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BIABのオーディオコードウィザードのヒント 2

Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。

ってもできるだけ使わずに済ませたい

ACWはどんな曲でもコード進行を完璧に逆算してくれますか?まさかそんな夢のような機能があるはもなく、ACWの精度は正直、発展途上の品質です。少しでも正しく逆算できるように、ユーザがACWの動作をきめ細かに調整してあげる必要があります。それでもとんちんかんな結果を返しますから、最終的にユーザが自分の耳で判断してコードを修正しなければなりません。

だからまず最初の判断として、ACWを使わないで済ますことはできないか、と考えるべきです。「そんな面倒くさいことをするならいっそ自分の耳でコピーした方が早い!」というなら、まさにそれがいちばん早いです。大事なのは、自分の音楽作品を完成させることです。折角BIABに用意された機能だから…と意地になってACWを躾けようとしたところで、あまり意味ないです。可能な限りACWを使わない方針でいきます。

まず楽譜やMIDIデータを入手できないか、とあちこち探すべきです。ACWに頼るのは、それらが見つからなかったときの最終手段です。っても最新の曲や異国の珍しい曲をカバーしようとすると、どうしてもその最終手段に訴えることが多くなりますけど。

楽譜のいいところ

楽譜のいいところはもちろん、懸案のコード進行が一目瞭然だということです。きちんと明記されてるわけですから、もうぜったいに間違えません。

また速すぎてとても聞きとれないギターソロなど、きちんと音符で記されていることも有り難いです。BIABの伴奏はどうしても、以前どこかで聞いたような風になります。イントロやサビパートの特徴的なフレーズだけでいいから、楽譜を見ながら手で打ちこんでやると、作品の完成度がぐっと高くなります。

BIABにはフィオリトゥーラという機能がついていて、平坦なMIDI演奏を人が弾いているように加工してくれます。具体的にいうと拍子に乗せて強弱をつけたり、装飾音を追加してくれたりします。これはかなり優秀なので、フレーズを打ちこむといっても最低限の労力ですみます。音の高さと長さだけ合っていればいいです。あとはフィオリトゥーラがなんとかしてくれます。

MIDIデータのいいところ

MIDIデータにはコードが明記されていませんから、音楽ファイルと同様、コード進行を逆算させる必要があります。っても音楽ファイルよりはずっと正確に逆算できます★1 。

なによりもMIDIデータのいいところは、最初から各楽器パートの音符データが完成していることです。もちろんそのまま丸ごと使えば著作権侵害★2 になりますし、それでは自分の作品だと胸を張って言えないでしょう。音符のほとんどをBIABの自動伴奏したデータに置きかえます。ただし、イントロやサビパートで使われる特徴的なピアノフレーズなどは、オリジナルのMIDIデータを流用すると作品の完成度がぐっと高くなります。

一般的な話として、アマチュアが打ちこんだMIDIデータは、音のベロシティ(強弱)が一定です。手作業で一音一音きめ細かく強弱を指定していられないというのが実情です。だからフィオリトゥーラを使って人間が弾いているかのように加工してやれば、オリジナルのMIDIデータとは見違えたように生き生きした演奏になります。それこそまったく別のMIDIデータになります。

例として東方Projectの『天衣無縫』をお聞きください。(聞くのは伴奏ですよ。)

これはお借りしたMIDIデータをコード逆算して自動伴奏したものです。ピアノパートもBIABの自動伴奏ですが、一部だけ、オリジナルのMIDIデータをフィオリトゥーラで加工して使いました。これによって『天衣無縫』らしさ?をよく表現できたと評価しています。

お金で済む話ならお金で済ませるべき

古くから知られたポピュラーな曲なら、楽譜もMIDIデータもネットを探せばフリーでダウンロードできることが多いです。それがダメでも、楽譜ならダウンロード販売していたりします。私が利用している販売サイトは一曲300円くらいです。

「ACWで逆算すれば無料なのに、金を払うなんてもったいない!」と考えた方へ。社会人になったらそういう発想は卒業しましょう。

ACWでコードを逆算するのは大変な作業です。私だと一曲で3時間~6時間くらいかかかります。コンビニでバイトすると時給が750円として、3時間バイトとしたら給料は2,250円。これなら3時間コンビニでバイトして2,250円もらって300円払って楽譜を入手する方がだんぜんお得です。まっとうなサラリーマンなら時給は2,000円以上しますから、楽譜があるのに買わないなんて選択肢は考えられません。立派な大人は、常に自分の人生の価値を考えるべきです。(お金を払った方が得)と判断したら、躊躇なくぽんとお金を払うのがカッコイイです。

MIDIデータを探したが見つからない。楽譜もないし販売もしていない。
そのような絶望的な状況で、はじめてACWを使います。

★ 音楽ファイルよりも正確に逆算できる
MIDIデータからコード進行を逆算する機能は、ACWとはまた別の機能です。扱う情報の形がぜんぜん違うのだから当然です。ユーザからして見ると、音楽ファイルを逆算させる場合とMIDIデータを逆算させる場合で、呼びだすべき機能と表示されるダイアログがまったく別になります。操作やパラメータの調整もまったく別です。MIDIデータを逆算させるのはACWを使うのとはまた別のコツがあります。それはまた別の機会に説明しましょう。

★2 丸ごと使えば著作権侵害
既存の曲にはまず、その作詞者・作曲者・演奏者に著作権があります。そしてそれのMIDI作品には、MIDIデータを打ちこんだ人に著作権があります。既存の曲をカバーするには、これらの人たち全員の著作権を守る必要があります。(MIDIデータを打ちこんだ人が作詞者・作曲者・演奏者の著作権を守っているどうかはまた別の問題。)

ニコニコ動画では、著作権の在処や参考にした親作品を公に明記するコモンツリーという機能がるので、有り難いです。なくても「あなたのMIDIデータを流用させて頂きました」とメールで一報する必要はあるでしょう。最終手段として、製作した本人がそれと分からないほど、MIDIデータを徹底的に加工します。

うーん改めて考えたのですが。
MIDIデータがまったく楽譜どおりである場合、それは誰が打ちこんでも同じ結果になるわけですから、そこに個性は認められません。だからMIDIデータを打ちこんだ人に著作権はないはずです。「楽譜を見て打ちこみました」と公言している人のMIDIデータを流用する際は、打ちこんだ人の著作権については心配しなくていいはずです。

「ジャズアレンジしました」というようなMIDIデータは、そこに打ちこんだ人の個性が込められていますから、流用する際には著作権を考慮する必要があります。「耳コピーしました」というケースも、ヘンな話、聞き間違えた音符を打ちこんでいればそこに個性が込められていますから、流用する際には著作権を考慮する必要があります。

MIDIデータを打ちこんだ人に著作権がない場合でも、苦労して打ちこんだという事実は残ります。それを流用して楽させてもらう以上、打ちこんだ人に対してなんらかのサンクスとリスペクトを払うべきでしょう。

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