Band-in-a-Boxを始めるにあたって
Band-in-a-Boxはちょっと変わった音楽ソフトです。
音符を一つずつ手で入力するのでなく、C,Am,Dm,G7,…のようにコード進行を入力して、『ビートルズのイェスタディ風』『モーツァルト風』などと演奏スタイルを指定すると、ドラムやベース、ピアノ、ギターなどでそれらしく自動演奏してくれます。楽器の演奏ができなくても音符の打ちこみが苦手でも、Band-in-a-Boxがあればそこそこの音楽作品を素早く製作することができます。よい時代になりました。
下は私がBand-in-a-Boxを使って製作した作品の例。
この中で2本のギターとバイオリンの音は、Band-in-a-Boxが出力したWAVファイルの音です。
最近のBand-in-a-Boxはサンプリング音源を持っています。
実際に演奏したギターやバイオリンの音を録音してサンプリング音源として使っています。Band-in-a-Boxは従来のように自動演奏した結果をMIDIファイルとして出力することもできますが、このようにWAVファイルとしても出力できるようになりました。
バイオリンなんてまるで、ほんとうに人が演奏しているみたいですね。
いや実際に演奏した音を使っているからそうなんですが。
「自分もBand-in-a-Boxを使ってみたい」というお客さんからコツなどを尋ねられたので、この場で回答します。
いちばん高価なBand-in-a-Box
なんにしろBand-in-a-Boxが必要です。
Band-in-a-Boxは演奏スタイルのライブラリが命です。いちばん高価な版で4000スタイルくらい抱えていたでしょうか。それでも自分が使いたいと思う演奏スタイルは意外に数えるほどしかないものです。Band-in-a-Boxは、無理してでもいちばん高価な版を購入するべきです。
DAW(統合音楽ソフト)
DAWも必要です。
DAWというのはPro ToolsやSONARといった、いわゆる音楽作品を製作するための、なんでもかんでも一とおり揃っているソフトウェアのことです。最新のBand-in-a-BoxにはDAWがバンドルしていますから、それを使うなら、別立てで入手しなくても音楽作品を製作することができるでしょう。ただし使い勝手は不明です。(なんだか思ったとおりのことができない…)と感じたら、将来的には他のきちんとした製品のDAWを購入する算段も、頭の片隅にとどめておいてください。
ソフトウェアシンセサイザとエフェクタ
エフェクタをまったく使わないという人でもリバーブやディレイは使うでしょう。
また煌びやかなシンセサイザの音はそれだけで作品の魅力を倍増しにしてくれます。ソフトウェアのシンセサイザとエフェクタは、フリーウェアが山ほど出回っていますから、それらをかき集めるだけで立派な作品を製作することができます。最初はそこから始めたらよいでしょう。
でも、何ギガバイトもサンプリングデータを抱えた製品版のシンセサイザは、やっぱりそれだけの音がするのだと覚えておいてください。
自分がよく使う楽器だけでも、高品質の製品版を使うと作品の仕上がりがぐんとアップするでしょう。因みに私がいちばん最初に購入したシンセサイザはベースギターでした。やっぱり安物音源とはリアリティが違います。
チュートリアルをやる
最初にチュートリアルをやってみましょう。
マニュアルのどこかに載っているはずです。プラモデルを組みたてるように、書いてある通りの手順で操作すると、小さな作品が出来上がります。Band-in-a-Boxでできることをざっと理解するのにとても有効です。面倒くさがらずにぜひチュートリアルをやってみましょう。
ただし実際には――YouTubeなどに投函して人が聴いてイイネ!を押してくれるような作品を製作するには、Band-in-a-Boxだけでは勤まりません。MIDIファイルやWAVファイルに書きだして、DAWに読みこんでアレンジ、ミックスダウンする必要があります。シンセサイザやエフェクタを駆使することになるでしょう。このへんはもう、DTM(パソコン音楽)として一般的な話になります。その手の専門書や雑誌を読んで勉強し、実践しましょう。
マニュアルを読もう
Band-in-a-Boxを使いこなすために、マニュアルを読む必要があります。
マニュアルを鞄に入れて持ち歩いて、暇なとき――ふつうの人が携帯を弄って時間を潰すような時に読みます。
ぜんぶを覚える必要はありません。
Band-in-a-Boxでどんなことができるのか、そのやり方はマニュアルのどの辺に書いてあるか。それだけ頭に入れて、あとは実際に作業していて分からなければマニュアルを見ればいいです。
小さな作品を完成させよう
音楽作品に限らず漫画や小説、イラストなどクリエイティブな職業を目指す新人に対するアドバイスとして、必ず言われることです。小さな作品でいいから完璧に完成させましょう。完璧に、というのは「今の私の技量ではこれ以上無理」という限界の完成度に仕上げるってことです。真剣勝負ってことです。
最初の作品を完璧に完成させるのはとても大変ですから、無理はしないようにします。楽器はピアノだけとかギターだけとか、少ない数でいきます。作品の長さも1,2分くらい。歌だったら前奏と1コーラスで終わりみたいな、最小単位にします。ただしその範囲の中は真剣勝負で製作します。友だちに聴かせて「えーもったいない。最後まで作ってよ」と言われるレベルを目指します。
前回よりちょっとだけ良い作品
後はもう、たくさん作りつづけるだけです。
大切なのは、前回の作品よりもちょっとだけ良い?作品を作るように心がけることです。
前回よりも楽器の音を一つだけ増やす。1分だけ長いアレンジにする。Band-in-a-Boxの使ったことのない機能を試してみる。新しいシンセサイザやエフェクタを使ってみる。そんな僅かな改良が何年も積み重なって、いつか、明らかに素人とは一線を画する作品を作れるようになります。
私もいつか市販のCDみたいな音を作りたいと精進しています。
下は私がほんとうに初期の頃に製作した『スカボロー・フェア』と、そして最近に製作した同じ作品です。最近の作品を製作するに当たっては、昔のBand-in-a-Boxのデータをほぼそのまま流用しました。まあだから未来のことも考えて、作品を製作するときに使ったデータはずっと保存しておくといいです。
どうでしょうかね。
昔の演奏もけっこうカッコイイというか。あんまり進歩してないのかなあ。
楽器があればもっと楽しい毎日
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