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2012年09月16日

BIABのオーディオコードウィザードのヒント 6

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

小節の区切りはとても大切

ACWを呼びだし音楽ファイルを読みこませると「とりあえずこんな感じに解析できました」という結果を表示してくれます。が、まあ話にならないです。小節の区切りとかめちゃくちゃですからね。そのへんをユーザが一から十まで正しく修正してやって、なんとかやっと、もっともらしいコードを返してくれるようになります。

曲のコードはふつう小節毎に決まるものです。細かくなると小節の中の拍の区切りでコードが変わることもありますが、いくらなんでも「小節の頭から16分音符の11個目でCからAmに変化、さらに13個目でEmに変化」みたいなシビアな曲はありません。コード進行とはもっと大ざっぱなもので、せいぜい一小節の中で前半と後半のコードが別、みたいな。そのへんの状況は分かってますよね。

とにかく曲のコードを逆算するとき「この小節の範囲はここからここまです」ということをきちんと把握できていないと、正しくコードを逆算できない。さもないと隣りあったコードが混ざってうまく解析できないだろう、ということは想像できると思います。

ユーザが指定する「第一小節の先頭」は、ACWが小節の区切りを見つける出発点になります。第一小節の先頭といえばつまり、曲の頭の頭です。それと曲のテンポさえ分かれば後は小学校の算数レベルで、小節の区切りがどこにあるか見当をつけることができます。っても現実には人間の演奏した曲はメトロノームのように正確ではありませんから、ACWが計算で見当つけた小節の区切りはハズレまくります。結局は人間が一つ一つ手作業で小節の区切りを指定することになります……

第一小節の先頭を見つけるコツ

あなたはどんな曲でも聴きながら「1,2,3,4」「1,2,3,4」と拍子を取ることができますか。さすがにこれができないとACWは使えません。ですから、曲を聴けば拍子を取ることができる、ということを前提に話をします。

最近の曲の出だしは凝っています。だんだんと音が大きくなってボーカルが入るようなフェードインの出だしも、どこが第一小節の先頭なのか決めるのに悩みます。

しかしそのような曲でも、一旦、歌が始まってしまえば意外に「1,2,3,4」と拍子を取りやすいものです。だから「このへんの拍子は取れるんだけど」というところから前に遡って「だったら第一小節の先頭はここかな」と見当をつけてみてはどうでしょうか。

ボーカルが歌いだすタイミングは基本的に小節の頭です。だからそこから前に遡って第一小節の頭を決めるやり方は効果的です。とはいえ、ボーカルが半拍早く入ったり一拍遅れて歌いだしたりする曲もたくさんありますから、そこは惑わされないように。曲の拍子を取ることに自信のない人は、素直な曲――古いポピュラーソングのCDなどで練習してみてはいかがでしょうか。

第一小節の先頭に正解はない

「ここが第一小節の先頭です」という厳密な正解があるわけでもないです。だんだん音が大きくなっていつの間にか曲が始まるようなフェードインの出だしでは、第一小節の先頭なんて決めようがないです。

第一小節の先頭を決めてあげる意義は、先に説明したとおり、それが分かればACWが計算で小節の区切りを見当つけることができる、というところにあります。そしてそうしたところでACWが計算する小節の区切りは実質まったく使い物になりませんから。だから第一小節の先頭を決めてあげる意義は「ACWがあまりに的外れなことをしないように躾けるみたいな?」という、その程度です。あまり適当に決めてはACWが的外れになりすぎて困りものですが「頭はここかそれともここか」と何時間も悩むようなことでもないです。

BIABに返す計算結果は第一小節の先頭より後ろ

覚えておくべき重要な仕様があります。
ACWは第一小節の先頭より後ろだけを解析して結果をBIABに返す、ということです。第一小節の先頭より前の部分は、どんなに長くても切り捨ててしまいます。

だから「ここから後ろはきちんとコードを計算してBIABに返してほしい、という箇所を第一小節の先頭に決めつけてしまう」という判断は実用的だと思います。(私自身、いつもそうやって決めている気がします。)

逆に要らないと思えば、曲の頭をざっくり切り捨ててしまうのもアリです。拍子を取りやすい第二コーラスの頭を第一小節の頭に決めてしまって、前奏も第一コーラスもぜんぶ切り捨ててしまう。失われた部分は後でBIABで、第二コーラスをコピペして第一コーラスを作ったり、コードを手書きして伴奏を作ったりします。

だんだん音が大きくなっていつの間にか曲が始まるケースでは、第一小節の頭なんて決めようがありません。だから私はいつもそうしています。「このへんからきちんとコードを計算してほしい」という箇所を第一小節の先頭に設定して、失われた部分は……あの手この手で復活させたり、だめなら諦めたりごまかしたりしてます。

BIABやACWに頼っているという時点で、あなたの音楽スキルはそんなに高くないはずです。完全に思い通りにいかなくとも自分の作品を製作できるだけましだ、と納得してください。

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2012年09月13日

BIABのオーディオコードウィザードのヒント 5

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

拍子を設定する

ACWで曲を解析する最初の手順として、曲の拍子を設定します。解析する曲が3拍子なら”3拍子”を設定します。4拍子なら”4拍子”を設定します。そうですね、4拍子の曲ばかり解析するなら、このレベルの理解で不都合ないでしょう。

え、3拍子はだめなの?……微妙です。7拍子の曲を解析したいのだが?そういう人もいますよね。これから難しい話をする前に思いだしてほしいのですが。BIABで4拍子の演奏スタイルを選択すると4拍子で演奏しますし、3拍子の演奏スタイルだと3拍子で演奏します。そう、ACWで”何拍子”と設定することと、BIABで何拍子で演奏するかはぜんぜん関係ない話なのです。「何を当たり前なことを?」と思う人はほんとうにBIABのことをよく理解しています。「あれ?なんでだろう?」とこんがらがってきた人は、ぜひ疑問を抱えたまま話につきあってください。

ACWはBIABに拍子の情報を渡さない

大事なことなので繰りかえします。ACWで設定する”拍子”とBIABで演奏するときの拍子は無関係です。正確に言うと、ACWで解析したオリジナル曲の拍子がなんだったかということと、BIABで何拍子で演奏するかは無関係です。だからこそ4拍子のオリジナル曲をマウスの1クリックでワルツアレンジできるわけでして。

ACWを使いこなすために、絶対に理解しておくべき仕様があります。それは、

ACWはBIABに拍子の情報を渡さない。
一つの小節が何拍で出来ているという情報を渡さない。

ACWが曲を解析した結果としてBIABに渡すのは、ある小節のコードがなんだった、という情報だけです。この曲は何拍子で演奏すべきだとか、ある小節を何拍で演奏すべきだとか、それはBIABの方で責任もってなんとかするという約束です。

だから4拍子のオリジナル曲をいとも簡単にワルツアレンジできるわけですし、一方で、途中で3拍子から4拍子に変わる曲を解析したのにBIABはそれをぜんぶ3拍子で演奏しやがったとか、サビの前の一小節だけ一拍長く演奏するはずなのにBIABが無視してふつうに演奏てくれたとか、一見、不思議な誤動作?を引き起こします。

BIABはオリジナル曲の拍子や一小節を構成する拍数について知りません。そのへんはすべてユーザが手作業でBIABに指示しなければなりません。途中で拍子を変えたいなら、途中で拍子の違う演奏スタイルに切り替えます。(他の方法もあります。)特定の一小節だけ拍数を変えたいなら、その小節の拍数を増減します。(ちょっとコツがあります。)

オリジナル曲のイレギュラーな拍子や拍数の変化は、ACWで作業しながら必ず紙にメモして残しておいてください。あなたが忘れると取りかえしがつきません。

一小節を何分割して解析するか

7拍子などの曲を解析させるにはどうするか、という話が冒頭に出ました。試しに”4拍子”を設定して解析してみてください。本当は7拍であるところをわざと4で割ります。これうまくいくケースも多いです。(少なくとも、BIABの側はそのへんまったく気にしません。7拍子の演奏スタイルを指定されたら7拍子で演奏するだけです。)

同じ要領で、4拍子の曲を解析するのに”3拍子”と設定したり、3拍子の曲に”4拍子”と設定しても、うまく解析できるケースが多いです。

ACWで設定する”何拍子”は、ほんとうは拍子ではなくて、次のようなものです。

オリジナル曲を解析するとき「一小節を何分割して詳細に解析するか」を決定する。
”3拍子”を設定すると一小節を3分割して詳細に解析する。
”4拍子”を設定すると一小節を4分割して詳細に解析する。

簡単な作りの曲では、一小節を一つのコードで演奏します。 |C---|Am---|F---|G7---| みたいな感じです、分かりますか。このような曲を解析するときは、ほんとうは”何拍子”を設定してもいいのです。”3拍子”でも”4拍子”でも結果は変わりません。正しく解析できます。7拍子の曲に”4拍子”を指定して解析したら?というのもこのへんの理由です。

問題なのは、一小節の中に複数のコードがある場合です。 |C---|Am---|F---|Dm-G7-| みたいな感じです、分かりますか。最後の4小節目にはDmとG7の二つのコードがありますから、そこはきちんと詳細に解析してほしいところです。ACWにて設定する”何拍子”は、ここに効いてきます。”4拍子”を設定するとACWは一小節を4分割して詳細に解析します。結果として一小節の中に最大で4つのコードが出来上がります。”3拍子”を設定すると3分割して詳細に解析します。”2拍子”なら2分割、”1拍子”なんて常識ではナンセンスですが……要は一小節を分割せず1かたまりとして解析します。

ACWに設定する”何拍子”は、オリジナルの曲が何拍子であるかということと、厳密には関係ありません。オリジナルの曲が何拍子であれ、ACWはとにかく設定されたとおりに”一小節を何分割かにして解析”します。っても4拍子の曲なら4分割して解析するのが間違いないし、3拍子の曲なら3分割すると正確に解析できるでしょう。だから結局、4拍子の曲を解析するときは”4拍子”を設定するし、3拍子の曲を解析するときは”3拍子”を設定することになります。まさにマニュアルにちょろっと簡単に書いてあるとおりです。

通常はここまでの知識は必要ないでしょう。どつぼにはまって何が何だか訳が分からない、という状況で思いだしてください。

そういえば、
7拍子などの曲で一小節の中に複数のコードがある場合はどうすればいいのでしょう。7は4でも3でも割れませんよ。私もやったことがないのですが、仕方ないから、4分割と3分割のどちらか、より近似として正確に解析してくれるっぽい方を設定してみてはどうでしょう。

BIABに渡るコードはせいぜい2つ

今まで説明してきたように、ACWは最大で一小節を4分割してコード解析できます。最大で一小節の中に4つのコードが出来るわけです。なのですが私の勘違いでなければ、それはBIABには渡らないっぽいです。せいぜい「前半分のコードと後ろ半分のコード」のように2つのコードしか渡らないっぽいです。ACWできちんと詳細にコード解析できていたのに、BIABに渡したらコードが減っておかしな事になってた、という経験をよくします。

こういうときは仕方ないから、紙にメモしてあとでBIABで手作業でコードを加筆とか?いっそおおざっぱなコード進行のまま良しとするとか。

テクニックを駆使するなら、わざと一小節のサイズを半分にして解析するとか?もちろんそんなことをするとBIABではテンポがおかしくなりますから、テンポを調節したり、極端なテンポできれいに聞こえる特殊な伴奏スタイルを使ってみたり、2つの小節を1つの小節にまとめる処置を施したり。
私はいつもほどほどの出来上がりで良しとしてます。

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2012年09月12日

BIABのオーディオコードウィザードのヒント 4

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

もう一度マニュアルを読もう

ACWは分かりやすい機能ではありません、もう一度きちんとマニュアルを読みましょう。「使ってみて分からなくなったらマニュアルを読む」という、いつものやり方は通用しません。つか、それで手に負えなかったからこんな怪しげなブログの記事にすがっているわけでしょう。謙虚にもう一度マニュアルに目を通しましょう。少なくとも「ACWではこんな操作ができる」という要点だけでも頭の中にリストしておいてください。

私も既にマニュアルに書かれていることは書きません。マニュアルは読んだ、概要を頭に叩きこんだ。ということを前提に説明します。

作業の流れはこんな感じ

私の場合、ACWを使って音楽ファイルからコードを逆算する作業は、だいたいいつも以下のような流れになってます。

  1. ACWを呼びだす
  2. 拍子を設定する
  3. 第一小節を設定する
  4. 小節の区切りを正しくする
  5. コードを簡単にする
  6. 紙にメモる
  7. BIABに解析結果を返す
  8. 曲の要所に印をつける
  9. 多数決でコードを正しくする
  10. 耳で聞いてコードを正しくする

ACWを呼びだす

BIABのファイルメニューにてACWを呼びだし、解析するmp3やwmaなどの音楽ファイルを指定します。この手順は間違えないでしょう。

そういえばmp3だったかwmaだったか、著作権がどうとか?でACWに読みこめないことがありました。(私が所有しているCDなのに。)こんな場合もwavに変換できるなら、ACWに読みこませることができますよ。

拍子を設定する

解析する曲が3拍子なら3拍子、4拍子なら4拍子に設定します。じゃあ5拍子の曲は?7拍子は?3拍子の曲なんだけどサビの直前だけ4拍になっているのは?といった 詳細な話はこちらの記事にまとめました。 ふつうは3拍子か4拍子の二択で決まりでしょう。

第一小節を設定する

ACWは曲を小節毎に区切ってコード解析します。そのいちばん最初の頭を設定します。っても例えば、だんだん音が大きくなって始まるフェードインの出だしは、どこが頭なのでしょうか? 詳細をこちらの記事で説明しています。

小節の区切りを正しくする

小節の区切りが正確でないと、隣りあったコードが混ざって正しく解析できません。各小節の区切りをマウスでドラッグして正しくします。これはもうひたすら手作業です。テクノ系などシーケンサ丸出しの曲は、最初の数小節を合わせただけで後はぴったり合ってしまう、ということもありますが。ピアノソロなどの場合は各小節の長さがてんでばらばらなので、最初から最後まで手作業で区切りを合わせるしかないです。面倒くさいですけど、これは機械には無理。人間にしかできない仕事です。 ちょっとしたコツなどをこちらの記事で説明しています。

小節の区切りは、ドラムなど杓子定規で律儀な楽器パートに注意すると分かりやすいです。ボーカルは自由闊達に伸び縮みするので参考にならないことがあります。

コードを簡単にする

解析結果のコードがやたらに複雑なときは、上手に解析できていない可能性が高いです。経験的に、解析結果のコードに9,11,susが付くときは疑わしいです。あるいは一つの小節の中に複数個のコードが出来てしまう場合も要注意です。(ほんとうに正しい計算結果かもしれませんが。)前の手順で各小節の区切りを正しくしましたが、わざと区切りを前後にずらすと、かえってうまく解析できることがよくあります。ほんとうによくあります。区切りをマウスでドラッグして前後にずらしてみてください。それでコードが簡単になったら万歳です。

紙にメモる

紙と鉛筆を用意して「伴奏が始まるのは何小節目」「1コーラスが始まるのは」「bメロは」「間奏は」「2コーラスが始まるのは」といった情報を忘れないようにメモして残しておきます。これは後々ものすごく役に立ちます。どんなに面倒でも(簡単な曲だから覚えておけばいい)と思っても、必ず紙に書きのこしてください。曲によっては途中で拍子が変わるとか、一つの小節だけ拍数が違うとか、あるかもしれません。そのような情報はもうほんとうに必ず絶対に書きのこしてください。他には途中で曲のテンポが変わるところとか、一時的にゆっくり演奏しているところとか。

このような情報は、BIABに返すときにきれいさっぱり抜けおちます。BIABの画面を埋めつくす無秩序なコードの群れを見て(なんだ……これ……)と絶句しても、後の祭りです。

  • BIABに解析結果を返す
  • この手順は間違えないでしょう、ボタン一つです。私は基本的にテンポマップを作りません。(後で消すのがたいへんなので。)解析に使ったオーディオデータも消します。(障害なのか、後からどうしても消せなかったことがあります。)そのような付加価値的な情報がなくても困らないように、前の手順で紙に書きのこしたのでした。

    私は難解なメロディーを耳コピーしなければならない場合にだけ、渋々オーディオデータを残します。BIABの自動伴奏とオーディオデータを聞きながら、音符を打ちこみます。

    曲の要所に印をつける

    BIABに解析結果を返した直後は、画面いっぱいに無秩序なコードが広がっている状態で、とりつく島がありません。前の手順で残したメモを参考に「ここから1コーラスaメロ」「aメロ繰りかえし」「bメロ」「間奏」「2コーラスaメロ」……というふうに、小節に印を付けていきます。BIABって小節毎に”aパート””bパート”って設定できるでしょう、演奏の雰囲気ががらっと変わるあれです。あれで印を付けます。

    多数決でコードを正しくする

    例えば1曲の中で同じフレーズを3コーラス歌っているとします。この3コーラスって、よっぽど凝った作りの曲でないかぎり、きっとコード進行は同じはずですよ。前の手順で付けた印を頼りに、同じフレーズのコードをずらずらと紙に書きだし見比べながら、本当のコードはなんだったのか、多数決で推理します。

    例えば3コーラスの最初のコードがそれぞれ「G」「G9」「Gsus」だったなら。(Gなのは間違いないな、Gナントカだ……単純にGなんじゃないかな、9とかsusはノイズだろう)みたいに憶測します。あるいは「Gsus」「Gsus」「Gsus7」だったなら。(これはGsusだ。計算ミスじゃなくてほんとうにGsusなのだ。7はどうだろう、無視するべきか」みたいに憶測します。もう少し詳細を今後の記事で説明します。

    ここの本当のコードはこれに違いない!と確信できたら、そのとおりに手でコードを書きなおします。いや勘違いでした!ということもよくあるので、事前にBIABのファイルを別名で保存してバックアップしておくと安全です。

    ここまでの手順で、コードはほとんど正確になっています。

    耳で聞いてコードを正しくする

    最後は自分の耳で聞いて、違和感があれば、ああでもないこうでもないと修正します。明らかに間違いらしい複雑なコードでも聞いて違和感ないときがあります。そういうのはまあいいかと見逃します。あとたった一カ所だけ、どうにもおかしいのだが正解が分からず数時間悩んだ、ということも昔はありました。

    私はこの作業をするとき、どんな曲でもハ長調またはイ短調に移調して作業します。いつもいつもいつもいつも、ハ長調またはイ短調のコードだけを修正してきたので、今では、ハ長調とイ短調だけは、コード進行が分かるようになりました。(ここでこんなコードを使うはずがない、おそらくこのコードが正解)と感が働くようになりました。

    「BIABには教材的な側面がある」と誰かが2チャンネルで発言していました。名言です。形から入っても数年やっていれば一通りのことはできるようになるものです。

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    2012年09月11日

    BIABのオーディオコードウィザードのヒント 3

    Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

    苦手なことを無理強いしない

    ACWにはコードを上手に逆算できるタイプの曲とできないタイプの曲があります。つまりACWには得意な曲と苦手な曲があります。そりゃそうだろうなという話です。ACWの苦手な曲が事前に分かっていれば、(この曲は絶対に正しく逆算できないな……)と憶測がつけば、最初から楽譜を探すとか、いっそ諦めて他の曲を採用するとか、とかく時間を無駄にせずにすむでしょう。

    ACWの得意な曲

    ACWが上手にコードを逆算できるタイプの曲というのはずばり、BIABが自動伴奏するような曲です。ドラムがズンタタと正確にリズムを叩き、ベースがボンボンとオーソドックスにコードのルート音を鳴らして、ピアノやギターがシャカシャカと細かいリズムを刻みながらセブンスやテンションなどを暗示する。そんな曲を上手にコード逆算できます。

    テンポは、メトロノームで計ったように正確な方が無理なく逆算できます。

    経験的に、3拍子や6拍子よりも4拍子の方が良く逆算できます。

    拍子は3拍子でも6拍子でも4拍子でもなんでもとにかく、始めから終わりまでずっと同じで変わらない曲がいいです。

    「ワン・ツー・スリー・フォー!」で始まるきっぱりした出だしの曲は、曲の頭を決めやすいです。

    曲が途中で転調するのは……これは、逆算精度にはあまり関係ないです。そもそもACWは、曲が途中で転調したことを理解できないっぽいです。それどころか、その曲のキーはなにか?ということも実質は理解できてない印象です。(それこそ問題だとも言えます。)

    ACWの苦手な曲

    ACWが上手にコードを逆算できないタイプの曲、苦手な曲というのは、得意な曲の反対です。何よりもベースの演奏がオーソドックスであることが重要です。ベースが以下のような演奏をすると、逆算精度は極端に低下します。

    • F/Gのようにベースがコードと関係ない音を弾く
    • ベースがセブンスやテンションの音を弾く
    • ベースがリードギター顔負けの複雑なフレーズを演奏する
    • そもそもベースらしい音がない。マンドリンの甲高いシャカシャカした伴奏に合わせて歌うとか

    とにかくトリッキーなベース演奏をものすごく嫌います。これに関してはユーザがほとんど補正できません。致命的です。同様の理由で、コード進行の概念がない種類の民族音楽や中世ヨーロッパの古楽なども正しくコードを逆算する事ができません。(ユーザとしては、こういう音楽こそまさにコード進行を提案してほしいのですが。)

    メロディーだけの曲、アカペラの曲などは情報が少なすぎて正しく逆算できません。

    3拍子や6拍子の曲は、4拍子の曲と比べて正しく逆算できないリスクが高いです。3拍子や6拍子はダメだ、ということではありません。むしろすんなり逆算できるケースの方が多いのですが。万が一うまくいかなかった場合に、いろいろと面倒なノウハウを駆使することになります。

    途中で3拍子から4拍子に変わる、サビの前の一小節だけ一拍長く伸ばす、といった曲も面倒です。ACW自体には苦手意識はないのですが、ユーザがそれをACWに理解させるのに苦労します。そもそもBIABはそのような構造の曲を易しく扱える仕組みになっていませんし…

    だんだん音が大きくなって曲が始まるフェードインの出だしは、曲の頭をどこにすればよいか悩みます。これはACWではなくユーザ側の問題ですけど。

    まずはACWの得意な曲で練習

    BIABの数ある機能の中でも、ACWは使いこなすのが難しい機能の筆頭です。「どうにもACWをうまく使いこなせない」という人は、自分の趣味はひとまず脇に置いて、ACWの得意な曲を使って練習してみてはいかがでしょうか。

    • 4拍子であること
    • テンポが正確(というか機械的)であること
    • 「ワン・ツー・スリー・フォー!」で始まるきっぱりした出だしであること
    • ベースの演奏がオーソドックスであること
    • ベース、ドラム、キーボードにギターなど、一通りの楽器が使われていること
    • 曲のジャンルは往年のポピュラーソングなどがお勧め

    特に打ちこみで作ったMIDI演奏の曲はどこか機械くさいので、音声ファイルになっていてもACWで逆算しやすいです。YouTubeやニコニコ動画でそのような作品を探して使ってみてはどうでしょうか。

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    BIABのオーディオコードウィザードのヒント 2

    Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

    ってもできるだけ使わずに済ませたい

    ACWはどんな曲でもコード進行を完璧に逆算してくれますか?まさかそんな夢のような機能があるはもなく、ACWの精度は正直、発展途上の品質です。少しでも正しく逆算できるように、ユーザがACWの動作をきめ細かに調整してあげる必要があります。それでもとんちんかんな結果を返しますから、最終的にユーザが自分の耳で判断してコードを修正しなければなりません。

    だからまず最初の判断として、ACWを使わないで済ますことはできないか、と考えるべきです。「そんな面倒くさいことをするならいっそ自分の耳でコピーした方が早い!」というなら、まさにそれがいちばん早いです。大事なのは、自分の音楽作品を完成させることです。折角BIABに用意された機能だから…と意地になってACWを躾けようとしたところで、あまり意味ないです。可能な限りACWを使わない方針でいきます。

    まず楽譜やMIDIデータを入手できないか、とあちこち探すべきです。ACWに頼るのは、それらが見つからなかったときの最終手段です。っても最新の曲や異国の珍しい曲をカバーしようとすると、どうしてもその最終手段に訴えることが多くなりますけど。

    楽譜のいいところ

    楽譜のいいところはもちろん、懸案のコード進行が一目瞭然だということです。きちんと明記されてるわけですから、もうぜったいに間違えません。

    また速すぎてとても聞きとれないギターソロなど、きちんと音符で記されていることも有り難いです。BIABの伴奏はどうしても、以前どこかで聞いたような風になります。イントロやサビパートの特徴的なフレーズだけでいいから、楽譜を見ながら手で打ちこんでやると、作品の完成度がぐっと高くなります。

    BIABにはフィオリトゥーラという機能がついていて、平坦なMIDI演奏を人が弾いているように加工してくれます。具体的にいうと拍子に乗せて強弱をつけたり、装飾音を追加してくれたりします。これはかなり優秀なので、フレーズを打ちこむといっても最低限の労力ですみます。音の高さと長さだけ合っていればいいです。あとはフィオリトゥーラがなんとかしてくれます。

    MIDIデータのいいところ

    MIDIデータにはコードが明記されていませんから、音楽ファイルと同様、コード進行を逆算させる必要があります。っても音楽ファイルよりはずっと正確に逆算できます★1 。

    なによりもMIDIデータのいいところは、最初から各楽器パートの音符データが完成していることです。もちろんそのまま丸ごと使えば著作権侵害★2 になりますし、それでは自分の作品だと胸を張って言えないでしょう。音符のほとんどをBIABの自動伴奏したデータに置きかえます。ただし、イントロやサビパートで使われる特徴的なピアノフレーズなどは、オリジナルのMIDIデータを流用すると作品の完成度がぐっと高くなります。

    一般的な話として、アマチュアが打ちこんだMIDIデータは、音のベロシティ(強弱)が一定です。手作業で一音一音きめ細かく強弱を指定していられないというのが実情です。だからフィオリトゥーラを使って人間が弾いているかのように加工してやれば、オリジナルのMIDIデータとは見違えたように生き生きした演奏になります。それこそまったく別のMIDIデータになります。

    例として東方Projectの『天衣無縫』をお聞きください。(聞くのは伴奏ですよ。)

    これはお借りしたMIDIデータをコード逆算して自動伴奏したものです。ピアノパートもBIABの自動伴奏ですが、一部だけ、オリジナルのMIDIデータをフィオリトゥーラで加工して使いました。これによって『天衣無縫』らしさ?をよく表現できたと評価しています。

    お金で済む話ならお金で済ませるべき

    古くから知られたポピュラーな曲なら、楽譜もMIDIデータもネットを探せばフリーでダウンロードできることが多いです。それがダメでも、楽譜ならダウンロード販売していたりします。私が利用している販売サイトは一曲300円くらいです。

    「ACWで逆算すれば無料なのに、金を払うなんてもったいない!」と考えた方へ。社会人になったらそういう発想は卒業しましょう。

    ACWでコードを逆算するのは大変な作業です。私だと一曲で3時間~6時間くらいかかかります。コンビニでバイトすると時給が750円として、3時間バイトとしたら給料は2,250円。これなら3時間コンビニでバイトして2,250円もらって300円払って楽譜を入手する方がだんぜんお得です。まっとうなサラリーマンなら時給は2,000円以上しますから、楽譜があるのに買わないなんて選択肢は考えられません。立派な大人は、常に自分の人生の価値を考えるべきです。(お金を払った方が得)と判断したら、躊躇なくぽんとお金を払うのがカッコイイです。

    MIDIデータを探したが見つからない。楽譜もないし販売もしていない。
    そのような絶望的な状況で、はじめてACWを使います。

    ★ 音楽ファイルよりも正確に逆算できる
    MIDIデータからコード進行を逆算する機能は、ACWとはまた別の機能です。扱う情報の形がぜんぜん違うのだから当然です。ユーザからして見ると、音楽ファイルを逆算させる場合とMIDIデータを逆算させる場合で、呼びだすべき機能と表示されるダイアログがまったく別になります。操作やパラメータの調整もまったく別です。MIDIデータを逆算させるのはACWを使うのとはまた別のコツがあります。それはまた別の機会に説明しましょう。

    ★2 丸ごと使えば著作権侵害
    既存の曲にはまず、その作詞者・作曲者・演奏者に著作権があります。そしてそれのMIDI作品には、MIDIデータを打ちこんだ人に著作権があります。既存の曲をカバーするには、これらの人たち全員の著作権を守る必要があります。(MIDIデータを打ちこんだ人が作詞者・作曲者・演奏者の著作権を守っているどうかはまた別の問題。)

    ニコニコ動画では、著作権の在処や参考にした親作品を公に明記するコモンツリーという機能がるので、有り難いです。なくても「あなたのMIDIデータを流用させて頂きました」とメールで一報する必要はあるでしょう。最終手段として、製作した本人がそれと分からないほど、MIDIデータを徹底的に加工します。

    うーん改めて考えたのですが。
    MIDIデータがまったく楽譜どおりである場合、それは誰が打ちこんでも同じ結果になるわけですから、そこに個性は認められません。だからMIDIデータを打ちこんだ人に著作権はないはずです。「楽譜を見て打ちこみました」と公言している人のMIDIデータを流用する際は、打ちこんだ人の著作権については心配しなくていいはずです。

    「ジャズアレンジしました」というようなMIDIデータは、そこに打ちこんだ人の個性が込められていますから、流用する際には著作権を考慮する必要があります。「耳コピーしました」というケースも、ヘンな話、聞き間違えた音符を打ちこんでいればそこに個性が込められていますから、流用する際には著作権を考慮する必要があります。

    MIDIデータを打ちこんだ人に著作権がない場合でも、苦労して打ちこんだという事実は残ります。それを流用して楽させてもらう以上、打ちこんだ人に対してなんらかのサンクスとリスペクトを払うべきでしょう。

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    BIABのオーディオコードウィザードのヒント

    楽器が弾けなくても打ち込みができなくても曲を作れる

    Band-in-a-Box(長いので以降BIABと記述)はDAW★1 です。

    非常に毛色の変わったDAWでして、C,Am,Dm,G7などとコードを入力し「クラシックのモーツァルト風」「ビートルズのイェスタディ風」「カントリーのジョン・デンバー風」などと演奏スタイルを指示すると、コード進行に従ってそれらしい雰囲気で自動伴奏してくれます。ふつうの音楽ソフトのように一つ一つ音符を打ちこまなくてもMIDI音楽作品を完成させることができます。

    伴奏の楽器はベース、ドラム、ピアノ、ギターといったありがちな編成の他に、演奏スタイルによってはケルトハープが入ったり、バンジョーやマンドリンが入ったり、ギンギンのディストーションギターが入ったりします。オーケストラ風の演奏スタイルだとバイオリンやチェロなどのコンサート楽器が使われます。

    BIABの自動伴奏はほんとうに人が弾いているように生き生きしています★2 。(おそらくMIDIキーボードやMIDIギターを実際に演奏したデータを使っているのでしょう。)「俺は一から十までぜんぶ自分で音符を打ちこむ硬派だぜ」と自認する人も、少しだけ主義を曲げて、音数の多いピアノやギターだけでもBIABの自動演奏を利用してみてはいかがでしょうか。
    要するに世界楽器てみる屋の主人がお勧めするDAWだってことです。

    私がYouTubeやニコニコ動画に投函しているすべての演奏動画は、伴奏はすべてBIABに自動伴奏させました。BIABの自動伴奏がどれほどの品質かは、私の演奏動画の一群を見てもらえば、ある程度は実感できると思います。
    YouTube: http://www.youtube.com/user/temiruya
    ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/user/3649418

    一例としてPS2のゲーム『ICO』のエンディングをどうぞ。(聞くのは伴奏ですよ。)

    ドラムは打ちこみではだめだ、という通説を伺っていますが。どうでしょう。私はドラムについては素人なので、まるでほんとうに叩いているようにしか聞こえません。他のギターにしろベースにしろ専門外の楽器については、実際に人が演奏しているようなリアリティを感じます。私としては、アマチュア作品ならこれで十分に使える音だと思ってますよ。

    曲さえあればコード進行がわかる

    以上は前置きでここから本題。
    オーディオコードウィザード(長いので以後ACWと記述)はBIABの中の強力な機能の一つです。CDやYouTubeの曲を解析してコード進行を逆算します。先ほどは「C,Am,Dm,G7などとコードを入力し」と説明しましたが、mp3やwmaなど音声ファイルがあれば、その作業も必要ありません。オリジナル曲の音さえあれば、それを元にコード進行を作り演奏スタイルを指定して伴奏させて、私だけのカバー曲を作ることができます。

    以降、数回にわたってこのACWの使い方を説明します。

    多くを期待せず使える範囲で使う

    音を聞いただけでコード進行を逆算できるなんて、きっとすごい技術を使ってるんだろうな。最新の音楽理論とか使って難しい計算処理をしてるんだろうな。などと想像しますか。

    実際、そんなおいしい話なんてあるはずもなく。ACWは発展途上の機能です。かなりとんちんかんな逆算結果を返します。2チャンネルのスレッドでも「使い物にならないだろう」という評価を多数見かけます。

    できるだけ正確にコードを逆算できるように、かなり細かくユーザがACWを調整してあげる必要があります。それでも返す結果は完璧とはいえませんから、コードが出来上がった後も、ユーザが自分の耳で聞いておかしなところを修正することになります「そんな面倒なことをするなら最初から自分で耳コピーした方が早い!」と思っちゃいましたか。それができる人についてはまったくそのとおりで、自分で耳コピーするのがいいです。ACWを使う理由はありません。

    コードのことが少しだけ分かるエンジニア気質の人向け

    ACWが返す逆算結果はどうしても不完全です。最後はユーザが自分の耳で聞いて修正する必要があります。だから右も左も分からない音楽素人では、ACWを使いこなすことはできません。かじった程度でいいから、コードのことを分かっていなければなりません。そして自分で一曲まるごと耳コピーするほどの力量はなくても、いくつかのコードを聞き比べて(ここのメロディーにいちばん合うのはこのコードかな?)と、何らかの判定を下せる程度には、耳がよくないと務まりません。ってもきちんとコードを勉強した耳のよい人なら、自分で丸ごと耳コピーした方がだんぜん早いわけですし…

    そしてACWの内部ロジックに想いを馳せながらパラメータを微調節する作業は、エンジニアの仕事そのものです。

    現時点の完成度では、ACWを使いこなせる人は……いや違うか、「ACWを使って”有りがたいと思う”人」は、非常に限られた少数だと思います。一言で言うと、音楽のことを中途半端に理解している機械いじりが好きな人向け?

    ★1 DAW
    デスクトップ・オーディオ・ワークステーションの略で、SONARやPro Toolsのような、録音から加工・編集・ミックスダウンまで音楽作品の製作をすべて一手にこなす総合音楽ソフトを指します。まあ平たく「音楽ソフト」と言ってもそれほど外れではありません。なら分かりやすくそう言えって?

    この記事はDTM(パソコン音楽)についてある程度分かっている人、自分で実践している人向けに書いています。話を早く進めるために専門用語を使うことが多々あるでしょう。そこは(私には関係のない記事だ)と無視するなり、自分で調べて分かるなりしてください。

    ★2 生き生きした演奏
    BIABが出力するMIDIファイルの中身を見れば一目瞭然でして、一音一音毎にベロシティ(音の強弱)がきめ細かに設定されています。どんな楽器であれ、強弱をつけない平坦な演奏がきっと聞くに堪えないだろうということは、誰にでも想像できることで、だから音符を打ちこんで音楽作品を作るとき、いかに音に強弱をつけるかは非常に重要な課題です。それこそギターの場合はこう、ドラムの場合はこう、と楽器毎に解説書が出版されているほどです。

    自分で音符を打ちこむ場合、一音一音毎にきめ細かくベロシティを設定するのはなかなか重労働です。だからピアノやギターなど音数が多くて目立つ楽器だけでも、BIABの自動伴奏を使うといろいろ御利益があると思ってます。

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    2011年03月11日

    BAND-IN-A-BOXは引き算で使う

    自動で伴奏を作ってくれる音楽ソフト

    BAND-IN-A-BOXはちょっと変わった音楽ソフトでして、自動で伴奏を作ってくれます。

    「パソコンで音楽を制作する」というと、ふつうは楽譜ソフトなどを使って、1音符ずつちまちまと伴奏やメロディーの音を書きこんで曲を作るのですが。

    BAND-IN-A-BOXの場合は、C→Am→Dm→G7→C→…のようにコードを書きこんで、あとは「80年代ユーロロック」「クラシックのバッハ風」「ビートルズのイエスタディみたいなの?」といった演奏スタイルを指定するだけで、それっぽく伴奏を自動演奏してくれます。

    いちばんお勧めはコード進行の逆算機能です。
    CDでもYouTube動画でもなんでも、音楽ファイルを読みこませるとそれを解析してコード進行を逆算します。つまり自分の知らない曲でも楽譜がなくても、実際に演奏した音さえあれば、そのとおりに自動伴奏させることができるのです。これほんとうに便利です、むっちゃ強力!

    今のBAND-IN-A-BOXは、私が持っているバージョンよりも2つほどアップしていて、たくさんの機能が追加されたという噂です。いきなり全部の機能を使いこなすことは考えず、おいしそうな機能だけ先に使いながら、だんだん慣れていくのがいいかと思います。私自身、いまだにBAND-IN-A-BOXの一部の機能しか使っていません。

    引き算で考えるのが有効

    » 実際にBAND-IN-A-BOXに自動伴奏させたMIDIファイル

    上のMIDIファイルは、私が制作した『スカボロフェア』の基になったMIDIファイルです。このままではとても聴けたものではありません。それでいいです。BAND-IN-A-BOXを使うときは、引き算で考えるのが有効です。とにかく使えそうな音をぜんぶMIDIファイルに書きだしておいて、あとから削除していきます。1小節の音符を手で書きこむのはたいへんですが、削除するのは1パート丸ごとでも一瞬です。

    演出・編曲が必要

    MIDIファイルを聴いてもらえばわかるとおり、BAND-IN-A-BOXは最初から最後までだあっと一本調子に演奏します。だから後作業として演出・編曲が必要です。

    まず楽器ごとに「曲のどの部分を演奏してどこは演奏しない」という演出をつける必要があります。「イントロはギターソロから。1小節遅れてベースとピアノが入って…ボーカルと一緒にドラムがドン」とか。「サビはぜんぶ音を止めて、ストリングスとベースだけ」とか。

    演奏者の心情をトレースして強弱をつける

    ドラムはその役割からして、曲の節目をバンドの仲間(と演奏を聴いているお客さん)に分からせるために、サビパート直前のリフなど、少し強めに叩いて知らせるべきでしょう。特に曲の最後のサビパートなど「ラストスパートだぜぇぇぇぇ!」と言わんばかりにズダダダドン!と盛大にタムを連打したり★ します。

    そうでなくても特に意識していなくても「ここぞ!」という聴かせどころでは、誰でも思わず力が入って大きな音を出してしまうはずです。そのように演奏者の心情をトレースして、部分的にドンと強く演奏する演出をつけることで、まるで本当に人が弾いているようなスリリングな音になります。

    完成した作品の例

    次のYouTubeの演奏動画は、上のMIDIファイルから作った実際の作品です。

    日付は2008年2月11日、私が初めて完成させた作品です。とても一曲ぜんぶ仕上げる気力がなかったので…1分30秒で止めてしまいました。みなさんも最初からいきなり大曲を狙わず、まずピアノ伴奏だけとか、小さいところからこつこつ成功を重ねていくのがいいと思います。

    こちらは2011年2月26日に投函した最新の演奏動画。

    3年も続けていればいつのまにか、このくらいの品質までいくもんです。
    ちなみに、私がYouTubeやニコニコ動画に投函した演奏動画は、ぜんぶBAND-IN-A-BOXで伴奏しています。他の演奏動画もいろいろ聴いていただければ、BAND-IN-A-BOXでだいたいどの程度のことができるのか、把握してもらえるかなと思っています。

    細々と積みあげた知識は意外に多くなっていて、いきなりぜんぶ説明するとたいへんなことになる量です。今後ぼちぼち説明していけたらと思っています。

    ★ タムを連打する
    ドラムのあのズダダダドン!という音は、専門用語で「タムをまわす」と言うらしいです。漫画『けいおん!』に書いてありました。(アニメの方だったかもしれません。)

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    2009年01月04日

    BAND-IN-A-BOX

    BAND-IN-A-BOXはパソコン音楽ソフトです。
    C,Dm,Am,Gなどとコード進行を入力すると、それに従っていい感じに自動演奏してくれます。一昔前までパソコンで音楽すると言えば一音ずつ手で入力してそして鳴らしていましたから、まあ便利になりました。
    » J~MD_WLZスタイルで自動演奏
    » PNOMOOD2スタイルで自動演奏
    » COSMICスタイルで自動演奏

    演奏スタイルは80年代ブリティッシュロック、モーツァルト、アパラチアンカントリー、ヒーリングなど1500通り以上あるので、これでいいかなというスタイルは一つくらい見つかります…見つかるまで一つずつえんえんと聞き比べなければなりませんが。
    でも根気さえあればある程度まで完成した曲を作れるというのは、やっぱりすばらしいです。

    私がウェブにアップしている伴奏付きの試聴サンプルは、すべてBAND-IN-A-BOXで作っています。ただ、これは最初から最後までだあーっと一本調子に演奏するので、別の音楽ソフトできれいに聞こえるようにアレンジしなければなりません。

    » BAND-IN-A-BOX 16

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