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BIABのオーディオコードウィザードのヒント

楽器が弾けなくても打ち込みができなくても曲を作れる

Band-in-a-Box(長いので以降BIABと記述)はDAW★1 です。

非常に毛色の変わったDAWでして、C,Am,Dm,G7などとコードを入力し「クラシックのモーツァルト風」「ビートルズのイェスタディ風」「カントリーのジョン・デンバー風」などと演奏スタイルを指示すると、コード進行に従ってそれらしい雰囲気で自動伴奏してくれます。ふつうの音楽ソフトのように一つ一つ音符を打ちこまなくてもMIDI音楽作品を完成させることができます。

伴奏の楽器はベース、ドラム、ピアノ、ギターといったありがちな編成の他に、演奏スタイルによってはケルトハープが入ったり、バンジョーやマンドリンが入ったり、ギンギンのディストーションギターが入ったりします。オーケストラ風の演奏スタイルだとバイオリンやチェロなどのコンサート楽器が使われます。

BIABの自動伴奏はほんとうに人が弾いているように生き生きしています★2 。(おそらくMIDIキーボードやMIDIギターを実際に演奏したデータを使っているのでしょう。)「俺は一から十までぜんぶ自分で音符を打ちこむ硬派だぜ」と自認する人も、少しだけ主義を曲げて、音数の多いピアノやギターだけでもBIABの自動演奏を利用してみてはいかがでしょうか。
要するに世界楽器てみる屋の主人がお勧めするDAWだってことです。

私がYouTubeやニコニコ動画に投函しているすべての演奏動画は、伴奏はすべてBIABに自動伴奏させました。BIABの自動伴奏がどれほどの品質かは、私の演奏動画の一群を見てもらえば、ある程度は実感できると思います。
YouTube: http://www.youtube.com/user/temiruya
ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/user/3649418

一例としてPS2のゲーム『ICO』のエンディングをどうぞ。(聞くのは伴奏ですよ。)

ドラムは打ちこみではだめだ、という通説を伺っていますが。どうでしょう。私はドラムについては素人なので、まるでほんとうに叩いているようにしか聞こえません。他のギターにしろベースにしろ専門外の楽器については、実際に人が演奏しているようなリアリティを感じます。私としては、アマチュア作品ならこれで十分に使える音だと思ってますよ。

曲さえあればコード進行がわかる

以上は前置きでここから本題。
オーディオコードウィザード(長いので以後ACWと記述)はBIABの中の強力な機能の一つです。CDやYouTubeの曲を解析してコード進行を逆算します。先ほどは「C,Am,Dm,G7などとコードを入力し」と説明しましたが、mp3やwmaなど音声ファイルがあれば、その作業も必要ありません。オリジナル曲の音さえあれば、それを元にコード進行を作り演奏スタイルを指定して伴奏させて、私だけのカバー曲を作ることができます。

以降、数回にわたってこのACWの使い方を説明します。

多くを期待せず使える範囲で使う

音を聞いただけでコード進行を逆算できるなんて、きっとすごい技術を使ってるんだろうな。最新の音楽理論とか使って難しい計算処理をしてるんだろうな。などと想像しますか。

実際、そんなおいしい話なんてあるはずもなく。ACWは発展途上の機能です。かなりとんちんかんな逆算結果を返します。2チャンネルのスレッドでも「使い物にならないだろう」という評価を多数見かけます。

できるだけ正確にコードを逆算できるように、かなり細かくユーザがACWを調整してあげる必要があります。それでも返す結果は完璧とはいえませんから、コードが出来上がった後も、ユーザが自分の耳で聞いておかしなところを修正することになります「そんな面倒なことをするなら最初から自分で耳コピーした方が早い!」と思っちゃいましたか。それができる人についてはまったくそのとおりで、自分で耳コピーするのがいいです。ACWを使う理由はありません。

コードのことが少しだけ分かるエンジニア気質の人向け

ACWが返す逆算結果はどうしても不完全です。最後はユーザが自分の耳で聞いて修正する必要があります。だから右も左も分からない音楽素人では、ACWを使いこなすことはできません。かじった程度でいいから、コードのことを分かっていなければなりません。そして自分で一曲まるごと耳コピーするほどの力量はなくても、いくつかのコードを聞き比べて(ここのメロディーにいちばん合うのはこのコードかな?)と、何らかの判定を下せる程度には、耳がよくないと務まりません。ってもきちんとコードを勉強した耳のよい人なら、自分で丸ごと耳コピーした方がだんぜん早いわけですし…

そしてACWの内部ロジックに想いを馳せながらパラメータを微調節する作業は、エンジニアの仕事そのものです。

現時点の完成度では、ACWを使いこなせる人は……いや違うか、「ACWを使って”有りがたいと思う”人」は、非常に限られた少数だと思います。一言で言うと、音楽のことを中途半端に理解している機械いじりが好きな人向け?

★1 DAW
デスクトップ・オーディオ・ワークステーションの略で、SONARやPro Toolsのような、録音から加工・編集・ミックスダウンまで音楽作品の製作をすべて一手にこなす総合音楽ソフトを指します。まあ平たく「音楽ソフト」と言ってもそれほど外れではありません。なら分かりやすくそう言えって?

この記事はDTM(パソコン音楽)についてある程度分かっている人、自分で実践している人向けに書いています。話を早く進めるために専門用語を使うことが多々あるでしょう。そこは(私には関係のない記事だ)と無視するなり、自分で調べて分かるなりしてください。

★2 生き生きした演奏
BIABが出力するMIDIファイルの中身を見れば一目瞭然でして、一音一音毎にベロシティ(音の強弱)がきめ細かに設定されています。どんな楽器であれ、強弱をつけない平坦な演奏がきっと聞くに堪えないだろうということは、誰にでも想像できることで、だから音符を打ちこんで音楽作品を作るとき、いかに音に強弱をつけるかは非常に重要な課題です。それこそギターの場合はこう、ドラムの場合はこう、と楽器毎に解説書が出版されているほどです。

自分で音符を打ちこむ場合、一音一音毎にきめ細かくベロシティを設定するのはなかなか重労働です。だからピアノやギターなど音数が多くて目立つ楽器だけでも、BIABの自動伴奏を使うといろいろ御利益があると思ってます。

楽器があればもっと楽しい毎日
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