-- 楽譜置き場・試聴室(5) --

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2013年08月17日

カンテレ-大きな古時計

カンテレは北欧フィンランドのお琴です。『大きな古時計』を演奏しました。

曲について

『大きな古時計』は北米の民謡です。
作曲者はHenry Clay Workで、原題は『My Grandfather's Clock』。メロディの著作権はとっくに失効していますが、「大きなのっぽの…」という日本語の歌詞の著作権はまだ有効ですから、人前で歌ったりネットにアップするときは気をつけてください。

楽器について

北欧フィンランドのお琴カンテレは、元はテーブルの上に置いてちまちまとフィンランドの民謡を伴奏する小さな民族楽器でした。私が演奏しているのはウィングカンテレという、20世紀末に現れた新しいカンテレです。肩から下げてギターのように弾きます。

カンテレはコード奏法という珍しい奏法で演奏します。
ふつうの弦楽器のように鳴らしたい弦を弾くのではなくて、鳴らしたくない弦を左手で抑えて、右手で何もかも一緒くたにじゃーんと弾きます。コード奏法は弦の本数が少ない原始的なハープに見られる、古い時代の奏法です。

コード奏法の他にも、カンテレはふつうのハープのようにも弾きます。現在ではそちらが主流のようです。

CurveEQとGlissEQ

CurveEQはVoxengo社のイコライザです。
プロの音楽作品の雰囲気を自分の音楽作品にコピーするという、強力な機能を持っています。

今回はエニグマのCD『グレゴリアン』の雰囲気をコピーしてみました。エニグマ独特の澄んだ空気感を真似できたと思っています。

総じてCurveEQの効果は強すぎるので、別のイコライザを後ろに差して、もこもこする低音やきんきんする高音を抑える必要があります。

私はGlissEQを好んで使っています。このイコライザは、フィルタの掛かり具合を自動的に調節する機能を持っています。例えばもこもこする低音を抑えていても、高音のシンバルがバシーンと鳴った瞬間に低音を少し大きくして、全体的なバランスを取ろうとします。

「低音を抑えたクリアでそれでいて決して軽くない…」みたいな美味しいとこ取りの音を作ることができます。
» CurveEQとGlissEQのメーカーサイト

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2013年08月03日

Brian Boru's March-MIDI打ち込み

『ブライアン・ボルー王のマーチ』をオールMIDI打ち込みでシンセサイザで演奏しました。

曲について

ブライアン・ボルーは11世紀のアイルランドの王様です。当時、アイルランドを我が物顔にしていた北方の蛮族――バイキングを国土から追いはらったという、歴史的な英雄です。

この曲『ブライアン・ボルー王のマーチ(Brian Boru's March)』は、敗戦濃厚で意気消沈していたとある部隊にブライアン王が駆けつけ、竪琴を弾いて兵士たちを鼓舞し、ついに敵を退けたという故事に因んでいます。

作品について

この曲はアイリッシュハープのソロで演奏されるものです。
簡単で繰りかえしが多く入門者に最適な練習曲です、が。パソコンに演奏させると、どうしても単調でつまらない演奏になります。少なくとも私の腕では、人が聞いておもしろい作品になりません。なのでいろいろ音を足して、イージーリスニング風に仕上げました。リリカルで愛らしくもヒロイックな雰囲気を表現できたと思っています。

実はほとんど打ちこんでません

この作品のジャンルは『MIDI打ち込み』になるのでしょうが。
実は、ほとんどMIDIデータは打ちこんでいません。『ブライアン・ボルー王のマーチ』はアイルランドでは有名な伝統曲ですから、楽譜もMIDI作品も、ネットでただで入手できます。主メロディは既存のMIDI作品のデータをそのまま流用しました。

伴奏はBand-in-a-Boxで作成しました。
Band-in-a-Boxはコード進行を入力すると、まるで人が演奏しているようなリアリティでドラム、ベース、ピアノやギターなどを自動演奏してくれます。
» Band-in-a-Boxのメーカーサイト

Band-in-a-Boxが作成したリアルな伴奏MIDIデータについて、全体的な強弱の調整など広範囲にわたる機械的な手作業は、JFilterで処理しました。JFilterはJavascriptで書いたプログラムを読みこませると、そのとおりにMIDIの音符データを加工します。人の手で半日かかる煩わしい退屈な作業を、ボタン一発で一瞬で完了します。
» JFilterの開発サイト

CurveEQというイコライザは、プロの音楽作品の雰囲気を自分の音楽作品にコピーすることができます。今回は作業しながら(なんだかエニグマっぽいな)と感じたので、エニグマの曲の雰囲気をコピーしてみました。どうでしょう、「エニグマのニューアルバムのボーナストラックです」と言われたら、信じそうですか?
» CurveEQのメーカーサイト

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2013年07月14日

鼻笛-Dream Riser

鼻笛は鼻息でふんふん鳴らす笛です。
オカリナのような口笛のような、意外に美しい音色です。プラスチックの鼻笛でアニメ『ガールズ&パンツァー』のオープニング『Dream Riser』を演奏しました。

鼻笛はこういうとき便利です

この歌は音域が中途半端で臨時の半音が多いので、私の手持ちで演奏できる民族楽器がありませんでした。こういうときに鼻笛は便利です。音域はほぼ3オクターブ、どんな半音でも出せますから、演奏できない曲がありません。

鼻笛は昨今は、プロ演奏家のモスリンさんや日本鼻笛協会(NHK)の方々が日々、鼻笛の普及に尽力しています。みんながんばっているのに私だけ何もせず、そのくせ鼻笛の売り上げは独り占め、というのがどうにも居心地が悪くて、久々に鼻笛の宣伝動画を製作しました。

今回は誰でも街の楽器店で簡単に入手できるボカリナを取り上げました。プラスチック製ですが、これでなかなか人前で演奏できる品質です。

日本は世界でいちばん鼻笛の盛んな国です。
クールジャパンなのです。みんなで素晴らしい日本を世界に発信しましょう。
» 鼻笛の販売はこちら

ユニゾンによる主メロの強化は必須

鼻笛の音は甲高くてキンキンしているので、あまり音量を上げられません。なので同じ主メロディをキーボードの音でユニゾンして、鼻笛の音を強化しました。サビの部分では更に左右に振った音を挿入して、バックコーラスのように仕立てています。

概して笛という楽器の音は、録音すると、耳が痛い割によく聞こえない、ということになりがちです。笛をメインに据えた曲を製作するときは、ユニゾンによる主メロの強化は必須です。

CurveEQでオリジナルの雰囲気をコピペ

CurveEQはVoxengo社のパラメトリックイコライザです。

これにはちょっと変わった機能があって、入力した曲の周波数分布を記憶して、別の曲の周波数分布をそれに合わせることができます。ものすごく平たく言うと、プロの曲が持つ雰囲気を自分の曲にコピペできる、ということです。

っても世の中そんなに甘くない。
これはアイデア倒れの使えない機能です。例外的に今回のように、楽器の数が多くて低音から高音まで隙間なく埋まっているような曲、いわゆるポップス系の曲は、よく雰囲気をコピーしてくれます。華やかで少し軽い、JPOP臭さをよく表現してくれました。
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» 鼻笛の販売は世界楽器てみる屋 ―鼻息が奏でる甘美な音色―

2013年06月11日

インディアンフルートとバグパイプ-スカイクロラ

北米インディアンの笛と電子バグパイプで映画『スカイ・クロラ』のメイン・テーマを演奏しました。

14拍子の不思議なメロディ

『スカイ・クロラ』は押井守のアニメーション映画です。
平和な時代に人々が求めたショーとしての戦争。どこかで誰かが戦い、死んでいくことを、安全な場所から観戦することでしか、平和を実感出来ない。それは絶対に終わらせてはいけない、そして嘘であってはいけないゲーム。”キルドレ”たちが命を懸けなければ、そのショーは成立しない……

音楽は押井さんといつもコンビを組む川井憲次。彼はこの『スカイ・クロラ』で第41回シッチェス・カタロニア国際映画祭の最優秀映画音楽賞を受賞しました。

私は押井さんの映画をよく観ますが、それは音楽を担当しているのが川井さんだから、というのがとても大きな理由だったりします。そのくらい川井さんの作風は好きで、今回、初めて彼の作品をカヴァーできて満足しています。

この曲は14拍子です。
ぱっと聞いただけでは気づかないほど自然なメロディではありますが、曲に合わせて拍子をとっていると途中で(あれ?)って感じになります。この妙な尺の合わなさが、この曲独特の浮遊感を醸すのに一役かっていると憶測しています。

楽譜からmidiファイルを生成しました

KAWAIのスコアメーカーという楽譜作成ソフトがありまして。
楽譜のデジタルスキャン画像やpdfファイルを解析して、midiファイルを生成することができます。

今回の作品はスコアメーカーを入手したからこそ、完成したようなものです。
ダウンロード販売していた楽譜(pdfファイル)を購入してスコアメーカーに読みこませ、midiファイルを生成しました。後はいつものとおり、Band-in-a-Boxを使ってmidiファイルからコード進行を逆算し、自動伴奏させました。アレンジとミックスダウンはSONAR X2を使いました。

スコアメーカーは今後も活躍してくれるでしょう。
いっそう製作期間を短縮して、たくさんの演奏動画をウェブにアップする所存です。
» スコアメーカーのメーカーサイト

使用した楽器について

木製の縦笛はインディアンフルートです。
北米インディアンに伝わる笛です。これでなかなかのハイテクです。他の笛にはないブレス・アブソーバを搭載していて、息の乱れを均してくれます。初心者が吹いてもそこそこきれいな音色で鳴ってくれるという優れものです。

インディアンフルートの本来の音階は、即興演奏しやすいように五音階になっていますが。今回演奏したのは西洋のドレミ音階に改造したインディアンフルートです。指穴が7つあります。
» ドレミ音階のインディアンフルートのカタログページ

ドラゴンの頭がついたヘンなのはバグパイプです。
バグパイプは革バッグにリード笛を取りつけた楽器です。息を吹きこんでバッグを膨らませて、バッグを締めつけて笛を鳴らします。これは本物ではなくて、バグパイプの形をしたシンセサイザ。今回はMIDIケーブルでパソコンに繋いで鳴らしました。
» 電子バグパイプのカタログページ

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2013年06月07日

カンテレ-赤い河の谷間

カンテレは北欧フィンランドのお琴です。赤い河の谷間を演奏しました。

カンテレの記事にコメントが入っていたので、久しぶりに引っぱりだして弾きました。カンテレは今のところ私が演奏できる唯一の弦楽器です。

独特の動きをする左手が攣りそうですが……慣れるとギターやハープよりもずっと簡単に曲を覚え演奏することができます。少なくとも私はギターでこの曲をこのように弾くことはできません。2~8倍ほど簡単★ です。

楽器はハードウェアとソフトウェアで楽器です

カンテレは、楽器本体は板にドレミファソラシドの弦を張っただけの、世界中で見かけるありふれた設計の弦楽器です。独特で個性的なのは演奏スタイルです。

だから私はカンテレとは、楽器本体ではなく演奏スタイルの名称だと理解しています。本国フィンランドの人が聞くと「はあ?」ってな理屈でしょうが。そのように理解しないと、カンテレのカンテレらしさというものをはっきり認識することができません。

ゲシュタルト心理学に基づいた錯覚・空耳を積極的に利用するトリッキーな演奏スタイル。演奏している本人すら(なんでこれで曲になって聞こえるんだ?)と狐につままれたような気分になってしまう。そんな摩訶不思議さを広めていきたい。

★ 2~8倍ほど簡単
初心者の練習時間に換算してそんな印象です。
つまり、初心者がギターで8日かかってマスターするレベルの演奏を、カンテレだと1日でマスターできるという。初心者が、という条件が重要です。ベテランであればどんな弦楽器の演奏者であれ、赤い河の谷間くらい即興で演奏できるでしょうから。

カンテレに肩入れする気持ちは分かるが8倍は言いすぎだろう、
と思われるかもしれませんが。そもそもギターって発音効率が悪いです。原則として、1つの音を鳴らすのに左右の指を1本ずつ計2本の指を必要とします。ハープなら2本の指で2つの音を鳴らせます。カンテレもハープに準じますが、体感として、更にその倍の音が鳴っているように錯覚させます。他にもいくつか理由があって、だいたい8倍ほど簡単だという評価になります。

もちろんいいことばかりではありません。
この世は等価交換。カンテレは11個の音しか出せませんし半音も出せません。ギターよりも表現力が圧倒的に低いです、きっと1/8くらい。

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2013年06月06日

Noatikl-アンビエント-雲の生まれる場所

アンビエント。世界の果てで雲を製造し続ける不思議な都市。
Noatiklによる自動演奏です。

アンビエント・ミュージックの御用達

Noatiklはアンビエント・ミュージックを製作するための音楽ソフトです。

ふつうの音楽ソフトのように一つずつ音符を入力するのでなく、演奏のルールを入力します。プレイボタンを押すと、こんな感じの曲を延々と演奏します。曲はルールに沿って毎回新しく自動生成するので、演奏する度に少しずつ違います。
» Noatiklのメーカーサイト

インダストリアル・ミュージックで重宝する

IndustrialTonesは工場の騒音を収集したVSTiソフトウェアシンセサイザです。

単発の音はそれだけ聞いてもドン、ガン、シューといった感じで魅力があるとは言いがたいですが。それらを組み合わせるとドガガシャアアアーンブッシューと、なかなかインダストリアルな音になります。
» IndustrialTonesのメーカーサイト

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2013年05月23日

ジェネレーティブ・ミュージック-Noatikl

環境音楽、アンビエント・ミュージックはNoatiklで製作できますよ。

ルールに従って延々と曲を演奏

下の動画はNoatiklという音楽ソフトで自動演奏したものです。
テーマはそうですねえ、アーティフィシャル・ライフ――コンピュータの中で息づく人工生命たちへの賛歌、とでもしておきましょうか。
» Noatiklのプロジェクトファイルです。参考にされてください。

Noatiklはちょっと変わった音楽ソフトです。
ふつうの音楽ソフトのように人が一つずつ音符を入力するのでなく、演奏のルールを入力してプレイボタンを押すと、ルールに従ってこんな感じの演奏をします。曲はNoatiklがルールに従って毎回新しく自動生成するため、プレイする度に少しずつ違います。

環境音楽、アンビエント・ミュージックという特殊な音楽ジャンルがあります。
きちんと聴くものではない、日常の中で聞き流すことを想定した……そういえば何か鳴ってたっけ?的な用途を想定した音楽です。はっきりした拍子やリズムがなかったり、曲によっては楽器の音が入ってなくて効果音だけだったり。もういっそ波の音や風鈴の音などを延々と録音したCDも出回ってたりします。

こういう音楽を製作するには、ふつうの音楽ソフトはちょっと不向きです。
Noatiklなど専用の音楽ソフトを使うと便利です。

NoatiklはKOANの後釜

ジェネレーティブ・ミュージック――演奏のルールやアルゴリズムによって音楽作品を自動生成しようという一連の試みとして、古今東西たくさんのコンピュータ・プログラムが書かれました。中には商品として販売されたソフトウェアもあります。

KOANは昔、ブライアン・イーノが使ったため脚光を浴びた、その筋では有名な音楽ソフトでしたが。残念ながら、2002年に会社が倒産?して絶版となりました。

Noatiklは、KOANの喪失を惜しんだ有志たちが新たに会社を立ち上げ、KOANの仕様をほぼ復元する形で完成させた音楽ソフトです。(NoatiklはKOANの古いプロジェクトファイルを読むことができます。)

まずはサンプル曲やパーツを聞いてみる

プレイボタンを押すだけでいくらでも曲を自動生成してくれるNoatiklですが。
音楽の知識や経験のない初心者には、いきなり使いこなすことは難しいでしょう。

音楽はなぜ音楽に聞こえるのか。でたらめな音の羅列ときちんとした曲の違いは何か。チンパンジーが鍵盤を叩いているのと名ピアニストの演奏はどこが違うのか。そういうことについて自分なりの解釈を持っていないと、Noatiklは徒にランダムな音を発生するだけでしょう。

ってもNoatiklには最初から半完成品パーツがたくさん用意されています。
それらを一つ一つ試聴するだけでも楽しめます。いくつか組み合わせるだけで、あっという間に自分の作品?が出来上がります。本腰を入れて演奏のルールをカスタマイズすれば、まさに自分だけのオリジナル作品を製作することができます。

Noatiklにはシンセサイザやエフェクタまで揃っています。使用説明書は英語です。一朝一夕にマスターできる音楽ソフトではありません。暇つぶしに半完成品パーツを突っつき回して、気がついたら作品が出来ていた……みたいなテンポでつきあうのが吉です。
» Noatiklのメーカーサイト

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2013年05月20日

エレクトリック・バグパイプ-The British Grenadiers

レッドパイプはドイツ、レッドパイプ社の電子バグパイプです。
英国の行進曲『ブリティッシュ・グレナディアース・マーチ』を演奏しました。

曲について

ブリティッシュ・グレナディアースは擲弾兵(手榴弾を扱う兵)の勇ましさを謳った英国の古い行進曲です。テレビアニメ『ガールズ&パンツァー』の中で使われて、友人からぜひ演ってみてくれと注文を受けました。

私は今までマーチを手がけたことがなく自信がなかったのですが、参考にとYouTubeの演奏動画を見るとピアノアレンジなど、聞けば英国の民族音楽にも聞こえます。んでそっちの路線にうまくアレンジすることができました。この芸風でよければマーチはいくらでもやれます。作品のレパートリーが増えました。苦手でも無理でも、チャレンジしてみるものです。

Era Medieval Legends

伴奏に使用した楽器のほとんどはEra Medieval Legendsの音です。

Era Medieval Legendsは西洋古楽の楽器を集めたソフトウェア音源です。この時代の楽器って、科学レベルも技術レベルも低いから、はっきり言って音が悪いです。私はリアルなオーケストラ音源を持っていないので、仕方なくこういう音源で代用していますが……長く使っているとこの、癖のあるモノっぽい音がやみつきになります。民族楽器の良さってそういうものだと思ってます。
» Era Medieval Legendsのメーカーサイト

サンプリング音源とJavascriptの合わせ技

小太鼓の音はどうですか、すごいリアルに聞こえませんか。
これは実際に小太鼓を叩いた音を録音してサンプリング音源として使っています。「ダララン!」「ダララララ……」という音も、実際にそのように叩いた音を録音して使っていますから、単発の「ダン!」という音を32分音符の連続で「ダ」「ダ」「ダ」「ダ」と表現するのとは、比較にならないほどリアルに聞こえます。

打楽器にはピッチがありませんから、ソフトウェア音源では、上で述べたような叩き方の異なる音をドレミファソラシドの鍵盤に割り当てることをよくします。ドを鳴らすと「タン」、レを鳴らすと「ダン!」、ミは「ズダダン!」、ファは「ダララララ…ダン!」みたいな感じです。

一方でこの音源を使う側としては、打楽器の叩き方のニュアンスによって、この音符はミ、この音符はド、…というふうに割り当てていきます。が、これって人が一つずつ手作業でやってたら大変なことになりますよ。少なくとも私はやりたくありません。

このような作業にはJFilterが超絶に便利です。
JFilterはJavascriptで書いたプログラムのとおりにMIDIの音符データを加工編集するmfxプラグインです。今回は小太鼓の叩き方の簡単な規則をプログラムして、音符データを加工しました。なかなかいい感じに仕上がったと思っています。プログラムはある程度は汎用性を考慮して作りましたから、今後に音楽作品を製作するときも、打楽器であればなんでも音符を加工できるでしょう。

人がやれば一日かかる作業をボタン一発で瞬時に完了してしまう。
JFilterほんとうに価値の高いプラグインです。ぜひ今後もメンテナンスを続けてほしいところです。
» JFilterのサポートサイト

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2013年04月29日

インディアンフルートとバグパイプ-Enya China Roses

北米インディアンに伝わる笛と電子バグパイプでエンヤの『チャイナ・ローゼス』を演奏しました。笛の運指については動画を一時停止しながらご確認ください。

インディアンフルートについて

演奏したインディアンフルートはドレミフルートという、西洋音階に調律した特殊なフルートです。指穴が7つあります。China Rosesは易しい曲なのでふつうのインディアンフルート★1 でも演奏できると思いますが。西洋の曲を演奏するなら、当然のことながら、西洋のドレミ音階に調律している笛で演奏するのが楽ちんです。

それとこの曲は後半に半音だけ高い音に移調します。
なので後半はキーが半音高い笛に取り替えて吹きました。西洋のクラシック音楽では同じ笛でがんばって半音を吹くのが流儀ですが、民族音楽ではこのように、曲の調に合わせて笛を取り替えることをよくやります。運指はいつも同じなので楽ちんです。
» ドレミ音階のインディアンフルートについて

バグパイプについて

演奏したバグパイプはレッドパイプという、ドイツ製のエレクトリック・バグパイプです。

バグパイプの形をしたシンセサイザです。これはいちばんシンプルな形の初期モデルです。黒とオレンジのいかにも作り物っぽい革バッグに、メロディを演奏するチャンター管が付いているだけという。しかしそれがいい。元々はプライベートで練習するように購入したのですが、意外に見栄え良さそうなので、試しに使ってみました。
» レッドパイプについて

ユニゾンを積極的に試しています

このところずっとユニゾンを使いこなす練習をしています。
たくさんの音を使う豪華絢爛なポップス作品を製作するには、ユニゾンを使いこなすことが重要だと考えています。ユニゾンして楽器のメロディラインをまとめ減らさないと、ごちゃごちゃと何をやっているか分からない状況に陥るでしょう。

ユニゾンとは「音の性質の強化」だと、私は理解しています。
例えばたくさんの伴奏楽器が鳴っている中で、笛だけが主メロディを演奏すると聞こえにくいので、ピアノやチェロ★2 でユニゾンしてして主メロディを強化しました。

またチェロが少し弱かったので、要所要素でコントラバスでユニゾンして低音を強化しました。

また伴奏しているピアノのアルペジオをはっきり聞かせるために、ハープシコードでユニゾンしてピアノのメロディラインを強化しました。

ユニゾンした音は……聞き分けられないようにこっそり鳴らして下支えするやり方もありますが、豪華絢爛にするならむしろはっきり聞こえてほしいところです。なので、ユニゾンの音は1/16拍~1/8拍ほどテンポディレイで遅らせて鳴らしました。

CurveEQを使ってみました

マスタバスに差すイコライザとしていつものGlissEQと、今回は新しくCurveEQを併用しました。

CurveEQはイコライザなんですが、ある曲の周波数特性を他の曲にコピーするという特殊機能を持っています。平たく言うと自分の音楽作品の雰囲気を、他の曲の雰囲気にそっくりにすることができます。

今回は本物のエンヤのChina Rosesの雰囲気をコピーして私の作品にペーストしました。どうでしょう、エンヤっぽく聞こえますか?

CurveEQの、曲の雰囲気をコピー&ペーストするという機能はアイデアとしては秀逸ですが、実際には内容の伴わない不完全な機能です。使える・使えないでいえば、使えないエフェクタです。でも私はこれをお金を払って買いました。限定的にでも使える状況はないかと、けち臭く模索しているところです。GlissEQだって、最初は使えないアイデア倒れのエフェクタだと判定してしばらく捨ててましたからね。案外CurveEQだって使えるかもです。
» CurveEQについて

★ ふつうのインディアンフルート
初心者がいきなり吹いても美しい音で鳴ってくれる。適当に指を動かしても曲っぽく聞こえてくれる。インディアンフルートはまるで魔法みたいな笛ですが。

最大の短所として、ふつうの曲が吹けません。音階はドレミファソラシドが全部揃っていませんし、音域は1オクターブしかありませんし。確かにアメイジング・グレイスやもののけ姫など、インディアンフルートで吹ける有名な曲がいくつかあります。また換え指や半穴開けしてがんばれば、なんとかドレミファソラシドを鳴らすこともできます。しかしそれで「ふつうの曲も吹けます!」と宣伝するのはどうでしょうか……やればできるというのと実用的であるのは別だと思いますね。実用的でないところは実用的でないと、はっきりお客さんに伝えた上で買ってもらうべきだと思いますね。

★ チェロ
厳密にはチェロの音ではなくて、ビオラ・ダ・ガンバという中世の古楽器です。外観はチェロそっくりですが、ギターのようにネックにフレットが付いています。チェロが熟女のような艶めかしい音色であるのに対して、ビオラ・ダ・ガンバは老婆のようにしわがれた音色です。私はチェロの音源を持っていないので仕方なく使っていましたが、最近はビオラ・ダ・ガンバの音が好きになりました。

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2013年04月25日

インディアンフルートと電子バグパイプ-FF6-仲間を求めて

北米インディアンの笛とエレクトリック・バグパイプでFINAL FANTASY 6の『仲間を求めて』を演奏しました。

トリプルオカリナは難しかった

この曲は全体を通して主メロディの音域が広いです。
なので最初は、私が持っているいちばん音域の広い楽器であるトリプルオカリナで演奏しました。

が、トリプルオカリナを録音したまではよかったのですが……耳が痛くて聞いていられません。

オカリナという笛はもともと倍音の少ないぼんやりした音です。なので単純に音を大きくしてもあまりよく聞こえません。かといってイコライザで倍音を強調すると、今度はメロディの高音域を演奏するときに耳がキンキンして痛いのです。マルチバンドコンプレッサなどいろいろ試してみましたが、ついに断念しました。私の今の力量ではトリプルオカリナをきれいに聞かせることができません……

代案として、インディアンフルートとレッドパイプで演奏して仕上げました。
この組み合わせは使いやすくて、最近はこればっかりです。まあ、どちらも商品として力を入れて売りこまなければならない楽器ですから、ちょうどいいところではあります。

マスタリングのEQ

プロのような音――市販のCDのような音を作る、というのが私が音楽作品を製作しはじめた当初からの課題です。

マスタリングに使うイコライザ――mp3ファイルを作成する直前にかけるイコライザとして、最近は私はGlissEQを使っています。

GlissEQは基本はパラメトリックイコライザですが、それぞれの曲線ピークが、周りの状況に合わせて動的に上下するという機能を持っています。

例えば曲の高音域を強調していたとして、パーンとシンバルが鳴ると、瞬間に高音域の音量を抑えて他の音域とバランスを取ろうとします。

同様の機能を持つエフェクタとしてマルチバンドコンプレッサがありますが、マルチバンドコンプレッサが限定された範囲内で音量の異常を補正するのに対して、GlissEQは全体のバランスをみながら補正します。それぞれに長所短所があります。マルチバンドコンプレッサは効き目が大きいですが、やり過ぎて結果が歪になることがあります。GlissEQはバランス良いのですが、今一つ効きが悪い、というケースがあります。

一時期は「使い物にならない!」と投げだしたGlissEQですが、だいぶ使い方のコツが分かってきました。結局、いつもこれでOK!みたいな万能な設定はないのですね。曲毎に耳で確認しながら調整するしかないのだと納得しました。
» GlissEQの通販ページはこちら

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