中低域のモヤモヤをすっきり。プロのような音に
»tmryCrossCompをダウンロード(Windows7,32bit)
素人臭い音は中低域のモヤつきが原因
ベースとピアノ・ギターの低音は同じような音の高さです。
中低域――100Hz~300Hzに集中しています。
これらを何の工夫もなくミキシングすると、お互いの音が衝突しあって、モヤモヤした聞きとりにくい音になります。素人の音楽作品の品質が悪いのは、ほぼこれが原因です。
中低域のモヤつきをなくしてCDのような鮮明な作品に仕上げるには、衝突している楽器のうち比較的に高い音の楽器――この場合はピアノやギターの低音域をカットして、ベースとの衝突を避けるようにします。
中低域を賢くすっきり
ベースとギターのセッションを例に説明します。
Audio Player
最初は何もせず単純にベースとギターをミキシングした例。
ギターだけ鳴っているときは問題ないのですが……ベースが参加するとお互いの音が衝突して、モヤモヤと聞きとりにくい感じになります。ベースが参加した途端、急に録音が悪くなったようにも感じます。
次はギターにtmryCrossCompをかけた例。
ギターだけのときは先ほどと同じ聞こえ方ですが、ベースが参加すると、tmryCrossCompがギターの低音域をカットして衝突を避けます。結果としてモヤつかず、ベースもギターもはっきり聞こえます。理想的な聞こえ方です。こちらを聴いた後に先の単純にミキシングした例を聴くと、改めて音の悪いことがよく分かります。
tmryCrossCompが賢いのは、ベースが消音すると、ギターの低音域が元に戻るってことです。そうではなくてイコライザやフィルタでギターの低音域をざっくりカットしてしまうと、ベースとセッションしているときはよいのですが、ギターだけのときは逆に、スカスカした痩せた音に聞こえてしまうでしょう。
tmryCrossCompは状況に応じて賢く中低域をすっきりさせます。
インストール方法
tmryCrossCompはVSTです。
インストールは簡単です。zipファイルをダウンロードして解凍して、tmryCrossComp.dllをお手持ちのDAWのVSTプラグインを収めているフォルダに入れるだけです。
tmryCrossComp.dllはWindows7の32ビット版でビルドしました。
だからそういう環境で動作します。
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サイドチェインについて
tmryCrossCompは、”ベースの音”で”ギターの低音域”を抑えるコンプレッサです。ですからtmryCrossCompは2つの入力――通常の入力とサイドチェイン入力を持っています。通常の入力には、この場合はギターの音を入力します。サイドチェイン入力にはベースの音を入力します。
サイドチェインのやり方はお手持ちのDAWのマニュアルを参照してください。
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各部の説明-INPUT
INPUTは入力した音を確認し微調整するところです。
①のレベルメータには、通常の入力に入力した音――この場合はギターの音が表示されます。必要に応じてGainを回して音量を調節してください。
②レベルメータには、サイドチェイン入力に入力した音――この場合はベースの音が表示されます。必要に応じてGainを回して音量を調節してください。
③は、サイドチェイン入力を有効にするために、ONにしておいてください。これをOFFにすると、tmryCrossCompはギターの音をギターの音で圧縮する、普通のコンプレッサになります。tmryCrossCompを普通のコンプレッサとして使っても構いませんが……もっとよいコンプレッサを持ってるのではありませんか。
各部の説明-SPLIT LOW-HI
tmryCrossCompは低音域のみを圧縮するコンプレッサです。
④のツマミを回して、ギターの音を低音域と低音域に切りわけます。ツマミを右に回すほど切りわける周波数が高くなり、結果として圧縮する範囲が広くなります。
各部の説明-COMPRESS
⑤はコンプレッサのスレッショルドです。
ベースの音がこの音量を超えるとtmryCrossCompはギターの低音域を圧縮します。ツマミを左に回すほど強く圧縮します。右に全回するとまったく圧縮しません。
ベースが鳴っている状況でも、ギターの低音域がまったく聞こえないのは不自然です。ギターの低音域はしっかり聞こえているが、それでいてベースもがっつり自己主張している、そんな絶妙なポイントに設定するべきです。
⑥はコンプレッサのリリースタイムです。
ベースの音が途切れたときに、どのくらい素早く圧縮を止めるかを設定します。ツマミの値が小さいほど、ベースの音が途切れた途端にすぐに圧縮を止めます。値が大きくなると、ベースの音が途切れてもいつまでも圧縮したままです。
ベースの音にあまりに過敏に反応して神経質に圧縮をON/OFFするのは耳障りですし、かといって常に圧縮したままというのも無意味です。ベースの音が途切れて16分音符くらいの長さで圧縮が止まるのを標準に考えます。16分音符の長さ(秒数)は、曲のテンポによって次の計算式で決まります。
16分音符の秒数 = 60*4/曲のテンポ/16
各部の説明-REDUCTION
tmryCrossCompがギターを音を圧縮した結果がここに表示されます。低音域と高音域を分けて処理するのですから、それぞれに分かれて表示されます。ここで重要なのはもちろん、低音域LOWの方の圧縮結果です。高音域HIはそもそも圧縮しない約束でした。
⑦をONにすると、低音域が完全に聞こえなくなります。
これは作業用です。⑦をONにして低音域を聞こえないようにして、④を調節してギターの音がベースの音と衝突しないようにします。最高にいい感じに聞こえる……よりも少しだけキツめにツマミを調節してから、⑦をOFFにして、⑤を右全回から少しずつ左に回して、改めてギターの低音域を圧縮する量を決めていきます。
ギターの低音域を圧縮しすぎると、すっきりしますがスカスカした感じになります。ギターの低音域はしっかり聞こえているが、それでいてベースもがっつり自己主張している、そんな絶妙なポイントに設定するべきです。
⑧をONにすると、tmryCrossCompはギターの高音域を圧縮しません。これこそ正にtmryCrossCompに求められる機能です。⑧は普通はONにします。⑧をOFFにすると、tmryCrossCompはギターの低音域も高音域も圧縮します。つまり普通のコンプレッサとして働きます。tmryCrossCompを普通のコンプレッサとして使っても構いませんが……もっとよいコンプレッサを持ってるのではありませんか。
各部の説明-OUTPUT
⑨は出力するギターの音の音量調整です。
tmryCrossCompを使っているときとバイパスしたときで、ギターの音量が同じように聞こえるように調節すると、効果を比較しやすく作業しやすいでしょう。
各部の説明-残り
⑩はコンプレッサの圧縮率です。
普通のコンプレッサの圧縮率と表現が違っていて、0.0で無圧縮、0.5で半分圧縮、1.0で全圧縮です。tmryCrossCompの使い方からして、⑩は1.0の全圧縮固定でいいでしょう。
⑪はコンプレッサのアタックタイムです。
tmryCrossCompの使い方からして、⑪は最小の最速固定でいいでしょう。
ピアノやギターとボーカルの衝突回避にも
ここまでベースとギターの衝突を例に説明してきましたが。
音域の近い楽器同士はお互いにそこら中で衝突します。キックドラムとベースは200Hzあたりで衝突しますし、ピアノやギターとボーカルは1KHzあたりで衝突します。そしてそこら中でモヤモヤした状況を作りだします。
tmryCrossCompはそのような状況をすべて解決します。
tmryCrossCompでモヤモヤをなくし、すっきりしたCDのような音質の作品に仕上げてください。
参考文献
プロ臭いCDのような音を製作するための教則本。自己流ではどうしても行き詰まるので、一から勉強し直すのにお勧めです。
tmryCrossCompの着想はこの本を基にしています。
本書では、誰でも簡単に入手できるローカットフィルタで低音域をカットすることを教えています。理論上はそれでOKなのですが、前述したように臨機応変さを求められる場面もあって、tmryCrossCompを開発しました。私もベースが始終鳴っているような曲では、ローカットフィルタでピアノやギターの低音域を一律にカットしていますよ。その方がきれいですもん。
楽器があればもっと楽しい毎日
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