ウィングカンテレの弾き方、弦の押さえ方と弾き方
ウィングカンテレは北欧フィンランドの新しい弦楽器です。
ウィングカンテレの弾き方教室第8回、弦の押さえ方と弾き方について。
» 16弦ウィングカンテレで即興演奏してみました
左指で押さえて右指で弾く
ウィングカンテレは左手の指で弦を押さえて、右手の指で弦を弾きます。左手は5本の指をぜんぶ使います。右手は、上手な人はやっぱり5本ぜんぶ使って演奏していますが、当面は親指と人差指があれば足りるみたいです。写真の人は、ギターのピックを持って弾いているみたいです。こういうのもありです。
左手は大きな夏みかんを鷲づかみにしたような形にして、弦を押さえます。実は、左手は弦を押さえるほかに、弦を弾きもします。(だから右手よりも左手の方がだんぜん忙しいです。)単純に弦を押さえるだけなら、べたっと押さえればいいのですが、同時に弦を弾くとなると…。指を動かしやすいように、少し立てるというか、写真のように少し指を曲げて弦を押さえます。
試しに左手の5本の指を適当に弦の上に置いてみてください。
そのまま、今、指で触っている弦をそのまま弾いてみてください。できますか。最終的に、これを親指から小指までぜんぶの指で行うわけです…まあ、のんびりいきましょう。
右手は、指先の肉で弦を引っかけて、弾きます。弾いたとき、弦がわずかに爪に掠る感じです。まったく爪に掠らせないように弾くことは難しいですし、そうやってしまうとモワモワした音になるでしょう。かといって、本気で爪に引っかけて弾くとギーンというすごい音がします。指で弦を弾いたときチリッと爪先に掠る感じ。考えるよりも慣れる方が早いです。すぐに慣れます。
ああだから、左手で弾くときも同じですよ。
試しにほんのちょっとだけ
図のとおりに、左手でウィングカンテレの弦を押さえてみてください。いちばん下を開けて、二本を押さえて、あとは一つ飛ばしに弦を押さえていきます。
この状態で、右手の親指でぜんぶの弦をまとめて上から下にがーっと撫でおろします。どうです、ジャーンといい感じで鳴りましたか。これが『Ⅰのコード』です。ドミソの和音、と言ったほうが分かりやすいですか。
» ウィングカンテレでⅠのコードを鳴らしてみた
ウィングカンテレには西洋音階ドレミファソラシドのぜんぶの弦があります。これをそのままぜんぶ鳴らすと、ごちゃごちゃになってわけが分かりません。しかし、たとえばドミソの和音を鳴らしたいとき、ドミソに関係のない音―レファラシの音―が鳴らないように左手で押さえて止めてやる。こうしておいて右手でぜんぶの弦をまとめて弾くと、ジャーンとドミソの和音が鳴る理屈です。左手で違った弦を押さえると、違った和音が鳴ります。
さらにちょっとだけ
せっかくですから、ドミソの和音を「ジャーン、ジャーン、ジャーン、…」と続けて鳴らしてみてください。そして「ジャーン」と「ジャーン」の合間に、左手で弦を弾いてみてください。ジャーン→親指→ジャーン→人差指→ジャーン→中指、ジャーン→親指→ジャーン→人差指→ジャーン→中指、…という感じです。「ジャーン」のときは、左手は忘れずきちんと弦を押さえてくださいね。なかなか忙しいです。
» ウィングカンテレでⅠのコードを鳴らしてみた(左手も参加)
できましたか?これがウィングカンテレのコード奏法です。
空耳メロディーを奏でる楽器
それにしても上の試聴サンプルを聴いていると、なんだか「ソラソファミレドー、ソラソファミレドー」のようにメロディーが聞こえてきませんか。人によっては別に聞こえるかもしれませんが、とにかく、ジャーンジャーンという伴奏といっしょにメロディーを弾いているように聞こえます。
これは人間の耳がそうなっています。
人間は、耳に音が入ってきたとき、ばらばらな音をそのまま「ばらばらでデタラメな音だ」とは捉えません。何か意味のある…たとえば何かのメロディーの断片的な部分だけが聞こえたのだ!と捉えます。そして、じゃあ元々のメロディーはどんなだったのだろう?…とばらばらな音を組みあわせて―足りない音は適当に補完までして―それらしいメロディーを作りあげます。これを一瞬に無意識のフルオートで行います。音が心に届くときにはもう、ほんとうにメロディーを聞いたことになっている。
小さな子どもでさえ、雑踏の中でちらりと聞こえた大好きなアンパンマンの歌を聞きのがさない。この驚嘆すべき認識力は、まさにこの高速フルオート処理に依っているのですが…今回ばかりは間違いです。だって左手が弾いているのは、ほんとうにばらばらな音なのですから。だから、みなさんが聞いているメロディーは幻聴、錯覚です。
ウィングカンテレは、ゲシュタルト心理学に基づく人間の錯覚を積極的に利用する、一風変わった弦楽器です。ね、ちょっと興味あるでしょう。
楽器があればもっと楽しい毎日
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