練習用バグパイプの吹き方教室、チューニング
学生のお落とし玉で買える練習用バグパイプです。
吹き方教室の第五回。チューニング★1 について。
3つの音をぴったり揃えること
チャンター管と2本のドローン管の音をぴったり揃える必要があります。
練習用バグパイプを鳴らしながら、試しにチャンター管でドの音を出してみてください。いちばん下の指穴だけ開けた音がドの音です。こうするとなんだか1つの音しか聞こえない――チャンター管の音がドローン管の音にまぎれてよく聞こえない、というようであれば、3つの音はぴったり揃っています。
3つの音はすぐに外れます。昨日せっかく揃えても今日は間違いなく外れています。どうかすると一曲吹きおわったらもう外れてる、ということさえあります。だからバグパイプを演奏する前には、必ず3つの音を揃えるようにします。
- 練習用バグパイプを鳴らしながら、チャンター管の上から4つの指穴(裏の指穴を含む)を左手で押さえます。これがファの音です。
- バスドローン管の先端を右手でちょいちょいと塞ぎます。何度かするとショックでバスドローン管が止まります。鳴っているのはチャンター管とテナードローン管だけになります。
- チャンター管はファの音で、テナードローン管はドの音です。ドとファできれいにハモるように、右手でテナードローン管の長さを調整します。
- 一旦、練習用バグパイプの音を止めて再び鳴らします。またバスドローン管が鳴りだします。
- テナードローン管はドの音で、バスドローン管は低いドの音です。ドとドできれいにハモるように、右手でバスドローン管の長さを調整します。
3本のパイプの音を揃えるのは真剣勝負、自分の耳だけが頼りです。複数の音が同時に鳴っていますから電子チューナーは役に立ちませんよ。3つの音がぴったり揃うと、なんだか1つの音しか鳴っていないように聞こえます。人によっては(薄っぺらい音?)と感じるかもしれません。「少しくらい音が外れてる方が重厚できれいに聞こえるね」と思うかもしれませんが。ここは3つの音をぴったり揃えてください。
3つの音がぴったり揃っていないと、お互いの音がヘンに干渉しあってバグパイプが音痴になります。YouTube動画やライブステージのバグパイプ演奏を聴いていて、なんだかすごい調子っぱずれに聞こえるときは、たいてい3つの音が揃っていません。「不精者」「耳が悪い」と評価されたくなければ、演奏する前にきちんと3つの音を揃えるように心がけましょう。
3つの音をぴったり揃えることができるかどうかは、ひとえに演奏者の耳のよさにかかっています。そういえばドローン管の音は、電子オルガンのようにまっすぐ一本調子に鳴らさないといけないのでした。そんなですからバグパイプを練習すると、そうとう耳が鍛えられますよ★2 。
らっきー。
★1 チューニング
ここで言うチューニングとは、チャンター管と2本のドローン管の音をぴったり揃えることを指します。所謂ふつうの楽器のように ”コンサートピッチにチューニングする” という意味ではありません。
そういう意味では、バグパイプはコンサートピッチにチューニングすることができません。気温が上がるとピッチが上がり、気温が下がるとピッチが下がります。ギターなどと合奏するときは、バグパイプのピッチに合わせてあげる必要があります。ピアノなどと合奏するときは……バグパイプがコンサートピッチになるまで演奏会場の気温を調節するしかありません。そのへんオカリナなど、他の民族楽器の笛も同じ苦労をしています。
★2 耳が鍛えられる
クラシック音楽界では絶対音感がもてはやされますが、バグパイプを練習していると相対音感が鍛えられます。「この音がドだとするとファの音はこんな感じかな……」みたいな。
大枠の話、民族音楽では絶対音感よりも相対音感が重要です。コンサートピッチ=440Hzなんてそれどこの法律?とガン無視、そもそも音階が西洋のドレミ音階になっていなかったりします。トルコでは1音を7分割して歌うそうですよ。半音ならぬ3/7音とか。これではなまじ絶対音感があると音痴にしか聞こえない、かえって弊害があります。
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