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数日で楽器を演奏できるわけがない

インディアンフルートを購入したお客さんからメールを頂きました。
早速『もののけ姫』を練習していて、高音を綺麗に鳴らせるように試行錯誤しているが、芳しくなく悩んでいるとのこと。そうですね…そういうことに挑戦しているのであれば。アドバイスは以下のようになります。

「数日で楽器を演奏できるわけがない」

練習とは理想と現実のギャップを埋める努力のこと

――インディアンフルートは笛の中で最も易しい笛です――
素人が息を吹きこみ適当に指を動かしても、なんとなく様になる。誰でもすぐに楽しめる。それは嘘偽りなく本当のことなんですが…それには「あなたが特に何も求めないなら」★1 という但し書きがつきます。

そうではなくて「こんな演奏がしたい」「この曲を演奏したい」という自分の理想を掲げて、自分の現在のスキルがそれに足りないなら、当然、ふつうの笛と同じように練習が必要になります。

そもそも”練習”というのは、
輝かしい理想の自分と凡庸な現実の自分とのギャップを埋めるための、絶え間ない努力のことであるからして。

最低1ヶ月、ふつうは数年

私に関して言えば、
私は楽器屋の主人として、いろんな新しい楽器を見つけては独学で練習して、早急にそこそこ演奏できるようになって、宣伝動画を製作しています。そういうのが仕事です。だから私は私のことを「新しい楽器を早急にそこそこ演奏できるようになるプロ」と自称してもいいでしょう。

そんなプロである私でも、新しい楽器について「これはこんな楽器なんだ」「こんな風に演奏してほしいんだ」「こんな曲が好きなんだ」となんとなく分かるのに最低1週間かかります。人が聴いて楽しめる品質の演奏動画を製作できるようになるのに、急いでも1ヶ月はかかります。そして数年経った後でも「え、そうだったの?」ということがポロポロ出てきます。

楽器が演奏できるようになる、ってそんな道です。
数日いろいろ試行錯誤したが上手くいかない、って。当然です。ぜんぜん足りません。せめて1年間試してから悩んでください。

聴くが8割、練習が2割

インディアンフルートの吹き方について専門のウェブサイトにまとめました。
前述したように、インディアンフルートは、ただ吹いて楽しむだけなら本当になんの練習も要らない易しい笛ですよ。そうではなくて、自分の理想の演奏を追い求める人たちの手助けになるようにと、私が知っていることを専門のウェブサイトにまとめました。   » 専門サイト『インディアンフルートの吹き方』

あの…死ぬほど重要なことを書いてますよ。
巷の薄っぺらい教則本や、のんびりした数日限りのワークショップで、インディアンフルートの何を教えているのか知りませんが。この専門サイトを読む読まないではぜんぜん違います。手前味噌ですごくカッコワルイのを重々承知して言います、ぜひ読んでください。

せっかくですから上達のための奥義を抜粋しておきますね。★2

  • インディアンフルートを持ってインディアンフルートの真似をして吹け。
  • 他人の演奏を聴くのが8割、自分で練習するのが2割。

初心者への当座のアドバイスとしては…そうですね、ひたすら他人の良い演奏を聴いてください。実は初心者って意外に練習好きです。敢えて「練習しなくていいから他人の良い演奏を聴いてください。」とアドバイスしてもいいくらいです。そのくらい他人の良い演奏を聴くことは重要です。いくら強調してもしきれないくらい重要です。

★1 何も求めないならすぐに楽しめる
逆に言うと、街の楽器屋で売っているふつうの楽器って、特に何も求めていなくても、何が何でも練習しないと楽しめない楽器ばかりです。体験的に理解できますよね。

所謂ふつうの楽器というのは、何かの(楽譜で書かれたような)曲を練習して覚えて、それを演奏する、という楽しみ方をします。身の回りにあるのがそんな楽器ばかりなので「だって楽器ってそういうものでしょう」と思いこんでいる人がほとんどだと思います。

”音を楽しむ”と書いて音楽と読むとおり、本来、楽器演奏には遊戯的・ゲーム的な側面――いきあたりばったりで無責任な側面がありました。ただそれは商業上(金儲けの仕組み上)いろいろと都合が悪くて、今までずっと消費者の目に触れないよう注意深く排除されてきました。

そしてそれは近年、『初音ミクのProject DIVA』に見られるような新しい商業価値(お金になること)を見いだされて、ゲームの中に復古しました。

本来は一つだった、二つの楽器の側面が完全に引き裂かれた形で在るのは、残念なことでありますが。まあ…以前のようにまったくゼロよりはまし。

★2 上達のための奥義
これが奥義?と思われたかもしれません。カンフー映画で老師が語るとおり、奥義って実は当たり前のことです。

あるいは素人をからかった単なる言葉遊びだね、と思われたかもしれません。どいういう意味なのかは件の専門サイトで詳しく説明しています、そちらをご覧ください。

私が書いたことは、きちんとした楽器演奏家や楽器教室の先生には嫌われると思っています。一方で発達心理学や教育学の分野の人には、諸手を挙げて賛同してもらえる内容になっているはずです。一言で言うと「自分の力だけで二本脚歩行と言語をマスターしてしまうヒトの模倣細胞をなめんなよ!」ってことです。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

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