倍音楽器、口琴 4
口琴(こうきん)は人間の口を共鳴胴に使う珍しい楽器です。口の前に持ってきて中心のバネを弾くとビーンと音がします。そのままではつまらない音ですが、口の中をいろいろ動かすとおどろくほど多彩に音色が変わります。
口琴だって協奏曲を弾きたいっ
口琴=びよよんだなんて悲しすぎる、倍音を使ってメロディーを弾くことだってできるんですっ。でも倍音に含まれない音程は出せなかったりして…ぐす。
それでも世界の多くの国々、モンゴル、トバ、キルギズスタン、ノルウェー等は口琴の不完全な音階に対して寛容でした。出る音だけ使って演奏すればいいじゃんという態度です。あるがままを愛おしむということでしょうか。
でも西欧にとってそれは我慢ならないことでした。楽器ならどんな曲でも演奏できてしかるべきなのです。鳴かせてみせようホトトギス、オレ色に染まれっ、てな感じなのです。写真はスイス、ドイツ、オーストリアで使用される口琴ホルダー。倍音の異なる口琴を集めればお互いの不足分をカバーして完璧な音階を出すことができるという発想です。
確かにこれならどんな曲だって弾けるでしょう。ベートーベンの師アルブレヒツベルガーは口琴のために協奏曲を書きました。
»口琴協奏曲変ロ長調
演奏はスイスのアントン・ブリューヒン。メロディーを途切れさせることなく口琴を取り替えていく様はまるで神業ですっ。アメイジングっ、ファンタスティックっ……
こういう「口琴でも弾けたっ」というアプローチは、どこまでいっても「まあでも所詮オモチャだよねっ」と切りすてられるだけのように思うのです。ノルウェーの口琴の曲などを聴くと、それこそどんな楽器でもマネできない、個性的な楽器なんだということがわかります。
「口琴でも弾けた」ではなくて「口琴だから弾ける」です。
楽器があればもっと楽しい毎日
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