-- 生活の音(3) --

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2012年10月19日

津軽びいどろのオイルランプ

最近、オイルランプにはまっています。
先日はムラエのチビっちゃいオイルランプを紹介しました。これは『秋風』と名付けられた津軽びいどろのオイルランプです。

私にとって秋という季節は紅葉の印象なのか、赤色のイメージがあります。だからこのオイルランプがなぜ秋風なのか、最初はなんだかピンと来ませんでしたが……記念撮影をしているうちになんとなく分かってきました。小高い丘にて見上げれば抜けるような青い空に羊雲の群れと、見下ろせば西日に染まりつつある下町の雑多な風景。それを360度魚眼レンズで撮ったような、丸ごとガラス球に閉じこめたような、そんなふうに見えてきます。なるほどこれは確かに『秋』だと思います。手のひらの中の秋です。
» 津軽びいどろのランプ

これも仕事と言えなくもない

このブログは音楽や楽器に関連した話題を集めたブログです。
ですからこのような関係のない記事は増えすぎないように自粛します。というのが前提ではありますが、これはこれで写真撮影の練習になるので、仕事の一部だと言えなくもない。(私にとって金属やガラスはあまり馴染みのない素材です。)だから楽器以外の物を撮影するのも、まったく暇つぶしの無駄遊びというわけではないでしょう。

あるいは雑貨屋になっていたかも

私はまずは変わった物・珍しい物が好きです。
きらきら光ったり音が鳴ったり自分で動いたりしたら完璧です。退職して次はネットショップをしようと思いついたとき、厳密に言えば何の店でもよかったのです。しかしながらインテリアショップや小物・雑貨店は、既に大手のライバル店がいくつも先行していて、その中でとても生き残れそうになかった。だからもう少し競争率の低そうな商品――変わった楽器・珍しい楽器を売って生活することを選びました。今でも小さな玩具とかこのようなオイルランプなどには心を動かされます。あるいは私は玩具屋とか雑貨屋になっていたかもしれません。

結局、楽器屋で正解だったと思ってます。
雑貨屋だと楽器の演奏スキルや音楽作品の製作スキルがまったく活かされませんからね。

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2012年10月15日

ムラエのオイルランプ

オイルランプを探していて見つけた、チビっちゃいランプです。一目で気に入ってカートボタンをポチりました。ついでの勢いで別のショップで陶器のホルダーまで購入しました。ただ純粋に火を灯してみたかった★ のですよ。揺れる炎をずっと見ていたい夜もあります。

透きとおったガラス容器と輝く真鍮の口金、ガラス繊維で出来た真っ白な芯。付属のすこし紫がかったランプオイルを満たすとほんとうに美しいです。買ってよかった、満足です。これも一旦火をつけたなら、芯は煤で真っ黒になり口金は焼けて鈍い錆色に染まり果てるでしょう。この輝きは買ったばかりの今だけの輝きです。せっかくですから記念撮影しました。

ティーキャンドル用のホルダーが使えます

このムラエのオイルランプは、一般的なティーキャンドルと同じ直径です。だからティーキャンドル用のホルダーが使えます。ただし高さが3倍近くあるので、背の低いホルダーだと、炎が上からはみ出たりホルダー自身を焼いたりするでしょう。背の高いデザインのホルダーがよいです。

芯の太さは3mmあって、ティーキャンドルの芯より何倍も太いです。点灯してみるとさすがにティーキャンドルよりもずっと明るいです。手紙だって読めるでしょう。ホルダーに収めると、穴から漏れる光が壁や天井にくっきり映りました。

» ムラエのオイルランプ・ルナックスミニ
» 陶器キャンドルホルダー・辰巳窯

★ 火を灯してみたかった
ここで、キャンドルやランプがまったくエコに叶わないのは百も承知です。ふつうに蛍光灯の豆球の方がずっと明るいですし、それなら電気代だって一ヶ月で数円未満でしょう。またキャンドルやランプを製作するために工場を動かした電気代や、商品の運送に燃やしたガソリンの量を想像するだに、明らかに割のあわない話です。

火を灯してみたいから火を灯す。現代の日本におけるキャンドルやランプの価値は、そんなところにあります。

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2012年09月19日

”演奏に心はこもらない”の補足

私が書いた記事に関して、カナメさんがわざわざ彼女のブログにコメントを書いてくれました。

「楽器の演奏には心がこもると思う」という内容だと理解しました。
はい、そういうアンチな感想があって当然の記事だったと思ってます。私自身、むしろカナメさんの書いた内容の方が一般的な感覚からいって当たり前の常識だと分かってます。

そこを敢えてあのようなことを書いたのは、一つの理由は、みんながみんな異口同音にそっちサイドの話ばかりする。他の方向から見て話す人が誰もいないから、それではと私が他の人のしない話をしてみせた、というところです。

それともう一つの理由は、そっちサイドの話は、いくら聞いても役に立たないのですよ。気持ちのよい音色で笛を演奏するのに、なんの役にも立たないです。この”役に立たない”というのは、私にとって重要な判断基準です。

”演奏に心がこもる”という絶望

渡米して数年間、ネイティブアメリカンの集落で私は彼らと生活を共にした。電気もない泥だらけの日々。彼らと苦楽を共にする中で、私は彼らの考え方や生き方、とりわけネイティブアメリカンの世界観を深く学ぶことができたと思う。そして私の魂の旅の締めくくりとして、私は聖地セドナを巡礼した。穏やかなスピリッツに満ちた岩砂漠の地平に昇る鮮やかな朝日を見たとき、私の中の何かが変わったことを確かに感じた。私がほんとうの意味でインディアンフルートを吹けるようになったのは、この瞬間だったと思う。まさにこの瞬間、私は生まれ変わったのだった。

……いかにもインディアンフルートの演奏家や講師が語りそうな自分史です。ウェブサイトのプロフィールに掲げていたり、ワークショップすると冒頭でたいてい、このような経験談を聞かされます。どうでしょうか。ワークショップの冒頭でそんな話を聞かされたら、

私なら絶望します。

現地でネイティブアメリカンの世界観を学び、聖地セドナで心洗われる体験をしなければ彼のような素晴らしい演奏ができないなら、製鐵の町に生まれ、日々を乱雑に散らかった仕事部屋の机にしがみついて過ごし、日本語しか話せず、生まれて一度も日本の外へ出たことがない私では、彼のような素晴らしい演奏はきっと一生かかってもできないだろう……と、私なら絶望します。

それよりも「音は空気の振動にすぎない。プロの音もあなたの音も単なる空気の振動だ。もしプロの素晴らしい演奏とまったく同じように空気を振動させることができたなら――プロとまったく同じ息使いと指使いで演奏することができたなら、あなたもプロとまったく同じように聞く人を感動させることができるだろう。」と言われた方が、よっぽど希望が持てると思いませんか。

事実なので何度でも主張します。
確かに私は真剣に笛を演奏しますが、心をこめて演奏しているわけではありません★1 。一心不乱に正確に息を使い指を動かしているだけです。ここに私の心は無関係です、まったく完璧に技術の問題です。ロボットがプログラムに従って自動車を組みたてるのと同じこと。正しく息を使い、正しく指を動かしさえすれば、誰でも同じ演奏を再現できます。
と言われたら、「ロボットにでもできるなら、私にもできる……の?」という気になりませんか。

少しでも早く新人を独りだちさせる現場主義

工学は効率を第一に考えます。
私のいちばんの気がかりは、経験のない初心者をできるだけ短期間でいっぱしの演奏家★2 に仕立てあげることです。そのためならなんだってする。常識を否定するなんて最初から織りこみずみです。自分の心を否定することで少しでも早く初心者が上達するなら、ためらいもなく自分の心を否定します。

この一切の容赦ない姿勢が、他の分野の人――とりわけ純粋な音楽家や演奏家にとっては脅威に感じられるかもですが。どうしても理解する気になれないなら「赤い眼鏡をかけていると何でも赤く見えるのですね」くらいに思ってください。(そしてそれは世界の真理です。)

★1 心をこめて演奏しているわけではない
ぶっちゃけ私程度の腕では、フルートが発する音を完璧に制御するために――息使いと指使いを完璧に制御するために、頭はフル回転のぱんぱんです。とても心をこめてる余裕なんてありません。

本当はカナメさんが言うとおり、演奏に心がこもることは、あります。
でもそれは達人の話です。達人はフルートが自分の身体の一部になっていますから(雨上がりの空のように澄みきった真っ青な…)と思った瞬間にそれが音に反映されます。

でも初心者がそれを真似て(雨上がりの空のように澄みきった真っ青な…)といくら念じたところで、後で「途中でぼんやりしてたけどメロディーを忘れたの?」と訝しがられるのがオチです。初心者レベルではせめて、聞く人が(まるで雨上がりの空のように澄みきった真っ青な音だ…)感じてくれるようにと、そのように聞こえてくれるようにと、せっせと息を使い指を使って演奏してみせるのが関の山です。
私はそういうことを言ってます。
だから私が言ってることって基本的にど素人の演奏家向けですよ。

★2 いっぱしの演奏家
日曜音楽家、という言い方を私はします。一流のプロになることは望めないが、せめて自分で吹いていて「今のいい感じじゃない?」と自惚れる程度。家族や友だちから「いいね!もっと他の曲は吹けないの?」と催促してもらえる程度。

その程度に上手になるだけでも、いつもの生活がずいぶん楽しくなると思ってます。ちょぴり誇らしい人生を送れると思ってます

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2012年06月18日

不備があってもレッドパイプは魅力的だから


» レッドパイプの音(エフェクタで加工済)

レッドパイプはドイツ製の電子バグパイプです。
断っておきますが、私自身はすっごいレッドパイプを気に入っています。今後も私の作品の中で、しばしばレッドパイプの強烈な音色を耳にすることがあるでしょう。とはいえ正直なところを述べないわけにはいきません。レッドパイプはいくつかの障害を抱えています(2012/06/18現在)。

  • 電源を入れても音が出ないことがある
  • 電源を入れてもノイズばかり聞こえることがある
  • キーや音色などの調整をプリセットメモリに設定できないことがある
  • バッグの空気圧センサーの感度が日によって違う★1 気がする
  • MIDIが使えない★2 ことがある気がする

これはいつもそうだというわけではなくて、むしろふだんは問題なく快適に演奏できるのですが、ときどきなにかのきっかけで障害が発生します。

これに対して、メーカーは交換も修理も受けつけないでしょう。全部の製品がそうなのですから新品と交換しても無意味です。またレッドパイプの操作マニュアルには「調子悪いときは電源を入れ直せ」と書いてあります。つまり、たまに挙動不審になることを含めてレッドパイプという製品の仕様だ、というスタンスです。

ふつうに使う分には問題ない

なんでこんなガレージキットみたいな品がけっこうな値段で販売されてるの?と訝しむかもしれませんが。完璧でないだけで使う分には困らないのですよ。概ね問題なく快適に演奏できますし、電源を入れたときに(なにかおかしい?)と感じたら、もう一度電源を入れ直せばいいです。そんな不備をさっ引いても、レッドパイプはずっとずっと魅力的です。

メタルやアバロンなど空想のモデルは、そのインパクトのある外観でライブステージに華を添えることでしょう。レッドパイプはスモークやスポットライトに曝される過酷な環境においても決してチューニングを外しません。安心してパフォーマンスに専念できます。グレート・ハイランド・パイプやガイタ・ガレガなど、現実のバグパイプを演奏する場面でも、安全を取って代わりにレッドパイプを演奏する、という選択肢は十分アリです。

スタジオ録音やパソコン音楽でも、レッドパイプを使用するメリットは大きいです。なによりも、どんな調の曲にも合わせて演奏できるというのがありがたいです。

そんなですから「欧米の製品ってこういうところあるよね…」と、広い心でレッドパイプを愛してあげてくださいまし。

★1 空気圧センサーの感度が日によって違う
バッグを抱きかかえただけでブーッと鳴りはじめるときもあるし、かなりバッグを締めつけないと音が出ないときもあります。ただしこれは私の主観であって、実際にどうなのか断定するのは見送りたい。バッグの抱え方によって自然に圧力がかかるかもしれませんし、腕が疲労していれば、いつもより意識して強くバッグを締めつけなければならないでしょうし。

★2 MIDIが使えないことがある
これはレッドパイプの障害というより、MIDIケーブルを繋ぐ先の装置やドライバプログラムとの相性の問題のようです。私の場合、デスクトップパソコンには必ず繋がりますが、ノートパソコンには繋がったことがありません。

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2012年06月01日

敢えてドローンを鳴らさない英断を

いったい何の話?かというとバグパイプの話です。

バグパイプはその名のとおり、革バッグに笛を取りつけた構造の楽器です。息を吹きこんでバッグを膨らませ、腕で締めつけ中の空気を絞りだして笛を鳴らします。

バグパイプの外観の異様さを際立たせているのは、他の吹奏楽器には見られない革バッグの存在もさることながら、革バッグからにょきにょき突ったっている長いドローン管たちです。バグパイプは一つの笛なのに、いくつもの音が重なって聞こえます。これは、メロディーと一緒にドローン管が併走して鳴っているからです。

当時の音楽は単純だった

ドローン管はずっと同じ音を鳴らしつづけます。そのような伴奏(ドローン伴奏)をするから ”ドローン管” という名前なのです。「同じ音ばかり鳴らしつづけるなんて、そんなで伴奏したことになるの?」と訝しむかしれませんが。バグパイプが庶民の花形楽器だった時代には、音楽の形はずいぶんと素朴で単純でした。伴奏といってもドーーーとかラーーーとか、一つの音を曲の最初から最後までずっと鳴らしつづけるだけでよかったのです。このような当時の音楽に対して、現代の音楽に慣れ親しんだ私たちは、ある種の力強さ・揺るぎなさを感じます。バグパイプのソロ演奏がときに強烈な存在感をもって聞く人に迫るのは、このドローン管の効果が大きいです。

ドローン管の音をなんとかすればいい

さて現代の音楽はご存じのとおり複雑にコード進行します。途中で転調することも当たり前です。このような曲をバグパイプで演奏しようとするとどうなるか。ドローン管がまったくじゃまになります。一つの音で鳴りつづけるドローン管は、他の伴奏楽器と絶えず衝突し不協和音を奏でます。

では現代の曲をバグパイプで演奏できないのかというと、そんなことはありません。要はドローン管の音がじゃまなのですから、分かりやすい対策としては、ドローン管の音を止めてしまえばいいです。バグパイプのアイデンティティであるドローン管を止めてしまっては、バグパイプの音はもやはバグパイプの音には聞こえませんけど。そこをなんとかおもしろく聞かせるのが、演奏者の工夫のしどころでしょう。

たとえばドローン管も鳴らした状態でバグパイプの演奏を開始して、そして他の楽器が伴奏はじめるタイミングでドローン管の音を止める。止めないまでも邪魔にならないレベルまで音量を下げる。あるいはドローン管と他の楽器が喧嘩しないように、あらかじめ曲のコード進行そのものを大きくアレンジしておくとか。

私は先の演奏動画を製作するにあたり、バグパイプのチャンター管(メロディー管)の音とドローン管の音を個別に録音し、後でミキシングしました。チェロが伴奏はじめるタイミングで、ドローン管の音量を耳障りでないレベルまで下げました。このやり方でも、作品の中ではバグパイプの音に聞こえるみたいですよ。今後も私はこのテクニックに頼るでしょう。

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2012年05月22日

ちゃんと働いてますからっ

今がいちばんいい季節です。
時刻は午後の四時半。西日の当たる仕事部屋は夏には熱帯雨林気候さながらに蒸すものの、今はまだ日差しも穏やかです。気持ちのよい風が窓につるされた風鈴をちりりんと鳴らしていきます。外を見ると、耕された田んぼはまだ黒い土を晒しているばかりで、これで水を引き田植えを終えれば昼夜問わずの蛙の大合唱なのですが。今はただ静かです。そんな火曜日の夕暮れ、ふと、吹いていたオカリナを止めて思います。
「俺、ちゃんと働いてるよね?遊んでないよねっ?」

システムエンジニアの仕事といえば、慢性的な微熱と吐き気に苦しみながらデバッグに明け暮れるだとか、連日頭ごなしにクレームを叩きつけてくる顧客の電話に涙を滲ませながら頭を下げ続けるだとか。そんな命を削る感じに10年以上もやってきたので、今の身分はいまだにどうにも後ろめたいのです。

もちろん、穏やかな夕暮れに布団に寝っころがってオカリナをぷーぷー吹くのは立派な仕事です。うちの商品であるダブルオカリナを宣伝するために演奏動画を製作しているのです。YouTubeとニコニコ動画に投函した広告動画は未来永劫に集客してくれますから、そのへん鑑みると時給単価はふつうのサラリーマンより高いかもしれない。

なのですが。(どうにも世間のサラリーマン様に申し訳ない気がする)と、オカリナを吹く手を止めて、風が鳴らす風鈴の音を聞いています。

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2012年05月21日

2万円で買えるバグパイプ

キッチンパイプという商品名の、まともに演奏できる品質としてはおそらく世界最安値のバグパイプです。製作・販売しているのは英国のバグパイプ・ガロア社。塩ビ管、ゴムパッキン、ナイロン布などオール合成素材を採用して、材料費と工賃を徹底的に省き、販売価格 162.5 ポンド―日本円に換算して 2 万円ぽっきり―という低価格を実現しました。

”キッチンパイプ”というのは台所の流しの下に通っている排水管のことで、この自虐趣味なネーミングは日本にも通じるセンスです。写真ではずいぶん美しく見えますが、手に取ってみると確かに、楽器というよりホームセンターの塩ビ管を弄っているような気分になってきます。
» 1万5千円で販売しています。商品カタログはこちら

練習用のバグパイプ

もちろんこれは立派な楽器というわけではなくて、練習用モデルです。スモールパイプというスコットランドのバグパイプがオリジナル★1 です。スモールパイプ自体がグレート・ハイランド・パイプの代用品みたいな位置づけの楽器で、どえらやかましいグレート・ハイランド・パイプの代わりにパブで演奏したり、グレート・ハイランド・パイプの運指練習用として使ったりします。

キッチンパイプは練習用としてはある意味よく出来ているというか、オール合成素材なのでメンテナンスフリーです。ふつうのバグパイプのように、演奏し終わったらパイプをストックから引きぬいてバッグとパイプを乾燥させて…という手順が不要です。むしろパイプを抜き差しするときに誤ってリードを壊してしまうリスクを考えると、演奏後はなにもせずそのまま放置した方がよいかもしれません。

ふつうに演奏できる

キッチンパイプは素材と見かけはアレですが…練習用に製作されただけあって、YouTubeの動画のとおり、パキスタン製のどうしょうもない”本物”よりはよっぽどまともに演奏できます。ソロなら十分に人前で演奏を披露できる品質ですし、ギターなどチューニング可能な楽器となら合奏もできるでしょう。

ピアノとの合奏は無理でしょう。そもそもバグパイプは原始的な吹奏楽器でして、オカリナや竹笛など他の民族楽器と同様、気温・湿度の影響でピッチが大きく外れます。「コンサートピッチで演奏できないなんて楽器と認めない」というお客さんが希にいらっしゃいますが、どうしてもということならレッドパイプ―電気バグパイプ―をお求めください。

キッチンパイプはオール合成素材なので軽くて丈夫です。パイプを引きぬいて分解したらピアニカほどのバッグに収まってしまう小ささです。気軽に持ちだしていつもの街の公園や川縁で演奏を楽しめます。

キッチンパイプは安価なのでお試しで購入できます。「本格的に練習するかどうかは決めてないが、バグパイプってどんなものかちょっとだけ触ってみたい」という人にお勧めできます。こんなでもパーティや宴会の余興には十分ですし、ささやかなソロ・コンサートだって夢ではありません。もちろんキッチンパイプで練習して、ゆくゆくは本物のスモールパイプやグレート・ハイランド・パイプへランクアップ、というのもありです。

パイプやリードの調整は演奏者の嗜み

そもそもバグパイプは手のかかる楽器です。正しく鳴らないときの調整は演奏者が自分で行うという約束★2 です。私が今回購入したキッチンパイプは、荷物を解いたときから次のような問題を抱えていました。

  • 短いドローン管が鳴らない…調べるとリードが油のような液体で濡れて張りついていた。リードを引きぬき分解して、液体をティッシュペーパーで拭きとった。
  • 短いドローン管のジョイントが緩くてすっぽすっぽ…試しにそのまま演奏してみたところ、吹いているうちに滑ってずれるほど緩いわけでもなく、演奏には支障なかった。気持ち悪いが、見て見ぬふりをすることにした。
  • いちばん高い音のピッチがやや高い…民族楽器の笛では日常茶飯事。運指を変えて対処した。

ほんとうはドローン管のジョイント部に糸を巻いたり、指穴にテープを貼ったりして調整すれば完璧なのですが、今は面倒くさいです。そのうち気が向いたらきちんと調整しましょう。

とにかく、バグパイプが正しく鳴らないときの調整は自分で行うというのが演奏する者の嗜みですよ。「ちゃんと演奏できるように調整してから出荷するべきだ」とメーカーにクレームを挙げたところで「自分で調整もできないくせにバグパイプを買うな素人」とあしらわれるだけです。そこのところよろしく。

★1 スモールパイプがオリジナル
キッチンパイプは構造から運指・演奏性能までほとんどスモールパイプなのですが、キーが違います。スモールパイプはAキーで、キッチンパイプはBbキーです。

★2 鳴らないときの調整は演奏者が自分で行う
このことはときとして、コンサート楽器や電子楽器―メーカー側で十分に調整された至れり尽くせりの楽器―に慣れ親しんだ演奏者には受けいれがたい事実のようです。といったところで仕方ない。納得できないならバグパイプを演奏しなければいいだけの話だし、それでもどうしても、というなら電気バグパイプを演奏すればいいです。「絶対にコンサートピッチを外さないバグパイプを作るにはシンセサイザーにするしか方法を思いつかなかった」というのがドイツ・レッドパイプ社の結論です。

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2012年03月23日

レッドパイプが届きました

レッドパイプはドイツ・レッドパイプ社が製作する電気式のバグパイプです。プロのロックバンドがステージで使用している本格的な楽器です。

ついさっき、商品評価用(という名目で買った自分用)の荷物が届きました。
…ニャン吉の遺骸をこんなふうにして庭の隅に埋めましたっけ、ぐすん。死のイメージがつきまとっているのは、これはレッドパイプの商品シリーズのうち”メタル”という、空想のバグパイプだからです。スコットランドやスペインなどの本物とそっくりの商品もありますよ。中身の機械はみんな同じで、見かけが違うだけなんですけどね。写真は分かりやすいように、一度レッドパイプを取りだして見やすく詰め直しています。海外から送られてきたときには、厳重にプチプチシートで梱包されていましたから。ご安心ください。

忙しいの★ でちょっとだけ試奏してみました。
第一印象として、重いです。本物のバグパイプってこんなに重くないです。本来は空気が入っているバッグに電子メカが詰まっているのですから、重い道理です。関連して、抱きかかえたバッグが重みでずるずる滑って落ちそうになります。どうにもうまく支えることができません。みんなどうしているんだろう?要研究です。最悪、バッグを肩からベルトで吊すようなことをするかもです。

飾りのドラゴンヘッドは、造形師が気合いを入れて作ったことが伝わってくる出来です。注意すべきは素材がガラス・セラミック質で出来ているということ。だからこそ雰囲気ある肌触りなのですが…落とすと割れます。いや既に、耳の端などあちこちが欠けているのです。(破片は箱の中に落ちてました。後で接着剤で修理します。)これはけっこう扱いに気を遣いそうですよ。ぜひ欲しいという人だけが購入するといいです。せめて練習の時だけでも外しておきたいのですが、どうやって外すんだこれ?

レッドパイプは本物と同じように息を吹きこんで鳴らします。
音を出しているのはバッグの中に収まったシンセサイザーなのですが、空気圧センサーが付いていて、バッグ内の空気圧によって音が鳴ったり止まったりします。これは確かに本物っぽい。演奏に集中してバッグを絞るのを忘れると、音が止まってしまいます。息を吹きこむ加減を間違えるとピッチが外れます。テクノパイプと違って、これはある程度練習して慣れないと演奏できません。実戦投入は六月くらいでしょうか?
また後でレポートしますね。

★ まじで忙しい
もうずいぶん前からパソコンの反応が遅くて、いらいらしながら仕事をしてました。今日、メールに返事したらパソコンを再インストールします。ほんとうはもっと早く実行したかったんだけど、鼻笛人気で注文が殺到したり風邪を引いたり、父が手術で入院したりと、ずっとどたばたしてました。

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2012年03月07日

音は1メートル進むのに2.88ミリ秒かかる

気温が26℃のとき、音が1メートル進むのにかかる時間はおよそ2.88ミリ秒です。
といきなり前振られても「はあ…」としか答えようがないと思いますが。

音って意外に遅いよね、というのは、夏の花火大会で実感できるところです。夜空に大輪の花火がぱあっと咲いた後、一拍遅れてどんと鳴る。普段の生活でもほんとうは、人はいつも遅れた音を聞いています。たとえば包丁でまな板を叩く音は、実際よりも1.15ミリ秒遅れて聞こえています。ってもそんなこと意識しないし、そもそもそんな僅かなタイムラグなんて聞きとれませんけど。私が今いちばん気がかりな事なのです。

演奏者はどんな場所で演奏しているのか

演奏者はどんな場所で演奏しているのか?ということを、私はパソコンで音楽作品を製作するとき、いつも気にしています。私の音楽作品はどれも一応、演奏者はどんな場所で演奏しているのか、ということを決めています。たとえばそこは音響の悪いパブだったり、荘厳に残響する石の聖堂だったり、大きな音を出しすぎると窓がびりびり振動してしまう体育館のステージだったりです。(上手く表現できている…とは言えませんが、努力はしています。)

演奏者がどんな場所で演奏しているか、という印象は、周りから反射して聞こえる音で決まります。広い部屋でドラムをタンと叩いたとき、壁に反射して聞こえる音は、狭い部屋で叩いたときよりも遅れて聞こえます。たとえばドラムをタンと叩いてから5.76ミリ秒遅れて非常にクリアな反射音が聞こえた場合、ドラマーの背後1メートルあたりにコンクリートの壁があるっぽい、と知覚されます。

さっきは「数ミリ秒のタイムラグなんて聞きとれない」と書きましたけど。それは意識レベルの話でして、人間の耳は0.1ミリ秒のタイムラグを正確に聞きわけています。それで、意識としてははっきりと指摘できなくても「これはなんだかトイレの中で録音した音みたい」「何もない野っ原で録音したらきっとこんな感じ?」という印象を持ちます。そしてそれはけっこう当たっています。

左右の耳のタイムラグは最大で0.54ミリ秒

もっと細かい数値になります。自分の左側から音がしたとき、その音が右耳に届くのに最大で0.54ミリ秒遅れます。左右の耳で聞く音のタイムラグは、真正面でゼロ、真横で最大です。音楽作品を作るとき「ピアノの音は左側に配置して、ギターは右側」ということをふつうに行いますが、厳密に考えると、左側から聞こえる音は、右耳にはすこし遅れて聞こえているはずです。右側から聞こえる音はその逆です。

音楽作品で楽器の音を左右に振りわけるのには、パンポット―左右の音量バランス―を使います。左耳の音を右耳よりも大きくすれば左側から聞こえる、という理屈です。実際それだけでそのように聞こえますから、それでOKなのですが。このとき右耳の音を0.1~0.5ミリ秒遅らせてやると、より自然に聞こえます。実際にテストしてみると、確かに自然に聞こえました。めざましい効果ではありませんし、どうと表現しづらいのですが「ああそうそう、これがほんとうだよね」という感じです。なんとなくほっとします。

音は1メートル進むのに2.88ミリ秒かかる。
ふだんの生活ではどうでもよい些末な数値ですが、私の音楽作品をもっと正確に表現したくて、改めて計算してみたのでした。ええ次回の作品から使いますよ、2.88。

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2012年01月25日

テクノパイプのうそバッグ(試作1)

テクノパイプはスエーデン・フェイガーシュトロム社の電気バグパイプです。
人前で演奏する向けにうそバッグを試作してみました。


» テクノパイプの音(前半は原音、後半はエフェクタをかけた音)

テクノパイプは練習用途の製品ではありますが、パソコンや小型アンプに繋いで鳴らせばなかなか立派な音がします。アマチュアレベルのレコーディングやライブステージなら、十分こなせるでしょう。残念なことに見かけがただの棒なので、人前で演奏するにはどうにも様になりません。なので、テクノパイプ用のうそバッグを試作してみました。

インターネットで見つけたバグパイプの写真を参考に、フリース生地を切って縫いあわせただけです。試しに口のところをヘアバンドで縛ってみましたら、それだけでほぼイメージどおりに出来上がりました。

…首のあたりが気になります。本物のバグパイプの中には空気がパンパンに詰まっていますから、こんな弛んだしわは寄りません。詰め物は改善の余地あり。それどころか手当たり次第に破れたシャツやらパンツやらを押しこんだので、スイカのようにずっしり重いです。やはりきちんとした手芸素材―軽くて張りのあるスポンジ片や発泡スチロールの玉など―を使うとよいのでしょう。

そういえばドローン管がありません。うーん、世界にはそんな形のバグパイプも存在しているので、そいういうことにしておいてください。じゃあブロウ管がないのは?ないのは…ないのは…もちろん、電気バグパイプだからですけど!それがなにか?

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