DCさん、投稿ありがとう。
もし楽器演奏を趣味にすることができたなら、それは幸せなことだと思います。
まず楽器演奏に必要な音楽センスは、今では誰でも持っているものだと考えてください。
「長年にわたって音痴が減ってきている」という話を何かで読みました。私たちは幼い頃からアニメソングやCMソング、歌謡曲など、意識しなくてもたくさんの音楽を毎日聴いて育ってきました。なので現代の日本ではふつうに暮らしているだけで、けっこうな音楽センスが養われてしまうというのです。まして音楽が大好きで四六時中聞いているような人や、楽器はダメでもカラオケは好きでしょっちゅう歌っているとか、口笛は上手だという人は、楽器演奏する下地は十分です。趣味で演奏する程度に必要な音楽センスは既に備わっているものと考えてください。
むしろ根気とか忍耐力とか、体育会系な資質を要求されます。
人間の脳組織が神経細胞のシナプスの増殖によって学習する以上、楽器演奏の習得には必ず一定以上の時間がかかります。どんなにがんばっても短時間では習得できません。逆に不真面目な態度でも、だらだら続けているだけで上手になるような側面があります。ムキにならず焦らず、でも投げださない。このゆっくりとした時間の流れに耐えられるかどうかが、いちばんのハードルだと思います。でも一生懸命でなくても上手になれる、というのは希望でしょう。後は忘れない、毎日少しずつ ”ついつい続けてしまう” 仕組みがあれば、楽器演奏ができるようになります。
楽譜が読めない、というのはむしろ好都合です。
好きな曲を繰りかえし耳で聞いて覚える練習をはじめてください。今はiPodなど携帯mp3プレイヤーがあります。一曲リピートにして一日中聞きっぱなしにするといいです。専用の練習機なるものも発売されていて、ゆっくりスピードで再生したり、自分の楽器の音の高さに合わせたり、聞き取りにくい一部分だけを集中的に繰りかえして聞いたりできます。
初心者が楽譜を頼ることを覚えると、楽譜どおりに演奏できたらそれで安心する癖がついてしまいます。「私は楽譜どおりに演奏しているのだから、私の演奏は完璧なはず」と錯覚するらしい。楽譜は曲の大すじを書き留めたメモであって、肝心なことは何も書かれていません。笛の場合、たった一つの音の中で音の高さと大きさと音色が刻々と変化します。それを完璧に書き留めたら楽譜は真っ黒になって読めなくなるでしょう。それでは使えないから楽譜には書かないし、楽譜に書けない演奏に肝心なことは先人たちのすばらしい演奏を耳で聞いて覚える約束です。
音楽教室では先生が「楽譜を参考にしても楽譜を頼らないこと」を教えます。でも自己流だとどうしても「楽譜どおりに演奏できればOK」みたいな感覚、楽譜にお墨付きをもらう癖、が身についてしまいます。いっそ、楽譜は見ないほうがいいです。
楽器の値段が気になるなら安い楽器を買えばいいです。
安い楽器からはじめて「自分、横笛いけるっ」と思ったら、そこで改めて本命を購入することになっても、それは嬉しい誤算というか、むしろ万歳な結果でしょう。そもそも、あなたの長い人生の中でたかだか数万円の笛を買うことができなかった…なんて事は考えられません。後で買おうと思えば買えるものですよ。
あるいは最初から分不相応に高価な楽器をどんと購入して、辞めるに辞められない状況に自分を追いこむのも有りです。このへんは人それぞれに向き不向きがありますから、自分の性格に合わせて戦術をとるべきです。
私は欲しい楽器の中で、自分の手が届くいちばん良いシリーズを購入します。私はもともと笛しか吹けません。それが楽器屋をはじめて、慣れない打楽器や弦楽器を練習するうち「人間はどんな楽器でもある程度までは演奏できるようになるものだ」と悟りました。
いい楽器はやっぱり違います。
「ひょっとして私天才っ!?」と勘違いさせるような音色を奏でるので、いい気になってついつい練習して…いつか本当に上手になってしまいます。
楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋