は源はインドの横笛だそうですよ。
そもそも”フルート”という言葉は漠然と”笛”を指す言葉でして、インドから横笛が伝えられたとき、当時の西欧にはリコーダのように縦に構える笛しかなかったので、わざわざ”横向きに吹くフルート”と呼んでいたそうです。

それがルネサンス時代あたりから人気急上昇して、今ではフルートといえば、オーケストラで活躍する金属製のモダンフルートを指すようになりました。

最新のテクノロジーで製作された機械仕掛けのフルートに押されて、木で出来た旧式の笛はオーケストラのお払い箱になっていきましたが。今でも健在、アイルランドなどで盛んに演奏されています。

楽器は左右対称に配置する

ここからはDTM(パソコン音楽)の話。
みなさんは音楽作品を製作するとき、各楽器をどのように配置していますか。
昔はステージ演奏を彷彿とさせるように、左隅にピアノ、ベース、真ん中にドラムとボーカル、右端に2本のギターといった配置をしていましたが。最近は、何もかも中央に揃えて配置するのが主流なのだそうです。

これはまったく商業的な理由によります。
街の有線放送で片手間に聞いて楽しめるように、スマホ本体のスピーカーで再生しても新曲の雰囲気が伝わるように。要はモノラルスピーカーで再生しても、最悪、左右どちらかの音しか再生されなくても、それなりにいい感じに聞きこえるように構成するのだそうです。

すべての楽器を中央に揃えるといっても、何の工夫もなく中央に集めてしまうとほんとうにモノラル録音のようになってしまいますし、お互いの音が邪魔しあって聞きにくい作品にもなります。だから、ボーカルは文句なく中央に置くとして、他の楽器は左右対称に配置すると言えばいいのでしょうか。確かに中央に揃えるのですが、ボーカルの邪魔をしないように、あの手この手で左右両脇に避けて中央を空けます。

わかりやすい例でギターを説明しましょう。
チャカチャカとリズムを刻む2本のギターを、それぞれ右と左に配置します。こうするとギターパート全体としては中央揃えですが、大きく両端に避けているので、ボーカルの邪魔をしません。
他の楽器も大凡以下のようなやり方で、中央に揃えつつ左右に音を避けてボーカルの邪魔をしないようにします。

ギター
上で説明したとおり。2本あるならそれぞれを左と右に配置する。1本しかない場合は、左右に同じ音を配置して、どちらか片方に32~16分音符くらいのディレイをかける。これで擬似的に2本のギターで弾いているような効果を得る。
ピアノ
ステレオマイクで録音して、左側から低音が、右側から高音が聞こえるようにする。シンセ音源でもそんな風な音を出す物がある。モノラル音源の場合は、左右どちらかの音に256~128分音符くらいの非常にディレイをかける。これで左右に広がったような効果を得る。
ドラム
バスドラムを中央に配置し、他のスネア、ハイハット、シンバル、タムなどを左右にずらっと並べる。
ベース
低音ってどこで鳴ってるかはっきり聞き取れないので、そのまま中央に配置する。ボーカルの邪魔をするようなら、ピアノ方式で、左右どちらかの音に256~128分音符くらいの非常にディレイをかける。これで左右に広がったような効果を得る。
パッド
ピアノ方式か、コーラスをかけて左右に広げる
シーケンサ
チャカポコと細かいリムを刻むコンピュータ演奏のアルペジオは左右どちらかの音に8~4分音符くらいのディレイをかける。これで音がめまぐるしく左右に飛ぶ効果を得る。
ボーカル
ボーカルはなんの細工もなくど真ん中。でもモノラル録音だと頭の中で鳴っているような音に聞こえるので、いやならピアノ方式かリバーブをかけてステレオ感を出す。尚、サブメロディや合唱パートはギター方式やピアノ方式で左右に音を避けることがある。

Channel Toolsで音の左右幅を変える

因みに上記のようにすると音が完全に左右両極端に広がってしまいます。
そこまで極端ではなくて、もう少し内側に寄ってほしいときは、SONARなら付属のChannel Toolsを使います。

これで例えばシーケンサはいちばん両端に、ギターがその内側にあって、ピアノが更にその内側で、ボーカルが真ん中。みたいに両端から中央までまんべんなく楽器を広げることができます。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 横笛の販売は世界楽器てみる屋ネコでも鳴らせる横笛です

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