ウィングカンテレの弾き方、概説1
ウィングカンテレは北欧フィンランドの新しい弦楽器です。
ウィングカンテレの弾き方教室第1回、この連載記事について。
» 16弦ウィングカンテレで即興演奏してみました
古くて新しいウイングカンテレ
カンテレは北欧フィンランドで数千年の長い歴史を持つ弦楽器です。20世紀末に、このフィンランドの伝統楽器から新しいウィングカンテレが生まれました。この連載ではウイングカンテレの弾き方について説明します。
自力でマスターするのが基本
ウィングカンテレは若者のサブカルチャーを母体として生まれた大衆楽器です。フォークギターやエレキギターと同じように、ベッドに腰かけ音楽雑誌のコード譜を目で追いながら、うんうんと自力でマスターするのがお似合いの楽器です。あるいはバンド仲間同士で教えたり教わったり。
オリジナルのカンテレは北欧フィンランドの伝統楽器ですが、出来たばかりのウィングカンテレには歴史がありません。守るべき伝統も作法もありません★1 。気楽です、なにをやってもOK。その代わり、自分の音はぜんぶ自分で責任を負わなければならない。そのような厳しい面もあります。
楽しく遊ぶヒントになれば
日本において、ウィングカンテレはまだまだ見かけない楽器★2 です。弾き方がわからなくて誰かに教わろうにも、教わりようのないのが実情です。基本、インターネットに散見される外国語のドキュメントを翻訳したり、それよりは、YouTubeの演奏動画を見よう見まねして練習することになるでしょう。
私は弦楽器の素人ですが、私なりにカンテレを触ってみて「こうしたら上手くいった」「こんなのはどうだ?」的なことを、記事に残していくつもりです。日曜音楽家たち――毎日の仕事や勉学に忙しくて、なかなか楽器を練習する暇のない人たち――が、このおよそ馴染みのない弦楽器で楽しく遊ぶためのヒントになれば…と思っています。
きちんとカンテレを習得したい人へ
そんなですから、この連載記事で説明することは、権威ある音楽大学でオーソライズされたようなりっぱな内容ではありません。きちんとカンテレを習得したい人は、きちんとしたところで教わるべきです。『日本カンテレ友の会』という団体が、不定期にワークショップを開催しています。
» 日本カンテレ友の会
次回はウィングカンテレという楽器について説明します。
★1 守るべき伝統も作法もない
ほんとうは、ウィングカンテレはオリジナルのカンテレの伝統奏法を受けついでいて、これがフォークギターやロックギターの奏法と融合して独特な演奏スタイルになっています。せっかくウィングカンテレを演奏するなら、その演奏スタイルをぜひマスターしたいもの。
しかしだからといって「是が非でもそのように演奏しなければならない」というものではありません。ポロンポロンジャラーンと弾いて、自分が楽しければそれでOKです。むしろそのような使い方こそ、積極的に模索されるべきだと思っています。
★2 まだまだ見かけない楽器
日本には北海道を中心として、全国にそこそこのカンテレ演奏人口があります。
しかしながら私は、ウィングカンテレにディストーションを繋いでギュインギュイン言わせるような、サブカルチックな演奏動画を見たことがありません。もちろんYouTubeなどで公開していないだけで、地元のライブハウスでギュインギュイン言わせているのかもしれませんが。ゴシックロックやダークウェイブといった、後ろめたい不健康な音楽ジャンルで、カンテレの寒々とした音色はギターよりも似合うはずだと予想しています。そっち方面の応用は、日本ではほんとうにまだまだこれからだという印象です。(2011/5/28現在)
楽器があればもっと楽しい毎日
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