ドレミ音階のインディアンフルート
インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。男性が女性にプロポーズするとき歌を捧げるので、ラブフルートとロマンチックに呼ぶ人もいます。
誰でもすぐに即興演奏できる
インディアンフルートはおそらく世界でもっとも習得の易しい笛です。
誰がどう吹いてもいきなり素晴らしい音色★1 で鳴ってくれますし、でたらめに指を動かしてもなんとなく曲に聞こえてくれます★2 。小学校の音楽に挫折したという楽器音痴な人にもぜひお勧めできる笛です。
その代わりふつうに曲を吹こうとすると、他の笛よりも難儀します。音階がドレミファソラシドに並んでいませんし、音域がたったの1オクターブしかないので、そもそも音域が足りなくて吹けない曲がほとんどです。
インディアンフルートはフィーリングで自由に即興演奏するための笛です。ふつうに曲を吹きたいなら、リコーダやオカリナなど西洋の楽器を選択するのが正解です。餅は餅屋です。
ドレミ音階のインディアンフルート
それでもインディアンフルートでいろんな曲を演奏してみたい、という要望が少なからずありまして。そういえばプロのプレイヤーであるメアリー・ヤングブラッドもよく、ドレミ音階のインディアンフルートを演奏します。まあなんだ、ドレミ音階のインディアンフルートは、あまり見かけませんが……あることはあるのですよ。
以前から取引しているタヴェワ・ヤツァツィ工房のドレミフルートを入手してみました。
西洋6穴笛の運指で音色はインディアンフルートという、ハイブリッドな楽器です。ぶっちゃけ木で出来たホイッスルなのですが、大ざっぱに吹いてもきれいに響いてくれるあたり、さすがインディアンフルートです。あまり気を遣わずに演奏できます。なるほど……これは便利かも。
西洋6穴笛は基本より四度高い音階で演奏する頻度が多いので、笛カポを付けてみました。そうですね、これをうちが販売するときの標準装備にしましょう。ドレミ音階のインディアンフルートは12月初旬に販売開始する予定です。
★1 誰がどう吹いても素晴らしい音色
インディアンフルートはリコーダやオカリナと同様に、吹けば鳴ります。しかしこれらの笛はどれもピッチが不安定だという、構造上の難点を抱えています。初心者が吹くと音がヨロヨロしてとても聞けたものではありません。しかしインディアンフルートはなぜか、大ざっぱに息を吹きこんでもきれいな音色で鳴ってくれます。なぜなのか理由は知りませんが、とにかく「初心者にお勧め」の看板どおり、最初から気持ちよく演奏できる笛です。
★2 でたらめに指を動かしても曲に聞こえる
インディアンフルートの音階は西洋のドレミ音階ではなく、五音階という特殊な音階です。五音階はでたらめに演奏してもなんだか曲になって聞こえてくれるという、ありがたい音階です。インディアンフルートは大ざっぱに吹いてもきれいな音色で鳴るし、でたらめに指を動かしても曲に聞こえるという、まるで魔法のような笛です。
反面、ふつうに曲を吹こうとすると他の笛よりも苦労します。世の中は等価交換。あっちが立てばこっちが立たず。すべてにおいておいしい話なんてありません。
ならばドレミ音階のインディアンフルートなら最強じゃね?と思うかもしれませんが。残念、ドレミ音階の笛は、でたらめに指を動かすとめちゃくちゃな音になります。ドレミ音階の笛はきちんと練習して曲を覚えて、きちんと演奏しなければなりません。世の中はやっぱり等価交換。なにもかもおいしい話なんてないのですよ。
ふつうのインディアンフルートの吹き方についてはこちら。
» ウェブサイト 『インディアンフルートの吹き方』
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