「つまりサックスってこんな感じ」というのを持つために
「つまりサックスってこんな感じ」というのを持つというのは、難しいことではありません。どんな人でもおぼろげながら持っているものです。
例えば、友だちのお子さんから「サックスってどんなの?」と尋ねられたとします。あなたは今までTVなどで見てきたサックスを演奏する姿や、ぱあんと鳴る自己主張の強い音色を思いだしながら、いろいろと説明するでしょう。その今まさに思いだしているサックスを演奏する姿や音が、あなたの「つまりサックスってこんな感じ」です。そんな大したものじゃない。何度かサックスを見聞きしたことのある人なら、ふつうに持っているものでしょう。
ただし、自分でもサックスを演奏しようとなると、もっとしっかり厳密に「こんな感じ」というのを持つ必要があります。
好き/嫌いが最初の手がかりです。
この曲は好き、これは嫌い。この曲の中でもここのフレーズは最高にかっこいい。この人の演奏の右に出る人はいないと思う。逆に、サックスでこんな演奏しても冴えないよなーとか。無数の好き/嫌いの線引きが、いつかサックスの輪郭を浮き彫りにします。
あなたが感じる好き/嫌いです。他人から教わるものではありません。
相違点/類似点を見つけるのも手がかりになります。
フルートではよく今のようなフレーズを吹くけど、サックスでは聞いたことがないよな。今のサックスの吹き方は他のいろんな曲でもよく聞くぞ、確かにこういうのっていかにもサックスっぽい気がする。この人のこういう吹き方は他では聞いたことがない、これってかっこいいのかなあ、とか。無数の線引きがいつかサックスの輪郭を浮き彫りにします。
あなたの目に映る相違点/類似点です。他人から教わるものではありません。
結局、たくさん聴くのがよい、ということになります。
「たくさんお金を使え」とは言っていません。今ならYouTubeでいくらでもサックス演奏を観ることができます。街の有線放送でサックスの音が聞こえたら注意深く耳を澄ませばいいです。TVドラマやコマーシャルのBGMに使われた数秒のフレーズがすごかったりします。
「つまりサックスってこんな感じ」という、万人がみなYESとうなずく普遍的で一般的なものを探し求めるほど、同時に、自分の個性をナイフのように鋭く尖らせることになるという。その逆説がおもしろい。
あ、だからポケットサックス(というか楽器全般)も同じです。
楽器があればもっと楽しい毎日
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