-- DTM・初音ミク(1) --

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2016年01月14日

初音ミクの声にメリハリをつけるエフェクタ

初音ミクのための専用エフェクタ。
ミクの声が小さいと肩から力の抜けた優しい声に、声が大きいと力んだ黄色い声になります。中くらいの声の大きさだと中くらい。結果として、ミクの歌声に自然なメリハリがつきます。★1

Audio Player

ミクに限らず、他のボーカロイドにも使えますし、普通に人間のボーカルにも使えるはずです。他にも笛とかバイオリンとか?楽器にも応用が利くと思います。

ダウンロード

»tmryPowerSingerのダウンロード(VST,Windows 32bit)

tmryPowerSingerというVSTソフトウェアエフェクタです。
お手持ちのDAW(音楽ソフト)に組み込んで使用します。32ビット版のWindows 7でビルドしました。ですからそのような環境で使えます。

ダウンロードしたzipファイルを解凍するとdllファイルが入っています。dllファイルをどのように扱えばよいかは、お手持ちのDAWのマニュアルを参照してください。VSTなので安物のDAWでも大抵使えるはずですが、Pro Toolsは特殊な設定?が必要だったと記憶しています。

各パーツの説明

tmryPowerSinger-160105.jpg

① Threshold
この値よりミクの声が大きくなると、エフェクタが働き始めます。ミクの声が小さい間はエフェクタはOFFで、声が大きくなるとエフェクタがONになる、といった使い方ができます。いちばん小さい値にすると、エフェクタは常にONになります。

② Gain
③のモニタの上下いっぱいにミクの声が収まるように調製します。これはこうしておくと毎回作業するときにいつもの設定を使いやすい、といった程度の意味であって、重要なツマミではありません。調製しなくてもよいですが、調製した方が後の作業がやりやすいでしょう。

③ (モニタ)
ミクの声の強弱がグラフ表示されます。グラフの山が高い場所では、ミクの声は力んだ黄色い声になります。山の低い場所では力の抜けた優しい声になります。尚、グラフがモニタからはみ出てもそれは単に表示の問題です。グラフがモニタからはみ出てもノイズが発生するとかエラーになるとか、そのようなことはありません。

④ Attack
ミクの声が大きくなるときの、エフェクタの反応速度です。値が小さいほどミクの声の大小に敏感に反応します。値が大きくなると、ミクが声を出しても、のろのろとしか反応しなくなります。通常はデフォルト0.10のままです。”タチツテト”の発音がばちばち耳障りに聞こえるときに、値を大きくしてみてください。

⑤ Release
ミクの声が小さくなるときの、エフェクタの反応速度です。値が小さいほどミクの声の大小に敏感に反応します。値が大きくなると、ミクが声を止めても、のろのろとしか反応しなくなります。デフォルト1.20のままでいいでしょう。

⑥ Frequency
凸型パラメトリックイコライザの中心周波数。このへんの周波数帯域を強調すると、なぜか人間の耳には音が力んでいるように聞こえるようです。初音ミクだと3775Hzあたり。他のボーカロイドも人間でも似たような値のはずですが、もちろん微調整した方がよいでしょう。

⑦ Q
凸型パラメトリックイコライザのQ。値が大きいほど中心周波数だけを鋭く強調し、値が小さいほど中心周波数とその周囲を含めて幅広く強調します。デフォルトの2.60のままでいいでしょう。

⑧ -Offset
このエフェクタは基本的に強調しかしません。ですからエフェクタの効果を大きくすると、なんだか常に力んだ感じになってしまって、元の優しい雰囲気がなくなってしまった……★2 というケースが発生します。そんなときはこの値を小さくして、エフェクタの効果を全体的にマイナス方向にずらします。一般的に⑧-Offsetの値を小さくして⑩Gainの値を大きくするほど、エフェクタの効果の幅が広がって、ミクの声にメリハリがつきます。

⑨ Gain 12dB
作業用です。通常はOFFにして使います。ONにするとミクの声の大きさに関係なく効果が掛かりぱなしになります。この状態で⑥Frequencyをいじって、ミクが力んで歌ってる感じに聞こえるポイントを探して、またOFFに戻します。

⑩ Gain
この値が大きいほど効果が強く掛かります。一般的に⑧-Offsetの値を小さくして⑩Gainの値を大きくするほど、エフェクタの効果の幅が広がって、ミクの声にメリハリがつきます。

★1 ミクの歌声にメリハリがつく
ミクを調声するには、Dynamicsパラメータを手描きでオートメーションする方法が一般的です。このDynamicsパラメータの効果をそっくり真似たのがこのエフェクタです。ですから、きちんと自力でDynamicsパラメータをオートメーションしている場合には、このエフェクタはほとんど効果を発揮しないでしょう。

まるっきり調声していないとか、コンプレッサで音圧だけ整えたとか、フェーダをオートメションして感情表現しているとか、そのような場合にこのエフェクタが有効です。

★2 元の優しい雰囲気
このエフェクタはDynamicsパラメータを大きくするのと同じ効果を発揮します。ですからミクの元の声は、Dynamicsパラメータを通常より小さめに設定しておくといいです。私の場合はDynamicsパラメータ=15という、いつも極端に小さな値に設定しています。

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2016年01月05日

Piapro Studioの設定

ボーカロイド専用の調声エフェクタtmryMikuTrainerを使用する際のPiapro Studioの設定です。ボーカロイドの歌唱パラメータをオートメーションすることなく、全て外部で声を調製することを考えているため、いくぶん奇妙な設定になっています。また私の個人的な趣味も反映されています。私は、初音ミクなら優しいお姉さん声が好みです。

全般

「全般」の設定はデフォルトのままだったと記憶しています。

因みにマウスホイールを転がすことで、Piapro Studioの画面を左右にスクロールしたり拡大縮小することができます。これは非常に便利、というよりPiapro Studioはそれ前提でデザインされているので、マウスホイールを使わないとものすごく使いづらいです。今まで使っていなかった人は、ぜひ試してみることを勧めます。

VOCALOID

「基本設定」は、初音ミクを使うならこれでよいでしょう。アバンナなど外国のボーカロイドを使用するのであれば、「デフォルトの歌手」の設定を事前に切り替えておきます。

「歌唱スタイル」の「音量」は、ディケイもアクセントも0%にします。このような効果はすべて外部のエフェクタで行います。「発音」のオープニングはデフォルトよりも小さい値にしています。デフォルトのままだと、ミクはあごが外れるんじゃないかと心配になるほどパクパクと口を開けて歌います。不自然です。

「ビブラート」の設定は、私の趣味です。

詳細

「詳細」の設定はデフォルトのままだった記憶しています。

ボーカロイドの歌唱パラメータ設定

こちらはPiapro Studioのメイン画面を開いたときのボーカロイドの歌唱パラメータ設定です。通常の調声法だと、この画面で各歌唱パラメータを手描きでがしがしオートメーションするのですが。すべて外部のエフェクタで処理してしまう場合は、固定値を設定するだけです。ただし、非常に重要な設定です。

「Dynamics」は必ず15まで値を小さくします。
これはどんなボーカロイドも同じ設定です。デフォルトの64では、ボーカロイドはものすごく力んで歌います。普段は肩の力を抜いて歌っていないと、いざというとき力んで歌うことができません。

「Gender Factor」は好みです。
私は初音ミクの場合は74まで値を大きくします。
私には、初音ミクの声はデフォルトのままだと中学生が歌っているように聞こえます。もう少し大人びた、二十歳前後のお姉さん声が好きです。逆にアバンナだと54まで値を下げて、若々しい声にします。他のボーカロイドは…持っていないのでなんとも。

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2014年02月02日

ミクをオートメーションなしで調教する 3

オートメーションを手描きせずにミクを調教するプロジェクト。
オルガンの音でミクの声をほぼ思いどおりにコントロールすることができます。

オルガンの音でミクの声をON/OFF

オルガンの音でミクの声をコントロールします。
エンベロープフォロワを使うと、ミクの声の大小を、横から入れたオルガンの音でコントロールできます。

基本、ミクは「あーいーしてーるー」声を出しっぱなしで、ミクが歌うタイミングに合わせてオルガンを「ビー、ビー、ビビッ、ビー」と鳴らすと、ミクは「あー、いー、してっ、るーっ」と歌います。ブーブー鳴るオルガンの音で、ミクの声をほぼ思いどおりにコントロールできます。★1

ミクの声の長さは、オルガンの音の長さに従います。オルガンをブーブーと切れ目なく鳴らすと、ミクも「あーいーしてーるー」とレガートに歌います。ブッブッと区切って鳴らすと、ミクも「あっ、いっ、してっ、るっ」とスタッカートに歌います。レガートとスタッカートだけでなく、その中間の微細なニュアンスも、オルガンの音の長さで完璧に表現できます。★2

またミクの声の大きさは、オルガンの音の大きさに従います。オルガンを大きな音で鳴らすと、ミクも大きな声で歌います。小さな音で鳴らすと、ミクも小さな声で歌います。

★1 ミクの声を思いどおりにコントロールできる
オルガンはMIDIの音符データで自動演奏することを想定していますから、結局、ミクが人間らしく生き生きと歌うか否かは、人間らしく生き生きとしたMIDIの音符データを用意できるか否かにかかってきます。

DAW(統合音楽ソフト)を持っているならMIDIの音符データを細かく編集することができますし。DAWを持っていなくても、それ用のフリーウェアはたくさん出回っています。

しかし一曲ぜんぶの音符データをちまちまと手で微調整するのは、一曲ぜんぶのミクのパラメータをちまちまと手でオートメーションするのと大して違いがありません。ミクのオートメーションに3日かかるなら、音符データを微調整するのも3日かかるでしょう。これでは意味がない。

MIDIの音符データを人間らしく微調整するのは――ヒューマナイズするのは、ソフトウェアやプログラムで一括処理するべきです。私の場合、音符の強弱はBand-in-a-Boxのフィオリトゥーラという機能で処理しています。音符の長さは自作したJavascriptのプログラムで処理しています。これならどんな長い曲も一瞬で作業完了します。
詳細は後で説明する予定です。

★2 オルガンの音の長さで完璧に表現できる
信じられないことにミクは音符の長さのとおりに歌いません。彼女が表現できるのはレガートかスタッカートだけで、その中間を表現することは一切できません。ふつうのシンセサイザだったら「不良品だ!」とクレームをあげるところですが。日本で暴動が起きないのは……愛ゆえでしょう。

結局、ミクを人間らしく――つか最低限楽器らしく歌わせるために「DYNパラメータをオートメーションする」という作業が必要になります。これは神経質で膨大な時間のかかる手作業です。可能か不可能かで言えば……可能ですが。根気も時間もないふつうの人は、途中で投げだしてしまいます。私もそうです。だからこれを実際にやっている巷の調教師たちは、ほんとうにすごいと思います。

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2013年11月25日

ミクをオートメーションなしで調教する 2

オートメーションを手描きせずにミクを調教するプロジェクト。
エンベロープフォロワを使えばミクを自在に歌わせることができます。

エンベロープフォロアを使う

エンベロープフォロアはエフェクタの一種です。
たとえば「さーいーたーさーいーたーちゅーりーぷーのーはーなーがー」と、わざとミクの声を出しっ放しにして入れて、その横からきちんと歌う人の声を入れてやると、ミクの声は横から入れた人の声を真似して「さいたーさいたーちゅーりっぷのはながー」ときちんと歌います。

人の声が大きくなるとミクも声を大きくして、人の声が小さくなるとミクも小さな声で歌います。横から入れた人の声の抑揚(エンベロープ)にミクの声が従う(フォロー)から、エンベロープフォロワと言います。

エンベロープフォロワがどんなに強力なエフェクタか、ちょっと想像すれば分かるでしょう。横から入れる音によって、ミクの声の抑揚を完璧にコントロールすることができます。上で述べたように、実際に人が歌う声を入れてやると、ミクもそのとおりに歌います。

試してみると、人の歌声のようにリアルな信号を入れてやらなくても、プップーというオルガンの音でも十分にミクを歌わせることができました。ミクの声が元々、微妙に人間らしい抑揚を持っているためです。

エンベーロープフォロワを使うことにより、DYN(ダイナミック)をオートメーションするという神経質で膨大な手作業は、タイミングよくオルガンの音を鳴らすという常識的な作曲作業に置き換わります。「タイミングよく」といっても、ミクに打ち込んだのと同じ音符データを使い回してオルガンで鳴らすだけですから、簡単なものです。

私の使っているエンベーロープフォロワはAudio Dmage社のMangleverb★1 です。これが最高、というわけでもなくて、他にそれらしいエフェクタを見つけることができなかったので。他にもっとよい品があるかもです。
» Mangleverbのメーカーサイト

そもそもオートメーションしないとどうなるのか

ミクの声に表情をつける各種パラメータのうち、DYN(ダイナミック)はミクの声の大小を決めます。★2

DYNをオートメーションして――山谷グラフを手描きして――やると、グラフが山のところでミクは声を張りあげ、グラフが谷のところでミクは静かに歌います。DYNをオートメーションしないと、ミクは、ずっと同じ大きさの声で一本調子に歌います。

DYNは想像するよりもずっと神経質なパラメータです。
「サビパートはもっと声を出して」★3 みたいな大枠な表現だけでなく、実際に人間が歌っているところを観察すると、メロディを構成する一音一語の瞬間にさえ、声は大きくなったり小さくなったりしています。超絶ものすごく細かいです。DYNをオートメーションしないと、それらのニュアンスが根こそぎ失われるわけです。

DYNは非常に重要なパラメータです。DYNをまったくオートメーションせずにミクを歌わせるなんて、ふつうは絶対に考えられません。

DYNをオートメーションしないというなら、
代わりの仕掛けが絶対に必要です。

★1 Audio Dmage社のMangleverb
私は今ではmda-vstのEnvelopeを使用しています。MangleverbはONかOFFかの二通りしかないゲートで、横から入れた音の大小を正確に反映しないことが分かりました。 » mda-vstのウェブサイト

★2 DYNはミクの声の大小を決める
DYNは厳密には声の大小ではなく、声の強弱を決めます。強い声というのはもちろん大きな声ですが、同時に力んだ声でもあります。弱い声というのは小さな声であると同時に気の抜けた声です。DYNの値によって声の大きさだけでなく声の雰囲気も変わるということです。

これはとても重大な事なのですが。最初は敢えて無視します。最初から何もかも完璧にやろうとすると失敗します。「DYNはミクの声の大小を決めるもの」として、まずは行けるところまで行く。そして行き詰まったら、そこで改めて声の強弱について考慮すればいいです。

★3 サビパートは声を張りあげる
楽譜に書いてあるクレッセンド、デクレッセンドの事です。しかしこのような大枠な演出は、ほんとうはミクのDYNではなく、DAW(統合音楽ソフト)側のフェーダを動かして表現したほうが効率よいでしょう。たいていは他の伴奏楽器も合わせて同様の演出をつけるのが普通ですし。

だからミクのDYNは、無意識的な、あるいは生理的な声の揺らぎを表現するものだと、私は解釈しています。

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2013年11月17日

ミクをオートメーションなしで調教する 1

オートメーションを手描きせずにミクを調教するプロジェクト。
「オートメーションしなくていいなら私だってミクの歌を作れるさ!」という根気と時間のない野心家のための、一発逆転の物語です。

まずはオートメーションなしでどんなふうにミクが歌うのか聴いてください。(2016/01/09現在の品質です)

一切オートメーションはしていません。
調教にかかった時間はトータルで9時間ぐらいですか。夜中から始めて、みんなが朝ご飯の頃には完成していました。

「そうなんだ?でも私の方がずっと早くミクを調教できるし、よっぽど生き生きと歌わせることができるもんね。」という素晴らしい調教師のみなさんには、この記事は無価値です。ぜひぜひ素晴らしい作品を作り続けてください。応援していますよ。

ミクばかりに時間をかけられない

ミクを生き生きと歌わせるために必要な作業――パラメータのオートメーションは、神経質で根気を要求される膨大な手作業です。ミクの調教は、ふつうの人の神経では耐えられません。たいていの人が途中で投げだしてしまいます。私も説明書に載っていたチュートリアル『シャボン玉とんだ』を実践している段階で早々と挫折しました。

そして調教には十分な時間も必要です。
仕事や勉学に追われて時間のない人は、もうそれだけでミクを歌わせることはできません。私もその一人です。

私が音楽動画を製作してインターネットにアップするのは、仕事の一環です。私のお店や、お店で売ってる楽器を宣伝するためです。ですからミクにばかり時間を使うわけにはいきません。むしろミクの方がオマケで、他の仕事をして余った時間でミクを歌わせる感じです。

時間も根気もない凡人の私がミクを歌わせたければ、短時間でミクを調教できることが必要です。そのためにはオートメーションしないことが大前提になります。オートメーションせずにミクを生き生きと歌わせる方法が、私には必要です。

初音ミクについて

『初音ミク』はクリプトン・フューチャー・メディア社が発売している、歌を歌うシンセサイザです。音符を打ちこみ歌詞を入力すると、そのとおりに初音ミクが歌います。
» 初音ミクの販売サイト

ただし、単純にミクに音符と歌詞を入力しただけでは、のっぺりした独特のロボット声で歌います。

これを心がこもっているように生き生きと歌わせるには、声に抑揚・強弱をつけたり、一瞬だけ声の質感を変化させるなど、細かな調整が必要になります。(この作業を”調教”と言います。)

例えば声に抑揚・強弱をつける場合、やり方自体は簡単です。DYNAMIC(DYN)と呼ばれるパラメータにオートメーション――山谷グラフを描いてやります。グラフが山の箇所ではミクは声を張りあげ、谷の箇所では静かに歌います。オートメーションを描くのはお絵かきソフトのように、(こんな感じ…)とマウスで手描きします。

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