-- 口琴/口弓(1) --

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2014年05月24日

ヨーロッパの口琴-Utps Vatsfjorden Ps Ein Plankji

ハンガリーのレガトール社の口琴です。
ノルウェーのダンス曲『Utps Vatsfjorden Ps Ein Plankji』を吹いてみました。

鉄や竹で出来た小さな楽器

口琴は日本を含むアジア・ヨーロッパ全域で見かける小さな楽器です。
鉄や竹など、弾力のある素材で出来ていて、外側のフレームを前歯に押しつけ、中心のバネを弾いて鳴らします。

バネの音はずっと同じ音なのですが、口の中をいろいろ動かすと、驚くほど音色が変化します。マイク・アンプを通すと意外に電気的な音になります。80年代のアナログシンセサイザみたい。「ウィーアー、イエローマジック、オーケストラ」とロボット声でしゃべったり(古い!)、動画のようにメロディを演奏したりもできます。

音色を徹底的に操作するこの口琴という楽器は、他に類のない珍しい楽器だといえます。楽器といえばふつうは、リズムとピッチを重要視して演奏するものでしょう。もちろん音色も重要な要素ではありますが…だからといって積極的にどうこうするようなことはありません。

吹いて演奏する楽器です

西欧では、口琴は吹いて演奏する楽器です。
例えば動画の、フレーズの頭のガガガという三連符は、指を往復させて3回バネを弾くのではなく、素早く2回ハハッと息を吐いて音を区切っています。★ 口琴のバネを前方に弾いて演奏していると、やりすぎてボキッとよく折ります。多分それを避ける意味もあるのでしょう。西欧ではビン、ビン、ビンと大きなリズムでバネを弾いて、細かいリズムはハッ、ハッ、ハハッという感じに呼吸で刻みます。

昔取った杵柄、演奏してみました

私は昔、口琴にハマって四六時中吹いていましたが。最近はぱったりです。そんなに売れる楽器でもないので、ほったらかしです。それでもたまに買いに来たお客さんと話していると、なんとなく自分もやってみたくなって、せっかくですから演奏して動画にしてYouTubeに投函しました。

★ 息を吐いて音を区切る
バネを弾くのと同じタイミングでハッと息を吐いて1回。予備動作としてハッと息を吸って2回。間髪を入れず再びハッと息を吐いて3回。これですばやい三連符が完成します。ただし演奏者としては、息を吸う動作は意識していなくて、バネを弾くのと同じタイミングで素早く2回ハハッ、と息を吐く感覚です。

友だちが寒いギャグをかましたときに「ハハン」と鼻で笑うでしょう。あんな感じ。「ハハン」「ハハン」とやってみてください。

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2012年07月27日

倍音楽器、マウスボウ 2

マウスボウは1万5千年前の昔から存在する原始的な弦楽器です。ピアノ、ギター、サックスなど最新の楽器が流通している先進国では忘れられた楽器ですが、中にはその魅力にとりつかれて日々改造を重ねる人もいたりします。私は4,5年前から彼に注目していましたが、最近、確認してみたらすごい変貌をとげていました。

湾曲のないまっすぐな竿に弦を張り、マウスボウの要、弦と唇の接点には細い振動板を取り付けています。この仕組みは当初から口琴を意識していたことが彼のサイトを見るとよく分かります。
»マウスボウ改良型(英文)

演奏は、棒で弦を叩く伝統的なスタイルの他、右手の指で弦を弾きながら左手の指で弦を押さえるスタイルも可能です。
»伝統的な演奏
»新しい演奏(RealPlayer 2.6MB) »サイト

もう立派な弦楽器ですね。ステージ映えもなかなかです。
右手をよく見るとギターとは逆で指の背で弦を弾いています、中国の琵琶みたい。

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倍音楽器、マウスボウ 1

マウスボウは世界中に分布する原始的な弦楽器です。起源は大変古く、フランスの洞窟に描かれた1万5千年前の壁画の時代までさかのぼります。外観は狩猟用の弓そっくり、というか最初は狩猟用の弓を鳴らしていたのではないかと考えられています。(逆に、太古の弓は楽器だったという説があります。楽器が先で、後になって狩猟に使うようになったとか。)

図はUSAのアパラチアン・マウスボウ。平たい板状の弓にギターの糸巻きを採用して少しは楽器っぽい体裁をしています。複数の弦を張ったタイプもあるようです。

マウスボウは弓あるいは弦の端に唇を寄せて、箸のような棒で弦を叩いて演奏します。

»こんな音

口琴と同じように口の中をいろいろ動かして音色を変えたり、弓を曲げて不安定ながら音程を変えることもできます。
»アパラチアン・マウスボウ(英文)

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2009年10月20日

倍音楽器、口琴 4

口琴(こうきん)は人間の口を共鳴胴に使う珍しい楽器です。口の前に持ってきて中心のバネを弾くとビーンと音がします。そのままではつまらない音ですが、口の中をいろいろ動かすとおどろくほど多彩に音色が変わります。

口琴だって協奏曲を弾きたいっ

口琴=びよよんだなんて悲しすぎる、倍音を使ってメロディーを弾くことだってできるんですっ。でも倍音に含まれない音程は出せなかったりして…ぐす。

それでも世界の多くの国々、モンゴル、トバ、キルギズスタン、ノルウェー等は口琴の不完全な音階に対して寛容でした。出る音だけ使って演奏すればいいじゃんという態度です。あるがままを愛おしむということでしょうか。

でも西欧にとってそれは我慢ならないことでした。楽器ならどんな曲でも演奏できてしかるべきなのです。鳴かせてみせようホトトギス、オレ色に染まれっ、てな感じなのです。写真はスイス、ドイツ、オーストリアで使用される口琴ホルダー。倍音の異なる口琴を集めればお互いの不足分をカバーして完璧な音階を出すことができるという発想です。

確かにこれならどんな曲だって弾けるでしょう。ベートーベンの師アルブレヒツベルガーは口琴のために協奏曲を書きました。
»口琴協奏曲変ロ長調

演奏はスイスのアントン・ブリューヒン。メロディーを途切れさせることなく口琴を取り替えていく様はまるで神業ですっ。アメイジングっ、ファンタスティックっ……

こういう「口琴でも弾けたっ」というアプローチは、どこまでいっても「まあでも所詮オモチャだよねっ」と切りすてられるだけのように思うのです。ノルウェーの口琴の曲などを聴くと、それこそどんな楽器でもマネできない、個性的な楽器なんだということがわかります。

「口琴でも弾けた」ではなくて「口琴だから弾ける」です。

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2009年09月30日

倍音楽器、口琴 3

口琴(こうきん)は人間の口を共鳴胴に使う珍しい楽器です。口の前に持ってきて中心のバネを弾くとビーンと音がします。そのままではつまらない音ですが、口の中をいろいろ動かすとおどろくほど多彩に音色が変わります。

いちばん口琴らしい音

いちばん口琴らしい音のする口琴ってどんなだろう。そんなことを考えました。
インドの口琴はリズム楽器です。ヨーロッパや中央アジアではメロディー楽器、サハや北海道では抽象的な心象描写の道具として演奏します。国や文化によって求める音が違いますから、1番2番を競うものではないと承知のうえで、それでも理屈をつけていろいろ想像するのは楽しいものです。テレビCMやバラエティ番組で口琴を初めて知った人は、これでどんな曲を演奏するだろうと想像するでしょうか?

  • ビヨヨーンというバネのような音
  • 楽器なんだからドレミファでメロディーを弾いて当然

…ビヨビヨいいながらメロディーを演奏する、これが初心者の想像する口琴の音に違いありません。

» きっとこんな音

これはノルウェーの口琴です。ちゃんとメロディーを弾いていますし、しかもこのビヨビヨ感はタダモノじゃありません。口琴でも弾けますという演奏ではなくて、口琴でしか弾けない演奏です。実際このビヨビヨ感は他の楽器ではまねできないでしょう。

ビヨビヨは口琴の真骨頂、でも自分で弾いてみると期待したほどビヨビヨ鳴りません。実は、口琴の本来の音はビーンという味気ない音です。ビョロエ~という強烈なこぶしは、演奏者が舌をいろいろ動かしてそのように演奏しているからなのです。口琴は口琴のように弾いて初めて口琴の音が出ます。

口琴にかぎらず、楽器は本体と演奏技法とワンセットで”楽器”です。

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2009年08月30日

倍音楽器、口琴 2

口琴(こうきん)は人間の口を共鳴胴に使う珍しい楽器です。口の前に持ってきて中心のバネを弾くとビーンと音がします。そのままではつまらない音ですが、口の中をいろいろ動かすとおどろくほど多彩に音色が変わります。

日本の口琴

ムックリは北海道のアイヌ族に伝わる口琴です。本来は笹だったと聞いてますが、竹の口琴ですね。本体を直接弾くのではなく紐を引っぱって鳴らすので、音を出すまでが一苦労です。鳴らし方は以下のサイトをご覧ください。
» ムックリ演奏教室

ムックリの演奏は基本的にリズムもメロディーもありません。ビンビンと単調に紐を引っぱるだけです。曲とはとても言い難い原始的な音色はなんとも呪術的で、北海道の真っ暗な原生林の中で弾いてると、それこそ何か呼びだしてしまいそうな感じ。

» ムックリの音

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2009年08月15日

倍音楽器、口琴 1

口琴(こうきん)は人間の口を共鳴胴に使う珍しい楽器です。フレームの丸い部分を掴み、細くなった先の部分を前歯に押し当てて固定して、フレームの間に通ったバネを弾くとビーンと音がします。そのままではつまらない音ですが、口の中をいろいろ動かすとおどろくほど多彩に音色が変わります。

鳴らすには少しコツが要りますが、わりとすぐに鳴らせます。びよよーんという口琴特有の音は他の楽器では代用が利きません。人によってはひどくハマるようです。効果音的な音しか出ないので玩具と思われがちですが、美しいメロディーも弾けますし、複雑な倍音を伴った高度な抽象音楽も演奏できます。まあどんな楽器でも奥は深いです。

写真はインドの口琴。口琴はユーラシア大陸全域に散在します。アジアには竹製の口琴もあります。
» インド口琴の音

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2008年10月23日

口琴の弾き方、ダイジェスト

口琴は人間の口を共鳴胴に使う非常に個性的な楽器です。口琴の音自体はビーンというつまらない音ですが、口の中に反響して驚くほど複雑な音色を奏でます。
» 口琴を演奏してみました

角材を曲げて作ったケチな玩具ですが。それでも説明しだすときりがない、奥の深い楽器です。まず、最低限の音を出すところまで駆け足で説明します。
※ 私が以前に運営していたサイト『シュバルのスケッチブック』の記事を再編成しました。

各部の名称

ここでは口琴の各部分を次のように呼びます。

  • フレーム
  • ばね
  • ばねの先

口琴の持ち方

左手の親指、人差指、中指で口琴のフレームを持ちます。

  • ばねの先は向こう側へ向けてください。
  • 指でばねに触ないようにしてください。

口琴の構え方

フレームの先を前歯にまっすぐ押しあてます。

  • 上下の歯の間を少し開けてください。
  • 口琴は前歯にまっすぐ押しあてます。
  • 前歯の先端がフレームに当たるのは、間違いです。
  • 前歯の側面がフレームに当たるのが正しいです。
  • 唇はフレームに軽くつけてください。

口琴の鳴らし方

右手人差指でばねの先を口の中に押しこんで放します。ガチッとかベンとかビビンとか鳴るのは失敗です。びぃーーーーんと鳴ればOKです。口琴を鳴らしながら舌を動かすと音がビヨヨヨンと複雑に変化します。

ばねが歯に当たって痛いときは

上下の前歯の間にばねの通る隙間を開けてください。

ガチガチいって鳴らないときは

正しく口琴を前歯に押しあてていますか。前歯の側面にフレームを押しあてます。前歯の先端がフレームに当たっていると、フレームを噛みつぶしてしまいます。そうなるとばねがフレームに当たってガチガチいいます。

左手の指は口琴を前歯にまっすぐ押しあてるように力をかけてください。握るような力を少しでもかけると、やっぱりフレームがつぶれてガチガチいいます。

ばねはまっすぐ口の中に押しこんで放します。下や上に押しこむとバネがヘンなふうに振動してガチガチいいます。
関連して、ばねの先を横に引っぱる人がいますが、こうするとばねが折れます。また、ばねを前に弾く人がいますが、初心者がこれをするとばねを折ります。

ビンビンと余韻のない音がするときは

ばねが何かに触って止まっています。ありがちなのは唇。それから左手の指。ばねには触れないようにしてください

あるいは口琴をしっかり前歯に押しつけて固定していないと、そんな音がします。口琴をしっかり前歯に押しつけて固定してください。

なんだか小さな音しかしないときは

そもそも口琴の音は小さいです。

唇をフレームにべたっと当てて、口の中の空気をできるだけ密閉してください。空気が漏れていると大きな音がしません。

口琴を弾きながらほんの少しだけ、息を吹いたり吸ったりしてみてください。だいぶ音が大きくなります。あんまり強く息を吹くとばねが止まってしまいます。

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2008年10月12日

口琴を販売開始します

世界楽器てみる屋は変わった楽器、珍しい楽器を販売することを心がけています。その基準は街の(具体的には福岡市内の)楽器店で見かけない楽器である、ということになっています。だから口琴はぎりぎりアウトです、だって博多駅前のロッキンに同じものが売ってるもの。

なのですが戦術的商品として販売することになりました。まあ、いろいろあるんです。珍しい楽器には違いないし。知ってる人より知らない人の方が多いよねきっと。
10/24あたりにはウェブショップのカタログページに掲載できると思います。

口琴

ビールの栓抜きのような形をした金属製の小さな楽器。外枠の細くなった先を前歯に押し当て中心に通った平たいバネを指で弾くとびよよーんという音がする。口の中をいろいろ動かすことによって激しく音色が変化するのが特徴。

口琴はユーラシア大陸全域で散見される。アジアでは竹でできた口琴が主流である。日本では北海道のアイヌ民族に「ムックリ」という竹の口琴が伝わっている。
» ノルウェーの口琴を弾いてみた1
» ノルウェーの口琴を弾いてみた2

ほんとうに久しぶりに口琴を弾きましたが…すっごいですね。
このチンケな鉄の塊が出しているとは思えない複雑な音色です。いろんな倍音がぐわんぐわん鳴ります。いやーやっぱりすごいよ口琴。うん、売る気になりました。

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2007年07月22日

福岡市口琴普及委員会を発足します。

私は口琴は、福岡市内に定着したと思っていましたよ。一時期、市内の雑貨屋ではこぞって口琴を売っていましたし、周りの友達もみんな口琴を持っていますし。もう私のすることなしと思っていましたが。

口琴 jews harp

んなことはない、ここにきて口琴を売っている店がぱったりなくなり、生音楽器演奏会では「この楽器なんですか!?」と珍しげに声をかけてくる人が結構な数います。全然定着していませんよ!?需要があるのになんで雑貨屋が売らなくなったのか不明ですが、言っても仕方ありません。気持ちを新たにして福岡市内口琴普及に乗り出します。具体的な計画は……そのうち。

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