BIABのオーディオコードウィザードのヒント 4
Band-in-a-Box(略してBIAB)は自動で楽器を伴奏してくれる便利なDAWです。楽器が弾けなくても打ちこみが苦手でも、音楽作品を作ることができます。オーディオコードウィザード(略してACW)はBIABの機能の一つです。mp3やwmaなど音楽ファイルを読みこんで、コード進行を逆算します。オリジナル曲の音さえあれば、コード進行を決めて伴奏をさせて、私だけのカバー曲を作ることができます。ここではACWの使い方について、そのヒントを挙げています。
もう一度マニュアルを読もう
ACWは分かりやすい機能ではありません、もう一度きちんとマニュアルを読みましょう。「使ってみて分からなくなったらマニュアルを読む」という、いつものやり方は通用しません。つか、それで手に負えなかったからこんな怪しげなブログの記事にすがっているわけでしょう。謙虚にもう一度マニュアルに目を通しましょう。少なくとも「ACWではこんな操作ができる」という要点だけでも頭の中にリストしておいてください。
私も既にマニュアルに書かれていることは書きません。マニュアルは読んだ、概要を頭に叩きこんだ。ということを前提に説明します。
作業の流れはこんな感じ
私の場合、ACWを使って音楽ファイルからコードを逆算する作業は、だいたいいつも以下のような流れになってます。
- ACWを呼びだす
- 拍子を設定する
- 第一小節を設定する
- 小節の区切りを正しくする
- コードを簡単にする
- 紙にメモる
- BIABに解析結果を返す
- 曲の要所に印をつける
- 多数決でコードを正しくする
- 耳で聞いてコードを正しくする
ACWを呼びだす
BIABのファイルメニューにてACWを呼びだし、解析するmp3やwmaなどの音楽ファイルを指定します。この手順は間違えないでしょう。
そういえばmp3だったかwmaだったか、著作権がどうとか?でACWに読みこめないことがありました。(私が所有しているCDなのに。)こんな場合もwavに変換できるなら、ACWに読みこませることができますよ。
拍子を設定する
解析する曲が3拍子なら3拍子、4拍子なら4拍子に設定します。じゃあ5拍子の曲は?7拍子は?3拍子の曲なんだけどサビの直前だけ4拍になっているのは?といった 詳細な話はこちらの記事にまとめました。 ふつうは3拍子か4拍子の二択で決まりでしょう。
第一小節を設定する
ACWは曲を小節毎に区切ってコード解析します。そのいちばん最初の頭を設定します。っても例えば、だんだん音が大きくなって始まるフェードインの出だしは、どこが頭なのでしょうか? 詳細をこちらの記事で説明しています。
小節の区切りを正しくする
小節の区切りが正確でないと、隣りあったコードが混ざって正しく解析できません。各小節の区切りをマウスでドラッグして正しくします。これはもうひたすら手作業です。テクノ系などシーケンサ丸出しの曲は、最初の数小節を合わせただけで後はぴったり合ってしまう、ということもありますが。ピアノソロなどの場合は各小節の長さがてんでばらばらなので、最初から最後まで手作業で区切りを合わせるしかないです。面倒くさいですけど、これは機械には無理。人間にしかできない仕事です。 ちょっとしたコツなどをこちらの記事で説明しています。
小節の区切りは、ドラムなど杓子定規で律儀な楽器パートに注意すると分かりやすいです。ボーカルは自由闊達に伸び縮みするので参考にならないことがあります。
コードを簡単にする
解析結果のコードがやたらに複雑なときは、上手に解析できていない可能性が高いです。経験的に、解析結果のコードに9,11,susが付くときは疑わしいです。あるいは一つの小節の中に複数個のコードが出来てしまう場合も要注意です。(ほんとうに正しい計算結果かもしれませんが。)前の手順で各小節の区切りを正しくしましたが、わざと区切りを前後にずらすと、かえってうまく解析できることがよくあります。ほんとうによくあります。区切りをマウスでドラッグして前後にずらしてみてください。それでコードが簡単になったら万歳です。
紙にメモる
紙と鉛筆を用意して「伴奏が始まるのは何小節目」「1コーラスが始まるのは」「bメロは」「間奏は」「2コーラスが始まるのは」といった情報を忘れないようにメモして残しておきます。これは後々ものすごく役に立ちます。どんなに面倒でも(簡単な曲だから覚えておけばいい)と思っても、必ず紙に書きのこしてください。曲によっては途中で拍子が変わるとか、一つの小節だけ拍数が違うとか、あるかもしれません。そのような情報はもうほんとうに必ず絶対に書きのこしてください。他には途中で曲のテンポが変わるところとか、一時的にゆっくり演奏しているところとか。
このような情報は、BIABに返すときにきれいさっぱり抜けおちます。BIABの画面を埋めつくす無秩序なコードの群れを見て(なんだ……これ……)と絶句しても、後の祭りです。
この手順は間違えないでしょう、ボタン一つです。私は基本的にテンポマップを作りません。(後で消すのがたいへんなので。)解析に使ったオーディオデータも消します。(障害なのか、後からどうしても消せなかったことがあります。)そのような付加価値的な情報がなくても困らないように、前の手順で紙に書きのこしたのでした。
私は難解なメロディーを耳コピーしなければならない場合にだけ、渋々オーディオデータを残します。BIABの自動伴奏とオーディオデータを聞きながら、音符を打ちこみます。
曲の要所に印をつける
BIABに解析結果を返した直後は、画面いっぱいに無秩序なコードが広がっている状態で、とりつく島がありません。前の手順で残したメモを参考に「ここから1コーラスaメロ」「aメロ繰りかえし」「bメロ」「間奏」「2コーラスaメロ」……というふうに、小節に印を付けていきます。BIABって小節毎に”aパート””bパート”って設定できるでしょう、演奏の雰囲気ががらっと変わるあれです。あれで印を付けます。
多数決でコードを正しくする
例えば1曲の中で同じフレーズを3コーラス歌っているとします。この3コーラスって、よっぽど凝った作りの曲でないかぎり、きっとコード進行は同じはずですよ。前の手順で付けた印を頼りに、同じフレーズのコードをずらずらと紙に書きだし見比べながら、本当のコードはなんだったのか、多数決で推理します。
例えば3コーラスの最初のコードがそれぞれ「G」「G9」「Gsus」だったなら。(Gなのは間違いないな、Gナントカだ……単純にGなんじゃないかな、9とかsusはノイズだろう)みたいに憶測します。あるいは「Gsus」「Gsus」「Gsus7」だったなら。(これはGsusだ。計算ミスじゃなくてほんとうにGsusなのだ。7はどうだろう、無視するべきか」みたいに憶測します。もう少し詳細を今後の記事で説明します。
ここの本当のコードはこれに違いない!と確信できたら、そのとおりに手でコードを書きなおします。いや勘違いでした!ということもよくあるので、事前にBIABのファイルを別名で保存してバックアップしておくと安全です。
ここまでの手順で、コードはほとんど正確になっています。
耳で聞いてコードを正しくする
最後は自分の耳で聞いて、違和感があれば、ああでもないこうでもないと修正します。明らかに間違いらしい複雑なコードでも聞いて違和感ないときがあります。そういうのはまあいいかと見逃します。あとたった一カ所だけ、どうにもおかしいのだが正解が分からず数時間悩んだ、ということも昔はありました。
私はこの作業をするとき、どんな曲でもハ長調またはイ短調に移調して作業します。いつもいつもいつもいつも、ハ長調またはイ短調のコードだけを修正してきたので、今では、ハ長調とイ短調だけは、コード進行が分かるようになりました。(ここでこんなコードを使うはずがない、おそらくこのコードが正解)と感が働くようになりました。
「BIABには教材的な側面がある」と誰かが2チャンネルで発言していました。名言です。形から入っても数年やっていれば一通りのことはできるようになるものです。
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