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ミクをオートメーションなしで調教する 2

オートメーションを手描きせずにミクを調教するプロジェクト。
エンベロープフォロワを使えばミクを自在に歌わせることができます。

エンベロープフォロアを使う

エンベロープフォロアはエフェクタの一種です。
たとえば「さーいーたーさーいーたーちゅーりーぷーのーはーなーがー」と、わざとミクの声を出しっ放しにして入れて、その横からきちんと歌う人の声を入れてやると、ミクの声は横から入れた人の声を真似して「さいたーさいたーちゅーりっぷのはながー」ときちんと歌います。

人の声が大きくなるとミクも声を大きくして、人の声が小さくなるとミクも小さな声で歌います。横から入れた人の声の抑揚(エンベロープ)にミクの声が従う(フォロー)から、エンベロープフォロワと言います。

エンベロープフォロワがどんなに強力なエフェクタか、ちょっと想像すれば分かるでしょう。横から入れる音によって、ミクの声の抑揚を完璧にコントロールすることができます。上で述べたように、実際に人が歌う声を入れてやると、ミクもそのとおりに歌います。

試してみると、人の歌声のようにリアルな信号を入れてやらなくても、プップーというオルガンの音でも十分にミクを歌わせることができました。ミクの声が元々、微妙に人間らしい抑揚を持っているためです。

エンベーロープフォロワを使うことにより、DYN(ダイナミック)をオートメーションするという神経質で膨大な手作業は、タイミングよくオルガンの音を鳴らすという常識的な作曲作業に置き換わります。「タイミングよく」といっても、ミクに打ち込んだのと同じ音符データを使い回してオルガンで鳴らすだけですから、簡単なものです。

私の使っているエンベーロープフォロワはAudio Dmage社のMangleverb★1 です。これが最高、というわけでもなくて、他にそれらしいエフェクタを見つけることができなかったので。他にもっとよい品があるかもです。
» Mangleverbのメーカーサイト

そもそもオートメーションしないとどうなるのか

ミクの声に表情をつける各種パラメータのうち、DYN(ダイナミック)はミクの声の大小を決めます。★2

DYNをオートメーションして――山谷グラフを手描きして――やると、グラフが山のところでミクは声を張りあげ、グラフが谷のところでミクは静かに歌います。DYNをオートメーションしないと、ミクは、ずっと同じ大きさの声で一本調子に歌います。

DYNは想像するよりもずっと神経質なパラメータです。
「サビパートはもっと声を出して」★3 みたいな大枠な表現だけでなく、実際に人間が歌っているところを観察すると、メロディを構成する一音一語の瞬間にさえ、声は大きくなったり小さくなったりしています。超絶ものすごく細かいです。DYNをオートメーションしないと、それらのニュアンスが根こそぎ失われるわけです。

DYNは非常に重要なパラメータです。DYNをまったくオートメーションせずにミクを歌わせるなんて、ふつうは絶対に考えられません。

DYNをオートメーションしないというなら、
代わりの仕掛けが絶対に必要です。

★1 Audio Dmage社のMangleverb
私は今ではmda-vstのEnvelopeを使用しています。MangleverbはONかOFFかの二通りしかないゲートで、横から入れた音の大小を正確に反映しないことが分かりました。 » mda-vstのウェブサイト

★2 DYNはミクの声の大小を決める
DYNは厳密には声の大小ではなく、声の強弱を決めます。強い声というのはもちろん大きな声ですが、同時に力んだ声でもあります。弱い声というのは小さな声であると同時に気の抜けた声です。DYNの値によって声の大きさだけでなく声の雰囲気も変わるということです。

これはとても重大な事なのですが。最初は敢えて無視します。最初から何もかも完璧にやろうとすると失敗します。「DYNはミクの声の大小を決めるもの」として、まずは行けるところまで行く。そして行き詰まったら、そこで改めて声の強弱について考慮すればいいです。

★3 サビパートは声を張りあげる
楽譜に書いてあるクレッセンド、デクレッセンドの事です。しかしこのような大枠な演出は、ほんとうはミクのDYNではなく、DAW(統合音楽ソフト)側のフェーダを動かして表現したほうが効率よいでしょう。たいていは他の伴奏楽器も合わせて同様の演出をつけるのが普通ですし。

だからミクのDYNは、無意識的な、あるいは生理的な声の揺らぎを表現するものだと、私は解釈しています。

楽器があればもっと楽しい毎日
» 変わった楽器、珍しい楽器の販売は世界楽器てみる屋

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コメント

Mangleverbはどうも、今回の用途には向いていないエンベロープフォロアのようです。横から入れる音が一定以上の大きさになると急にがんとミクの声を出して、それより小さいとぱたっとミクの声を止めてしまう。ON/OFFの動作、ゲートに近い動作です。

もっと使いやすいエンベロープフォロアを探す必要があります。みなさんもMangleverbは最後の選択というか、他のエンベロープフォロアを使うことを勧めます。

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