-- ポケットサックス --

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ポケットサックスをサックスっぽく吹くコツ

ポケットサックスは20世紀末にハワイで生まれた玩具の笛です。
ときおりサックスと聞き間違うような音色を奏でるので「小さなサックスみたいな笛?」という意味で ”ポケットサックス” と名づけられました。

ウェブを眺めていると、実際にポケットサックスを買った人の「ほんとうにサックスみたいな音!」という驚きの声と、一方で「ぜんぜんサックスに聞こえないんだけど…」というがっかりした感想を、半々くらい見かけます。ポケットサックスをサックスっぽく吹くコツは、ぱっと考えて3つほどあります。

  1. フニャフニャのリードを使う
  2. サックスの物真似をして吹く
  3. そこそこの出来で納得する

フニャフニャのリードを使う

実はポケットサックスの音は、ほとんどがリードの音です。ポケットサックスの音はリードが命です。火事に巻き込まれたら本体を見捨ててもリードを掴んで逃げる、というくらいリードが大切で、本体はどうでもいいです(本体は新しく買いなおせばいいです)。ふつうのサックスで使うリード(厚さ2.50以上)は、ポケットサックスには厚すぎます。サックスぽい音を追求するというだけなら、できるだけ薄いふにゃふにゃのリードほど有利です。Legereの樹脂製リード(厚さ1.50)とか。

薄いリードほど煌びやかで金属っぽい音色に聞こえます。反面、柔らかすぎて演奏しているとピッチが不安定になってしまう、2オクターブ目の高い音(ひっくり返った高い音)を出せないという難点があります。だから演奏する曲によっては、リードを取りかえる必要があります。

ポケットサックスには買った最初から葦のリード(厚さ2.50)が付いてきますが、あれは使い物にならないと思った方がいいです。本物のサックスでは、最高級品の葦のリードを一箱買っても使えるのは半数、プロ演奏者になると1,2本なのだそうですよ。無料でついてくる葦のリードの品質なんて推して知るべしです。

サックスの物真似をして吹く

そもそもサックスという楽器が、もともとあのような音ではありません。
例えばパソコンに楽譜を打ちこんで自動演奏させたサックスの音は、とてもサックスに聞こえません。TVやCDで聞くあのかっこいいサックスの音は、演奏者がかっこよく聞こえるように吹いているから、かっこよく聞こえるのです。

ポケットサックスにただ息を吹きこんで指を動かしたところで、サックスの音には聞こえません。「うっ、うっーっ」と腹筋に力を入れて息を吹きこみ音を炸裂させたり、唇でぐっとリードを咬んでピッチをずり上げたり。サックスの物真似をして吹いて、はじめてサックスっぽい音がします。このへんはお調子者な性格が有利です。友だちから「なにそれ?」と大笑いされるくらい、滑稽なくらいサックスの物真似をして吹くのが上等です。

そこそこの出来で納得する

たぶん本物のサックスの演奏者か、サックスが大好きでサックスの演奏をよく聞きこんでいる玄人だと思うのですよ。「ふ、ぜんぜんサックスの音に聞こえませんね。今すぐ "ポケットクラリネット" と改名するべきです。」などとドヤ顔でウェブにコメントしている人を見かけます。

いやいやいや。一万円そこらのプラスチックの玩具で何十万円もする本物のサックスと同じ音が出たら、それこそ大恐慌でしょう!?「ポケットサックスの音はサックスっぽい」というのは別に、世界中の名だたるサックス奏者たちが集まって「なるほど、これは確かにサックスの音といっていいだろうか?」などと協議しオーソライズしたものではありません。クラリネットとオーボエの区別もつかない★1 ようなふつうの人たちが「わーなんだかサックスみたい?」と無責任に指さしたのが始まりです。子どもたちが「キュウリにハチミツをかけたらメロンの味★2 」と喜んでいるようなものです。ここで「それはメロンとは違うよ。そうだねえ至高の夕張メロンの味というのは…」などと上から講釈たれるのは無粋、空気読めって言いたい。

ポケットサックスがサックスじゃないなんて、百も承知です。
「本来はサックスではないプラスチックの笛で、どれだけ上手にサックスっぽく真似をして吹けるか?」ポケットサックスはそのように遊ぶ玩具なのだと理解するべきです。

★1 クラリネットとオーボエの区別がつかない
私は子どもの頃、間違いなくクラリネットの音とオーボエの音の区別がついていませんでした。今はどうでしょう。聞きわける自信はありますが、絶対かと問われると…少し心配になります。楽器を演奏する人には信じられないでしょうが、ふつうの人の楽器を聞きわける耳は呆れるほど低レベルです。私の驚いたところでは、デュエットオカリナ―1人で合奏できるオカリナ―を吹いたとき、音が2つ鳴っていることに気がつかない人がいました。人前でデュエットオカリナを演奏してみせるときは「ほらほら、今から2つの音を出しますよーほらね。」と、はっきりと演出として見せてあげるのが肝心です。そうして見せて初めて「おおっ!?」となる。楽器を演奏する人には信じられないでしょうが、ふつうの人の楽器を聞きわける耳なんて呆れるほど低レベルです。だから、それに合わせてあげなければなりません。

★2 キュウリにハチミツをかけたらメロンの味
流行りましたねー懐かしい。ほかには「マグロに醤油とマヨネーズでトロの味」でしたっけ。結局、藤岡ハルヒさんは本物の上トロを食べることができたのでしょうか。

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コメント

ポケットサックスを購入したのですが初日に音が全然でなく(最初から着いてるリード)ここのサイトを見つけ薄いリードにしたら音が出るようになりました。これで諦めず頑張って練習できます。ありがとうございます。

役に立ったようで嬉しい限りです。
こういう廉価でマイナーな楽器は大手の楽器店は真剣に取り扱いませんから、ネットの情報だけが頼りになります。ってもネットで調べたらほぼ何でも分かりますから、いい時代になったものです。

これからも永くポケットサックスとつきあってあげてくださいね。

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