ウィングカンテレの弾き方、概説3
ウィングカンテレは北欧フィンランドの新しい弦楽器です。
ウィングカンテレの弾き方教室第3回、ロビッカ社のウィングカンテレについて。
» ロビッカ社の16弦ウィングカンテレで即興演奏してみました
よい楽器だと思ってます
世界楽器てみる屋ではロビッカ社のウィングカンテレを販売しています。他社の製品と比べて特に素晴らしい、というわけでもなくて、私がカンテレを探していて単に最初に見つけた、というだけのこと。もしもぱっとしない印象だったら他をあたったでしょうが、いい感じだったので、そのまま取引を始めました。
後でgoogleやYoutubeで探したら、ロビッカ社のカンテレをほとんど見かけません。丁寧に作られた美しいカンテレですから、なにか品質に問題があって人気がないのではなく、「無名の零細企業だから」だと信じていますよ。そういえばメールの相手はいつもペッカ・ロビッカ社長本人だし、取引を持ちかけたときも「ほんと?マジ、マジ歓迎するよっ!」と、握った手を絶対に離すまいとする意気ごみでしたっけ。まあ良い物を作ってくれさえすれば、いいです。
モダン16弦カンテレ
「カンテレってなに?」という、ふつうの感覚の日本人向けです。
分かりやすく美しい音です。中音域から高音域まで豊かに残響します。正直、板に弦を張っただけでこんなきれいな音がするの?とびっくりするほどです。
いちばん長い4本の弦は、ベース弦です。ベース弦をボーンと弾いて、後は適当に弾いて、即興演奏を楽しむことができます。それでなにをする…というわけでもありませんが、初心者のうちはいろいろ思いどおりにいかなくてイヤになるときもあるでしょう。そんなときにポロンポロン弾いて心を慰めます。(私自身、よくポロンポロンと弾きます。)
4本のベース弦を除く、残りの12本がふつうのメロディー弦です。弦の数が12本だから鳴らせる音も12音。音階は「ソラシドレミファソラシドレ」です、これがなかなか当を得ています。人が歌う歌は、下のソから上のレまでに収まる事が多いのです。もちろん、それ以上の音域を使う曲はたくさんありますよ。だから弦の数は、多ければ多いほどいろんな曲を弾けるようになります。が、できるだけ弦の数を少なくしろ、と制限されたら、せめて12本欲しいというのが私の所感です。
欠点として、ふつうに演奏するときベース弦がかなりじゃまです。ジャンジャンかき鳴らすときに、間違って鳴らさないように気を遣います。全長が88cmと、けっこう大きいのも微妙に扱いづらい。値段も高いです。
16弦カンテレには2つのチューニングスイッチが付いています。
16弦カンテレはDキー(ニ長調)に調律されていて、チューニングスイッチをひねると4度上のGキー(ト長調)に移調します。2とおりの調の演奏に即時対応できます。その他の調で演奏したいときは、そのようにぜんぶの弦を調律し直せばいいです。あんまり強く弦を巻くと本体を痛めるのでほどほどにしてください。
モダン11弦カンテレ
カンテレのことを知っていてカンテレが欲しい、という人向けです。
高音域が独特に残響する音色は、まさに「ああこれこそカンテレの音」です。冬のバルト海のように寒々とした音です。
よけいなベース弦がついていないので、なんの気兼ねもなくジャンジャンかき鳴らすことができます。弦の数が11本というのは、人間の指の数が5本であることを考えると、ベストの本数です。全長が73cmと小型なので引き回しやすい。純粋にウィングカンテレとしてなら、16弦よりも使い勝手よいです。値段もそこそこです。
欠点として、音の数が11音しかないので、ふつうの曲を演奏しようとすると音が足りない、ということになりがちです。曲に合わせて音階をいちいち調律すればいいですけど。
11弦カンテレはDキー(ニ長調)に調律されています。その他の調で演奏したいときは、ぜんぶの弦をそのように調律し直せばいいです。あんまり強く弦を巻くと本体を痛めるのでほどほどにしてください。
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