-- DTM・パソコン音楽全般 --
自分の思いどおりのエフェクタやシンセサイザが見つからないときはFlowStoneで自作できますよ、という話です。
電子工作感覚でソフトウェア開発
» FlowStoneのメーカーサイト
FlowStoneはGUIベースのソフトウェア開発環境です。
ウィンドウアプリの開発はもちろん、ロボットなどハードウェアを制御するソフトウェアや、特に音響処理ソフトウェアの開発に向いています。ざっと見渡した感じ、今流行りのネットワークゲームも開発できそうですよ。
FlowStoneを起動して、表示された広い作業画面にパーツを配置し結線すれば、電子工作感覚で素早くソフトウェアを開発することができます。パーツには加減乗除演算や三角関数演算の素子など基本的なパーツから、画面描画、HDDアクセス、ネットワーク通信など高レベルのパーツまで、使い勝手の良さそうな物が一通り揃っています。
エフェクタやシンセサイザの開発環境として秀逸
今回の話題に関して言えば、FlowStoneはVSTソフトウェア・エフェクタや、VSTiソフトウェア・シンセサイザの開発にも特に力を入れています。ぱっと思いつく限りのパーツ――アンプ、リバーブ、ディレイ、フィルタ、ウェーブオシレータ、エンベロープジェネレータなどなど、が最初から揃っています。
既存のパーツの組み合わせでは表現できそうにない、特殊な処理がどうしても必要なときは、エディタを開いてスクリプトを書くこともできます。図形描画やキーボード・マウス入力など複雑な処理はRubyで、マイクロ秒のスピードを求められる処理は専用の簡易言語やアセンブラで書きます。
残念ながらFlowStoneは画面も操作マニュアルも英語です。
なので英語が読めないと使いこなすことは難しいでしょう。それでもMicrosoftのC++開発環境を立ち上げて、さて……と取りかかるよりも、結果的にはずっと素早く学習できて、短時間で自分の思いどおりのエフェクタやシンセサイザを開発することができるはずです。下は私が自分のミク専用に開発したエフェクタ。
実際の作業にはFL Studioを使う
FlowStoneで開発したエフェクタやシンセを動作確認するには、dllにコンパイル・ビルドして音楽ソフトに登録し、実際に動かしてみる必要があります。コンパイル・ビルドにかかる時間は一瞬ですから気にならないのですが……その度いちいち音楽ソフトを再起動してdllを登録しなければならないのは、あまりに面倒くさい。
だから実際の開発には、FL Studioという音楽ソフトを使います。
FL Studioは、ガレージバンド系の音楽ソフト――いろんな楽器の音の断片をタイルのように繋いで作品を製作する系の音楽ソフトです。そしてなぜかFlowStoneを搭載しています。
» FL Studioのメーカーサイト
FL StudioからFlowStoneを起動してパーツを配置したり結線を変えたりすると、リアルタイムにFL Studioの音が変化します。どんな音になるか、逐一耳で聞きながら開発できるのですごく便利です。
エフェクタやシンセサイザを開発するなら、FL Studioを使うのが現実的でしょう。FL StudioはProducer以上のグレードの製品が必要です。Producerで3万円くらいでしたか。
しかしながら、FL Studioだけだと自分が製作したエフェクタやシンセサイザを使えるのは、自分だけになります。dllにコンパイル・ビルドして、フリーウェアとして配布したり商品として販売するなら、本家のFlowStoneも別に購入する必要があります。こうなると総額で6万円を超える出費になります……そこまでして自作するの?という話になります。
ダウンロードするか買う方が安上がり
何というか……自分が思いつく程度のことは、誰かが思いついて既に実現しているものなのですよ。
エフェクタもシンセサイザも、今ではフリーウェアや製品版が山ほど出回っています。だから自作する前に自分の欲しい物がほんとうにないかどうか、今一度、真剣に探してみることをお勧めします。フリーウェアが見つかったらそれこそラッキーですし。
» フリーのエフェクタやシンセの総合サイト
たとえ製品版でも、自作するより買った方が結果的に安上がりです。
例えばコンプレッサを自作するのに6時間ほどかかったとします。もしあなたがサラリーマンで時給2,000円なら、そのコンプレッサには16,000円の原価がかかったことになります。16,000円……今時コンプレッサなんてフリーウェアが山ほど出回っていますし、多機能な製品版だってもうすこし安価ですよ。これならむしろ、ちょと会社で残業して、残業代で購入した方がお得です。
ホビーとして勉強として
何でも金で買える今の世の中、手作りってほんとうにお金がかかります。
エフェクタやシンセサイザを自作するのは、ほんとうにもう自作するしか手がない、というときの最後の手段です。もし既製品があるならそれを買った方が絶対に安上がりです。
ただ、ホビーとしてあるいはエフェクタの原理を勉強するために、FlowStoneで遊ぶのは大賛成です。結線を変えるたびにリアルタイムで音が変わるので、やっててすごく楽しいです。時間を忘れて取り組んでしまいます。
楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋