楽器は値切って買うと値切った音がするそうですよ
「楽器は値切って買うと値切った音がする」というのは、
私のいとこが、中学のときに彼のブラスバンドの顧問から教わった話です。
それはきっと心意気の問題。
その人のライフスタイルとかポリシーとか、生き様の問題だと、私は解釈しています。「楽器を値切って買う」という、その一点だけの話ではなくて、一事が万事。そういうのがもう、その人の人生そのものに滲んでいる。もちろん、その人の楽器演奏や芸風などにも、そういうのが滲んで表れる。そういうのが客に伝わってしまう。そういう話だと私は解釈しています。ふつうの人にはどうでもいい話だし浪費癖を肯定しているわけでもない。ただ、プロの音楽家――楽器を演奏してみんなを朗らかな気持ちにするのが仕事の人は、もっとこう……バーンとしたところがないとだめだ、みたいな話だと私は解釈しています。
そもそも職人も商人も、まっとうな感覚の人なら、
限界ぎりぎりまで値下げして売っているものなのですよ。客観的にどうだというのは置いといて、少なくとも当人の主観としてはですね。だから品物を値切るという行為は、職人に対しては「あなたの作品は値段分の価値がない」という侮辱になりますし、商人に対しては「あなたには商品を価値を正しく見積もる目がない」という侮辱になります……少なくとも当人の主観としてはですね。
そんなですから、中学のときにその話を聞いて以来、
私は凡そ物を値切って買ったことがありません。特に脱サラして個人事業主になってからは、「値切って買うよりは言い値で買って(商売に結びつけて)取り返す」というスタンスを心がけています。
もちろん、言い値で買って「ええっこの値段でこれはないだろう!」という品物を掴んだことは、何度もありますよ。そのときは「ああ私の目が利かなかった、修行不足だった。とにかく、ここはこんな商品を売っているのか……次回の取引はないな。よい社会勉強をした」と、納得する★ ことにしています。
大人の勉強は、とにかくお金がかかるものです。
★ よい社会勉強をしたと納得する
ここで損失を少しでも取り返そうとして叩き売りするのは、かっこわるいし、なによりも不正直です。私はそれを売れないと判断した。だったら売っちゃいけないです。自分の物にするか、要らないなら捨てるか。
捨てるよりは、欲しがる人にプレゼントするのがいいでしょう。
そんなふうに掴んでしまった商材に向かない品々を一年分まとめて、毎年の夏にキャンペーンと称してお客さんにプレゼントしています。お客さんは喜んでくれますし、もちろん、これが新しい楽器を買ってくれるきっかけになったりします。
これが私流の「(商売に結びつけて)取り返す」ということです。
これからは「かっこいい」というのがブランドになるそうですね。私にとって、かっこいいとは、そんな認識です。
楽器があればもっと楽しい毎日
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