-- 楽譜置き場・試聴室(4) --

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10

2014年08月29日

インディアンフルート-ティナのテーマ(FF6)

インディアンフルートでファイナルファンタジー6の『ティナのテーマ』を演奏しました。

西洋ドレミ音階のインディアンフルート

インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。
少々がさつに息を吹きこんでも良い音で鳴ってくれる、適当に指を動かしてもなんだか曲っぽく聞こえてくれるという、即興演奏向きの易しい笛です。反面、音域が1オクターブしかなかったりドレミファソラシドがぜんぶ揃っていなかったりで、ふつうに曲を吹くことが難しい。

インディアンフルートでふつうに曲を吹けるようにと改造したのがダイアトニック・フルート(ドレミフルート)です。

動画で私が演奏しているのは北米アーストーン工房のダイアトニック・フルートです。音階を西洋のドレミ音階に調律して、音域もほぼ2オクターブまで広げています。『ティナのテーマ』は音域が広いので、ふつうのインディアンフルートでは演奏できませんし、ダイアトニック・フルートでもかなりスペックの高い物でないと演奏できないでしょう。

IRでシンセの音が生録したような臨場感に

今回の曲ではゲームミュージックっぽいデジタルな音色を用いながらも、全体的にアコースティックな雰囲気にまとめるために、IR(インパルス・レスポンス)を多用しています。例えば中央でタララン!と鳴っているスネアドラムの音は、少し遠くに聞こえるというか、実際に叩いたスネアドラムを録音した風に聞こえます。スネアドラムはドラムシンセの音なので、もちろん叩いたりマイクで録音するようなことはしていないのですが。

IRはリバーブの一種です。
一言でリバーブといってもいろんな方式があって、IRは、本物のホールやスタジオで記録した残響データ★ を使います。なのでほんとうにそのホールで演奏して録音したかのような臨場感を得ることができます。有名なホールやスタジオの残響データは高額で売買されていますが、お試し版やフリーの残響データもけっこういい雰囲気を出してくれます。

シンセの音はどうしても綺麗すぎるので、IRに通して生楽器のような雰囲気に加工することをよくします。軽音の部室でマイクを立てて録音したような粗悪?な音質がお気に入りです。

★ 本物のホールやスタジオで記録した残響データ
ホールやスタジオで競技用のピストルを鳴らして、パーンという残響音を録音して使います。だから残響データといのは只のWAVデータで、プレイヤーで再生するとパーンという音が聞こえます。

ピストルの音は実は、人の耳で聞きとれないほど非常に短い音です。ピストルのパーンという音は実は、ピストルの音ではなくて、残響音がほとんどです。

IR方式のリバーブはこの残響データを解析して「ピストルの音がこんな風に残響するなら、楽器の音はこんな風に残響するはず」と計算し、楽器の音に残響音を追加します。

尚、今はピストルの音は使わなくて、電子的なパルス音を使うそうです。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年06月01日

初音ミク 『地上の星』-中島みゆき-プロジェクトX

初音ミクに中島みゆきの『地上の星』を歌わせました。

聴けば今でも血がたぎる

『地上の星』の説明はいらないでしょう。
2000年3月から5年間にわたって放送されたNHK特集『プロジェクトX~挑戦者たち~』のOPです。ドンドコと腹に響くパワフルなパーカッションからフェードインして、中島みゆきのしわがれ声が聞こえてくるともう、今でも血がたぎる、涙が出てくるというサラリーマンは多いようです。

なんというか……今も生き残っている大企業というのは、なにかしら大変な困難に行き当たり、それを乗り越えることができた企業ばかりなわけですよ。(乗り越えられなかった企業はとっくに倒産して忘れ去られてしまっているわけでして。)私はマキャベリズム的倫理観に基づいて、わりと政府や企業を信頼しています。だから近ごろ話題にのぼるワタミとかすき屋とかブラック企業は、ああ頭が悪いんだなと理解しています。

そういえば、初音ミクの開発も歴史に残るプロジェクトだと思うのですが。どうでしょう。

楽譜とMIDIファイルがあれば楽できる

私が製作する初音ミクの作品には、80年代~90年代のフォークやJ-POPが多いです。私が日本製の音楽をいちばん聴いていた年代だった、というのもありますが。

むしろ単純に、古い有名な曲って楽譜とMIDIファイルが用意されている、という理由が大きいです。CDやYouTubeの曲しか手元になくても、Band-in-a-Boxを駆使すればMIDIデータを製作できるのですが。それは6時間~半日かかる辛い作業になります。それを500円程度で無しにできるっていうのですから、支払わない手はありません。

最初は楽をしたいだけだった

『初音ミク』はクリプトン・フューチャー・メディア社が発売している、歌を歌うシンセサイザです。音符を打ちこみ歌詞を入力すると、そのとおりに初音ミクが歌います。
» 初音ミクの販売サイト

ただし単純に音符と歌詞を入力しただけだと、のっぺりした独特のボーカロイド声で歌います。

それをまるで人が歌っているように生き生きと歌わせるには、曲に合わせてミリ秒単位で変化するミクの声の強弱を、折れ線グラフで手描きしてやる必要があります。

オートメーションというこの作業は、たいへん根気の要る神経を使う重労働で、多くの人は耐えられず、挫折します。

私が実践しているのは、オートメーションに依らずミクを歌わせるもう一つの方法です。曲のテンポから電卓を叩いていくつかの基礎数値を算出し、エンベロープフォロワと2つのコンプレッサのツマミを調整して、リアルタイムにミクの歌声を制御します。

今回はずいぶん早く完成しました、6~7時間くらいでしょうか。
昼ご飯を食べ終えて「それでは」と始めて、外が暗くなる頃には完成していました。

とにかく楽をしたい。面倒な作業なしに早く作品を完成させたい。そんな一心で始めたプロジェクトです。当初はとにかく短時間でミクを歌わせることができるのが売りでしたが。最近では品質も相当なレベルに到達しているでしょう。そろそろほんとうに人が歌っているレベルだと思ってますけど。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年05月24日

ヨーロッパの口琴-Utps Vatsfjorden Ps Ein Plankji

ハンガリーのレガトール社の口琴です。
ノルウェーのダンス曲『Utps Vatsfjorden Ps Ein Plankji』を吹いてみました。

鉄や竹で出来た小さな楽器

口琴は日本を含むアジア・ヨーロッパ全域で見かける小さな楽器です。
鉄や竹など、弾力のある素材で出来ていて、外側のフレームを前歯に押しつけ、中心のバネを弾いて鳴らします。

バネの音はずっと同じ音なのですが、口の中をいろいろ動かすと、驚くほど音色が変化します。マイク・アンプを通すと意外に電気的な音になります。80年代のアナログシンセサイザみたい。「ウィーアー、イエローマジック、オーケストラ」とロボット声でしゃべったり(古い!)、動画のようにメロディを演奏したりもできます。

音色を徹底的に操作するこの口琴という楽器は、他に類のない珍しい楽器だといえます。楽器といえばふつうは、リズムとピッチを重要視して演奏するものでしょう。もちろん音色も重要な要素ではありますが…だからといって積極的にどうこうするようなことはありません。

吹いて演奏する楽器です

西欧では、口琴は吹いて演奏する楽器です。
例えば動画の、フレーズの頭のガガガという三連符は、指を往復させて3回バネを弾くのではなく、素早く2回ハハッと息を吐いて音を区切っています。★ 口琴のバネを前方に弾いて演奏していると、やりすぎてボキッとよく折ります。多分それを避ける意味もあるのでしょう。西欧ではビン、ビン、ビンと大きなリズムでバネを弾いて、細かいリズムはハッ、ハッ、ハハッという感じに呼吸で刻みます。

昔取った杵柄、演奏してみました

私は昔、口琴にハマって四六時中吹いていましたが。最近はぱったりです。そんなに売れる楽器でもないので、ほったらかしです。それでもたまに買いに来たお客さんと話していると、なんとなく自分もやってみたくなって、せっかくですから演奏して動画にしてYouTubeに投函しました。

★ 息を吐いて音を区切る
バネを弾くのと同じタイミングでハッと息を吐いて1回。予備動作としてハッと息を吸って2回。間髪を入れず再びハッと息を吐いて3回。これですばやい三連符が完成します。ただし演奏者としては、息を吸う動作は意識していなくて、バネを弾くのと同じタイミングで素早く2回ハハッ、と息を吐く感覚です。

友だちが寒いギャグをかましたときに「ハハン」と鼻で笑うでしょう。あんな感じ。「ハハン」「ハハン」とやってみてください。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年05月02日

初音ミク-夢をあきらめないで

初音ミクに『夢をあきらめないで』を歌わせました。

世代を超えたヒット曲

『夢をあきらめないで』は90年代にヒットした岡村孝子の応援ソングです(岡村本人は失恋ソングのつもりだったとのこと)。凛としたまっすぐな歌詞の内容からTVで使われることが多い。今の若い人でも知っているでしょう、世代を超えて愛されるスタンダード・ナンバーです。

ミクはこのような曲にぴったり

初音ミクはまさに、このようなポップス曲にぴったりのボーカロイドです。

ミクの声は典型的なアイドル声です。
アイドル――大手プロダクションが次々に送りだす商品としての歌手。誰も彼もがステージの上で似たような笑顔を振りまき、似たような声できらきら歌う……彼ら彼女らこそボーカロイドだと思うのですが。

それはさておき、ミクの没個性的なアイドル声は、逆に積極的に嫌われることもないため、結果として標準偏差のボリュームゾーン――大衆に支持されることになります。2007年にミクが誕生して以来、これまで多くの後発ボーカロイドが発表されながら、今なおミクがボーカロイドの代名詞として君臨し続けているのは、そのような事情があると憶測していますけど、どうでしょう?

オートメーションせずミクを調教

ミクに歌詞と音符を打ちこむと、ミクはそのとおりに歌を歌いますが。
ただ打ちこんだだけではのっぺりしたロボットみたいな歌い方をします。ミクを生き生きと歌わせるには、『オートメーション』という手作業が必要で、これが神経を使うたいへんな重労働です。ふつうの人なら根気が続かず途中で投げだすでしょう。私は投げだしました。

オートメーション作業を回避しつつ、ミクを生き生きと歌わせたい。
現状としてエンベロープフォロワと2つのコンプレッサ、それと自作のJavascriptプログラムを組みあわせて、ほぼ期待通りの成果を上げています。とにかく短時間でミクの調教が完了するため、当初はそこを売りにしていましたが、そろそろ人が歌っているレベルになりました。

エフェクタやプログラムの仕事ぶりは、心はこもっていませんが、徹底的です。指示されたパラメータやアルゴリズムに従って一音一音をすべてもらさず加工し尽くします。上の動画のミクと同じ歌い方を、従来のオートメーションで表現しようとすると、きっと大変なことになるはずです。

まあなんだ……
そもそもこんなミクの歌唱スタイルがどれほど需要あるのかね?、という方がずっと問題なのですがね。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年04月16日

マウスボウ(口弓)の演奏

口琴とディジュリドゥとビリンバウのような音、と評判のマウスボウです!
…これらの楽器がそもそも無名なので説明になっていない気がしますが。

世界最古の弦楽器は弓

世界最古の弦楽器は弓です。
そもそも弓は、梓弓のように祭事に用いる楽器が元々で、後になって矢をつがえて飛ばす武器に転用された、という説があるほどです。

大昔、マウスボウ(口弓)・ミュージカルボウ(楽弓)は世界中で普遍的に演奏されていたようですが、素朴すぎて大した演奏ができないため、後発のハープに取って代わられ、今ではほとんど残っていません。

弓は、単純にビンビンと指で弾くほか、端を口でくわえて細い棒で叩いたりします。弓を鳴らしながら口の中をいろいろ動かすと、倍音が増幅されて笛のような不思議な音色が聞こえます。倍音をどのように共鳴させるかでいろいろ音が変わります。喉の奥に共鳴させるとロボットの声みたいに聞こえます。メロディらしきものを演奏したりもできます。

自作で十分いける

私が演奏したマウスボウは世界楽器てみる屋の商品ですから、それなりの見栄えですが。マウスボウは本来はただの弓です。

細い竹竿にギターやベースの金属弦を張って自作することができます。
設計図が必要なら、googleで"mouthbow"を画像検索すれば見つけることができるでしょう。っても石器時代の技術で作れる物ですから、ほんとうにいい加減に作っても何とかなりますよ。子どもたちの夏休み研究・工作にもってこいです。作るのが面倒なら、学校の弓道部の弓を口でくわえてホウキの柄でバシバシ叩いても同じ事ができます。

2本弦がお勧め

うちで販売しているマウスボウは、北米ハワイ州のダン・ゴッシが数十年にわたって改良し続けた入魂の品です。弦が1本のタイプと2本のタイプがあって、もし購入するなら2本のタイプが絶対にお勧めです。

弦が1本だと、倍音の並びが一つしかない★ ため音階が固定されてしまい、どうがんばっても、いつも同じような雰囲気の演奏になってしまいます。弦が2本あると、2本の音程を調節することによって倍音の並びがいろいろ変わるため、いろいろな音階を演奏して楽しむことができます。
» ダン・ゴッシのマウスボウ

★ 倍音の並びが一つしかない
楽器を叩いたり弾いたり吹いたりすると音が出ます。音は、誰でもはっきり聞き取れる基音(ルート)と、無数の甲高い倍音(オーバートーン)で出来ています。

この倍音の並び――音階はどんな楽器でも同じで、低い方から高い方へ順に「ド、ソ、ド、ミ、ソ、シb、ド、レ、ミ、ファ#、ソ、ラ、シ、シb、ド、…」です。トランペットなどラッパを演奏する人はもちろん知ってますよね。フルートなど笛を吹く人も何となく体感しているはずです。口琴の音階もこうなっています。

この倍音の並びは物理的・数理的に決まるものです。
例えば火星人や金星人がラッパを持っていたら、それはやっぱり地球と同じような音階のラッパです。火星人のラッパでも『突撃ラッパ』を吹くことができます。

そうでなくてもっと違う音階で演奏したい。
例えば西洋音階ドレミファソラシドで演奏したいと願うなら、ラッパだったら何らかの仕掛けで管の長さを変えるようにするとか。笛だったら指穴を開けて管の長さを変えるようにするとか。演奏しながら瞬時に倍音の並びを切り替える工夫が必要になります。

2本弦の口弓は、予め2本の弦の音程をいろいろ調整しておくことによって、いろいろな音階を演奏することができます。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年03月31日

アンビエント-熱帯雨林の大気

ヴァンゲリスっぽい音。NHK特集『循環する生命-大アマゾン』みたいな?Noatikl 2による自動演奏です。

タイトルは最後に決めました

私は最初からこの作品を製作するつもりではありませんでした。
取っかかりは、Noatikl 2に付いてくるサンプルパーツを弄りながら(こんな音が似合うかな)などとVSTiソフトウェアシンセサイザをとっかえひっかえしていて、そのうちに(熱い水蒸気の中にいるみたいな…熱帯雨林?)というキーワードが頭の中に浮かび、そのあたりで構想を決めて、作品として固めました。

私のスキルを越えた作品が生まれる可能性

通常のいわゆる音楽ソフトというのは、ユーザが一つ一つ音符データを入力する★1 ものです。「ここでブラスがドミソの和音でばあんと鳴って」「ドラムがタカタカタ!」みたいな。

音楽ソフトは毎回、ユーザが入力したとおりに忠実に演奏しますから、出来上がる作品は「私」というものに強く制限を受けます。早い話、私が思いつかないことは、決して私の作品には表れません。

一方で、Noatikl 2はメタレベルで作曲する音楽ソフトです。
「ドミソの和音でハモって」と入力する代わりに、「そもそもハモるとはどういうことか」というルールを入力します。そのため、ある程度までは私の意向が尊重されるものの、実際に演奏される結果は、私の予測がつかないものになります。良くも悪くもですね。「いくらなんでもそれはないわ-」とか「っとそこでそう来るか!」とか。

最終的に手で調整

Noatikl 2を使って作曲するとき、作曲者・演奏者というのはNoatikl 2であって、私はその一つ上の存在――監督とかプロデューサといった役になります。私は、Noatikl 2が演奏した結果を単なる素材として扱い、それの形を整え作品として仕上げます。

3分くらいの曲を製作するなら、余分に10分くらい演奏させて、その中でいちばん面白く聞こえる箇所を切り出します。場合によっては、伴奏がうるさい箇所の音符を間引いたりとかもします。ただ、あんまり手を入れると偶発的な面白さや驚きがなくなるので、手加減しながらです。少しくらい不備なところが残っている方が、アンビエント・ミュージックっぽく聞こえたりします。
» Noatikl 2のメーカーサイト

★1 一つ一つ音符データを入力する
最近は、エレキギターがチャラッチャ!と演奏するようなフレーズレベルで完成しているパーツを、たくさんぺたぺた貼って組み合わせて作曲する式の音楽ソフトがあります。これは一つ一つ音符データを入力するよりも格段に楽で、音楽に詳しくない人でも作品を製作できるという、優れものではあります。

それでも毎回、ユーザが指示したとおりに忠実に演奏することには変わりありません。「え、まさかそんな!」という驚きが発生する余地はありません。良くも悪くもですね。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2014年02月12日

北アメリカの竹笛-アロハ・オエ

竹笛でハワイ民謡『アロハ・オエ』を演奏しました。
運指は動画を一時停止して確認してください。

使用した楽器について

使用した楽器は北アメリカ・ジョージア州★1 のバンブー・アルケミー工房が製作した竹笛です。

デザインとしては、西洋に昔から伝わる素朴な6穴の横笛です。
ぜんぶ塞いだ指穴を下から開けていって順にドレミファソラシ。オクターブ高い音は、運指はそのまま強く息を吹いて鳴らします。これより分かりやすい運指はないでしょう。反面、半音を鳴らすのが難しいので、演奏しやすい調が3つほどに限定されてしまいます。

演奏について

今回、私は笛カポを使いました。
ト長調の曲をlowD管の笛で演奏しましたから、それはつまりどういうことかというと、いちばん上の指穴の音が常に半音下げになります。

笛カポというのは小さな穴の開いた革バンドでして、これでいちばん上の指穴を縛ると、指穴が小さくなった感じになって、音が半音下がります。

これでいろいろ工夫しなくても、ふつうに演奏しても常に半音低い音を鳴らすことができます。

笛カポは超便利なので私は愛用していますが、まあこれは自転車の補助輪のようなものです。きちんとした演奏者を目指すなら、こういうギミックに頼らず演奏できるようになりましょう。

曲の中で一カ所だけ、臨時記号の半音が出てきます。
これは仕方ない、がんばって指穴を半分だけ開けて表現しました。これがなかなか微妙な操作でして……それだから後発の笛は「正確に半音を鳴らせるように」「素早いトリルができるように」「いろいろ演奏しやすいように」と、指穴だらけ★2 になっています。

リリカルな曲にもBitterSweet

曲の仕上げ段階でFLUX社のBitterSweetをうっすらかけています。

BitterSweetは音の強弱の瞬間的な変化――トランシエントを強調するエフェクタです。ピンぼけぎみの画像にシャープネスをかけると鮮明に見えるのと同じ効果で、曲全体が引き締まって聞こえます。

特にギターやドラムなどの音がしゃっきりするので、ロックやポップにぴったりのエフェクタですが。このようなリリカルな曲にもうっすらかけると、窓ガラスの曇りを拭きとったような鮮明な印象になります。
» FLUX社のウェブサイト

★1 北アメリカ・ジョージア州
北アメリカで竹笛?と言われてもなんだかピンと来ませんが。国土の広大な北アメリカは、南部は温暖湿潤気候~亜熱帯気候に属するため、ふつうに竹がジャングルになっているという噂です。

★2 指穴だらけ
オーボエだったかクラリネットだったかは、23個も指穴が開いているそうですよ。もちろん人間の指ではぜんぶを塞ぐことができないので、金具とバネ仕掛けで完全に機械化しています。メンテナンスは演奏者は自分ではできなくて、定期的に専門の職人に依頼しなければならないという話。そのへん、映画『攻殻機動隊』の一シーンを思いだしました……

楽器があればもっと楽しい毎日
» 横笛の販売は世界楽器てみる屋ネコでも鳴らせる横笛です

2014年01月30日

インディアンフルート-風のとおり道

インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。
ジブリ映画『となりのトトロ』の曲『風のとおり道』を吹いてみました。
運指は動画の中に載せています。一旦停止しながら確認してください。

インディアンフルートで吹くのは難しい

こうして他人の演奏を聴くかぎり、なんともインディアンフルートにぴったりの曲ですが。総じてジブリの曲――久石譲さんの曲は臨時記号や転調を多用するため、音域が狭くて西洋音階でないインディアンフルートで演奏するのは難しいです。

今回は西洋音階に調律した特殊なインディアンフルートで吹きましたが。
それでも臨時記号の表現にシビアな運指を要求されした。よっぽど練習する覚悟のある人でないと勧められない曲です。

低音パートはPitchWheelで生成

曲中でフルートの音が2声の合奏になっている箇所は、PitchWheelというエフェクタで低音パートを生成しています。

私の場合、音楽作品を製作する上でいちばんたいへんなのは、私自身の楽器演奏です。練習して演奏するのにたいへんな時間がかかりますから、メインパートと低音パートの2回も録音するなんて、やってられません。なので簡単に低音パートを生成できるPitchWheelをたいへん重宝しています。PitchWheelの音はがさがさした汚い音ですが、伴奏とメインの笛の音でカバーして、なんとかごまかせています。

この手のエフェクタ――ピッチシフタはとても便利です。
PitchWheel自体は使い勝手に難がある★ ので勧めませんが、他のいい感じの製品を探すとよいです。
» とりあえずPitchWheelのメーカーサイト

★ 使い勝手に難がある
PitchWheelは横からMIDIの音符データを入力してコントロールします。PitchWheelに入力するMIDIの音符データは、C4を原点とする音程差の差分です。例えばC4より3半音低いA3の音を入れると、PitchWheelはオリジナルの音より常に短三度低い音(ドと低いラの関係の音)を鳴らします。

もちろん四六時中ドとラの関係で鳴されてはめちゃくちゃになりますから、コード進行に応じて「ここは長三度で、次は四度…」というふうに適切なMIDIデータを入力する必要があります。このようなMIDIデータを用意するのが、たいへんなのです。

私はというと、Band-in-a-Boxと自作のJavascriptプログラムで一瞬にMIDIデータを製作できますから「PitchWheelって便利だねっ」ということになっていますが。他の人はかなり苦労すると憶測します。何らかの工夫をするか、別のピッチシフタを探した方がいいと思います。

ピッチシフタというエフェクタ自体は、とても便利ですよ。

ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』

楽器があればもっと楽しい毎日
» インディアンフルートの販売は世界楽器てみる屋 ―日本に通じる音色―

2014年01月03日

初音ミク-ラ・ラ・ルウ-谷山浩子

オートメーションを手描きせずにミクを調教するプロジェクト。
声の雰囲気の異なる5人のミクたちが、交互に声を出すことによって一つのメロディを歌います。

初音ミクを手がける意味

私が演奏動画を製作してYouTubeやニコニコ動画に投函するのは、てみる屋で販売している楽器を宣伝するため、というのが第一です。そういう観点からすると、ミクの動画を投函しても直接にはお金に結びつかないので、趣味性の強い行為になるわけですが。短時間でほいほい作れるので、いろいろなアイデアや新しいエフェクタをちょいと試すのに便利です。

なによりもやっぱり、ミクを使うのが楽しいです。
人の歌声を一つの楽器と見なしたとき、これほど複雑な表現のできる楽器は他にありません。

初音ミクは、2007年の夏にチュートリアルの『しゃぼん玉』で挫折した以来の、6年越しのリベンジです。

ミクにただ音符と歌詞を入力しただけでは、べったりしたボーカロイド丸出しの歌い方をします。これをまるで人が歌っているように生き生きと歌わせるためには、パラメータをオートメーションするという、神経質で根気のいる長時間の手作業が必要になります。私を含む大勢の初心者が挫折するのは、まずはここでしょう。

6年を経た今、手持ちのありったけのエフェクタやソフトウェアを組みあわせて、煩わしいオートメーション作業を回避しつつも、短時間でミクを生き生きと歌わせることに成功しました。だいたい夕方からミクの調教を始めて夜半過ぎには完了します。★1 根気が尽きる前にミクを調教できるようになって、初めて私のミクの作品を製作できるようになりました。

オートメーションせずにミクを調教する方法については、本ブログの別カテゴリで説明連載中です。いくつかの原稿を書き進めているのですが、まだまだ研究段階なので、修正や補足が多くてなかなか発表できません。近々には発表したいです。

★1 夕方から始めて夜半過ぎに調教が完了
世間の調教師のレベルが分からないのですが…私としては相当に早いほうです。品質も既に平均レベルを越えていると自負しています。

私はミクの発音をレガートからスタッカートまで無限段階に区切ることができて、実際に一つ一つの発音を細かく区切っています。ってもJavascriptでMIDIデータを加工したり曲のテンポから逆算してエフェクタのツマミを調整するだけなので、数分で大枠の作業は完了してしまいます。私のミクと同じように歌うように、ふつうに人力で調教すると…きっと大変な作業量になるはず。

なんて得意げに開帳して見せたところで、興味を引けるのは一部のマニアだけですね。将来的にはもっとふつうの人が喜びそうな曲を製作するようにします。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

2013年10月01日

インディアンフルート 『スカボロー・フェア』

インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。
『スカボロー・フェア』を演奏しました。運指は動画の最後に載せてます。

超有名な英国民謡

「スカボローの市場に行くならよろしくと伝えてくれないか。昔あいつは俺の女だったんだ。」から始まる、世界的に有名な英国の民謡です。歌はその後、およそ現実味のない実現不可能な課題ばかり次々に並べ上げて「それが出来たならあいつは俺の元に戻ってきてくれるだろうか……」と嘆きます。(つまり元カノと縒りを戻すことは絶望的だという話。)

この歌が世界中に知れ渡ったのは、私はサイモン&ガーファンクルの功績だと思っていますが、その認識で合っているのでしょうか。彼らがスカボロー・フェアを演奏して以来、歌い出しのコードは7Sus以外考えられなくなりました。そのくらい印象的な演奏でした。

1コーラスは短かくて楽譜にすると小さな曲です。
しかし実際に歌ったり演奏したりするときは、歌詞に従ってコーラス毎にメロディを微妙に変化させるのが通例です。いろんな人の演奏を聴いて確認するといいでしょう。

北米インディアンの笛

演奏した楽器はインディアンフルートです。
インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。音域が1オクターブしかなく、ペンタトニックという特殊な音階にチューニングされているため、ふつうの曲をふつうに吹くことが難しいです。

スカボロー・フェアはがんばれば演奏できますけど、西洋のドレミ音階にチューニングした改造フルートを使えば楽ちんに演奏できます。これは北米のタヴェワ・ヤツェツィ工房が製作したドレミ音階のインディアンフルートです。指穴が7つあります。
» ドレミ音階のインディアンフルートについて

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10

みんなの掲示板

ご質問・お知らせなどがございましたら遠慮なくご投稿ください。

ユーティリティ

 

最近のトラックバック