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音は1メートル進むのに2.88ミリ秒かかる

気温が26℃のとき、音が1メートル進むのにかかる時間はおよそ2.88ミリ秒です。
といきなり前振られても「はあ…」としか答えようがないと思いますが。

音って意外に遅いよね、というのは、夏の花火大会で実感できるところです。夜空に大輪の花火がぱあっと咲いた後、一拍遅れてどんと鳴る。普段の生活でもほんとうは、人はいつも遅れた音を聞いています。たとえば包丁でまな板を叩く音は、実際よりも1.15ミリ秒遅れて聞こえています。ってもそんなこと意識しないし、そもそもそんな僅かなタイムラグなんて聞きとれませんけど。私が今いちばん気がかりな事なのです。

演奏者はどんな場所で演奏しているのか

演奏者はどんな場所で演奏しているのか?ということを、私はパソコンで音楽作品を製作するとき、いつも気にしています。私の音楽作品はどれも一応、演奏者はどんな場所で演奏しているのか、ということを決めています。たとえばそこは音響の悪いパブだったり、荘厳に残響する石の聖堂だったり、大きな音を出しすぎると窓がびりびり振動してしまう体育館のステージだったりです。(上手く表現できている…とは言えませんが、努力はしています。)

演奏者がどんな場所で演奏しているか、という印象は、周りから反射して聞こえる音で決まります。広い部屋でドラムをタンと叩いたとき、壁に反射して聞こえる音は、狭い部屋で叩いたときよりも遅れて聞こえます。たとえばドラムをタンと叩いてから5.76ミリ秒遅れて非常にクリアな反射音が聞こえた場合、ドラマーの背後1メートルあたりにコンクリートの壁があるっぽい、と知覚されます。

さっきは「数ミリ秒のタイムラグなんて聞きとれない」と書きましたけど。それは意識レベルの話でして、人間の耳は0.1ミリ秒のタイムラグを正確に聞きわけています。それで、意識としてははっきりと指摘できなくても「これはなんだかトイレの中で録音した音みたい」「何もない野っ原で録音したらきっとこんな感じ?」という印象を持ちます。そしてそれはけっこう当たっています。

左右の耳のタイムラグは最大で0.54ミリ秒

もっと細かい数値になります。自分の左側から音がしたとき、その音が右耳に届くのに最大で0.54ミリ秒遅れます。左右の耳で聞く音のタイムラグは、真正面でゼロ、真横で最大です。音楽作品を作るとき「ピアノの音は左側に配置して、ギターは右側」ということをふつうに行いますが、厳密に考えると、左側から聞こえる音は、右耳にはすこし遅れて聞こえているはずです。右側から聞こえる音はその逆です。

音楽作品で楽器の音を左右に振りわけるのには、パンポット―左右の音量バランス―を使います。左耳の音を右耳よりも大きくすれば左側から聞こえる、という理屈です。実際それだけでそのように聞こえますから、それでOKなのですが。このとき右耳の音を0.1~0.5ミリ秒遅らせてやると、より自然に聞こえます。実際にテストしてみると、確かに自然に聞こえました。めざましい効果ではありませんし、どうと表現しづらいのですが「ああそうそう、これがほんとうだよね」という感じです。なんとなくほっとします。

音は1メートル進むのに2.88ミリ秒かかる。
ふだんの生活ではどうでもよい些末な数値ですが、私の音楽作品をもっと正確に表現したくて、改めて計算してみたのでした。ええ次回の作品から使いますよ、2.88。

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