インディアンフルート-The Old Rambler
インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。
アイルランド民謡の『The Old Rambler』を吹いてみました
世界でいちばん易しい笛
北米インディアンの伝説では、最初にインディアンフルートを吹いたのは、若い猟師でした。そのような縁起が表すように、インディアンフルートはプロ演奏家の御用達ではなく、そもそもは素人向けの楽器です。初めての人が手に取っていきなり吹いてもそれらしい演奏ができるように、さまざまな工夫が凝らされています。インディアンフルートは世界でいちばん易しい笛です。
反面、インディアンフルートはドレミファソラシドの音がぜんぶ揃っていなかったり、音域も1オクターブしかなかったりで、ふつうの曲が吹けません。試しにあなたがちょっと考えて思いつくような曲は、どれも吹けないと考えて間違いありません。
他の楽器店を見回すと、1オクターブだけでもなんとか演奏できる曲を世界中からかき集めて、楽譜集を製作して、さもインディアンフルートで何でも吹けるかのように装って販売していますけど。それは何か法律に引っかかるわけではありませんが、倫理的にどうなのかな、商人として良心が痛まないのかなと、端から見ていて思いますけど。
ふつうの曲が吹けるダイアトニックフルート
ダイアトニックフルートは、インディアンフルートでふつうの曲が吹けるようにと、西洋ドレミ音階に調律して音域も広げた改造フルートです。
音階をドレミファソラシドにするのは、そのように指穴を開ければいいので簡単です。しかし音域を広げるのが難しいらしい。2オクターブ目の音階がどうしても調子っぱずれになります。これは根本的にインディアンフルートの構造に限界があるようで、ダイアトニックフルートを製作する工房は僅かで、それも1オクターブしか保証しない品質がほとんどです。
珍しい楽器を販売するてみる屋としては、只のインディアンフルート★ でないダイアトニックフルートは、重要な商品です。今までもダイアトニックフルートを販売してきましたが……製作してくれていた工房が倒産したり、「もうインディアンフルートを製作しないぞ」と言いだしたり、不孝続きで、今現在はダイアトニックフルートの在庫はありません。
広い音域のダイアトニックフルートを製作できる工房をずっと探していて、6月6日に紹介したシンギングツリー工房の試作品がやっと完成しました。キーはG,F#,Fの3種類で、下のような音がします。
Audio Player
因みに上の動画を演奏したのはFキーの笛です。
ダイアトニックフルートを来年始に新発売
シンギングツリー工房のダイアトニックフルートはもちろん西洋ドレミ音階で、音域は1オクターブ半を保証しています。実際は多くの品で2オクターブを演奏できるのですが「2オクターブを保証する」とはさすがに明言できません。工房が作り慣れて研究が進むと、そこは改善されるだろうと期待しています。
シンギングツリー工房のダイアトニックフルートは、来年始には新発売できそうです。キーはG,F#,Fの3種類を用意します。販売価格はふつうのインディアンフルートと同程度になるでしょう。今、工房と外観のデザインを煮詰めているところです。ぜひご期待ください。
★ 只のインディアンフルート
最近は都会のちょっと大きな楽器店であればインディアンフルートを販売していますよ。工場で大量生産しているので、品質は安定していて低価格です。(みんなが持ってる笛でいいや)という人には、こんなで申し分ないでしょう。
ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』
楽器があればもっと楽しい毎日
» インディアンフルートの販売は世界楽器てみる屋 ―日本に通じる音色―