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ソニーのイヤホンMDR-EX800ST

遅まきながら、ソニーミュージックからモニタリング・イヤホンが発売されていることを知り、速攻で入手しました。私はこれを普段用に使うつもりです。以前、他メーカーのイヤパッドでずっと音楽を聴いていて、耳の感覚をおかしくしたという経験があります。私は仕事上、耳の感覚がフラットでなければなりません。「普段に使える、業務用のヘッドホンと同等なイヤホンがあったらなあ」と常々望んでいたのでした。

業界標準というヘッドホン

MDR-CD900STはソニーミュージックが販売している業務用のモニタリング・ヘッドホンです。

もちろんソニーミュージックのスタジオでエンジニアたちがマジモンで仕事で使っている品です。MDR-CD900STで聞くCDの音はつまり、エンジニアたちが現場で聞いている音そのもの★1 です。

CDを製作したエンジニアたちはみんな、この音を聞いて、最終マスタリングにGOを出した、ということなのです。

MDR-CD900STはソニーミュージックのスタジオ以外の現場でも評価され、ついに業界標準と言われるようになりました。MDR-CD900STは発売された20年前から現在に至るまで何一つ変更が加わることなく、オーディオ業界のメートル原器★2 として在りつづけています。

みんな同じなのが重要

リスナーは自分が最高と信じている音で好きに音楽を聴けばいいですよ。
しかし、現場のエンジニアたちはそういうわけにはいきません。みんなで同じ音を聞いていなければ仕事になりません。例えば「CDの最初のマスタです。チェックをお願いします。」といって、試し焼きしたCDを出張先の責任者に送付したとします。このとき責任者が1,980円の玩具のようなイヤホンで聞いたとしたらどうでしょうか……彼がどんな評価を下すにしろ、参考にならないことは明らかです。

誰でも業界標準の音を聞くことができる時代

MDR-CD900STの音は、エンジニアたちが現場で聞いている音そのものです。
それはアマチュアが自宅で音楽作品を製作する場合にもいえて、つまり、MDR-CD900STで聞きながら仕上げた音楽作品は、業界標準の音になります。御利益として、どんなスピーカやイヤホンで再生してもそれなりに聞ける音になります。

以前の私の作品は、再生するスピーカやイヤホンの種類によって極端に(場合によっては耐えられないほど)音が歪んでいましたが。単純にMDR-CD900STを使うようにしただけで、その問題は大幅に改善されましたとさ。どれだけ私がMDR-CD900STに入れ込んでいるか、分かるってものでしょう。

MDR-CD900STは業務用ですから、長い間、市販されていませんでした。今はアマチュアでも自由に購入することができます。金さえ出せば誰でも業界標準を音を聞くことができるようになりました。私は良い時代に生まれたと思っています。

業界標準イヤホンの登場

やっと本題。
ヘッドホンMDR-CD900STは長く業界標準として在りましたが、ここに至ってイヤホンの必要性がクローズアップされてきました。野外での録音作業など、フットワークを要求される現場で、ライトに使えるモニタリング・イヤホンがあれば重宝するでしょう。

MDR-EX800STは、再びソニーミュージックが時代の要求に応えて発売した、業務用のモニタリング・イヤホンです。

現場のエンジニアから徹底的にダメ出しを食らいながら完成させたというイヤホンMDR-EX800STには、コンシューマ用なら「まあいいか」で済まされる個体差が許されません。最後の最後の工程では一つずつ、人が耳で聞きながら手で微調整しているそうです。

イヤホンMDR-EX800STはヘッドホンMDR-CD900STと同様に、現場の音を忠実に再現します。
今、私はこの原稿を書きながらタンジェリン・ドリーム★3 なんぞを聞いていますが。うん、私の耳では双方の区別が付きません。形状の異なる別種の製品なのに、まったく同じ音がするなんて……考えてみればすごい技術ですよ。

私は仕事で音楽作品を製作するので、耳の感覚をフラットにしておかなければなりません。MDR-EX800STは普段用のイヤホンとして安心して使えます。
» イヤホンMDR-EX800STのページ(ソニーミュージック)

★ エンジニアたちが現場で聞いている音
実際にはスタジオには必ず、精密に調整されたリスニングルームがあって、基本はそこのスピーカで再生した音を聞きながら作業しているそうです。しかしながら望ましいリスニング環境にいないときや、上の例のように遠方どうしで確認し合うときなどに、ヘッドホンMDR-CD900STは最後の拠り所になります。

また、最終判断はリスニングルームのスピーカの音で決定するにしろ、作業のときどきで、ヘッドホンMDR-CD900STでモニタリングするそうです。少なくとも、このヘッドホンで聞いて気づくような異常(高音のざらつきなど)は放置しておけない、とのこと。

★2 オーディオ業界のメートル原器
標準(スタンダード)の価値は、その妥当性ではなく、みんながそれを標準だと認めた、という事実そのものにあります。標準は標準だからこそ標準なのです。

私は子どもの頃、初めて手にした1メートル物差しをかざして(大きすぎるなあ……70cmくらいが1メートルだと便利だろうに、なぜこれが1メートルなんだろう)などと考えたことがあります。これがいかにも子どもっぽいナンセンスであることは、誰でもわかることでしょう。

Amazon.co.jpのレビューに「ほんとうは低音に乏しい」「作り物っぽい音」などのコメントも散見されますが。なんの意味もありませんし議論にもなりません。個人の所感なんてどうでもいい。ヘッドホンMDR-CD900STで聞く音が業界標準の音、フラットな音なのです。

★3 タンジェリン・ドリーム
私は自分の耳の感覚がおかしくならないように、イヤホンMDR-EX800STを使うようにしました。が、癖の強い音楽ばかり聞いていると、それはそれで偏ってしまいます。個人的には梶浦さんやダークウェイブなどの音楽が大好物なのですが。総じて高音域が強いので、長く聞いていると耳が高音寄りになります。

耳の感覚を元に戻すために、低音から高音までまんべんなく聞こえる――ある意味なんの特徴もない音楽をたびたび聞きます。その一つがタンジェリン・ドリームです。この選択が妥当かどうかは微妙ですが……私にとってはタンジェリン・ドリームの曲は、フラットに聞こえます。

ほんとうは毒にも薬にもならないイージーリスニングを聞くのがいちばんよいのでしょうが。さすがにそれは耐えられそうにありません。

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