-- DTM・パソコン音楽全般(4) --

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2012年11月30日

音の定位 1

ステレオスピーカやヘッドホンで音楽を聴いているとき、楽器の音がどこで鳴っているように聞こえるか、というのを「音の定位」というそうです。

ちょっと知ってる人なら(パンのことかな)と思いあたるかもしれません。「2本のギターをそれぞれパンで左右にふる」といえば、1本は右側で鳴って聞こえるようにして、もう1本は左側で鳴って聞こえるようにする、ということです。これは2本のギターの音が重なってお互いに邪魔しあわないようにする、という配慮でしょう。それぞれの楽器の音がきちんと聞きわけられるように左右に振りわけて鳴らす、というのは一つの解決方法です。「音の定位」というのはそんな話です。

音の定位を決める要素は「左右」を含めて以下の4つがあります。

  • 「左右」
  • 「遠近」
  • 「幅」
  • 「焦点」

「左右」

楽器の音が聞いている人の正面、あるいは右側・左側のどこで鳴っているか、ということです。
サンプル音源を聞いてください。
» 音の定位 「左右」

分かりますよね、パンのことです。どんなミキサにも必ずパンのつまみが付いています。そのくらい音の定位としては重要な要素です。すべての楽器の音を正面で鳴らしてしまうと、ごちゃごちゃして聞きとりにくいです。ドラムとベースとボーカルはまとめて正面に配置するとしても、左側にピアノ、右側にギター、そのちょい正面よりにキーボード、そのちょうど反対側あたりにパーカッション、というふうに左右に塩梅よく振りわけてやると、それぞれの音が聞きとりやすくなります。左右に音が広がるので聞いていて気持ちいいですしね。

音の定位を決める残りの要素「遠近」「幅」「焦点」については、後の記事で説明します。

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2012年11月28日

ベースじゃ低音は低すぎる

私は自分の音楽作品の中で、低音パートを演奏する楽器としてベースを使用していました。ロックやポップスならエレキベース、ジャズならコントラバスといった感じ。もちろん間違ってはいないのですが……何も考えずに「低音パートはベース」という常識?を盲信して安易に使っていた、ということなのです。

BIAB★1 が出力したMIDIファイルのベーストラックに迷わずベースを割りあてて、さっさと1トラック完成。しかしこれだとどっしり低音は響くのですが……音と音の間に隙間が空くのですよ。なんか違います、なんか外している。

低音パートはベースの1オクターブ上

偶然気がついたのですが、音楽作品でいう低音パートというのは、ベースの1オクターブ上の音域★2 です。チェロの低い音がまさにドンピシャです。因みにピアノの左手の音もほぼそのあたりです。エレキギターの低音もそうなんじゃないかな。

だからピアノが主体のおとなしい曲なら、ベースの代わりにチェロを使えば完璧です。BIABが出力したMIDIファイルのベーストラックにチェロを割りあてると、生き生きとしたいい演奏をしてくれます。

因みにこの状態をスペクトラムアナライザで観察してみると、低周波帯域はピアノとチェロだけでいっぱいいっぱいです。ここから更にベースを入れる余地はありません。

ベースを使う場合は工夫が必要

音楽作品でいう低音パートというのは、ベースの1オクターブ上の音域です。ベースの音は低すぎます。だから音楽作品の中でベースを使いたい場合は、何か工夫が必要です。そのままベースを使っても低音パートは埋まりませんから。たとえばチェロくらいの音域のなにかの楽器で代わりに隙間を埋めるとか?あるいはベースの基音をハイパスフィルタでざっくり削って倍音だけにするとか?とにかく、スペクトラムアナライザとにらめっこしながら、隙間があればなんとかしてそこを埋めるし、過密だったらなんとかして間引くという、試行錯誤になるのでしょう。

ってみなさんふつうにベースを使ってますけど。
いったいどうやってるんでしょう。私は今、自分が知らなかったことに気がついて足踏み状態です。このところ製作する音楽作品がみんなピアノとチェロの曲★3 ばかり、というのもそれが原因の一つです。

★1 BIAB
Band-in-a-Boxの略。音楽ソフトの一つですがちょっと変わっていて、C,Am,Dm,G7などとコードを入力して「ビートルズのイエスタディ風」などと演奏スタイルを指定すると、ピアノやギターなどでそれらしい感じに自動演奏してくれます。楽器を演奏できなくてもMIDIの打ちこみが苦手でも、音楽作品を製作することができる時代になりました。

★2 低音パートはベースの1オクターブ上
すみません、これは何かオーソライズされているような話ではなくて、単なる私の所感です。ここで重要なのは、低音パートをベースに演奏させる場合、何も工夫しないとその1オクターブ上の音域に隙間ができるということです。印象として、確かにベースは鳴っているのだが、どうにも下支えてくれない。妙にスカスカした音になります。

★3 私の音楽作品はピアノとチェロの曲
厳密にいうとチェロではなくてビオラ・ダ・ガンバという西洋の古楽器です。ピアノに負けない存在感のある音が欲しかったのですが、あいにく私はリアルなチェロの音源を持っていません。仕方なく手持ちの音源を漁って、試しにビオラ・ダ・ガンバを使ったらいい感じでした。(私は民族楽器の音源ばかり集めているので、そういう奇妙なチョイスになります。)

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2012年11月04日

メインの楽器で左右の音量バランスをとる

音楽作品は、左右の音量バランスがとれていること――左右の音量が揃っていることが望ましいです。左右どちらかの音が小さいと聞きとりにくいし、よく聞こえるようにとボリュームを上げると、今度は反対側の音が大きくなりすぎて耳が痛くなります。

ピアノやギターなどポンと鳴ってすっと減衰する音は、瞬間的な音量は大きいのですが、人間が聞いた印象としてはそれほどでもありません。逆にオルガンやバイオリンなどずっと鳴りつづける楽器は、比較的に小さな音量でもよく聞こえます。

前回の私の音楽作品で、左側に電気ハープの低音、右側にビオラ・ダ・ガンバ★ の低音を配置しました。耳で聞いてバランス良く調節したところ、レベルメータを確かめたら明らかにハープの側の音量が大きくなっていた。最初は(こんなアンバランスな作品もあるよね)でスルーするつもりでしたが……作業しているうちに自分の耳が痛くなってきました。「左右の音量は揃っていることが望ましい」というのは、自分の耳を守るためにまず重要なことなのでした。

さて作品の中で鳴っている音で、いちばん音量の大きい楽器はなんでしょうか。というのは考えるまでもなく、メインの楽器がいちばん大きいです。なのでメインの楽器の音――前回の音楽作品ではインディアンフルートの音を、すこし右に寄せて左右の音量が同じになるように調節しました。これで耳が痛くなるという現象はぴたりと治まりました。

メインの楽器の音をパンして簡単に左右の音量バランスをとることができます……主役の楽器がセンターにいない、という状況を良しとするかどうかですが。まずは自然な状態で左右の音量が揃うように工夫して、最後の手段としてメインの楽器の音をパンします。

★ ビオラ・ダ・ガンバ
チェロにギターのフレットをつけたような西洋の古楽器。博物館に標本された化石ではなく、今でも現役で活躍しているらしい。簡単に正確なピッチを鳴らせるのでチェロよりも初心者に優しい楽器だと思うのですが、どうでしょう。

ちなみに私が使用したのは本物ではなくて、ERA MEDIEVAL LEGENDS というVSTi(ソフトウェア・シンセサイザー)です。これはいろいろな中世古楽器の音源を収録しています。RPG系の音楽作品を製作するのに重宝します。

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2012年11月03日

延々と聞いて、延々と修正する

今、ウッドゥン・ボーン工房のデュエットオカリナのための宣伝動画を製作中です。
エンヤの『Only If...』の伴奏が出来上がったところでして、mp3プレイヤーで延々と聞いています。私は伴奏が出来上がったタイミングと、音楽作品として仕上がったタイミングで、1~2日そればかり延々と聞きつづけます。

修正できなくなったら完成

ブログの原稿を書きながら、ネットニュースを眺めながら、買い物をしながら、あるいはファミレスでオーダの到着を待ちながら、出来上がったばかりの自分の音楽作品を延々と聞きます★1 。延々と聞いていると、どうにも気になるところが出てきます。(メインの笛の音をもっと大きく)(ここでガツーンとSEが入るべき)などなど。そうした気になるところはきちんと修正★2 します。そしてまた延々と聞きます。そうしてついに、いくら聞いても修正するべき箇所が見つからなくなったら、そこでその音楽作品は完成したと判断します。

あるいは良くない箇所は分かっているいるのだが、どう対処すればいいのか分からない、今の自分の持つ設備やスキルでは修正のしようがない。そのような場合も、残念な結末ですがもう自分では修正できないのだから、それはそれで音楽作品は完成したと判断します。

(本当はこうしたかった……)という未練は、忘れず抱えつづけます。できれば次回の作品に活かします。そんなすぐにはだめでも、何年かたてば解決の糸口が見つかることもあるでしょう。

まあそんなですから、私が音楽作品を製作するのは、どうしても長い時間がかかる★3 のです。

★1 自分の作品を延々と聞きつづける
自分が生んだ愛おしい作品であっても、延々と聞きつづけているとさすがに飽き飽きしてきます。それこそ狙いどおりです。飽き飽きした脳が少しでも楽しみを見いだそうと、苦し紛れにより注意深く曲を吟味しはじめるのですよ。

★2 きちんと修正する
っても無制限に手戻りを許すと最悪「これは捨てて最初からやり直し」みたいな判断になってしまって、いつまでも完成ません。アマチュアには〆切がないので、無限の修正ループに落ちこまないよう、自分で意識的に踏みとどまる必要があります。

作業しているそのときそのときで、不可逆地点を決めるべきです。どんな深刻な不具合が見つかってもこれより前には手戻りしない、という限界を定めるべきです。「楽器の種類は変更しない」「楽器演奏の録音し直しは無し」「全体のイコライザの調整は不可変」みたいな。そしてそれにかかる修正は、どんなに気になることでもスルーするべきです。そうして自分の作品に不具合を残すことになったとしても、今回は仕方ありません。深く反省して次回の作品に活かせばいいです。

ソフトウェアのバグは徹底的に修正する必要がありますが……聞いて楽しむだけの音楽作品ならこれは許されます。(所詮お金の絡まないアマチュアの作品ですし。)

★3 音楽作品の製作には長い時間がかかる
これは音楽の才能やスキルがなくても、凡人でも、根気と時間さえあれば音楽作品を完成させることができるという、素晴らしいことなのです。

例えば今作ろうとしている音楽作品のメロディが思いうかばない、とします。音楽の才能やスキルがあれば、無から有を生みだせるのでしょうが。残念、あなたにはそれがない。DAWがない昔は、メロディーを思いつかなければ、もうそれで終わりでした。どうしょうもないことでした。音楽作品を完成させるというのは、音楽の才能やスキルのある人だけが成しえる特別な行為でした。

今では――特にBIABのような音楽ソフトがある状況では、時間をかけさえすれば、才能もスキルもなくても、そこそこの音楽作品を完成させることができます。自分でメロディーを思いつけなくても、例えば目の前に1000のメロディーが用意されていて、きっとその中に答えがある、という状況ならどうでしょうか。(これなら良さそう)というメロディーを見つけだせるのではありませんか。確かに、1000のメロディーを聞きくらべるのは大変な作業ですよ。でもそれは、ただ、大変なだけです。根気よく時間をかけさえすれば誰でも成し遂げることができる、単純なタスクです。

たとえゼロから生みだす力がなくても、善し悪しの選別眼さえあればとりあえず形にできる。今はそんな恵まれた時代なのです。

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2012年10月28日

マスタバスにコンプとEQを差しっぱなし 2

私はDAWで音楽作品を製作するとき、早い段階からマスタバスにコプレッサ★1 とイコライザを差して作業します。以前は「ミックスダウンしてmp3ファイルにすれば完成」という段になってから差していましたが、それだとせっかく調整した楽器の音量バランスが狂ってしまって、また一からやり直しになってしまうのでした。

コンプレッサも早い段階で差す

マスタバスにコンプレッサを差す理由はもちろん、出来上がった音楽作品の音をできるだけ大きく★2 聞かせるためです。そういう目的のために使う専用のエフェクタ(リミッタ)も使っていますが……私の使い方が間違っているのか、これは3dBも抑えこむとビリビリ音が割れるのですよ。まあそんなですから、私はまずはコンプレッサで音量の凸凹をある程度ならして、その後でリミッタで限界まで音を大きくするようにしています。

コプレッサは音の大きさを変化させるエフェクタです。
音が大きかろうと小さかろうと曲の中身に違いはないでしょうから、コンプレッサを差したからといって曲が別物になって聞こえるようなことはないはずなのですが……なぜかマスタバスにコンプレッサを差すと、楽器の音量バランスが変わって聞こえます。それもかなり許しがたいほど。

ミックスダウン直前になってマスタバスにコンプレッサを差して、そのせいで楽器の音量バランスが変わってしまい、もう一度調整する羽目になる。この手戻りがいやになって、私は音楽作品を製作する早い段階で、マスタバスにコンプレッサを差すようにしています。ベース、ドラム、ギターなど主要な楽器の音が揃った時点で、マスタバスにコンプレッサを差します。

ベストなセッティングは今も工夫中

私がマスタバスに差しているコンプレッサはSonitus:compressorという、SONARのオマケです。

プリセットのセッティングそのままで、圧縮量が6.0~7.0dBになるように、その都度スレッショルドだけ調整します。こんなに押し潰して大丈夫なの?という不安はありますが、今のところ私の耳では不自然に聞こえないのでOKにしています。まあ圧縮量が大きいほど最終的な作品の音――厳密には音圧が大きくなりますから、圧縮するに超したことはないです。

圧縮量が6.0~7.0dBというセッティングは、もともとは事故です。ほんとうはもっと控えめに圧縮していたのですが、何をどう間違えたのか、気がついたらこんな極端なセッティングになっていました。慌てて正そうと思いましたが……少なくともそれまで気がつかなかったくらいには自然に聞こえていたわけです。おもしろ半分にそのまま使ってみたら、これがなかなかいい感じなのでした。失敗は発明の母、という言葉を実感しました。

これだけ圧縮していると、メインの楽器が休止するとその隙間を埋めるように、すっと伴奏の楽器が大きくなって聞こえます。これは私にとって、願ったり叶ったりな効果です。(あーひょっとしてこれが原因ですか?コンプレッサを差すと楽器の音量バランスが変わって聞こえるのは。)

★1 コンプレッサ
コンプレッサは昔のラジオ・スタジオで生まれたエフェクタです。コンプレッサは音が急に大きくなるのを防ぎます。例えばラジオ番組でパーソナリティとゲストが談話していて、不意に大声で笑ったとします。そのままだと音量オーバーで音がバリバリと割れて、聞き苦しい番組になってしまいます。コンプレッサは入力された音を監視していて、不意に音が大きくなると自動的にボリュームを絞り、音量オーバーになるのを防ぎます。音が小さくなるとボリュームを元に戻して再びよく聞こえるようにします。

どのくらい音が大きくなったら、どのくらいボリュームを絞るか。などというのは4つほど付いているツマミを回して調節するわけですが。誰が思いついたのか、極端なセッティングにするといろいろ予想外の効果が生まれるのでした。ピアノやギターの音がまるでオルガンのように聞こえたり、ドオォオオオオンと間延びしたドラムの音がドッ、ドッと鋭くタイトになったり。コンプレッサはセッティング次第でまるで正反対の効果さえ起こすような、応用範囲の広いカメレオンみたいなエフェクタです。

★2 音をできるだけ大きくする
音楽作品の音はできるだけ大きい方がいいです。単純にそっちの方がはっきり聞こえますし、大きい音ほど迫力がありますし。ならばと、上限ぎりぎりまで音を大きくしてmp3ファイルを作ったとしますよ。しかしながら、そうして作った自分の作品よりも、CDで聞くプロの作品は何倍も大きな音に聞こえるでしょう。念を押しますが、どちらも音量は最大です。これ以上、音を大きくすることはできません。無理に大きくするとバリバリと割れてしまいます。

プロの作品は音量が大きい、というより厳密には音圧が大きいのです。
分かりやすいイメージとして、静かなピアノ曲で、最後にガーンと一発だけものすごく大きな音が鳴るとします。これを録音して、最大まで音を大きくして音楽作品に仕上げたとしたらどうでしょうか。いちばん音の大きなところは?もちろん最後のガーンというところです。しかし最大音量の部分はたったのそこだけで、他の大部分は静かな小さな音の演奏です。どうにもよく聞こえない。かといって、これでもう最大まで音を大きくしているわけですから、これ以上音を大きくすることはできません。無理に大きくすると最後のガーンがバリバリと割れてしまいます。

これは言わば、最後に鳴る大きな音が邪魔になって全体の音を大きくできない、という状況です。コンプレッサはこの、邪魔になっている大きな音だけを選択的に小さくします。ほかの音はそのままにして邪魔になる大きな音だけを小さくする。そうやって全体的に小粒に揃えた(圧縮した)ところで、改めて最大まで音を大きくしたらどうでしょうか。なるほど、本来よりもずっと大きな音に聞こえるでしょう。その代わり相対的に、最後のガーンという音にインパクトがなくなってしまいますが……

音圧を上げるというのは、曲のメリハリやインパクトを犠牲にして音を大きく聞かせる技です。小さすぎて聞こえにくいのは論外ですが、まったくメリハリのない一本調子も困りもの。どのくらいメリハリを残してどこまで音圧を上げるか。このへんの話はそれだけで一冊の本になります。音圧を上げる技は知ってて損はない……いやDAWで音楽作品を製作するなら必須の知識です。ぜひぜひマスターしてください。
» 永野光浩『音を大きくする本』

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2012年10月25日

マスタバスにコンプとEQを差しっぱなし 1

私はDAW★1 で音楽作品を製作するとき、早い段階からマスタバス★2 にコプレッサとイコライザを差して作業します。以前は「ミックスダウンしてmp3ファイルにすれば完成」という段になってから差していましたが、それだとせっかく調整した楽器の音量バランスが狂ってしまって、また一からやり直しになってしまうのでした。

イコライザは最初に差す

イコライザ★3 はイの一番に差します。DAWを起動したら何はさておきマスタバスにイコライザを差します。マスタバスに差したイコライザは、曲全体の質感・肌触り・色温度といった印象を強力に決定づけます。例えば黄色いセロファンを通してみた世界はなんだかノスタルジックに見えますし、青いセロファンを通してみれば、それが何であれ寒々とした印象を受けるでしょう。そんな感じです。

音楽作品をまったくイコライザで調整しないと、独特の素人臭さが残ります。マスタバスに差したイコライザで、低音と高音をほんの少しだけ持ちあげると、プロっぽい鮮やかでシャープな印象りになります。やり過ぎるとギスギスするので、ほんの少しです。

わざと素人臭い作品、ローファイな雰囲気の音楽作品を作るにしても、まずはマスタバスのイコライザでシャープに調整します。その上で高音を削ったりしてローファイな音を作ります。こうすると「プロの音楽製作環境を使ってわざと素人臭い雰囲気に仕上げた作品」みたいなニュアンスに仕上がります。「分かっててやってるんですよ、わざとですよ。」というメタ情報の演出は重要です。

私が使っているイコライザはLP-64 EQという、SONARのオマケです。

最初はプリセットに用意されていたセッティングをそのまま使いました。そして音楽作品を製作するたびに「ちょっと高音が強すぎるか」「低音が足りないな」などと微調整を積みかさねてきました。こうして鍛えた?セッティングは今や私の財産です。まあこれくらい、差しあげてもいいのですが……それこそ私と同じLP-64 EQを持っていないと使えませんし。

それより重要なのは、その手順ですよ。
まずはプリセットのセッティングをそのまま使う。ちょっとだけ微調整してみる。そのセッティングを次の作品でも使い回して★4 更に微調整する。そうしてそうして最終的に自分だけの完璧?なセッティングを作りあげます。

コンプレッサの話は次回にしますね。

★1 DAW
DTM(パソコン音楽)をするための中心的な音楽ソフトのこと。それこそ生楽器の録音からMIDI音符の打ちこみ、アレンジ・ミックスダウンからMP3ファイルの作成まで、すべてをこなす総合音楽ソフトのことです。

★2 マスタバス
DAWではピアノやギターなど、いろんな楽器の音の流れを混ぜあわせて一つの音楽作品にまとめ上げます。小さな小川が集まって大きな川になり、それらが一つの河口に流れこむようなイメージです。マスタバスはその河口、音の最終出口にあたります。ピアノの流れだけに差したエフェクタはピアノの音だけに影響を与えますが、マスタバスに差したエフェクタはそれこそすべての楽器の音に影響を与えます。つまり音楽作品全体に影響を与えます。

★3 イコライザ
楽器の音の特定の周波数――低音域や高音域を選択的に大きくしたり小さくしたりするエフェクタです。ものすごく大ざっぱな話として、高音域を大きくすると鮮やかに聞こえ、小さくすると曇って聞こえます。低音域を大きくすると迫力のある音に聞こえ、小さくすると軽い音に聞こえます。

イコライザの使い道は広範囲で、それだけで何冊も本が出るほどです。また使い道に応じて特化したいろんな種類があります。最近では入力された音を解析して自動的にセッティングを変えていくような製品もあります。シンバルがパシーンと鳴った瞬間に低音域をぐいと持ち上げてバランスを取る、というような。

イコライザは料理でいえば塩味のようなもので、華々しい効果はありませんが使い方の上手下手は音楽作品のクオリティに直結します。私もイコライザを極めるべく日々工夫を続けています。

★4 設定を使い回まわす
一般的な話として、VSTやVSTi(ソフトウエアのエフェクタやシンセサイザー)は、設定したツマミの位置やボタンの位置をファイルとして書きだすことができます。そしてそれを後で読みこんで同じ設定を使い回すことができます。

苦労して音楽作品を完成させたら、面倒でもマスタバスに差したエフェクタの設定などはファイルに書きだして、次の作品でも使い回すといいです。

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2012年10月01日

VSTやVSTiはここで探してます

”VST”とはVST規格のエフェクタ、”VSTi”はVST規格のシンセサイザのことです。DTM(パソコン音楽)で使う★1 ソフトウェアのエフェクタやシンセサイザです。シンセサイザは……分かりますよね。エフェクタは馴染みがないかもですが、身近なところでカラオケのエコーとか。リバーブ、ディレイ、コンプレッサ、ディストーション、イコライザといった名を聞いたことがありませんか。人の声や楽器の音をいい感じに加工する装置のことです。

強力なレアカードをたくさん持っている人が勝ち

DTMでプロのような音楽作品を製作するには、その人の音楽感性や知識・技術もさることながら、ぶっちゃけ、強力なVSTやVSTiをたくさん持っている人ほどすごい作品を作れるという、身もふたもない資本主義のルールがあったりします。

実際問題としてリバーブの一つくらい持っていないと★2 、まともな音楽作品は完成しないと考えた方がよいです。特にシンセサイザの原音は痩せているので★3 そのままでは聞くに堪えません。リバーブ、ディレイ、コーラスの使用は必須です。

只で欲しいだけ手に入る

何万円もする製品版のエフェクタやシンセサイザ★4 もありますけど。フリーウェアが大量に出回っています。これがまた製品版と遜色ない出来だったりします。趣味にそんなにお金をかけられないという人でも、ネットを探しまわってかき集めればいいです。googleで"VST"のワードで検索すればいくらでもヒットしますが。使い勝手のよい人気VSTの情報をまとめたポータルサイトがあります。無数に存在するVSTのすべてを網羅しているわけではありませんが、まずはそのようなサイトを頼って探すと手っ取りばやいです。
私がちょくちょく覗くポータルサイトを紹介します。
» GERSIC.COM
» VST LINK

その場でゲット!

幸運にも(お、これいいじゃん)というVSTやVSTiを見つけたら。「じゃあ晩ご飯の後でゆっくり」などと言ってないで必ずその場でゲットしてください。できないならせめてせめて、ウェブサイトのURLをお気に入りに登録しておくべきです。

まぐれで見つけたウェブサイトは、後で探してもまず見つかりません。後々になって「そういえば使えるエフェクタがあったよな。あれどこだったっけ?」なんて探してもまず見つかりません。

たとえウェブサイトのURLを控えていたとしてもまったく安心できません。フリーウェアの場合は、それを提供しているウェブサイトそのものが閉鎖してしまうことがあります。「人気が出てきたので新しいバージョンから製品にしました」というケースもありがちです。それをいうなら製品版だって、販売中止になる可能性があります。

本当は製品版でもその場で購入するのが確実です。それは金銭的に無理だとしても、フリーウェアならぜんぜん問題ないでしょう。いいなと思ったらその場でゲットです。次は、ないです。

★1 VSTやVSTiをDAWで使う
DAWでどのようにVSTやVSTiを使うのかはそれこそDAWそれぞれです。VSTの利用は重要な事項なので必ずきちんと説明しています。それぞれの説明書をよく読んで使ってください。”規格”というだけあって、DAW側の操作もどれも似たり寄ったりです。一度きちんと勉強すれば、後生どんなDAWを目の前にしても勘が働くでしょう。

★2 リバーブの一つぐらい持っておきたい
リバーブは地下鉄の通路などで音がぐわーんと残響する、あれをシミュレートします。リバーブは、楽器が鳴っているロケーション(場所、空間)と、楽器と聞き手の間の距離を決めます。リバーブをかけないと、楽器の音はただ鳴っているというだけの音で、そんな音をいろいろ寄せあつめただけの作品になります。リバーブを一切使わずに音楽作品を製作するなんて不可能だと思ってます。

因みにカラオケのエコーを使う感覚で、リバーブを「音をきれいに聞かせるためのもの」として使う人がいます。まったく間違いでもないのですが、リバーブの本質は音の鳴っているロケーションを決めることです。音をきれいに聞かせるエフェクタは、むしろディレイです。そこを勘違いしてリバーブをかけすぎて、ぼわんぼわんになった音楽作品をときどき見かけます。リバーブは少なめにしてもう一つディレイをかける。これで、すっきりとしてそれでいて残響豊かな艶っぽい音になるでしょう。

★3 シンセサイザの原音
シンセサイザの原音は言わば、楽器に聴診器を当てて聞いているようなものです。これでは気持ちよく聞ける道理がありません。そのへんを鑑みて、最近のシンセサイザは最初からリバーブやディレイを標準装備しています。ぱっと聞いてきれいに聞こえます。ただしこれは冷凍食品の袋にある「調理例」の写真のようなもので、これはこのままでは使いません。コーラスやディレイはケースバイケースですが……リバーブは必ずオフにして、自分の音楽作品で使っているリバーブに通します。

リバーブは楽器が鳴っているロケーションを決めます。コンサートホールで演奏しているとか、野原で演奏しているとか。一つの音楽作品に使うすべての楽器は、最終的には只一つのリバーブに通すべきです。てんでばらばらなリバーブを使うと、ピアノはコンサートホールで弾いているのに、ギターはスタジオで弾いていて、ドラムは街角の公園で、みたいなちぐはぐになります。

★4 製品版のエフェクタやシンセサイザ
製品版はやはり製品版です、金を払う価値があります。特にバイオリンやギターなど生楽器の音を出すシンセサイザは、実際に人が演奏した音をサンプリングして使用していますから、リアルさが桁違いです。……まあその程度なら、今日日のフリーウェアでも当たり前にやっていますけど。製品版はサンプリングの量が違います。フリーウェアがメガ単位なら製品版はギガ単位です。「フリーのギターシンセ使ってるんだけどいい感じでこれで十分」という人も、製品版のギターシンセの音を聞けば「ああそうそう、本当のギターの音はこうだった……」と思いだすに違いありません。

何もかも製品版で固めなくても、自分の作風を鑑みて、特に印象づける楽器の音だけでも製品版を使うと効果的です。私の場合はベースでした。ずっと良いベース音源を探していました。今はCHRIS HEIN BASSを気に入って使っています。曲の流れに応じて弦をひっぱたいたり、左手をぐいとスライドしたりと、勝手にいろいろ味つけしてくれるので重宝します。

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2012年09月28日

スペクトラムアナライザ

ソニーのモニタリング用ヘッドホンMDR-CD900STが音を耳でチェックする要なら、スペクトラムアナライザは音を目で見てチェックする要です。スペクトラムアナライザは、今の瞬間に鳴っている音を、低音から高音まで折れ線グラフに表します。ラジカセやカーコンポの前面パネルでぴょこぴょこ踊っているLEDメータ、あれをチョー精密にしたものと思えばいいです。
自分の音楽作品をスペクトラムアナライザで見るといろいろ分かります。

突出したピークはNG

とにかく、ある特定の周波数の音が槍のようにつんと突出するのはNG★ です。その大きすぎる音が他の音をマスキングします。低音ならボワボワ曇って全体が聞きとれなくなります。高音ならキンキンと耳が痛くなります。

また特定の周波数に突出したピークのある音楽作品は、スピーカやヘッドホンが変わると極端に音が変わって聞こえたりします。自分の作業環境のスピーカやヘッドホンではきちんとバランスを整えたはずなのに、安物のイヤホンを使ったらキンキンして聞いてられない、という事故が発生します。つまり聞くお客さんによって不要に評価がばらついてしまいます。

音のバランスをとる目安に

聞いて心地よい音楽作品に仕上げるために、楽器毎の音のバランスをとることが重要です。一つの楽器だけ鳴らしながらスペクトラムアナライザを見ると、その楽器がどの範囲の周波数を占有するか分かります。「ピアノを隠さないように、ストリングスは1オクターブ高くしてみるか」「ピアノとギターが重なっている。お互い邪魔しないよう左右に振り分けてみるか」みたいな判断ができるでしょう。最終局面で「どうにもピアノの低音が耳に障る。イコライザでざっくり抑えるか」みたいな判断をすることもあります。

また音楽作品全体をスペクトラムアナライザで見て、特定の範囲が明らかに凹んでいる場合――特定の範囲の音が足りない場合は「その範囲を埋める音をシンセサイザーで鳴らしてみるか」みたいな判断ができるでしょう。実際、ポップスやロックなどたくさんの音を使うプロの音楽作品は、スペクトラムアナライザで見ると見事に低音から高音まで真っ平らになります。(一つの楽器でソロ演奏などの場合は不可抗力的に凸凹になりますよ、それは一つの楽器に因るので仕方ない。)

フリーウェアでもけっこうよい品が

スペクトラムアナライザはフリーウェアでもたくさん出回っています。
これは!というものをぜひ使ってみてください。私はVoxengoのSPANを使っています。これがベストというわけでもなくて、試しに使ってみたら悪くなかったという代物。念のためウェブサイトを確認したら…あ、バージョンアップしてる!ダウンロードしなくちゃ。
» スペクトラムアナライザのいろいろ

★ 特定の音が突出するのはNG
ということは例えばオカリナがメインの楽器だからといって、いくら音を大きくしてもよい、というわけではないのです。実際、あまりにオカリナの音を大きくすると、伴奏の音が聞こえにくくなり背後に下がったような印象になります。

しかし一般的な話として、録音した笛の音って聞こえにくいのですよ、倍音が少ないから。特にオカリナの音は純度が高いので聞こえにくいです。音量バランスを考慮すれば伴奏に埋もれてよく聞こえないし、きちんと聞こえるように調整すると今度は耳が痛くて我慢できない。痛し痒しの状況です。

笛を得意とする私としては、これはもう、音楽作品を製作しはじめた当初からの課題です。いまだにこれという解決法を見つけていません。

  • ある程度のピークが出来るのはやむなしとする
  • オカリナの基音を不自然にならない程度にイコライザで抑える
  • シンバルやタンバリンや鈴など瞬間的な音をオカリナと同程度の音量で鳴らす

などいくつかの方法を試して、それなりの効果はありましたが……
いろいろ分かったら記事にします。

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2012年09月21日

何はなくともソニーのMDR-CD900ST

「オーディオ業界の標準」と称されるヘッドホンがあります。

MDR-CD900STというソニーの製品でして、自社のエンジニアのために開発した、という曰くつきのモニタリング用ヘッドホンです。

「実は低音域が若干足りない」など、アマゾンにコメントされてたりしますが、今さらそんな議論は無意味。オーディオ業界で働く人の大多数が「このヘッドホンで聞く音が標準だと認めた」という事実こそ重要です。

私も数作品ほど前からこのヘッドホン――MDR-CD900STを使って演奏動画を製作していて、確かな効果を実感しています。

業界標準の音に仕上がる

MDR-CD900STを使って製作した音楽作品は、いわば業界標準の音に仕上がります。
重大なメリットとして、どんなスピーカやイヤホンでもそれなりに聞ける音になります。

私の例を話しますと、
私の以前の音楽作品は、(ほんとうに何度も聞きなおして音のバランスをしっかり調整したのですが)安物のスピーカやイヤホンで再生すると、聞いていられないほど音が劣化しました。あるスピーカだと低音がモワモワになって、別のイヤホンだと高音がキンキンしました。プロの作品――CDの音ももちろん、安物のスピーカやイヤホンで聞けばみすぼらしい音になります。それでも耳からイヤホンを引きはがすほどひどくは歪まない。この違いはいったいなんなのか?なにが悪いのか?

これは私の数年来のミステリーでしたが、MDR-CD900STを使用するようになってから、すっぱりと症状が軽減しました。もちろん腕が悪ければ、どんなよい道具を使ったところで高はしれています。それでもMDR-CD900STを使うかぎり、どこまでも私の努力に見合った品質の作品を作れそうな手応えです。

リスニング環境も併用

”モニタリング用”とはつまり”監視用”という意味です。
MDR-CD900STはモニタリング用ヘッドホンです。MDR-CD900STは「音が良いか悪いか」「正しいか間違っているか」を聞きわけるのに適しています。

反面、「音が気持ちいいか不快か」を、今ひとつ感じとることができません。
私たちの最終目標は、お客さんが聞いて気持ちよく感じる音楽作品を製作することです。つまり音楽作品を製作するためには、モニタリング用のMDR-CD900STだけでは足りなくて、他にリスニング環境(鑑賞環境)が必要です。

理想は専用のリスニングルームを用意して、自分で「これ!」と認めたアンプスピーカを設置することですが。

私にはそんな場所も金もありません。リスニング用に別のヘッドホンを用意して使っています。私のリスニング用のヘッドホンはオーディオテクニカのATH-M50です。

もともとこれもモニタリング用途の製品でして、非常にフラットな周波数特性です。奥行き表現★ がなんとも気持ちいいので、「むしろリスニング用にお勧め」というアマゾンコメントを見かけます。

この”奥行き”というのが、MDR-CD900STではよく感じとれません。
そもそも音には、”奥行き”なんて物理的な情報は存在しません。音を聞いた人が(ギターは近くで鳴っている)(ドラムは遠くで鳴ってる)と感じる、大げさに言えば錯覚・幻想です。だから奥行きは、いくら耳をそばだててモニタリングしても聞こえない。リスニングしないと感じとれないのです。

感じて、聞いて、最後に感じる

現在の私は、作業の最初はATH-M50を使って、近い楽器の音(ギターやピアノ)と遠い楽器の音(ドラム)の位置を決めます。その後の作業はMDR-CD900STを使って、良い音・正しい音に仕上げることを心がけます。最後にまたATH-M50を使って、気持ちよい音に出来上がったかどうかを確認します。

★ 音の奥行き
ある音がどこで鳴っているか、というのを「定位置」と呼ぶらしいです。音の定位置は3つの要素――左右・距離(奥行き)・フォーカスで決まります。距離とは、例えば目の前に落ちたコインの音は近くに聞こえますし、雷の音は遠くに聞こえます。これは目隠しをしていても分かります。

私の場合、楽器の音の定位置をどのように決めるかは、音楽作品を製作する上できわめて重要です。音の定位置については、別の記事で詳しく説明します。

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2012年08月28日

私のSONARのオーディオオプション

お客さんから、ASIOドライバを使ってソフトウェアシンセサイザーを鳴らす方法について質問がありました。って何を言ってるのか分からない人は聞き流してくださいまし。この記事は専門用語が多いです。

「ASIOが使えない」「ASIOを選択できない」「音が出ない」という障害は、実にありふれた、DTMをするときに必ずあたるハードルのようなものです。残念ながら、上手くいかない原因はその人毎の環境により千差万別なので、唯一の解決策というものがありません。近くにDTMの詳しい友人がいれば幸いですが…でなければ、私がそうだったように、機器の説明書とインターネットを首っ引きにして試行錯誤し、自力で解決することになります。いい事だと思いますよ。問題解決スキルの向上は人生の荒波を乗り切るために必須です。

私のDTMの環境

参考までに、私のDTMの環境を説明します。
使用している音楽ソフトはSONAR8.5Producerです。見栄を張って最上位モデルを使っています。

オーディオインターフェースはEDIROLのFA-66です。これはFireWireで繋がります。FireWireが速い!という知識があって、世の中にはUSB2.0で繋がるQUAD-CAPTUREが発売されていましたが、敢えてこちらを選択しました。後で確認したらFireWireの通信速度はUSB2.0と同等、むしろUSB2.0の方が速いくらいで、FireWireが速いなんてそれいつの情報!?この件については失敗しました。

パソコンは自作でOSは32ビットのWindowsXpです。その時の最速のマシンを自作しようとすると、結局お店で新品の部品を購入することになるので、価格はメーカーの製品とあまり変わらなくなります。まあ趣味で自作しています。

SONARのオーディオオプション

ASIO関連の設定はオーディオオプションで行います。メニューで オプション>>オーディオ… を選択するとオーディオオプションのダイアログが表示されます。

私はほどんどデフォルトのまま使ってます。ドライバモードをASIOに、ディザリングをPow-r2にしました。Pow-r2は音声の歪みは少ないがノイズが若干目立つ、との説明でした。どうでしょう、普段の繰り返し作業はデフォルトのトライアンギュラを使って、最終工程のmp3ファイル作成のときだけPow-r2でディザリングする、というのがよいかもです。

ドライバモードでASIOを選べる環境なら、ふつうはASIOを選ぶのではないでしょうか。良い事はあっても悪い事はありませんから。敢えて説明すると、音声の出力先としてASIOドライバを使うと、ソフトウェアシンセサイザーが音を鳴らしてからスピーカーから聞こえるまでの遅延を小さくすることができます。パソコンにMIDIキーボードを繋いでソフトウェアシンセサイザーを弾いたら音が遅れて聞こえる、もたもたしてとても演奏できない、という障害は、音声の出力先としてASIOドライバを使っていないことが原因です。

ドライバモードでASIOを選ぶと、作業用バッファのサイズなどいくつかの悩ましい設定が自動的に調節されます。これは助かりました。これは最上位モデルのProducerだからそうなのか、それともSONARという製品が全モデルそうなのか、分からないです。

レイテンシはできるだけ小さくなるように設定して、2.9msec(MIDIキーボードを叩いてスピーカーから音が聞こえるまで2.9ミリ秒かかる)です。これは実用的には可ですが…専用の機器に搭載されたASIOとしてはちょっとお粗末な気がします。2.0msecを切ってほしいです。FireWireを選んだのはほんとうに失敗だったかもです。

とにかく、私はASIOを問題なく使えていて、そのオーディオオプションはこのような設定になってます、という事しか言えません。後は自分で試行錯誤して解決するしかないです。

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